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THE ROCKETEER (1991)

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CREDIT
監督 ジョー・ジョンストン
製作 チャールズ・ゴードン、ローレンス・ゴードン、ロイド・レヴィン
製作総指揮 ラリー・フランコ
脚本 ダニー・ビルソン、ポール・デ・メオ
ストーリー ダニー・ビルソン、ポール・デ・メオ、ウィリアム・ディア
原作 デイヴ・スティーヴンス
出演 ビル・キャンベル、アラン・アーキン、ジェニファー・コネリー、ティモシー・ダルトン
音楽 ジェームズ・ホーナー
撮影 ヒロ・ナリタ
編集 アーサー・シュミット
制作会社 ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、タッチストーン・ピクチャーズ、シルバー・スクリーン・パートナーズIV、ゴードン・カンパニー・プロダクション
配給会社 ブエナ・ビスタ・ピクチャーズ
公開 1991年6月21日
上映時間 108分

STORY
1938年、ロサンゼルス。
フライング・レーサーのクリフ・シーコードは、相棒のメカニック、ピーヴィーの最新「ジービー」プロペラ機の試験飛行に飛び立った。
クリフはこの飛行機で全米飛行競技大会への出場を狙っているのだ。

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同じころ、地上ではFBIと2人のマフィアによるカーチェイスが繰り広げられていた。
クリフの「ジービー」は流れ弾を受けて大破、再起不能となってしまう。

激しいカーチェイスの末、飛行場に逃げたマフィアの1人が死亡、もう1人、ウィルマーは、格納庫の飛行機に運んでいた荷物を隠す。
その後、FBIのさらなる銃撃で負傷したウィルマーは病院へ搬送される。

全米大会出場の夢を失い、借金を背負うことになってしまったクリフとピーヴィーには、アクロバット・ショーに戻るしか道は残されていなかった。
格納庫を訪れた2人は、旧型複葉機の中にウィルマーの隠した荷物を発見する。
それは背負い型のロケット・パックだった。

ロケット・パックは大富豪の実業家ハワード・ヒューズの研究所から盗まれたもので、ヒューズはその「シラス-X3」を開発した張本人だった。
ヒューズは政府によって「X3」が兵器に転用されることを拒み、設計図を暖炉の火に投げ込む。

マフィアのボス、エディ・ヴァレンタインと取り引きし、「シラス-X3」を盗ませていたのはハリウッドの売れっ子俳優ネヴィル・シンクレアだった。

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ロケット・パックを隠したウィルマーが病院へ搬送されたことを知ったシンクレアは、巨人の殺し屋ロサーを病院へと送り込む。
隠し場所を吐かせたロサーは、ウィルマーを絞め殺して姿を消す。

クリフは駆け出し女優の恋人ジェニー・ブレイクとデートに出かける。
シンクレアのファンであるジェニーの提案で彼の映画を観に行くと、スクリーンではナチスの飛行船「ルクセンブルク号」の親善訪米を伝えるニュースが流れていた。

映画のあとジェニーと喧嘩してしまったクリフは、謝罪のためにシンクレアの新作に端役で出演しているジェニーをたずねて翌日撮影スタジオを訪れる。
正体不明のロケット・パックを発見したことを告げるクリフの話を盗み聞いたシンクレアは、自分の魅力を武器にジェニーをディナーに誘う。

エア・サーカスの会場に現れないクリフの代わりに飛び立った年上の友人マルコム・ウィリスの古い複葉機がエンジントラブルを起こす。
そのことを知ったクリフはピーヴィーが改良を加えたロケット・パックとヘルメットを身に着け、マルコムを救うために大空へと飛び立つ。

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マルコムを助け出した謎のロケット・マンにエア・サーカスの観客は熱狂する。

翌朝、各新聞の一面には空飛ぶヒーロー「ロケッティア」の文字が躍っていた。

ロケット・パックを追って「ビグロー・エア・サーカス」のオーナー社長ビグローを殺したロサーは、次にピーヴィーの家へ向かった。
ロサーの襲撃と彼を追ってきたFBIの銃撃をくぐり抜け、クリフとピーヴィーは命からがらロケット・パックを運び出す。
ロサーはピーヴィーの描いた改良版ロケット・パックの図面を持ち去った。

クリフとピーヴィーは行きつけの「ブルドッグ・カフェ」の屋根裏に身を隠す。
クリフを探しにやって来たマフィアたちは、壁に貼られたメモからジェニーの居所を突き止め出て行く。

ジェニーの身を案じたクリフは再びロケット・パックを背負って飛び立った。

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シンクレアとジェニーはハリウッドの高級ナイトクラブ「サウス・シー・クラブ」で食事をしていた。
ボーイに成りすましたクリフはジェニーを誘い出し、これまでに起こったことを話してクラブから逃げるよう伝える。
クリフはロケット・パックとヘルメットをつけてシンクレアたち相手に暴れ回り、天井を破って飛び去った。
逃げ出す客であふれ返るクラブへ引き返したジェニーは、シンクレアにクロロホルムで眠らされてしまう。

シンクレアの屋敷で目覚めたジェニーは隙をついてシンクレアを花瓶で殴って気絶させ、屋敷の中を探る。
本棚の後ろの隠し部屋を見つけたジェニーは、そこでドイツ語で呼びかけてくる無線機を発見する。
意識を取り戻したシンクレアがロサーとともに現れ、シンクレアは自分がナチスのスパイであることを明かす。
ジェニーは再びシンクレアの手に落ちてしまった。

「ブルドッグ・カフェ」に戻ったクリフはシンクレアからの連絡でジェニーが捕まったことを知る。
シンクレアはジェニーと引き替えにロケット・パックを要求し、「グリフィス天文台」を指定してきた。

クリフが店を出ようとしたところにFBIがやって来て、ハワード・ヒューズのもとへ連れて行かれる。

クリフを待っていたのはヒューズとピーヴィーだった。

ヒューズはクリフにナチスの立てた「ロケット部隊計画」を伝える短い映画を見せる。
アメリカ同様ナチスもロケット・パックの開発を続けていたが、燃料タンクに爆発を引き起こす構造上の問題を抱えており、それを解決したヒューズの「X3」を狙っていたのだ。
クリフは「X3」を返すよううながされるが、ジェニーを救うためにその場から逃げ出す。

「グリフィス天文台」に到着したクリフの前にナチスの部隊が現れ、シンクレアがナチスのスパイと知って反旗を翻したエディたちやFBIとの激しい銃撃戦となる。

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ナチスの飛行船「ルクセンブルク号」が飛来し、シンクレアはジェニーを連れて乗り込む。

水素燃料の爆発を恐れて誰もが手出しできなくなった時、クリフ/ロケッティアが飛行船へと飛ぶ。

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飛行船に乗り込んだクリフとシンクレアが格闘を繰り広げる中、ジェニーが撃った照明弾によってブリッジに火の手が上がる。
シンクレアはジェニーを人質に取り、ロケット・パックを渡すようクリフに迫る。

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クリフは燃料が漏れ出す小さな穴を塞いでいたガムをこっそりとはがし、ロケット・パックをシンクレアに渡す。

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燃料が静かに滴るロケット・パックを背負ったシンクレアがブリッジから飛び立つ。
燃料に引火し、火だるまとなったシンクレアは山の上の「HOLLYWOODLAND」のサインへと落下する。
「HOLLYWOOD」の部分だけが爆発を逃れた。

火を噴きはじめた飛行船からの脱出を図るクリフとジェニーの行く手にロサーが立ちはだかるが、大爆発に巻き込まれて命を落とす。

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すべてが炎に巻き込まれる寸前、ヒューズとピーヴィーの乗るオートジャイロが2人を救い出す。

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後日「ブルドッグ・カフェ」にやって来たヒューズは、クリフに新しい「ジービー」と「ビーマン」のチューインガム1パックをプレゼントして去ってゆく。

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ジェニーはシンクレアの屋敷で見つけた改良版ロケット・パックの図面をピーヴィーに返す。
さらに手を加えた改良版が作れると興奮するピーヴィーの隣で、クリフとジェニーは熱いキスを交わしていた。

RETROSPECTIVE / REVIEW
2021年でもう30周年になるんだー…。

1992年のお正月映画として劇場公開された時の新聞広告はもちろん、中学校からの下校時、『セブンイレブン』に置いてあったノベライゼーションの表紙や帯にもさんざんわくわくさせられました。

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結局劇場で観ることはできなかったけれど、それらからたくさんのことを想像したし、たくさんのインスピレーションを与えてくれた、ぼくにとってはとても思い出深い大好きな作品です。

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どこだったかは覚えてないけれど、レンタルビデオ店で中古のVHSも買ったし…。

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はじめてアメリカに行った時には書店で子供向けのノベライゼーションも買った…。

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よく取ってあったわ…。

以下は、漫画に関する雑誌の出版社「TWOMORROW PUBLISHING」から2001年11月に発行された『COMIC BOOK ARTIST』第15号の、『ロケッティア』の作者でイラストレーター兼コミック・ブック・アーティストのデイヴ・スティーヴンスへのJon B. Cookeによるインタビュー「Of Hollywood & Heroes Rocketeer creator Dave Stevens on his life as an artist」をベースに、1991年7月12日発行の雑誌『エンターテインメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)』の「Behind the scenes of 'The Rocketeer' How the dazzling visuals and streamlined style of the new Disney film got to the big screen」、アメリカのホラー、ファンタジー、SF映画雑誌『CINEANTASTIQUE MAGAZINE』1991年8月号や、ポップカルチャー情報を発信しているウェブサイト『LOOPER』に2020年6月18日にポストされた、コミック・ライターChris Simsよる「The untold truth of The Rocketeer」などを参照し、構成しています。

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Dave Stevens

- 空飛ぶインディ・ジョーンズ An Airborne Indiana Jones -

これは1991年にイギリスの映画評論家、テレビ・プレゼンター、そしてジャーナリストでもあったバリー・ノーマンが本作を評した言葉ですが、よく言ったもんだ!
本作を表すのにこれ以上ぴったりなものはないでしょう!

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本作のストーリーが展開する「1938年」はジョージ・ルーカス原案・製作総指揮、スティーヴン・スピルバーグ監督による1989年の大ヒット「冒険活劇」シリーズ第3作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(原題: INDIANA JONES AND THE LAST CRUSADE)』と同じだし、本作の主人公たちが立ち向かうのも「ナチス(=国家社会主義ドイツ労働者党)」。

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「冒険活劇」にとって最高の時代です!

ちなみに1938年4月18日には「DCコミックス(英語: DC COMICS)」の前身である「ナショナル・アライド・パブリケーションズ(英語: NATIONAL ALLIES PUBLICATIONS)」から漫画雑誌『アクション・コミックス(英語: ACTION COMICS)』が創刊され、漫画原作者ジェリー・シーゲルとコミック・ブック・アーティストのジョー・シャスターの生み出した『スーパーマン(原題: SUPERMAN)」の第1話が掲載されています。

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後年本作のパンフレットを手に入れるまでは勝手に同年代のコミックが原作かと思ってたんだけど、初登場は1982年。
アメリカのインディペンデント系漫画出版社「PACIFIC COMICS」から出版されていた、コミック・ライター兼アーティストのMike Grellの『Starslayers』第2号のページ数の穴埋めとしての登場でした。

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1955年南カリフォルニアに生まれたデイヴ・スティーヴンスは少年時代から絵の才能を見せ、21歳の時にコミック作家を夢見てロサンゼルスへ。

アメリカの伝説的コミック・ブック・アーティスト、ラス・マニングによる『ターザン(原題: TARZAN)』や『スター・ウォーズ(原題: STAR WARS)』などのコミック・ストリップ(新聞連載漫画)のペン入れを担当し、アーティストとしてのキャリアをスタートさせました。

70年代後半には数々のテレビ・アニメーションを制作した「ハンナ・バーべラ・プロダクション(英語: HANNA-BARBERA PRODUCTIONS)」でストーリーボード・アーティストとして活躍。
その後、1981年のシリーズ第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(原題: RAIDERS OF THE LOST ARK)』や1982年のマイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオ『スリラー(原題: THRILLER)』などのストーリーボードを手がけました。

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- ぼくの中では最初のキャラクター・スケッチの段階から(『ロケッティア』を)いつも映画として観ていたね。紙の上の言葉や絵として観たことは1度もなかったよ。頭の中で観たり聴いたりしていたから、ぼくにとってはいつでも映画だったんだ。

From the first character sketches, I always viewed it in my mind's eye as a film. I never really looked at it as just words and pictures on paper. I saw it and I heard it in my head. So for me, it was always a film. -

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Preliminary designs for The Rocketeer's distinctive helmet.
Courtesy of & © 2001 Dave Stevens.
twomorrows.com

最初に映画化に動きだしたのは、1981年のシリーズ第2作『13日の金曜日 PART2(原題: FRIDAY THE 13TH: PART 2)』、その翌年のシリーズ第3作『13日の金曜日 PART3(原題: FRIDAY THE 13TH PART 3)』や、1986年のシリーズ第1作『ガバリン(原題: HOUSE)』などの監督として知られるスティーヴ・マイナー。

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マイナーは1983年に本作の映画化権を購入しましたが、彼のアイデアは原作のコンセプトからかけ離れすぎたもので、やがて権利はスティーヴンスのもとへ戻ります。

『ロケッティア』の舞台はスティーヴンスが「アメリカ・デザイン史」の中でもっともお気に入りの1930年代。
原作の執筆にあたっては、当時の言葉遣い、地方色や実在した場所など、時代相の正確さを期すために徹底したリサーチを行いました。

限られたスペースに展開される、色塗りもふくむスティーヴンスの緻密な作画やストーリーに加え、これも『ロケッティア』の魅力。

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ところがこの時期、スティーヴンスに映画化を呼びかける関係者の多くがロケッティアを現代で活躍させようと考えていました。

1985年、スティーヴンスは映画スタジオに売れるまで、つまり無期限の本作の「オプション権(原作の素材を使って映像化を検討できる独占的な期間、つまりオプション期間を確保して、オプション期間終了時までに映像化するかどうかを選択する権利)」を2人の脚本家、ダニー・ビルソンとポール・デ・メオに与えます。

- 2人のルーツはぼくと同じで、『ロケッティア』に対する正しい感性を持っていると感じたんだ。ぼくが目指していたものを理解してくれていた。

... because I really felt they had the right sensibility for it; they came from the same roots as me. They understood what I was reaching for. -

ロサンゼルス生まれのダニー・ビルソンとニューヨーク州バッファロー生まれのポール・デ・メオは、カリフォルニア州立サンバーナーディノ校(英語: CALIFORNIA STATE UNIVERSITY, SAN BARNERDINO=CSUSB)で演劇を専攻し、そこで出会いました。

その後2人はファンタジー・SF専門の制作会社「ペット・フライ・プロダクションズ(英語: PET FLY PRODUCTIONS)」を設立します。

「エンターテインメント」に徹した作品を得意とするコンビで、アメリカCBS(COLUMBIA BROADCASTING SYSTEM)で1990年9月20日から1991年5月18日まで全22エピソードが放送された「DCコミックス」の『ザ・フラッシュ(原題: THE FLASH)』の実写版ドラマ・シリーズ『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ(原題: THE FLASH)』の生みの親でもあります。

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ドラマ・シリーズは未見だけど、日本劇場未公開作品を扱う「ワーナー・ホーム・ビデオ」の「CUE」レーベルからリリース/レンタルされてたパイロット版『最新・最強・最速のヒーロー / ザ・フラッシュ(原題: THE FLASH)』好きだったなー…。

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2人は2004年2月17日にアメリカのコンピューターゲーム販売企業「エレクトロニック・アーツ(英語: ELECTRONIC ARTS INC.)」からリリースされた「プレイステーション2」、「ゲームキューブ」、そして「ゲームボーイアドバンス」対応のTPSゲーム『007/エヴリシング・オア・ナッシング(原題: JAMES BOND 007: EVERYTHING OR NOTHING)』の脚本も手がけています。

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なかなか難しかったけど、1番遊んだ「プレステ2」のゲームだったなー…。
なつかしー…。

同じ1985年、2年後にスピルバーグが製作総指揮としてノンクレジットで参加した『ハリーとヘンダスン一家(原題: HARRY AND THE HENDERSONS)』を監督することになるウィリアム・ディアが、スティーヴンス、ビルソン、そしてデ・メオにアプローチします。

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ディアは監督だけでなく、共同脚本家としてストーリー作りにも参加。
ビルソンやデ・メオとともに、原作の筋書きを残しつつ、ハリウッドの舞台裏や、クライマックスのナチスのツェッペリン=硬式飛行船での戦いなどを加えていきます。
本来クライマックスの舞台はナチスの潜水艦になる予定でしたが、飛行船に変更したのはディアでした。

ディアは日本では前述の「ワーナー・ホーム・ビデオ」の「CUE」レーベルからリリース/レンタルされた1991年のアクション・コメディ『ティーン・エージェント(原題: IF LOOKS COULD KILL)』も監督しています。

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落ちこぼれ高校生が単位取得のためにフランス旅行に向かい、降り立った空港で同姓同名の諜報部員と間違えられて007のようなスパイになるという作品でしたが、アクションとコメディのバランスがよく、意外にハマる良作でおすすめ。

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Richard Grieco as Michael Corben and Gabrielle Anwar as Mariska Blade in IF LOOKS COULD KILL (1991)

4人はハリウッド中のスタジオへ『ロケッティア』の売り込みをはじめますが、どこにも見向きもされませんでした…。

- 『バットマン』や『ディック・トレイシー』が出てくるずっと前の1986年だったからね。どの映画スタジオも高い制作費のかかるコミック・ヒーロー映画にはまったく興味がなかったんだ。ぼくらは3年ばかり先取りしすぎていたんだよ。

This was 1986, long before Batman or Dick Tracy or anything similar. In those days, no studio was interested at all in an expensive comic book movie. We got there about three years too early for our own good! -

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やがて彼らはおもちゃなどの「マーチャンダイジング(キャラクターの商品化にとどまらず、原作、音楽から広告デザインまでふくめた多角的、総合的なイメージの商品化)」の可能性が見込めると考えた「ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ」(以下『ディズニー』)と契約を結びました。

しかしビルソン、デ・メオの2人と「ディズニー」の間の創作上の相違により、やがて本作は「デベロップメント・ヘル(英語: DEVELOPMENT HELL)」と呼ばれる「長期間の企画・開発期間を経たにもかかわらず、完成に至らない状態」に陥ります。

幾度となく繰り返される脚本の書き直しによって制作開始が延期され、ディアが監督を離脱。

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そこへ登場したのが、1989年に同じ「ディズニー」の『ミクロキッズ(原題: HONEY, I SHRUNK THE KIDS』で監督デビューを果たしたばかりのジョー・ジョンストンでした。

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原作コミックのファンだったジョンストンは、「ディズニー」が映画化権を所有していることを知って自らアプローチしたのでした。

アメリカ、テキサス州生まれのジョンストンは、1977年7月にジョージ・ルーカスが「インダストリアル・ライト&マジック(INDUSTRIAL LIGHT & MAGIC=ILM)」を創設した時からのメンバーで、VFXアーティストとして1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV – A NEW HOPE)』に登場する「ミレニアム・ファルコン」、「デス・スター」や「Xウイング・スター・ファイター」などのデザインに参加。

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1980年のシリーズ第2作『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(原題: STAR WARS: EPISODE V – THE EMPIRE STRIKES BACK)』ではVFXアートディレクターとしても活躍し、「AT-ATウォーカー」、「ヨーダ」や「ボバ・フェット」などをデザイン。

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同じくVFXアーティスト/VFXアートディレクターとして参加した1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』で、「第52回アカデミー賞(英語: THE 54TH ACADEMY AWARDS)」の「視覚効果賞(英語: BEST VISUAL EFFECTS)」を受賞。

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さらに1983年のシリーズ第3作『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE VI – RETURN OF THE JEDI)』でもVFXアートディレクターとして「イウォーク」などをデザインしました。

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すごい…。

ストーリーボードも描いていたジョンストンは、ルーカスとともにこれら「旧3部作=オリジナル・トリロジー」の編集にも参加しています。

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Joe Johnston, in the Lucasfilm Archives, sometime in the late 80s.

1984年、自分の仕事に疑問を抱きはじめたジョンストンに対し、ルーカスは研修休暇の形で「南カリフォルニア大学(英語: UNIVERSITY OF SOUTHERN CALIFORNIA=USC)」の「映画芸術学部(英語: CINEMATIC ARTS)」に通うことを勧めました。
ジョンストンは助言に従い、ルーカスは授業料と学校に通っている間のジョンストンの給与も支払っています。

ルーカスにとって「秘蔵っ子」のような存在だったのかもなー…。

その後、ルーカス製作総指揮、ロン・ハワード監督による1988年の『ウィロー(原題: WILLOW)』では製作補佐を、スピルバーグ監督の1989年の『オールウェイズ(原題: ALWAYS)』では第2班監督として飛行シーンを手がけます。

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大ヒット作品を作り続けていたルーカスやスピルバーグとともに歩んできただけに、ジョンストンは監督としてもすばらしい「目」を持っています。

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Marcia Strassman as Diane Szalinski and Rick Moranis as Wayne Szalinski in HONEY, I SHRUNK THE KIDS (1989)

『ミクロキッズ』も自信にあふれていたし、本作や1995年のシリーズ第1作『ジュマンジ(原題: JUMANJI)』などは、80年代のルーカス/スピルバーグ・ブランドを90年代に継続させているようでした。

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なので、ジョンストンがそれまでとはだいぶ毛色の違う、「マーベル・シネマティック・ユニバース(英語: MARVEL CINEMATIC UNIVERSE=MCU)」の第5作品目となった2011年の『キャプテン・アメリカ』シリーズ第1作『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(原題: CAPTAIN AMERICA: THE FIRST AVENGER)』の監督だと知った時には正直ちょっとびっくりした…。

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でも観て大納得!
VFX畑出身という経歴や作品の設定からして、彼以上の選択肢はなかったでしょう!

いい意味で「オールドスクール」な彼の演出スタイルによって、数ある近年の「アメリカン・コミック・ヒーロー」実写映画作品の中でももっとも丁寧に作られていた気がします。

ぼくとしては2015年の『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒(原題: STAR WARS: EPISODE VII - THE FORCE AWAKENS)』からはじまる「続3部作=シークエル・トリロジー」の1本でもいいからジョンストンに撮ってほしかった…。

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『ミクロキッズ』の大成功によって「ディズニー」とも良好な関係にあったジョンストンはすぐに監督として雇われ、1990年のはじめに「プリプロダクション(映画などの撮影に入る前に行う準備作業全体のこと)」がはじまりました。

ビルソンとデ・メオによる3度目の大規模なリライトの末、「ディズニー」はようやく『ロケッティア』にゴーサインを出します。

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主人公クリフ・シーコード役に無名俳優のキャスティングを望んでいたジョンストンは、それまで主にテレビで活躍していたビル・キャンベルを起用。

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Jennifer Connelly as Jenny Blake and Billy Campbell as Cliff Secord/The Rocketeer in THE ROCKETEER (1991)

原作者のデイヴ・スティーヴンスに「あの役をやるために生まれてきたんだ。 ”He was made for it.”」と言わしめたほどのキャスティングでしたが、「ディズニー」の重役たちは難色を示します。

- ジョー(・ジョンストン)はビリー(ビル・キャンベル)をキャスティングするためにスタジオと戦わなければならなかった。当然彼らは「A級俳優」をほしがっていたからね。いろんな面で不利だったのに、ビリーはみごとにやってのけんだ。

Joe really had to fight the studio for him, because understandably, they wanted a ‘name’ actor. So Billy was a longshot in many respects, but he really came through, God bless him. -

原作のコミックに馴染みのなかったキャンベルは、クリフ役に抜擢されると「航空学」についての本とともにそれらを読破。
空中シーン・コーディネーター、クレイグ・ホスキングの助けを借りて、「飛行機恐怖症」をも克服したのです。

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Joe Johnston and Billy Campbell on the set of THE ROCKETEER (1991)

「線の細さ」は否めなかったけれど、サラッサラの髪とか本当に「コミック・キャラクターの実写版」だった。
もっと彼のクリフ観たかったな…。

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Billy Campbell as Cliff Secord/The Rocketeer in THE ROCKETEER (1991)

ケリー・プレストンやダイアン・レインも候補に挙がっていたクリフの恋人で女優の卵のジェニー・ブレイクには、スクリーン・デビュー作、セルジオ・レオーネ監督の1984年の一大叙事詩『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(原題: ONCE UPON A TIME IN AMERICA)』でかわいいおしりを見せてくれたジェニファー・コネリー!

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Jennifer Connelly as Jenny Blake in THE ROCKETEER (1991)

20歳で挑んだ本作では、1985年の『フェノミナ(原題: PHENOMENA)』や1986年の『ラビリンス/魔王の迷宮(原題: LABYRINTH)』などの「ずば抜けた美少女」のイメージから一転、大人の女性の魅力を振りまいています。
彼女の「うるうるの瞳」はやばすぎるでしょ…。
好きになっちゃわない男性っているのかなー?

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Jennifer Connelly as Jenny Blake in THE ROCKETEER (1991)

もともと大人びていたけれど、本当に上手に年を重ねていて、いつまで経ってもずーっときれい…。
本作のあとも演技の幅をぐんぐん広げて、今ではみごとな演技派女優ですね。

キャンベルとは本作が縁で婚約しましたが、1995年に解消しています。
キャンベルざんねーん!

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Jennifer Connelly as Jenny Blake and Billy Campbell as Cliff Secord/The Rocketeer in THE ROCKETEER (1991)

クリフの相棒ピーヴィーには個性派俳優アラン・アーキン。
抜群のコメディ・タイミングでキャンベルを支えています。

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Alan Arkin as A. "Peevy" Peabody in THE ROCKETEER (1991)

1930年代ハリウッドの剣戟映画などで活躍したアクション・スターで、ナチスのスパイだったという疑惑もあったエロール・フリンがモデルのネヴィル・シンクレア。

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Timothy Dalton as Neville Sinclair in THE ROCKETEER (1991)

ジェレミー・アイアンズやチャールズ・ダンスにも打診されていた映画オリジナルのキャラクターを、余裕たっぷり楽しげに4代目ジェームズ・ボンドのティモシー・ダルトンが演じています。

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Jennifer Connelly, Timothy Dalton, and Joe Johnson on the set of THE ROCKETEER (1991)

シーンによって「目の表情」をコロコロ変えるところとか、いんちきくさいヒゲとか、さすがです…。

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Timothy Dalton as Neville Sinclair in THE ROCKETEER (1991)

1987年の007シリーズ第15作『リビング・デイライツ(原題: THE LIVING DAYLIGHTS)』や、ぼくはかなりの傑作だと思ってる1989年の第16作『消されたライセンス(原題: LICENCE TO KILL)』を経て、ダルトンが最高にかっこよかったころ…。

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クライマックスに登場するナチスの飛行船「ルクセンブルク号」の上部ハッチに「7」とあったり、クリフとの戦いの際、「ボンド映画」でも多くのスタントをこなしていたダルトンに「スタントは自分でやる “I do my own stunts.”」と吐かせてみたりと、制作陣もなかなか粋な「遊び」を見せてくれます。

「冒険活劇」に欠かせない、すばらしい悪役でした!

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Timothy Dalton as Neville Sinclair in THE ROCKETEER (1991)

マフィアのボス、エディ・ヴァレンタインはジョー・ペシをイメージして書かれていましたが、ペシの出演は叶わず、代わりにマーティン・スコセッシ監督の1990年のクライム・ドラマ『グッドフェローズ(原題: GOODFELLAS)』でペシと共演していたポール・ソルヴィノがキャストされました。

思わずニンマリしちゃうかっこいいキャラクター。

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Robert Guy Miranda as Spanish Johnny, Paul Solvino as Eddie Valentine, and John Lavachielli as Rusty in THE ROCKETEER (1991)

テリー・オクィンが演じた大富豪の実業家ハワード・ヒューズは実在した人物。

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Terry O'Quinn as Howard Hughes in THE ROCKETEER (1991)

本作では政府に依頼されて極秘裏にロケット・パック「シラス-X3」を開発したという夢のある設定になっていますが、ヒューズは本当に飛行機が大好きで、1935年には航空機製造会社「ヒューズ・エアクラフト・カンパニー(英語: HUGHES AIRCRAFT COMPANY)」を設立しています。

彼が飛行機にかけた情熱の集大成「ヒューズ H-4 ハーキュリーズ(英語: HUGHES H-4 HERCULES)」、別名「スプルース・グース(英語: SPRUCE GOOSE)」は、1947年の完成当時、世界最大の航空機でした。

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Hughes H-4 Hercules "Spruce Goose" lifts above the waters of Long Beach Harbor on November 2, 1947.

劇中、クリフがヒューズの研究所から逃げ出す際にグライダー代わりに使ったのがこの「ヒューズ H-4 ハーキュリーズ」のモデルで、そのフライトを見たヒューズが微笑みながら言う「やつは飛ぶぞ! “That son of a bitch WILL fly!”」には二重の意味があるんですねー。

ドラマチックなヒューズの生涯は、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ出演の2004年の伝記映画『アビエイター(原題: THE AVIATOR)』で描かれています。

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そのヒューズがクリフに見せるナチスの「ロケット部隊計画」を伝える短い映画の中、浮かび上がると同時に爆死してしまうナチスのロケット・パックのテストパイロットを演じているのはデイヴ・スティーヴンス。

豪華なキャスティングだったよなー…。

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スティーヴンスは「プリプロダクション」から「ポストプロダクション(映画などの撮影後の作業全体のこと)」まですべての制作工程に参加し、製作補佐としてもクレジットされています。

- プロダクション・デザイナー(ジム・ビセル)と彼の2人のアート・ディレクターに、ぼくの持っていたすべての参考資料を渡したよ。飛行場の格納庫や観客席の設計図、オートジャイロを制作するための回路図、「ブルドッグ・カフェ」やエア・サーカスのスタッフのユニフォームの写真や絵、ビンテージものの飛行機や「ジービー」そのものを確保するための連絡先なんかをね。あの時代に関するものをどこで見つけたらよいのか、ぼくが持っていたり、知っていたことほぼすべてだ。彼らはそれらを使ってセットを作ったんだよ。
ヘルメットは本当に大変だった。「ディズニー」はまったく別のものにしたがってたんだ。(『ディズニー』の元CEO、マイケル・)アイズナーに至っては、「NASA」みたいなヘルメットにしたがってた。まあ彼らはもともとすべてを現代に置き換えたがってたんだけどね。そこでジョー(・ジョンストン)は彼らに言ったんだ、もし彼らがヘルメットを変えればそれはもう『ロケッティア』ではないし、監督を降りるってね。彼は一歩も譲らなかったよ。「ディズニー」側は黙認しつつ、それでも彼ら自身のプロトタイプをいくつか作っていたね。どれもひどかった。それでジョーに言ったんだ、「知り合いの彫刻家に会って、1週間で撮影に使えるヘルメットを作ってくる」ってね。ジョーは一瞬考えて、「わかった」と言ってくれた。それでも数日以内には撮影がはじまる時だったから、彼はとってはものすごい賭けだったはずだよ。ヘルメットを手に入れることは物語上(そして当然、映画を売るためのビジュアルとしても)とても重要なことだったからね - 完璧なものじゃなきゃダメだったんだ!ミスは許されなかった。すぐにメインのスタントマンの頭の型を取ってもらって(以前『ロケッティア』のブロンズ像を制作した)友人のケント・メルトンを捕まえ、ぼくのスケッチと彼の専門知識を突き合わせて彼のスタジオでブレインストーミングをし、どこから見ても完璧なヘルメットを作って戻ったんだ。ジョーに見せると笑顔になって、「コミックそのものだ!」と言ってくれたよ。

I gave the production designer [Jim Bissell] and his two art directors my entire reference library-everything I had: Blueprints for hangers and bleachers, schematics for building the autogyro, photos and drawings of the Bulldog Café, field uniforms for the air circus staff, contacts for the vintage planes we'd need, including securing the Gee Bee itself. Virtually everything of the period I either had or knew where to find it. So they literally just took the reference and built the sets.
I remember the helmet was a real problem at first. Disney wanted to change it completely. [Disney executive Michael] Eisner wanted a straight NASA-type helmet. They wanted to update the whole thing anyway, in the beginning. But fortunately for all of us, Joe told them that if they changed the helmet at all, then it was no longer The Rocketeer and he would not be interested in directing. He really stuck to his guns. So they acquiesced and tried to generate a couple of prototype helmets on their own and everyone thought they just looked terrible. I told Joe, "Look, let me get with my sculptor, give us a week and I promise we'll come up with something you can shoot." He thought about it for a second and said, "Okay." That was a major leap of faith too, because we were right down to the wire, due to start shooting in days, and getting the helmet was crucial to the context of the film (not to mention the overall importance of it as a necessary visual to market the film)-it had to be perfect! There was no room for mistakes at all. So I immediately had a cast made of our main stuntman's head, grabbed my good friend Kent Melton (who had already done the bronze Rocketeer statue) and we proceeded to brainstorm at his studio with my sketches and his expertise and came back with a helmet that really worked, from all angles. We brought it in, showed it to Joe and he smiled and said, "That's definitely the comic book! -

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そんな『ロケッティア』の紙上の世界を忠実に再現したプロダクション・デザイナー、ジム・ビセルは、スピルバーグ監督の1982年の『E.T.(原題: E.T. - THE EXTRA-TERRESTRIAL)』で「第36回英国アカデミー賞(英語: 36TH BRITISH ACADEMY FILM AWARDS)」の「ベスト・プロダクション・デザイン/アート・ディレクション(英語: BEST PRODUCTION DESIGN/ART DIRECTION)」にノミネートされ、スピルバーグ制作による1983年の『トワイライト・ゾーン/超次元の体験(原題: TWILIGHT ZONE: THE MOVIE)』、1987年の『ハリーとヘンダスン一家』や1989年の『オールウェイズ』にも参加した、「スピルバーグ組」の初期の常連。
本作のあとには1995年の『ジュマンジ』でふたたびジョー・ジョンストン監督と組んでいます。

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いつまでも色あせない『ロケッティア』のVFXは前述の「ILM」によるもの。

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スピルバーグ製作総指揮による1985年のシリーズ第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー(原題: BACK TO THE FUTURE)』から2007年の『ベオウルフ/呪われし勇者(原題: BEOWULF)』まで、2000年の『ホワット・ライズ・ビニース(原題: WHAT LIES BENEATH)』をのぞくすべてのロバート・ゼメキス監督作品に参加してきたケン・ラルストンがVFXスーパーバイザーを務めています。

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ジョンストンと同じくラルストンも「ILM」創設当時からのメンバーで、多くの受賞歴を持つベテランVFXアーティスト。
1995年の『ジュマンジ』にも参加します。

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JUMANJI (1995)

スタントマンを使っての撮影が難しい複雑なロケッティアの飛行シーンには、身長18インチ(約48cm)のリアルなロケッティアのミニチュアモデルが使用されました。

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THE ROCKETEER (1991)

これにフィルムの1フレームごとにミニチュアモデルを静止させて撮影する「ストップモーション・アニメーション(英語: STOP-MOTION-ANIMATION)」や、ミニチュアモデルに取り付けたロッド(支持棒)をモーション・コントロール・システムで動かして「モーションブラー(動きのぶれ)」を発生させる「ゴーモーション(英語: GO-MOTION)」で動きをつけています。
つまりは「コマ撮り」なんだけど、まったく気づかなかった…。

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aintitcool.com

クリフ・シーコード/ロケッティアがナチスのツェッペリンに乗り込んで最後の戦いを挑む大興奮のクライマックスは、4ヶ月以上をかけて断片的に撮影されました。

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Timothy Dalton as Neville Sinclair on the set of THE ROCKETEER (1991)

まずカリフォルニア州ロサンゼルスの「グリフィス・パーク(英語: GRIFFITH PARK)」にある「グリフィス天文台(英語: GRIFFITH OBSERVATORY)」での地上アクションを数夜に渡って1990年11月に撮影。

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Timothy Dalton, Director Joe Johnston, and Director of Photography Hiro Narita on the set of THE ROCKETEER (1991)

その後戦いの舞台はロサンゼルスの北にある「INDIAN DUNES RACEWAY」に作られた全長65フィート(約20m)のツェッペリン上部のセットへ。

一方カリフォルニア州マリンカウンティ、サン・ラファエルにある「ILM」工房では、モデル・メーカーたちが1938年のロサンゼルスを再現したミニチュアセットの上を行く全長12フィート(約4m)のミニチュア・ツェッペリンを撮影していました。
これは異なる事柄が同時に起こっていることを示すために、ある場面に別の場面を挿入する「インターカット」のためのもの。

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poweredmodelairplanes.com

爆発によって地上へ落下してゆくツェッペリンのVFX撮影は、「ILM」工房と同じマリンカウンティ、ノバートにある「ハミルトン空軍基地(英語: HAMILTON AIR FORCE BASE)」にて、1991年3月のとある夜に行われました。

15フィート(約5m)の高さに伸ばした2台のクレーンの間に足場材を渡し、そこに弾丸で粉々になったゴンドラの窓に至るまで細かく再現した全長35フィート(約11m)のミニチュア・ツェッペリンを吊り下げて爆破。
その様子を大きな弧の形に設置した5台のカメラで、1秒間に350フレームのスピードで撮影しました。

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michaeljohncummins.info

これを通常の、1秒間に24フレームのスピードで再生すると、スクリーン上に炎の中を落ちてゆく全長850フィート(約260m)のツェッペリンが現れます。
典型的な「ムービー・マジック」ですが、今観てもすごい…。

このVFXだけで40万ドルかかっているのだとか…。
すげーよハリウッド…。

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michaeljohncummins.info

…っが!
本編で使用されているのは実は「テイク2」…。

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THE ROCKETEER (1991)

「テイク1」では無線起爆装置がうまく機能せず、炎に包まれたミニチュア・ツェッペリンの落下はジョンストンやラルストンが思い描いていた優雅なスワンダイブとはならなかったのです…。

「ILM」のチームはさらに6週間かけて2代目ミニチュア・ツェッペリンを作成し、撮り直しを行いました。

1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』、1984年の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(原題: INDIANA JONES AND THE TEMPLE OF DOOM)』、そして1989年の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の撮影監督ダグラス・スローカム。

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1993年の『シンドラーのリスト(原題: SCHINDLER’S LIST)』以来すべてのスピルバーグ作品に参加している撮影監督ヤヌス・カミンスキーは、2008年のシリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国(原題: INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL)』でスローカムのスタイルを継承しました。

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映画製作者向けの業界紙「AMERICAN CINEMATOGRAPHER」の2008年6月号に掲載された「Vintage Indy Janusz Kaminski revives an action icon with Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull」の中で、カミンスキーは次のように語っています。

- 『インディ・ジョーンズ』には強くハイキーな照明による光沢と温かみのある画が欠かせないんだ。サスペンスフルだけど暗すぎず - いつでもすべてがはっきりと観えるんだよ。

An Indiana Jones film has to have that glossy, warm look with strong, high-key lighting. It’s suspenseful but not too dark — you always see things clearly. -

撮影監督ヒロ・ナリタが『ロケッティア』で見せてくれた映像にもこの言葉はぴったり当てはまります。

日本人の両親のもと韓国に生まれたナリタは、1957年ハワイに移住。
1960年に奨学金を使って「サンフランシスコ芸術大学(英語: SAN FRANCISCO ART INSTITUTE)」に進み、グラフィック・デザインを専攻。
1964年に卒業すると、デザイン会社勤務を経てテレビ業界に入り、その後映画界へ。

カメラ・オペレーターとしてフランシス・フォード・コッポラ監督の1979年の『地獄の黙示録(原題: APOCALYPSE NOW)』や、ルーカス製作総指揮による1979年のシリーズ第2作『アメリカン・グラフィティ2(原題: MORE AMERICAN GRAFFITI)』に参加。

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「ADDITIONAL CAMERAMAN」として1983年の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐』や1984年の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』にも参加し、ジョンストンも参加していたスピルバーグ監督の1989年の『オールウェイズ』ではVFX撮影監督を務めました。

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michaeljohncummins.info

ジョンストンとは撮影監督として『ミクロキッズ』でも顔を合わせていますが、ぼくの記憶に鮮明に残っているのは1991年の劇場版シリーズ第6作『スタートレックVI 未知の世界(原題: STAR TREK VI: THE UNDISCOVERED COUNTRY)』。

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それまでのシリーズ作品にはなかったリアルかつムーディな照明で、オリジナル・クルーの最後の冒険に威厳を与えていました。
なんと言うか、「高級感」があった…。

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Walter Koenig as Pavel Chekov, George Takei as Hikaru Sulu, DeForest Kelley as Leonard McCoy, Nichelle Nichols as Uhura, William Shatner as James T. Kirk, James Doohan as Montgomery Scott, and Leonard Nimoy as Spock in STAR TREK VI: THE UNDISCOVERED COUNTRY (1991)

すばらしい編集術でハラハラドキドキのクライマックスを組み立ててくれたのは、1985年の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で組んで以来、2000年の『キャスト・アウェイ(原題: CAST AWAY)』までのすべてのロバート・ゼメキス監督作品に参加してきたアーサー・シュミット。
この中で、スピルバーグ製作総指揮による1988年の『ロジャー・ラビット(原題: WHO FRAMED ROGER RABBIT)』と、スピルバーグは関係ないけれど1994年の『フォレスト・ガンプ/一期一会(原題: FORREST GUMP)』で、それぞれ「第61回アカデミー賞」と「第67回アカデミー賞」の「最優秀編集賞(英語: BEST FILM EDITING)」を受賞しています。

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時に繊細、時にダイナミックなシンフォニーでクリフとジェニファーを救ったのは、ジョン・ウィリアムズやジェリー・ゴールドスミスとともにハリウッド映画史を歩んできた巨匠ジェームズ・ホーナー。

4週間半で書き上げた1982年の劇場版シリーズ第2作『スタートレック2 カーンの逆襲(原題: STAR TREK II: THE WRATH OF KHAN)』によって映画音楽作曲家としての地位を確立したホーナーは、その後も1982年のシリーズ第1作『48時間(原題: 48 HRS.)』、1984年の劇場版シリーズ第3作『スタートレック3 ミスター・スポックを探せ!(原題: STAR TREK III: THE SEARCH FOR SPOCK)』、1985年の『コマンドー(原題: COMMANDO)』、シリーズ第1作『コクーン(原題: COCOON)』、1986年のシリーズ第2作『エイリアン2(原題: ALIENS)』、スピルバーグ製作総指揮の1987年の『ニューヨーク東8番街の奇跡(原題: *BATTERIES NOT INCLUDED)』、1988年の『ウィロー』、『レッド・ブル(原題: RED HEAT)』、シリーズ第2作『コクーン2/遥かなる地球(原題: COCOON: THE RETURN)』、1989年の『フィールド・オブ・ドリームス(原題: FIELD OF DREAMS)』などなど、80年代を代表する数々の名作にスコアを提供しました。

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2週間以下で書き上げたジェームズ・キャメロン監督との初コラボレーション作品『エイリアン2』で、「第59回アカデミー賞」の「作曲賞(英語: BEST ORIGINAL SCORE)」に初ノミネート。

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80年代、90年代には、1986年のシリーズ第1作『アメリカ物語(原題: AN AMERICAN TALE)』、1988年の『リトルフット(原題: THE LAND BEFORE TIME)』、1991年のシリーズ第2作『アメリカ物語2/ファイベル西へ行く(原題: AN AMERICAN TALE: FIEVEL GOES WEST)』、1993年の『恐竜大行進(原題: WE’RE BACK! A DINOSAUR’S STORY)』や1995年の『キャスパー(原題: CASPER)』など、スピルバーグの製作会社「アンブリン・エンターテインメント(英語: AMBLIN ENTERTAINMENT)」による多くの「ファミリー映画」も手がけています。

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『ロケッティア』は1989年の『ミクロキッズ』に次ぐジョンストンとの2度目のコラボレーションで、日本劇場未公開だった1994年のライブアクション/アニメーション・ファンタジー・アドベンチャー『ページマスター(原題: THE PAGEMASTER)』、1995年の『ジュマンジ』へと続きます。

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キャメロン監督との2度目のコラボレーション作品、1997年の『タイタニック(原題: TITANIC)』で、「第70回アカデミー賞」の「作曲賞」と、ソングライターのウィル・ジェニングスとともに「歌曲賞(英語: BEST ORIGINAL SONG)」を受賞したことは記憶に「比較的」新しいところ。

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セリーヌ・ディオンの歌う主題歌『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(原題: MY HEART WILL GO ON)』は当時ロサンゼルスのFMで毎日何度も何度も流れてたもんなー…。
正直ちょっと飽きちゃったもん…。

ちょっと多く挙げすぎてしまいましたが、受賞・ノミネート歴もふくめてこれらはまだまだほんの一部…。
全部書くと長ーいリストができあがります。

書けないジャンルはないんじゃないかと思うほどのフィルモグラフィーを持つホーナーですが、自身の手がけた映画音楽に同じフレーズを使い回すことでたびたび批判されていました。

こちらも挙げるときりがないんだけど、2011年1月にアメリカのレーベル「INTRADA RECORDS」から「INTRADA SPECIAL COLLECTION VOLUME 155」としてようやくリリースされた『48時間』のサウンドトラック『48 HRS.』の1曲目「Main Title」、2003年12月2日に「VARESE SARABANDE RECORDS」からリリースされた『コマンドー』のサントラ『COMMANDO: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の1曲目「Prologue/Main Title』、そして1988年にイギリスのレーベル「VIRGIN RECORDS」からリリースされた『レッド・ブル』のサントラ『RED HEAT: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の5曲目「TAILING KAT / THE SET UP」はほんとそっくり…。
でも、どれもめちゃくちゃかっこいいんだよなー…。

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『スタートレック2 カーンの逆襲』と『コクーン』、もしくは『ニューヨーク東8番街の奇跡』を足して2で割った感じで、そんな「コピペ感」もゼロではないけれど、1991年5月26日に「HOLLYWOOD RECORDS」からリリースされた『THE ROCKETEER: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』は本当にすばらしい!

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ホーナーとは『コクーン』シリーズや『ニューヨーク東8番街の奇跡』などでも組んでいるアメリカの作曲家、アレンジャー、そしてトランぺッターのビリー・メイがアレンジしたビッグバンドによる2曲の挿入歌「Begin The Beguine」と「When Your Lover Has Gone」も収録されていて、1枚のアルバムとして映像抜きでも楽しめます。
耳にじつに心地いいんです…。

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度重なるテスト・スクリーニングや「ディズニー」の重役たちの介入による再編集により、本作でホーナーに与えられていた時間は2週間半…。

こんなことばっかだったんだな…。
「コピペ」もやむを得なかったのかもしれない…。

2015年6月22日、ホーナーの操縦していた飛行機がカリフォルニア州ヴェンチュコパ近くの「ロス・パドレス国立森林公園(英語: LOS PADRES NATIONAL FOREST」に墜落、61歳で亡くなられました…。
また1人、いつまでも耳に残るメロディラインが書ける映画作曲家がいなくなってしまった…。

原作のデイヴ・スティーヴンスと脚本のダニー・ビルソン、ポール・デ・メオは当初本作を「3部作」の1本目として考えており、「ディズニー」も本作が『インディ・ジョーンズ』のようなシリーズの幕開けとなることを期待していました。

が、興行成績は芳しくなく、公開直後の1991年7月、続編計画は中止となります…。

ネット上にはずいぶん前から架空の続編『THE ROCKETEER: CRIMSON SKIES』のファンメイドのポスターもありますが…。

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Screenprint by Alex Griendling

続編も観てみたいけど、CGばかりになっちゃうのはなんかなー…。
こうやってみんなで想像力を膨らませて楽しむのが本作にとって1番幸せなのかも…。

ぼくらにたくさんの夢とインスピレーションを与えてくれたスティーヴンスも、2008年3月11日、数年に渡る有毛細胞白血病との戦いの末にカリフォルニア州ターロックで亡くなられています…。
52歳って…。
みんな早すぎるよ…。

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この「RETROSPECTIVE / REVIEW」を書くためのリサーチをはじめるまでその存在さえすっかり忘れてしまっていたけれど、「スーパーファミコン」対応のゲームもありましたねー。

1992年2月28日に「INFORMATION GLOBAL SERVICE INC.=IGS, INC.」という聞いたこともないメーカーからリリースされたもので、プレイしたのは覚えているけれど、いつどこで手に入れたんだっけ?

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エアレースからはじまって、ガンシューティング、シューティングに格闘、いろんな要素は詰まっていたけれど、最初のエアレースのルールはよくわからなかったし、操作性悪かったー…。

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そもそもタイトル画面の音楽からしてすごい悲壮感…。
映画が大好きだったぼくにとっては何とも言えないモヤっとしたゲームでした…。

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THE ADVENTURES OF THE ROCKETEER (1992)

違う立場で『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に参加していた原作のデイヴ・スティーヴンスや監督のジョー・ジョンストンをはじめ、80年代のルーカス/スピルバーグ・ブランドを支えたクリエイター大集合の本作は、まさに、みごとなみごとな「空飛ぶインディ・ジョーンズ」でした!

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逆にルーカス/スピルバーグだけが欠けている感じ…。(10/02/20)


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# by 2moon1 | 2020-10-02 21:00 | movie reviews | Comments(0)

BATMAN & ROBIN (1997)

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CREDIT
監督 ジョエル・シュマッカー
製作 ピーター・マクレガー=スコット
脚本 アキヴァ・ゴールズマン
キャラクター創造 ボブ・ケイン
出演 アーノルド・シュワルツェネッガー、ジョージ・クルーニー、クリス・オドネル、ユマ・サーマン、アリシア・シルヴァーストーン、マイケル・ガフ、パット・ヒングル、エル・マクファーソン
音楽 エリオット・ゴールデンサール
撮影 スティーヴン・ゴールドブラット
編集 デニス・ヴァークラー、マーク・スティーヴンス
制作会社 ポリグラム・ピクチャーズ
配給会社 ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ
公開 1997年6月12日(Mann Village Theater) 1997年6月20日(アメリカ合衆国)
上映時間 125分

STORY
「バット・モービル」と「レッドバード」でゴッサム・シティへ向かうバットマンとロビン。

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走り去る2人を見送った執事アルフレッド・ペニーワースの顔が苦痛にゆがむ。

自らを「Mr.フリーズ」と名乗る男が「ゴッサム美術館」を凍らせ、展示されている巨大なダイヤモンドを強奪しようとしている。

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現場に到着し、Mr.フリーズの手下を次々と倒すバットマンとロビン。
しかしダイヤモンドはMr.フリーズの手に渡ってしまった。

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ロケットでの脱出を試みるMr.フリーズを追うバットマンだったが、Mr.フリーズの冷凍銃によって両手をロケット内の壁に貼りつけられてしまう。
そんなバットマンを残し、上昇を続けるロケットから飛び出すMr.フリーズ。

ロケットの外壁にしがみついていたロビンがロケットに飛び込み、バットマンを救い出す。
ロケットに爆弾を仕掛けるバットマン。

翼を広げてゴッサム・シティへと滑空するMr.フリーズを追うバットマンとロビンの頭上でロケットが爆発する。

ゴッサム・シティでMr.フリーズを追いつめるも、Mr.フリーズの冷凍銃によってロビンが凍らされてしまい、バットマンはMr.フリーズを逃してしまう。

南米にある「ウェイン・エンタープライズ」の研究所では、植物学者のパメラ・アイズリーが、人類の自然破壊に対抗できる能力を持った新種の植物を開発していた。

別室では、マッド・サイエンティストのジェイソン・ウッドルー博士が各国の軍隊へ筋力増強剤「ヴェノム」を売り込んでいる。

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犯罪者のアントニオ・ディエゴを使って「ヴェノム」のデモンストレーションを行うと、アントニオはベインになった。

その様子を目撃してしまったパメラはウッドルーによって殺されてしまう。

Mr.フリーズの素性を調べるブルース・ウェインとディック・グレイソン。
Mr.フリーズは本名をヴィクター・フリーズといい、かつては優れた分子生物学者だった。
難病「マクレガー症候群」に侵された妻を救うための治療薬の研究中、事故によって液体窒素のプールに落下した彼は、体温が0度以上になると生きられない体になってしまったのだ。

電話で「ヴェノム」の取り引きを続けるウッドルー博士の前に、死んだはずのパメラが現れる。
植物と毒薬の力で別人になった彼女は、自らをポイズン・アイビーと名乗った。

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毒素にあふれる唇のキスでウッドルー博士を殺すと、アイビーはベインとともに「ウェイン・エンタープライズ」本社のあるアメリカへ向かう。

アイスクリーム工場を模したゴッサム・シティのMr.フリーズの隠れ家。

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Mr.フリーズは凍結技術で街を凍らせると脅し、妻を救うための研究費用を市からせしめる計画を立てていた。
冷凍睡眠で命を保っている妻ノアに成功を誓うMr.フリーズ。

ウェイン邸にアルフレッドの姪バーバラ・ウィルソンがイギリス、ロンドンから訪ねてくる。
ブルースの提案により、彼女は当面の間屋敷に住むことになる。

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アルフレッドに眠る前の挨拶を済ませると、バーバラはこっそりと屋敷を抜け出した。
アルフレッドが初期の「マクレガー症候群」に侵されていることを知る彼女は、ゴッサム・シティで夜な夜な開催されているバイク・レースの賞金で彼を救おうとしているのだ。

ある夜のレースでほかのバイカーに殺されかけたバーバラはディックに救われる。

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「ゴッサム天文台」で、人工衛星を介した天体望遠鏡を寄付したブルースが記者団からの質問に答えている。

そこへパメラ/アイビーがやってきて、星を見るよりも足元の地球を見るべきだと環境改善への支援をブルースに訴える。
ブルースは環境問題も大事だが、困っている人々の救済が優先だとして彼女の訴えを受け入れなかった。
いつの日か人類が植物からの反撃を受けることになると脅すアイビーだが、居合わせた人々もバットマンとロビンが守ってくれると彼女の訴えを一蹴する。
ブルースはそんな彼女を環境保全資金を集めるための「ウェイン・ダイヤモンド」のオークションへと誘う。

「ゴッサム植物園」で開かれるオークションは、Mr.フリーズを誘き出すためにブルースが仕掛けた罠だった。
しかし乱入してきたポイズン・アイビーのフェロモン・ガスによって、バットマンとロビンは彼女を巡って仲違いをはじめる。

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さらにMr.フリーズも現れ、「ウェイン・ダイヤモンド」が奪われてしまった。

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ゴッサム・シティを逃げるMr.フリーズたちを追い、バットマンとロビンはMr.フリーズを捕らえた。

精神病院「アーカム・アサイラム」に監禁されたMr.フリーズを助け出すアイビー。
「ゴッサム植物園」で出会った時から彼女は彼に一目ぼれしていたのだ。

アイビーは打倒バットマンのために手を組むことを提案し、Mr.フリーズは警察の監視下から冷凍睡眠中の妻を取り戻すよう要求する。

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だがMr.フリーズを自分のものにしたいアイビーは、ノアの冷凍睡眠装置を止めてしまう。

アイビーはバットマンがやったとMr.フリーズに報告する。
怒りに駆られたMr.フリーズは、世のすべてを凍らせようと企む。

「マクレガー症候群」の前に倒れたアルフレッドは、病床でバーバラに1枚のディスクを託す。
それはアルフレッドが行方不明になっている弟のウィルフレッドに宛てたものだったが、バーバラが解析すると、中にはバットマンとロビンの秘密、そしてバットガールに関するデータが記録されていた。

アイビーのフェロモン・ガスの効果から抜け出せないロビンは、ブルースの阻止を振り切って彼女の元へ向かう。

アイビーはロビンを殺そうとキスをするが、ロビンはブルースが彼を阻止した際の言葉を信じて唇を特殊なリップで保護していた。
だがアイビーの創り出した植物が彼を絡め取ってしまう。

ロビンを救出に来たはずのバットマンも捕まってしまった。

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そこにバットガールのコスチュームに身を包んだバーバラが登場し、アイビーを倒す。

バットマン、ロビンとバットガールは、Mr.フリーズを阻止するために「ゴッサム天文台」へ向かう。

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天体望遠鏡に使用されているダイヤモンドを使って巨大な冷凍砲を完成させたMr.フリーズは、ゴッサム・シティを凍らせる。
氷の彫像と化した市民の命を救うには11分しか残されていない。

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天文台に到着し、人工衛星の反射板を利用して地球の裏側からゴッサム・シティへ太陽光を集めようとするバットマンたちの前に、Mr.フリーズとベインが立ちはだかる。

バットマンはMr.フリーズを、ロビンとバットガールはベインを倒す。

3人は集めた太陽光でゴッサム・シティを解凍する。

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バットマンはMr.フリーズに、アイビーが彼の妻殺しを自白する映像を見せる。
さらに彼はMr.フリーズの妻を救い出して冷凍睡眠状態に戻し、「アーカム・アサイラム」のMr.フリーズの独房に運び込んでいた。
Mr.フリーズはそこで研究を続けることができるのだ。

バットマンは友人を救うために力を貸してほしいとMr.フリーズに助けを乞う。
妻が生きていることを知り、科学者としての誇りと良心を取り戻したMr.フリーズは、初期の「マクレガー症候群」に有効な薬をバットマンに渡す。

Mr.フリーズから与えられた薬を投与した翌朝、ウェイン邸には元気になったアルフレッドの姿があった。

バットマンはロビンとバットガールとともに、ゴッサム・シティを犯罪から守る戦いを続ける。

RETROSPECTIVE / REVIEW

映画そのものよりも、公開当時アメリカで体感したお祭りさわぎの方が強く印象に残っている作品。

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なんの用事で通りかかったのかさっぱり覚えてないけれど、まずは1997年6月12日にロサンゼルスのウェストウッド・ヴィレッジにある映画館『MAN VILLAGE THEATER』で行われた「ワールドプレミア」に遭遇。

映画館前の十字路を中心に道路が四方1ブロックずつ閉鎖され、そのうちの2本にはマスコミ用の足場や一般客用の何段もの座席が両サイドに組まれていました。
まるでライブ会場のようだった。
本作冒頭、「ゴッサム美術館」でバットマンとロビンが戦うMr.フリーズの手下たちがアイスホッケーのスケート靴の代わりにインラインスケートを履いて走り回り、大歓声が!

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Arnold Schwarzenegger, Alicia Silverstone, Joel Schumacher, Chris O'Donnell and George Clooney at the World Premiere of BATMAN & ROBIN (1997)

これもたまたまだったんだけど、ぼくはこの約半年前にこの近くで行われたロマンチックコメディ『素晴らしき日(原題: ONE FINE DAY)』の「ワールドプレミア」にも遭遇していて、アーノルド・シュワルツェネッガーとジョージ・クルーニーが見られたのは今回で2度目。
『素晴らしき日』の時にはシルベスター・スタローンも見れたな…。
シュワルツェネッガーもスタローンも体は大きいけれど、身長は意外に低かった…。

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ものすごい規模で行われた本作の「ワールドプレミア」から約1ヶ月後、旅行で1週間ほど滞在したニューヨーク州ニューヨーク市のマンハッタンでも本作への盛り上がりを体感しました。

めちゃくちゃ目立つ「タイムズ・スクエア」の交番『NEW YORK POLICE DEPT』の上にビルボードがあったり…。

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これは当然だけど、5番街に2001年2月5日まであった「WARNER BROS. STUDIO STORE」の2階のすべての窓にはキャラクターの巨大ポスターが…。

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1階ショーウィンドーにはMrフリーズの「サブゼロ・スーツ」、店内には小道具も展示されていました。

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おもちゃ屋は当然のこと、CDショップやブックストアでも入ってすぐのところに「関連グッズ」が陳列されていて、どこもかしこも『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』だらけ…。
かっこよくて写真たくさん撮ったなー…。

本作以外でこれほどの規模だったのは、翌年の『GODZILLA』ぐらいしか記憶にない…。

1995年の前作『バットマン フォーエヴァー(原題: BATMAN FOREVER)』が大好きだったので当然楽しみに観に行ったのだけれど、感想は「ムムム…」だった…。
スタッフは前作とほぼ同じだったのに…。

「最低映画」を選んで表彰する「第18回ゴールデンラズベリー賞=ラジー賞(18TH GOLDEN RASBERRY AWARDS)」では最多の11部門にノミネートされ、バーバラ・ウィルソン/バットガールを演じたアリシア・シルヴァーストーンが「最低助演女優賞(英語: WORST SUPPORTING ACTRESS)」を受賞…。
「ラジー賞」と類似の「第20回スティンカーズ最悪映画賞(英語: 20TH STINKERS BAD MOVIE AWARDS)」でも「最低作品賞(英語: WORST PICTURE)」、ジョエル・シュマッカー監督が「最低監督賞(英語: WORST DIRECTOR)」、アリシア・シルヴァーストーンが「最低助演女優賞」を、脚本のアキヴァ・ゴールズマンが「興行収入1億ドルを超えた最低脚本賞(原題: WORST SCREENPLAY FOR A FILM GROSSING OVER $100M WORLDWIDE USING HOLLYWOOD MATH)」を受賞…。
「スティンカーズ最悪映画賞」が2001年1月1日に発表した「20世紀最悪映画100本(英語: 100 YEARS, 100 STINKERS)」では、2000年の『バトルフィールド・アース(原題: BATTLEFIELD EARTH)』、1999年の『ワイルド・ワイルド・ウェスト(原題: WILD WILD WEST)』に次ぐ第3位にランクイン…。

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ぼくの「ムムム…」は間違ってはいなかったようで…。

このような結果となってしまった原因は、上に書いたような「関連グッズ」の多さ、つまり「ワーナー・ブラザーズ(英語: WARNER BROS.)」が進めた「ムービー・マーチャンダイジング(キャラクターの商品化にとどまらず、原作、音楽から広告デザインまでふくめた多角的、総合的なイメージの商品化)」の展開、にありました。

ティム・バートン監督による1992年のシリーズ第2作『バットマン リターンズ(原題: BATMAN RETURNS)』は興行的に成功し、批評家からも好意的な評価を得ました。

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しかし『バットマン リターンズ』の「性的」かつ「暴力的」な描写が子供には不向きだとアメリカ国内では多くの親が非難…。
アメリカのファストフードチェーン「マクドナルド・コーポレーション(英語: McDONALD’S CORPORATION)」までもが『バットマン リターンズ』の「ハッピーセット(英語: HAPPY MEAL)」を中止するほどの騒動に…。

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Michael Keaton as Batman and Michelle Pfeiffer as Catwoman in BATMAN RETURNS (1992)

これを受け、「ワーナー・ブラザーズ」はシリーズ第3作『バットマン フォーエヴァー』の内容をより「ファミリー向け」、「子ども向け」にすることを決定。
これが大当たりして『バットマン フォーエヴァー』は1995年のアメリカ国内興行収入ランキング第1位という好成績をおさめます。

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「ワーナー・ブラザーズ」は「すぐに」続編制作を決定。
公開から2ヶ月後の1995年8月の時点で『バットマン フォーエヴァー』の監督ジョエル・シュマッカーと脚本家アキヴァ・ゴールズマンが雇われ、「プリプロダクション(映画などの撮影に入る前に行う準備作業全体のこと)」がはじまっています。

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2005年10月18日に「ワーナー・ホーム・ビデオ」からリリースされた『BATMAN & ROBIN Mr. フリーズの逆襲! スペシャル・エディション(原題: BATMAN & ROBIN: TWO-DISC SPECIAL EDITION)』DVDに収録されている「映像特典」の1つ「コウモリの影 パート6:解放されたバットマン(原題: SHADOWS OF THE BAT PART 6: THE CINEMATIC SAGA OF THE DARK KNIGHT- BATMAN UNBOUND)」では、シュマッカーが前作との境遇の違いについて話しています。

- (この時は)みんなが契約を結びたがった。あちこちに出かけて行って、「バットマン」の映画を作るからとみんなを説得しなければならなかった『バットマン フォーエヴァー』の時とは正反対だったんだ。みんなというみんなが関連商品を作りたがっていたよ。あんなことははじめてだったね。

Now of course everyone wanted to be involved, so it was the opposite from Batman Forever when we had to go around and convince everybody to come along with us, we were going to make a Batman movie. And this was how can we stop everybody, you know what I mean, it was everybody and their mother wanted to have their franchise in the movie and be part of it and, and it was a very very different experience. -

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プロデューサーのピーター・マクレガー=スコットは、本作の制作に入るのがいかに早かったのかを振り返っています。

- もう1本制作すると公表したことはなかった。自然に進んでいったんだ。わたしたちにとって2作目となるシリーズ第4作に休むことなく取りかかっていたね。

It was evolving, I mean, it was, I don’t think we were publicly saying, okay, we’re making another one. We’re going straight into the next one, as it turned out we did pretty go into the second set of the fourth one, second one for us almost without a break. -

前作から引き続いてディック・グレイソン/ロビンを演じたクリス・オドネルは、制作に入るのが早すぎたのではないかと指摘します。
以下は、2015年6月9日にアメリカCBS(英語: CBS BROADCASTING INC.)の『エンターテインメント・トゥナイト(英語: ENTERTAINMENT TONIGHT)』のウェブサイトにポストされたStacy Lambeの「'Batman Forever' 20 Years Later: Chris O'Donnell Looks Back on the Franchise」からの抜粋です。

- 『バットマン フォーエヴァー』はすばらしいと思ったよ。ほんとうによくできていたと思う。『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』では「ワーナー・ブラザーズ」は貪欲になっていたんだ。早すぎたよ。みんなが「新しい『バットマン』が観たい」と思えるようになるまでにはある程度の時間が必要だったんだ。なのに『フォーエヴァー』が終わってあっと言う間に次の作品になった。無駄がたくさんあったね。いろんなことがゆるくて、考えが及んでいなかった。みんなが貪欲になっていたんだ。とは言っても、ぼくはすばらしい時間をすごさせてもらったけどね。

I thought Forever was terrific. I really thought it was well made. With Batman & Robin, I think Warner Bros. got piggy. It was too soon. ... There needs to be a certain amount of time before people had the appetite, “I need another Batman.” We had just finished and all of a sudden it was, like, boom here’s another one. There was a lot of waste. I felt it wasn’t tight and it wasn’t thought out. People just got greedy. That being said, I had a great time doing it. -

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DVDの「特典映像」で、シュマッカーは「ワーナー・ブラザーズ」が本作に求めたことについても触れています。

- 「ワーナー・ブラザーズ」には、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』をもっと「家族向け」に、もっと「子ども向け」に、そしてそれまで聞いたこともなかった言葉なんだが、もっと「toyetic」にしたいとう強い願望があったんだ。つまりわたしたちは売れるおもちゃが作れる映画を作らなければならなかった。

In Batman & Robin, there was a real desire at the studio to keep it more family friendly, more kid friendly, and, a word I’d never heard before, more toyetic, which means that what you create makes toys that can sell.

その後はじまった異色の「プリプロダクション」について、ピーター・マクレガー=スコットが続けます。

- 「バット・モービル」のデザインやバットマンのガジェットをどんなものにするかを玩具メーカーと決めていった。彼らには長いリードタイムが必要だったからね。

We involved the toy company. We let them look and be involved in how the Batmobile was going to look, how Batman‘s gadgets were going to be, which they wanted - this is a key to them - they needed a lot of lead time. –

同じ「特典映像」の中のクリス・オドネルの言葉が、本作を1番うまく表しているように思います。

- 『バットマン フォーエヴァー』 の時は「映画を作っている」という実感があった。2回目(『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』)は「子どものおもちゃのコマーシャルを作っている」ようだったよ。

On Batman Forever, I felt like I was making a movie. The second time, I felt like I was making a kid's toy commercial. –

本来「映画」あっての「おもちゃ」のはずが、「おもちゃ」あっての「映画」になってしまいました…。
つまり本作は文字どおり「おもちゃのCM」だったのです…。

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ハリウッドの老舗業界紙『ハリウッド・リポーター(英語: THE HOLLYWOOD REPORTER)』のウェブサイトは、本作公開から20年後の2017年6月20日、Aaron Couchによる本作スタッフへのインタビュー『'Batman & Robin' at 20: Joel Schumacher and More Reveal What Really Happened』をポストしました。
以下はその抜粋です。

- シュマッカーはすべての責任が自分にあることを認めています。すばらしい仕事をしてくれたスタッフ・キャストを失望させてしまったことへの反省はいまでも続いているのです。

シュマッカーは言います。
「わたしが言いたいのは、わたしは大人だったということ。わたしがやると決めたんだ。最高の仕事ができなかったことが悔しいよ」

If there's blame to be had, Schumacher accepts it all. But he also feels bad that he may have let down his cast and crew, who he feels did strong work.

"All I'm going to say is I was a big boy. I chose to do it. I don't think I did my best job. That really bothers me," Schumacher says. -

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ぼくが本作で1番がっかりだったのは、前作ですばらしいブルース・ウェイン/バットマンを演じたヴァル・キルマーが降板してしまったこと…。
このころキルマーが大好きだったので、シュワルツェネッガーとの共演が観れなかったことに本当にがっかりしたもんです…。

ほかの出演作や前作の撮影現場でも周囲との衝突を繰り返していたと言われているキルマーですが、実際なにが起こったのか、シュマッカーが明かしています。
以下はアメリカのポップカルチャー専門誌「エンターテインメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)」のウェブサイトに1996年5月3日にポストされた、Rebecca Ascher-Walshの「Val Kilmer makes enemies in Hollywood」からの抜粋です。

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PHOTO: VINCE BUCCI/AFP/GETTY IMAGES

- 2年前、(ヴァル・)キルマーが『バットマン フォーエヴァー』への出演契約を結んだ時、シュマッカーは腹をくくりました。「ヴァルに関する恐ろしい話は聞いたことがあったし、彼を雇わないようにとの忠告も受けたよ」シュマッカーは言います。
「しかしこれまでにもたくさんの才能ある人たちについて同じような話を聞いたことがあったし、実際一緒に仕事をしてきたけれど、問題が起こったことはなかった」

しかし今回は、さすがのシュマッカーにも運がなかったようです。撮影に入って数週間後にキルマーが引き起こした問題は、シュマッカーの言葉によると、キルマーとの「押し合いをはじめる」ところにまで発展してしまったのです。
「彼はアシスタント・ディレクター、カメラマンや衣装スタッフに不条理な態度を取り、ぶつかっていたんだ。彼の振る舞いはひどく、無礼で不適切だったから、これ以上耐えられないと伝えなければならなかった。それからの2週間、彼がわたしに話しかけることはなかったけれど、あれは至福の時だったね」
(1996年)8月から撮影がはじまる『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』からキルマーの名が欠けていることについて、シュマッカーは次のように答えています。
「ある意味では彼自身が降板し、ある意味ではわたしたちがクビにしたんだ。もちろん、誰が話すのかによってストーリーは変わるけどね」

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Val Kilmer as Batman in BATMAN FOREVER (1995)

「ワーナー・ブラザーズ」の関係者によると、契約上キルマーは2本目の『バットマン』に出演することになっていました。キルマーが7月の中旬まで「パラマウント・ピクチャーズ」の『セイント』に出演すると公表した時、「ワーナー」はキルマーが8月1日から『バットマン&ロビン』の撮影に入ることを「パラマウント」に再確認しています。「『パラマウント』は大慌てだったよ」と関係者は言います。「ヴァル抜きで『セイント』を作ると言い出したんだ。すると今度はヴァルが『じゃあバットマンはやらない』と言い出した。おそらく彼はぼくらが『わかった。じゃ1ヶ月後に来てくれ』と言うだろうと考えていたんだろうね。でも「ワーナー」は撮影開始日を変更することなくヴァルとの契約を解除し、「バット・スーツ」をジョージ・クルーニーに渡したんだよ。

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When Kilmer signed to do Batman Forever two years ago, Schumacher braced himself. “I had heard horror stories about Val and was warned not to hire him,” he says. “But I have heard that about many talented people, hired them anyway, and had no problems whatsoever.”

This time, Schumacher was less fortunate. After a couple of weeks of shooting, Kilmer’s behavior had eroded to the point where Schumacher says he and Kilmer “had a physical pushing match. He was being irrational and ballistic with the first AD, the cameraman, the costume people. He was badly behaved, he was rude and inappropriate. I was forced to tell him that this would not be tolerated for one more second. Then we had two weeks where he did not speak to me, but it was bliss.” As for Kilmer’s absence from Batman and Robin, which starts shooting this August, “he sort of quit, we sort of fired him,” says Schumacher. “It probably depends on who’s telling the story.”

In fact, says a Warner Bros. insider, Kilmer’s contract required him to make a second Bat-film; when Kilmer announced that he would making The Saint for Paramount until mid-July, leaving only days to prepare for Batman and Robin, Warner Bros. reminded Paramount that Kilmer was due on Batman Aug. 1. “They went insane,” says the source, “and said they’d make The Saint without Val. Suddenly Val says, ‘Then I won’t do Batman,’ thinking we’d say, ‘Oh, come a month later.’” Instead, Warner Bros. kept its start date, released Kilmer from his contract, and handed the Batsuit to George Clooney. -

エド・ハリス、アンソニー・ホプキンスやパトリック・スチュアートも候補に挙がっていた分子生物学者ヴィクター・フリーズ/Mr.フリーズにはアーノルド・シュワルツェネッガー(以下シュワちゃん)。

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出演料はなんと2,500万ドル!
撮影に参加した日数に換算すると1日100万ドル!
そりゃ1番最初に名前が出てくるわけだ…。
さすがシュワちゃん…。

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Arnold Schwarzenegger as Mr. Freeze in BATMAN & ROBIN (1997)

本作の日本版ポスターはシュワちゃんゴリ押しだったんですね!
サブタイトル『Mr.フリーズの逆襲』もついてるし。
もはや『バットマン』じゃなくなってる気もするけど…。

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シリーズ4作目にして「満を持して」といった感じのキャスティングだったし、メイクや「サブゼロ・スーツ」もすばらしかったけれど、彼に合うように書き換えられた「one-liner(短いジョーク、しゃれ、気の利いた言い回し)」はちょっとやりすぎだったな…。
「すごい科学者」な感じ皆無だったもん…。

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Arnold Schwarzenegger as Mr. Freeze in BATMAN & ROBIN (1997)

難病「マクレガー症候群」に侵された妻ノアを救いたいという動機とか、冷凍睡眠中の彼女に成功を誓うとか、ラストで科学者としての誇りを取り戻すとか、すばらしいドラマになり得る要素はいっぱいあったのに、ポイズン・アイビーと絡みはじめてからはプロットが忙しすぎて結局何がしたいキャラクターなのかわからなくなっちゃった…。

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Uma Thurman as Poison Ivy and Arnold Schwarzenegger as Mr. Freeze in BATMAN & ROBIN (1997)

ドラマをもっと掘り下げてもこのころのシュワちゃんだったら上手に演じられたと思うのに、もったいないなー…。

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Arnold Schwarzenegger as Mr. Freeze in BATMAN & ROBIN (1997)

でも、シュワちゃんこの役絶対楽しんでたと思う…。

3代目ブルース・ウェイン/バットマンには、このころはアメリカNBC(NATIONAL BROADCASTING COMPANY)のテレビドラマ『ER緊急救命室(原題: ER)』や、1996年のシリーズ第1作『フロム・ダスク・ティル・ドーン(原題: FROM DUSK TILL DAWN)』に出演しているぐらいしか知らなかったジョージ・クルーニー。

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2001年のシリーズ第1作『オーシャンズ11(原題: OCEAN’S ELEVEN)』で彼の「よさ」が活かされる前だったし、前作のヴァル・キルマーがあまりによかったので、彼のブルース・ウェイン/バットマンはぼくには「ノーノー」だった…。

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George Clooney as Batman in BATMAN & ROBIN (1997)

最大の「ノー」はバットマンの時。
話すたびに「バット・スーツ」の頭に生えてる2本の角みたいのがフラフラフラフラするのが気になっちゃって気になっちゃって…。

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George Clooney as Batman in BATMAN & ROBIN (1997)

すばらしかったのは、初期の「マクレガー症候群」に侵され、死にゆく執事アルフレッド・ペニーワースに対して何もしてあげられないと涙をこらえているブルース・ウェインの時のシーン。
クルーニーでなければ演じられなかったのではないかと思います。

でもそれ以外はどちらの時も与えられているセリフがひどい…。
そしてずっと「ジョージ・クルーニー」だった…。

本作のあと、クルーニーはことあるごとに「本作の失敗は自分にある」と話していますが、そこまでひどくはなかったし、確実に彼のせいではありません…。

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George Clooney as Bruce Wayne in BATMAN & ROBIN (1997)

ディック・グレイソン/ロビンには前作から続投のクリス・オドネル。
前作では「とっちゃん坊や感」が強かったけど、本作ではいい感じに垢抜けてました。

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Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

ただ本作のロビンは、まずオープニングで車をほしがってその後Mr.フリーズに凍らされ、中盤でもブルース・ウェイン/バットマンとポイズン・アイビーを取り合って結局アイビーにやられ、クライマックスに至っては何もすることなく「ゴッサム天文台」から落下、と、終始ただの「欲求不満の足手まとい」でしかなかった…。
本作のどこが『バットマン&ロビン』だったんだろう?
仲悪かっただけで『バットマンVSロビン』だった…。

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George Clooney as Batman, Uma Thurman as Poison Ivy and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

ちょっとだけ触れていたけれど、もっとブルース・ウェイン/バットマンとの「信頼関係」に関するドラマが描けたんじゃないかなー…。
前作のクライマックスでは、ジム・キャリー演じるリドラーがブルース・ウェイン/バットマンに「『愛する人』を救うか『相棒』を救うか?」というなぞなぞを出して、バットマンはどちらも救うという選択をしたわけだけど、ああいう方向で掘り下げるとかね。
2人の「信頼関係」っていうのは、ブルースがポイズン・アイビーのフェロモン・ガスによって彼女に惚れ込んじゃってるロビンを目覚めさせたからとか、バットマンがロビンを信用していたからバットガールと一緒に「ゴッサム天文台」から落下した時にも助けなかった、とかで表せる程度のものだったのかな…?

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Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

なーんかうすっぺらかったよなー…。

ジュリア・ロバーツもその候補に挙がっていた植物学者パメラ・アイズリー/ポイズン・アイビーにはユマ・サーマン。

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Uma Thurman as Poison Ivy in BATMAN & ROBIN (1997)

すばらしい女優さんだしすごく綺麗だったけれど、前作でハービー・デント/トゥー・フェイスを演じたトミー・リー・ジョーンズ同様、本作でサーマンができることはあまりなかったかも…。

サーマンのせいではないけれど、セリフは独り言ばかりだし、彼女の登場シーンはすべて意味なく長く、本作のテンポの悪さの原因でしかなかった…。
「ゴッサム植物園」でのダンスはなに??

そもそもアイビーは何がしたかったんだろう?
植物学者のパメラが「人間の自然破壊に対抗できる能力を持った植物を開発している」っていうのはわかったけれど、ポイズン・アイビーになってからの動機がまったく意味不明…。
『バットマン リターンズ』でミシェル・ファイファーが演じたセリーナ・カイル/キャットウーマンには「復讐」という立派な動機があったけれど、パメラ・アイズリー/ポイズン・アイビーは一体何が不満だったんだ?

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Uma Thurman as Poison Ivy in BATMAN & ROBIN (1997)

もったいないことばかりだ…。

アルフレッドの姪バーバラ・ウィルソン/バットガールにはアリシア・シルヴァーストーン。

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Alicia Silverstone as Batgirl in BATMAN & ROBIN (1997)

本作公開時には彼女の体重に対するほんとうにひどい批評もあったけれど、ぼくは彼女の唇の方が気になってた…。

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Alicia Silverstone as Barbara Wilson in BATMAN & ROBIN (1997)

当時のキャスティングとしては納得できる部分もあるけれど、思いっきりアメリカなまりのバーバラがイギリス育ちだっていうのはムリがある…。

ストーリーを動かすための重要なキャラクターでもなかったし、今となってはより多くのおもちゃを作るために登場させたとしか思えない…。

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Alicia Silverstone as Batgirl in BATMAN & ROBIN (1997)

本作で最高だったのは、これまでのシリーズすべてに出演しているアルフレッド役のマイケル・ガフ。
アルフレッドとブルースのストーリーだけが本作で唯一筋が通ってたし、どれもすばらしいシーンだった…。

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Michael Gough as Alfred Pennyworth and George Clooney as Bruce Wayne in BATMAN & ROBIN (1997)

前作でトゥー・フェイスのアシスタント、シュガー役にドリュー・バリモアが起用されていたのにもびっくりしたけど、その上を行っていたのが1シーンにしか登場しなかったMr.フリーズのアシスタント、ミズ・B・ヘイブン役のヴィヴィカ・A・フォックス。
1996年のシリーズ第1作『インデペンデンス・デイ(原題: INDEPENDENCE DAY)』でウィル・スミスが演じた主人公スティーブン・ヒラー大尉の恋人ジャスミン・ダブロウ役が最高だった彼女がまさか1シーンにしか登場しないとは…。
しかも「まったく」必要なかったし…。

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Vivica A. Fox as Ms. B. Haven in BATMAN & ROBIN (1997)

ベインも出てきたけれど、彼もきっとおもちゃを作るための登場…。
ひどいアホ扱いだし、こちらも「まったく」必要なかった…。

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Jeep Swanson as Bane in BATMAN & ROBIN (1997)

そもそもキャラクター多すぎ…。

撮影監督は、前作におけるコンサート用スポットライトと独創的なアングルを多用した「シャープ」な映像で「第68回アカデミー賞(英語: 68TH ACADEMY AWARDS)」の「撮影賞(英語: BEST CINEMATOGRAPHY)」にノミネートされたスティーヴン・ゴールドブラット。

前作同様キャラクターごとに違う配色をあたえていて、バットマンとロビンがMr.フリーズを追う冒頭の雪のシーン、バットケイブやアルフレッドとブルースのシーンなどで再びすばらしい照明技術を見せてくれました。

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George Clooney as Batman and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

が、パメラがブルースに環境改善の支援を訴える昼間の「ゴッサム天文台」のシーンや、Mr.フリーズの隠れ家の地下でバットマンとロビンがポイズン・アイビーやベインと戦うシーンなどはやたら明るくてフラットだし、すごいチープだった…。
前作でたくさん観られた独創的なカメラのセットアップも1つもなく、90年代はじめのころのテレビドラマみたいな感じ…。
クオリティに一貫性がない…。
彼だけのせいではないけれど…。

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George Clooney as Batman and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

前作同様大規模なミニチュアやCGIを駆使した驚きのVFXを見せてくれたのは、1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV – A NEW HOPE)』で「第50回アカデミー賞」の「視覚効果賞(英語: BEST VISUAL EFFECTS)」と、VFX界に革命をもたらしたモーション・コントロール・カメラ(コンピューターで動きをプログラムし、主にVFXの合成素材を撮影するために使用するカメラ)「Dykstraflex」の開発に対して「アカデミー特別業績賞(英語: ACADEMY AWARD FOR TECHNICAL ACHIEVEMENT)」を受賞し、さらに1979年の劇場版シリーズ第1作『スタートレック(原題: STAR TREK: THE MOTION PICTURE)』でも「第52回アカデミー賞」の「視覚効果賞」にノミネートされるなど、VFXの発展に大きく貢献してきたレジェンド、ジョン・ダイクストラ。

冒頭のMr.フリーズのロケットのシーン、「バット・モービル」、「レッドバード」と「フリーズ・ビークル」が繰り広げる「カーチェイス」や、クライマックスの「ゴッサム天文台」の爆破など、大規模なミニチュアとCGIを駆使したシーンはいつまでも色あせません。

バイク・レースで命を狙われたバーバラが宙づりになるシーンの合成だけはびっくりするぐらいひどかったけど…。

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BATMAN & ROBIN (1997)

3代目「バット・モービル」のデザインは前作のものより好きだったけれど、「オープンカー」ってのがなー…。

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それに実用性はさらになくなってた…。

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「ゴッサム天文台」での最終決戦に向かうシーンに登場するバットマンの「Bathammer」、ロビンの「Batskiff」とバットガールの「Bat Blade」は確実におもちゃのためだろうな…。

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Chris O'Donnell as Robin, George Clooney as Batman and Alicia Silverstone as Batgirl in BATMAN & ROBIN (1997)

このシーンからは3人とも新しいコスチュームに着替えてるし…。
バットガールってまだ出てきたばかりなのにもう着替えるの?
急がなきゃなはずなのに、新しいコスチュームと乗り物のためにポイズン・アイビーの隠れ家からわざわざ「バットケイブ」に戻ったのか?
前作では「リドラーのバットケイブ破壊を逃れたのがプロトタイプのバットマン・スーツだけだった」という着替える理由があったけれど、いくらなんでも今回は「大人の事情=ビジネス」が見えすぎ…。

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Alicia Silverstone as Batgirl, George Clooney as Batman and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

前作『バットマン フォーエヴァー』はたくさんのことが説明なく展開するにもかかわらず、全体としては成立しているように見えてしまう「奇跡の映画」でした。

この「奇跡」を起こしたジョエル・シュマッカーは、映画やテレビのプロダクション&コスチューム・デザイナーを経て映画監督・脚本家・プロデューサーになった人で、これまでにも1985年の「ブラット・パック(1980年代のハリウッド青春映画に出演した若手俳優の一団に付けられたあだ名。)」出演映画『セント・エルモス・ファイアー(原題: ST. ELMOS FIRE)』、リチャード・ドナー製作総指揮による1987年のティーン・ホラー・コメディ『ロストボーイ(原題: THE LOST BOYS)』や1993年のクライム・スリラー『フォーリング・ダウン(原題: FALLING DOWN)』、本作のあとにはアメリカの小説家ジョン・グリシャム原作の1996年のリーガル・サスペンス『評決のとき(原題: A TIME TO KILL)』、脚本も手掛けた1999年のクライム・コメディ・ドラマ『フローレス(原題: FLAWLESS)』や2002年のサスペンス『フォーン・ブース(原題: PHONE BOOTH)』など、ジャンルにとらわれないたくさんの名作を残しています。

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シュマッカーは前作で1966年1月22日から1968年3月14日にわたってアメリカのABC(AMERICAN BROADCASTING COMPANY)で全3シーズン、120話が放送されたテレビシリーズ『バットマン(原題: BATMAN)』の「キャンプ様式(大げさに誇張された振る舞いや、過度に装飾の多いけばけばしいファッション)」を見事にアップデートさせていましたが、本作では1周回ってダウングレードさせちゃった…。

冒頭、ロビンが「レッドバード」で「ゴッサム美術館」の壁を突き破って飛び込んできた時の穴の形が「ロビン・マーク」とか…。

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BATMAN & ROBIN (1997)

「バット・クレジットカード」とか…。

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George Clooney as Batman in BATMAN & ROBIN (1997)

ほかにもいくつもあるけれど、そりゃないよー…。

「アクション・シーン」からも前作にあった「スピード感」や「グルーヴ感」が失われ、ほとんどが「ワイヤー・アクション」でしかも「雑」…。

それでも、シュマッカーでなければ「料理人が多すぎるキッチン」で制作された本作が1本にまとまることはなかったようにも思います…。

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George Clooney as Batman and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)

音楽も前作から引き続きのエリオット・ゴールデンサールが担当。
前作との間にはシュマッカー監督の『評決のとき』も手掛けています。
本作では彼も時間に追われ、既出の『ハリウッド・リポーター』のポスト『'Batman & Robin' at 20: Joel Schumacher and More Reveal What Really Happened』では次のように話しています。

- いつも時間に追われていたよ。ベンチュラ大通り、サンセット大通りやニューヨークの地下鉄に貼られたポスターを見かけるたびに、あと何日残っているかを気づかされるんだ。

It seems like you never have enough time, and seeing the posters all over Ventura Boulevard or Sunset Boulevard or the subways in New York, you are reminded how few days you have left to complete the project. -

それでも、ティム・バートンによる1989年のシリーズ第1作『バットマン』と第2作『バットマン リターンズ』を手掛けたダニー・エルフマンの呪縛から解かれた本作では「ゴールデンサール節」炸!

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アメリカのレーベル「ヴァレーズ・サラバンド・レコーズ(英語: Varese Sarabande Records)」から1993年11月23日にリリースされた『DEMOLITION MAN: THE ORIGINAL ORCHESTRAL SCORE』の1曲目「DIES IRAE」の後半と、なぜかオフィシャル・リリースされず、ブートレッグ=海賊版のみのリリースとなった『BATMAN & ROBIN: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の「MR. FREEZES PLANS」、または『BATMAN & ROBIN: COMPLETE MOTION PICTURE SCORE』の「POIZON IVY / MR. FREEZE'S PLANS」はそっくり!
ただし、これら以外のバージョンも存在している模様…。

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バットマンとの死闘のあと、Mr.フリーズが科学者としての誇りと良心を取り戻すシーンで流れる「ACCESS ALLOWED / TRUST ME NOW / BARB SUITS UP / IVY'S GARDEN / ICE MALICE / FINAL CONFRONTATION / A HELPING HAND」、または「STORMING THE OBSERVATORY / FINAL BATTLE / A HELPING HAND」、とにかく「A HELPING HAND」は泣けます…。

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本作にも多くのアーティストが参加していて、シングルカットされたアメリカのロックバンド「スマッシング・パンプキンズ(英語: THE SMASHING PUMPKINS)」の「THE END IS THE BEGINNING IS THE END」と、R&Bシンガーソングライター・音楽プロデューサーのR・ケリーが歌う「GOTHAM CITY」は世界中で大ヒット!

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「GOTHAM CITY」のシングルはニューヨーク旅行の時に買って、今でも聴いてる…。
思い出すわー…。
「シュマッカー版『バットマン』といえば」な名曲です…。

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「THE END IS THE BEGINNING IS THE END」のミュージックビデオはシュマッカーが手掛けています。

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公開に先駆けて「Warner Bros. Records」から1997年5月27日にリリースされた、この2曲をふくむ『BATMAN & ROBIN: MUSIC FROM AND INSPIRED BY THE "BATMAN & ROBIN" MOTION PICTURE』も、タイムレスな名盤。
ゴールデンサールによる「A BATMAN OVERTURE」も収録されています。
これもまだ持ってるなー…。

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1995年夏のアメリカが『バットマン フォーエヴァー』一色だったように、1997年の夏、アメリカは『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』一色でした。

映画の評判とは裏腹に、「ワーナー・ブラザーズ」の強引な「ムービー・マーチャンダイジング)」は大成功したわけです。

1997年6月1日に「DCコミックス(英語: DC COMICS)」から出版された、Denis O'neil脚色、Rodolfo Damaggio、Bill Sienkiewicz、Pat Garrahy画による本作のコミック版『BATMAN & ROBIN: THE OFFICIAL COMIC ADAPTATION OF THE WARNER BROS. MOTION PICTURE』は文字どおり本作がそのまま漫画になっていて、キャラクターの見た目も映画のキャストそのまま。

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今でも持っているのですが、映画では観づらかったいろいろなデザインのディテールもわかるので、前作同様パラパラと絵を見ているだけでも楽しい。
タッチも前作よりすっきりしてます。

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制作に影響をあたえる、まるで賢明ではない意見が多すぎました…。
観客やファンに長きにわたって愛されるようなすばらしい作品を作ることよりもビジネスが優先されていたことは一目瞭然…。

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George Clooney as Batman in BATMAN & ROBIN (1997)

シュマッカーはDVDの「特典映像」で謝罪しています。

- もしこれを観ている人で、そうだな…『バットマン フォーエヴァー』を愛し、その期待を持って『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』を観に行き、形はどうあれ失望させてしまったのであれば、本当に謝罪したい。そんなつもりはなかった。わたしはただみんなを楽しませたかっただけなんだ。

If there's anybody watching this, that... let's say, loved Batman Forever, and went into Batman & Robin with great anticipation, if I've disappointed them in any way, then I really want to apologize. Because it wasn't my intention. My intention was just to entertain them. -

シュマッカーは「ワーナー・ブラザーズ」の要求に応え、仕事として本作を完成させました。
監督としてそうしてしまった責任をすべて受け入れる彼を心から尊敬します。

そして、本作にはシュマッカーの「『バットマン』への愛」があふれています…。
決してすばらしい作品ではないけれど、それが本作を「最低映画」にしていない。
「制作者の愛」をかけらも感じられないひどい作品はほかにたくさんある…。

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George Clooney as Batman in BATMAN & ROBIN (1997)

制作を急がずに脚本に時間をかけ、キャスティングを慎重に行っていれば、前作のような「スマート」な作品になっていたのではないかな…。
すばらしいアイデアもたくさんあったのに、スクリーン上でうまく表現されることはなく…。
前作までのスパンどおり、もう1年必要だった…。

この「RETROSPECTIVE / REVIEW」を書くためのリサーチをはじめた2020年6月22日、監督のジョエル・シュマッカー氏が亡くなられました。

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Arnold Schwarzenegger as Mr. Freeze and Joel Shumacher on the set of BATMAN & ROBIN (1997)

上記のアリシア・シルヴァーストーンの部分にもあるように、『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』は作品の出来とはまったく関係のないことでも非難され続けています。

早くから自分が同性愛者であることを公表していたシュマッカーも、「バット・スーツ」や「ロビン・スーツ」のデザインなどに自分のセクシュアリティを投影していると非難されました。

これに対する彼の言葉がとても印象的だった…。
アメリカのウェブサイト『VULTURE』に2019年8月にポストされた記者Andrew Goldmanが行ったシュマッカーへのインタビュー「In Conversation: Joel Schumacher After five decades in Hollywood, the director has plenty of stories — but don’t expect him to kiss and tell.」からの抜粋です。

- わたしが同性愛者でなければ、誰もそのようなことは言わなかっただろうね。

If I wasn't gay, they would never say those things. -

『バットマン フォーエヴァー』制作時、シュマッカーはブルース・ウェインがバットマンとなった1年目の活躍を描いたアメリカのコミック・ライター兼アーティスト、フランク・ミラーによる『バットマン: イヤーワン(原題: BATMAN: YEAR ONE)』の実写化を切望していました。

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この作品がクリストファー・ノーラン監督による「ダーク・ナイト・トリロジー」の2005年の第1作『バットマン ビギンズ(原題: BATMAN BEGINS)』にインスピレーションをあたえていることからしても、生き方もふくめた多くの点で、時代を先取りしていたシュマッカーのセンスに周りがついていけていなかっただけなのではないかという気もします…。

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たくさんの名作を残してくださったことに感謝するとともに、ご冥福をお祈りいたします。(08/23/20)


BATMAN & ROBIN © 1997 Warner Bros. Entertainment Inc. Batman and Robin and all related elements are the property of DC Comics TM and 1998. All rights reserved.
ONE FINE DAY © 1996 Twentieth Century Fox Film Corporation.
WILD WILD WEST © 1999 Warner Bros. Entertainment Inc.
BATMAN RETURNS © 1992 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
BATMAN FOREVER © 1995 DC Comics Inc. All Rights Reserved.
THE SAINT © 1997 BY PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
FROM DUSK TILL DAWN © 1996 Miramax Film Corp. All Rights Reserved.
A TIME TO KILL © 1996 A Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
BATMAN BEGINS 2005 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BATMAN and all related characters and elements are TM and © DC Comics.

# by 2moon1 | 2020-08-23 21:00 | movie reviews | Comments(0)

BATMAN FOREVER (1995)

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CREDIT
監督 ジョエル・シュマッカー
製作 ティム・バートン、ピーター・マクレガー=スコット
脚本 リー・バチェラー、ジャネット・スコット・バチェラー、アキヴァ・ゴールズマン
ストーリー リー・バチェラー、ジャネット・スコット・バチェラー
キャラクター創造 ボブ・ケイン
出演 ヴァル・キルマー、トミー・リー・ジョーンズ、ジム・キャリー、ニコール・キッドマン、クリス・オドネル、マイケル・ガフ、パット・ヒングル
音楽 エリオット・ゴールデンサール
撮影 スティーヴン・ゴールドブラット
編集 デニス・ヴァークラー
制作会社 ポリグラム・ピクチャーズ、ティム・バートン・プロダクションズ
配給会社 ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ
公開 1995年6月9日(Mann Village Thetater) 1995年6月16日(アメリカ合衆国)
上映時間 121分

STORY
「バット・モービル」に乗り込み、ゴッサム・シティへ向かうバットマン。

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市内の銀行でトゥー・フェイスが警備員を捕え、世の不条理はすべて運によって定められていると説く。

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警備員はすべてをコインの裏表で決めるトゥー・フェイスの一投により死こそまぬがれたものの、バットマンをおびき出すエサとして金庫に閉じ込められてしまった。
警察署の総監ジェームズ・ゴードンからトゥー・フェイスと情報について聞いたバットマンは、銀行に踏み込む。

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襲撃をかける手下たちを倒し、罠とは知らずに警備員を救い出そうとしたバットマンは、警備員とともに金庫に閉じ込められてしまう。
トゥー・フェイスの乗るヘリコプターが金庫を銀行から引き出し、ゴッサム・シティの夜空へと飛び立つと同時に、金庫内に硫酸が流れ出す。
鍵を開け金庫から抜け出すと、トーチを使って金庫を引っ張る鎖の1本を焼き切り、警備員と金庫は銀行へと舞い戻る。
ヘリから伸びる鎖を伝ってバットマンが乗り込むもトゥー・フェイスは脱出し、コントロールを失ったヘリは「正義の女神」に衝突して大破。
その直前、バットマンも命からがらヘリからの脱出に成功する。

バットマン/大富豪ブルース・ウェインの所有する「ウェイン・エンタープライズ」は、業績が好調な「電子部門」に利益分配制を導入することになった。。
テレビ信号を直接人間の脳に送る3Dホログラム装置「BOX」を開発したエキセントリックな研究員エドワード・ニグマは、それをチャンスと見て研究所の視察に来たブルースに売り込みをかける。ブルースは窓の外にバット・シグナルを発見し、アシスタントとのミーティングを提案するが、ニグマは即答を求め、脳を人工的に操作するマインドコントロールは多くの問題を生み出すとして、ウェインはニグマのアイデアを受け入れなかった。

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敬愛していたブルースに理解されなかったことに幻滅したエドワードは、自殺に見せかけて部長を殺害し、警察もそれを信じる。
疑問を抱きながらも監視カメラの映像を確認したブルースがオフィスに戻ると、デスクの上になぞなぞが書かれたカードが届けられていた。

なぞなぞはブルースの屋敷にも届き、意見を仰ぐためにブルースは精神科医チェイス・メリディアンを訪ねる。
彼女に一目惚れしたブルースは、サーカスへ誘う。

「ザ・フライング・グレイソンズ」による空中ブランコのパフォーマンスが終わるとトゥー・フェイスが現れ、会場が占拠される。
バットマンが正体を明かさなければ、会場を爆破すると脅す。

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ブルースは行動を開始し、手下を倒しながら爆弾を探す。
「ザ・フライング・グレイソンズ」は爆弾を見つけるが、爆弾を屋上から投げ落として観客を救った25歳の末っ子ディックを残し、両親や兄弟はトゥー・フェイスの銃弾に倒れた。

ブルースはディックの境遇に過去の自分を重ね、彼を屋敷へと招く。

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トゥー・フェイス一味とのカーチェイスの末に勝利を収めるバットマン。

隠れ家に戻り、バットマンへの憎悪を募らせるトゥー・フェイスのもとに、全身を緑の衣装に包んだリドラーとなったニグマが現れる。バットマン打倒の協力を申し出るリドラーの運命はトゥー・フェイスのコインへと託され、2人は手を組むことになった。

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街中で強盗を繰り返し、2人は脳波装置「BOX」を大量生産するための資本を集める。
ニグマは自分の会社「ニグマ・テック」を設立し、「BOX」は多くの家庭に普及していく。
リドラーは装置を通じて人々の秘密を吸い上げる。

ブルースの屋敷でバットマンの正体を突き止めたディックは、バットモービルに乗って街に繰り出す。

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現れたバットマンに対し、ディックは家族の死を責める。

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トゥー・フェイスへの復讐に力を貸してほしいと訴えるディックだったが、復讐からは何も生まれないとブルースは断る。

ニグマの開いた「ニグマテック」のパーティに招待されたブルースは、「BOX」よって過去の記憶を読み取られてしまう。

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会場にトゥー・フェイス一味が乱入し、バットマンとなったブルースは窮地に立たされる。

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そんな彼を救い出したのは、「ザ・フライング・グレイソンズ」のコスチュームに身を包んだディックであった。

屋敷に戻ったブルースはディックに協力したアルフレッドを責めるが、アルフレッドはディックに必要なのは正しく導いてくれる師なのだと説く。

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ブルースの記憶を解析するトゥー・フェイスとリドラーは、彼こそがバットマンだと気づく。

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2人はブルースの屋敷を襲撃し、バットケイブもろとも破壊すると、そこにいたチェイス博士を連れ去る。

リドラーの残したなぞなぞからリドラーの正体を突き止めるブルースとアルフレッド。
アルフレッドが仕立てた新しいコスチューム姿のロビンとともに、バットマンはトゥー・フェイスとリドラーのの待つ「クロー・アイランド」に向かう。

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敵の迎撃により、「バット・ウィング」と「バット・ボート」を失ったバットマンとロビン。
小型ボンベを使ってクロー・アイランドに泳ぎ着いた2人だが、そこで分断されてしまう。

基地内に潜入するバットマンと、基地のそとでトゥー・フェイスと対峙するロビン。
トゥー・フェイスを崖の淵に追いつめたロビンは、彼を殺さずに救ってやる。
しかし救い出したトゥー・フェイスに銃を突きつけられてしまった。

バットマンがたどり着いた最上階には頭上から巨大な脳波収集装置が吊り下げられていた。
リドラーは捕えたチェイスとロビンの姿を見せ、バットマンにどちらか1人を救い出すとしたらどちらを選ぶかと尋ねる。

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バットマンはどちらも選ばず、逆にリドラーになぞなぞを出す。

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答えるリドラーの隙を見て、バットマンは「バットラング」でリドラーの脳波収集装置を破壊、チェイスとロビンを救い出す。

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トゥー・フェイスはそんな3人を追いつめ、コイントスで彼らの運命を決めようとするが、バットマンが一握りの同じコインを投げたことでつまずき、ロビンの見守る中地上へと落ちていった。

大量の脳波エネルギーを受け、リドラーは情報過多となって廃人同然となる。

精神病院「アーカム・アサイラム」に連れて行かれたニグマは、バットマンの正体を知っていると訴え続けていた。

チェイスがこの件を担当することになるが、ニグマはトラウマによって自分自身がバットマンであるという妄想の中で生きているのだった。
外で待っていたブルースに、チェイスは彼の秘密は守られていると告げる。

バットマンはロビンとともに、ゴッサム・シティを犯罪から守る戦いを続ける。

RETROSPECTIVE / REVIEW
上映直前に大きなシャンデリアが天井に引き込まれていったことを覚えているので、おそらく『丸の内ルーブル』で鑑賞したのではないかと思われる作品。
それまで観たことのなかった映像と「スピード感」が後々まで印象に残っていました。
間違いなく「90年代」を代表する1本です。
2020年でちょうど25周年なんですねー!
早い!

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『バットマン フォーエヴァー』は、ティム・バートン監督による1989年の『バットマン(原題: BATMAN)』からはじまる大人気シリーズの3作目となるわけですが、本作の公開の約1ヶ月前、5月19日には、同じ1980年代に生まれた『ダイ・ハード』シリーズの第3作『ダイ・ハード3(原題: DIE HARD WITH A VENGENCE)』が公開されています。

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当時両作品を観て思ったのは、どちらも「3作目から変わったなー…」ということ。

1988年の第1作『ダイ・ハード』の監督ジョン・マクティアナンも、前2作の音楽を手がけたマイケル・ケイメンも戻ってきたけれど、『ダイ・ハード3』ではこれまでのたくさんの「お約束」に変化がありました。

まず前2作のように原作となる小説は存在せず、ジョナサン・ヘンズレーの脚本『サイモン曰く(原題: SIMON SAYS)』を原作としています。

そして「高層ビル」や「空港」など、それまでは「限られた場所」を舞台にしていることが「お約束」のようになっていましたが、3作目では「ニューヨーク市全体」が舞台となり、ブルース・ウィリス演じるニューヨーク市警察のジョン・マクレーン警部補は街中を駆け回っていました。

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Bruce Willis as John McClane in DIE HARD WITH A VENGENCE (1995)

これまで孤軍奮闘を余儀なくされてきたマクレーンと行動を共にすることになるサミュエル・L・ジャクソン演じる相棒、ゼウス・カーバーがいたり、季節が前2作の冬の夜間から真夏の昼間になったことでヴォーン・モンローの歌う「レット・イット・スノウ(原題: Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!)」が「エンド・クレジット」に流れなかったり、さまざまな理由からボニー・ベデリア演じる肝っ玉母ちゃんのホリー・マクレーン、ウィリアム・アザートンが演じてきたTVレポーター、リチャード・ソーンバーグや、レジナルド・ベルジョンソンが最高だったロサンゼルス市警察のアル・パウエル巡査部長も登場しませんでした。

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Bruce Willis as John McClane and Bonnie Bedelia as Holly Gennero McClane in DIE HARD 2: DIE HARDER (1990)

ちなみに『ダイ・ハード3』は1995年の全世界興行収入ランキング圧勝の第1位、『バットマン フォーエヴァー』は同年のアメリカ国内興行収入ランキング圧勝の第1位でした。

『バットマン フォーエヴァー』では、スタッフ・キャストが丸々一新!

日本ではこのことを全面に押し出していて、アメリカ版をベースにデザインされた日本版ティーザー・ポスターには「6月17日、バットマンが新しくなる。」のキャッチコピーと、大きな「NEW」の文字が描かれていました。
「バットマン・マーク」も大きな「?」マークの中に。

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日本公開時、劇場で500円で販売されていたパンフレットでは以下のように紹介されています。
昔は安かった…。

- 新たなシリーズの幕開け

ウォォォォォォォー!
変わった!バットマンが変わった。新しくなった!とてつもなく新しくなった。そして、さらに魅力的になった!すでに世界的大ヒットを遂げたスーパー・ムービーがシリーズ半ばの絶頂期にこれほどドラスティックに変貌を遂げた例がかつてあっただろうか。
 偉大なる足跡と素晴らしい伝説をあえて一度解体し、再構築してゆく、それがヒロイック・アドベンチャー映画の”永遠の定番”の覇道を征く”バットマン”の試練、越えるべき坂、渡るべき河。今、バットマンは古いマントを脱ぎ捨て、文字通り新しいコスチュームに身を包み、エターナルなヒーローとして新たなステージにその漆黒の全貌を現す!
 まさにイメージ一新。デザイン一新。スタッフ・キャスト一新。すべてが一新!
 その象徴がバットマン・スーツ。これまでの全身タイツ型から、メタリックなサイバーパンク型、あるいは鎧兜の金剛武者型への大胆極まるフル・モデルチェンジ。バットマン・マークも、マスクもすべて新しい。また、バットモービル、バットウィング、バットボート、そしてバットサブ(潜水艦)!と再登場、新登場のバットマン・ウェポンも思いっきりブランド・ニュー!そしてシリーズ新登場となる最強の味方が加わった。コミックでは欠かすことの出来ないパートナー、その名はロビン。悪もシリーズ最強なら、正義も最強となった!

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Val Kilmer as Batman in BATMAN FOREVER (1995)

 前2作の監督ティム・バートンが制作に回ったことで、マニアック性が勝っていたバートン色をマイルドに押え、「フォーリング・ダウン」「依頼人」など職人性と抜群の語り口で定評の巨匠ジョエル・シュマッカーが監督することで、さらに幅広い観客にアピールできるスーパー・エンタテインメントとなった。SFXチームも超一級。特殊視覚効果に「スター・ウォーズ」のジョン・ダイクストラ、特殊効果スーパーヴァイザーに「ターミネーター2」「トゥルー・ライズ」のトーマス・L・フィッシャーと鉄壁の布陣だ!
 バットマン役に「トゥームストーン」の熱演が印象的だったヴァル・キルマーを抜擢し、よりアクティブなヒーロー像に磨きをかける。そしてバットマンの”裏主役”たる悪役の貌も揃った。「逃亡者」「依頼人」などのトミー・リー・ジョーンズが”トゥー・フェイス”、「マスク」のジム・キャリーが”リドラー”にふんして協力な悪のタッグを組む。そして、美しき犯罪心理学者”Dr.チェイス”に「マイ・ライフ」の美人女優二コール・キッドマン。”バットマン最大の味方”ロビンに「セント・オブ・ウーマン 夢の香り」のクリス・オドネルとシリーズ最高の顔合わせが実現!また「バッド・ガールズ」のドリュー・バリモアがセクシーな役どころで助演している。
 THE NEW。合言葉はただ一つ。新たなバットマン伝説のステージへ! -

ハイテンションな筆者による「イントロダクション」にもある合言葉、「THE NEW」。

『バットマン フォーエヴァー』が「THE NEW」になった裏には、さまざまな「大人の事情」がありました。

その後数多くの『なんちゃら リターンズ』を生み出すきっかけとなった1992年の前作『バットマン リターンズ(原題: BATMAN RETURNS)』は、1989年の第1作『バットマン』より低かったものの興行的には成功し、批評家からも好意的な評価を得ました。

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しかし、『バットマン リターンズ』は本国アメリカでは「13歳未満の鑑賞には保護者の強い同意が必要」という「PG-13」に指定されていましたが、この作品の「性的」かつ「暴力的」な描写が子供には不向きだと多くの親が非難。

これを受け、アメリカのファストフードチェーン「マクドナルド・コーポレーション(英語: McDONALD’S CORPORATION)」もテレビCMまで流していた『バットマン リターンズ』の「ハッピーセット(英語: HAPPY MEAL)」を中止しました。

日本の『マクドナルド』では公開前に『バットマン リターンズ』の「トレーシート」があってわくわくしたなー…。
よく取ってあったもんだ…。

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1992 McDonald's Japan "BATMAN RETURNS" tray liner

「ティム・バートン」全開で、すごい暗くて悪役のペンギンも汚かったけれど、「プロダクション・デザイン」を筆頭に全体的に『バットマン』よりもスタイリッシュになっていたし、「箱庭感」も嫌いじゃなかった。

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Michael Keaton as Batman in BATMAN RETURNS (1992)

どこだったか定かではないけれど、とあるレンタルビデオ店にいた男性2人組の1人がもう1人に「『バットマン リターンズ』暗すぎ!」と訴えていたのを妙に覚えています…。

まーとにかくそのような経緯があり、「ワーナー・ブラザーズ(英語: WARNER BROS.)」は続編の内容をより「ファミリー向け」にすることを決定。

ティム・バートン監督はこの時点ですでに3作目の準備を『BATMAN CONTINUES』のタイトルで進めていて、出演にはマイケル・キートン、ミシェル・ファイファー、ビリー・ディー・ウィリアムズ、ロビン・ウィリアムズ、レネ・ルッソとマーロン・ウェイアンズが打診されていました。

しかし「ワーナー・ブラザーズ」の新しい決定により、バートンは監督を降りるよううながされます。

バートンに代わる監督候補としてサム・ライミやジョン・マクティアナンの名前も挙がっていましたが、ジョエル・シュマッカーに白羽の矢が立ちます。
シュマッカーとしては友人のバートンが納得しなければ受けるつもりはありませんでしたが、バートンに異論はありませんでした。

結果として「制作」としてクレジットされたティム・バートンが「はじめてのことでよくわかっていない」みたいなことを話していたのを日本の映画情報雑誌で読んだ覚えがありますが、どれだったかなー?

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Michelle Pfeiffer as Catwoman, Michael Keaton as Batman and Tim Burton on the set of BATMAN RETURNS (1992)

2000年10月1日にイギリスのインディーズ系出版社「FABER AND FABER LIMITED」から出版されたマーク・ソールズベリー編集の『BURTON ON BURTON REVISED EDITION』の中で、バートンは「ぼくはずっと『バットマン フォーエヴァー』みたいなタイトルが大嫌いなんだ。まるでクスリか何かでラリってるやつが入れたタトゥーとか、子供がイヤーブックに書いた言葉みたいだ "I always hated those titles like Batman Forever. That sounds like a tattoo that somebody would get when they're on drugs or something. Or something some kid would write in the yearbook."」と話しています。

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もともとバットマンのファンだったシュマッカーは当初、アメリカのコミック・ライター兼アーティスト、フランク・ミラーの『バットマン: イヤーワン(原題: BATMAN: YEAR ONE)』の映画化を考えていました。
これはブルース・ウェインがバットマンとなった1年目の活躍を描いた作品で、マイケル・キートンもこのアイデアに興味を示していましたが、「プリクエル」よりも「続編」を希望した「ワーナー・ブラザーズ」がこれを却下。
結果としてキートンは「創作上の相違」を理由に降板してしまいます。

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2代目ブルース・ウェイン/バットマン探しがはじまり、候補にはイーサン・ホーク、アレックとウィリアム・ボールドウィン、ディーン・ケイン、トム・ハンクス、カート・ラッセル、ダニエル・デイ=ルイス、レイフ・ファインズ、ジョニー・デップやメル・ギブソンらが挙げられていました。
トム・ハンクスやカート・ラッセルのバットマンも観てみたかったなー…。

最終的にはシュマッカーが1993年のジョージ・P・コスマトス監督の西部劇『トゥームストーン(原題: TOMBSTONE)』でドク・ホリデイを演じたヴァル・キルマーに感銘を受け、2代目に抜擢。

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彼が怪盗サイモン・テンプラーを演じた1997年のフィリップ・ノイス監督のスパイ・スリラー『セイント(原題: THE SAINT)』は、もう何度観たか覚えていないほど大好きな作品。
ヴァル・キルマーはこの時が1番かっこよかった…。

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日本のとある映画情報雑誌が「ブルース・ウェイン/バットマンがかっこよくなった!」とイラストつきで紹介していたことがあったけれど、これは間違いない。
どれだったかなー?

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Val Kilmer as Bruce Wayne in BATMAN FOREVER (1995)

とくにキルマーのバットマンはキートンよりもラインがシャープだったし、なにより「オープニング」で初お目見えした時にもまったく違和感なかった。

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Val Kilmer as Batman in BATMAN FOREVER (1995)

前2作では悪役が中心に描かれていたのでブルース・ウェイン/バットマンは「背景」の1部のようだったけれど、本作ではしっかりと「メイン」に置かれていて、過去に取りつかれ、さらにブルース・ウェイン/バットマンという二重性に苦悩するキャラクターの心情を見事な演技で見せていました。

本作のみでしか観れなかったのが本当に残念…。
こちらについてはのちほどさらにくわしく…。

ゴッサム・シティで活躍していた地方検事ハービー・デントが、裁判中マフィアのサル・マローニに酸性化学製品を投げられて顔の左側に傷跡を負い、正気を失って生まれた二重性を持つ犯罪者トゥー・フェイス。

1989年の第1作『バットマン』でハービー・デントを演じていたのは1981年の『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(原題: STAR WARS: EPISODE V – THE EMPIRE STRIKES BACK)』と、続く1983年の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE VI – RETURN OF THE JEDI)』のランド・カルリジアンが最高だったビリー・ディー・ウィリアムズでした。

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Billy Dee Williams as Harvey Dent in BATMAN (1989)

当初はウィリアムズが再びハービー・デント/トゥー・フェイスを演じるという話もありましたが、シュマッカーは1994年のリーガル・サスペンス『ザ・クライアント 依頼人(原題: THE CLIENT)』で組んだトミー・リー・ジョーンズを起用しました。

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1993年の傑作アクション・スリラー『逃亡者(原題: THE FUGITIVE)』での、ハリソン・フォード演じる医師リチャード・キンブルを追いつめる連邦保安官補サミュエル・ジェラード役で「第66回アカデミー賞(英語: 66TH ACADEMY AWARDS)」の「最優秀助演男優賞(英語: BEST SUPPORTING ACTOR)」を受賞するなど、このころのジョーンズは絶好調でした。

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これは意外だったんだけれど、実際には『ザ・クライアント 依頼人』の時点でシュマッカーとは馬が合わなかったようで、当初ジョーンズはこの役を引き受けるつもりはなく、最終的に彼の背中を押したのは息子オースティンだったのだそう。

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Tommy Lee Jones as Two-Face in BATMAN FOREVER (1995)

本作でのジョーンズはなんとなく無理してハイテンションをとおそうとしている感じがしたし、もう1人の悪役リドラーが出てきてからはほとんど笑っているだけだったのは本当に残念…。
ただ、 薄っぺらいキャラクターに描かれていたのも事実で、ジョーンズにできることはあまりなかったかも。
リック・ベイカーの特殊メイクや衣装デザインはよかったのに…。

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Drew Barrymore as Sugar, Tommy Lee Jones as Two-Face, and Debi Mazar as Spice in BATMAN FOREVER (1995)

長年「ロビン・ウィリアムズが演じる」と伝えられてきた中で、突然名前が出てきた印象のあるエドワード・ニグマ/リドラー役のジム・キャリー。
本作公開の前年、1994年はまさに彼の年で、アメリカでは2月4日に公開された初主演作『エース・ベンチュラ(原題: ACE VENTURA: PET DETECTIVE)』を皮切りに、7月29日公開の『マスク(原題: THE MASK)』、12月16日公開の『ジム・キャリーはMr.ダマー(原題: DUMB AND DUMBER)』が立て続けに大ヒットを記録。
アメリカの劇場で『エース・ベンチュラ』を観た時からファンだったぼくには勝手に大喜びのキャステイングでした。

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ただし、本作はもう「ジム・キャリーの映画」と言っても過言ではないほど完全に共演者を食ってしまっています…。
もう「放し飼い」だったし、シーンによってはちょっとやりすぎだったかも…。

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Jim Carrey as Edward Nygma in BATMAN FOREVER (1995)

それでもやはり、顔芸、セリフのタイミング、コミカルな動きや、あるインタビューで「1ヶ月練習した」と話していたリドラーになってからのステッキさばきなど、どこをとってもすべてが「完璧」。
すごい!

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Jim Carrey as The Riddler in BATMAN FOREVER (1995)

キャリーは2007年のスリラー『ナンバー23(原題: THE NUMBER 23)』でシュマッカーと2度目のタッグを組んでいます。

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2003年3月31日にアメリカ・イリノイ州シカゴの新聞「シカゴ・サンタイムズ(英語: CHICAGO SUN-TIMES」に掲載された記事「Hey, what about that man in the glass booth?」の記者Mike Thomasのインタビューの中で、シュマッカーはマイケル・ジャクソンからこの役への熱心な売り込みがあったことを告白しています。
あぶなかった…。

ヴァル・キルマーのキャスティングにより、カップルとしての年齢が釣り合わないとして「ワーナー・ブラザーズ」は精神科医チェイス・メリディアン役のレネ・ルッソを外しました。
サンドラ・ブロック、ロビン・ライト、ジーン・トリプルホーンやリンダ・ハミルトンも候補に挙がりましたが、最終的に役はニコール・キッドマンのものとなりました。

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Nicole Kidman as Dr. Chase Meridian in BATMAN FOREVER (1995)

キッドマンは間違いなく美しいし、よい女優だけれど、本作ではセリフもひどく、まったく印象に残らない残念な結果となってしまいました…。
本来はトゥー・フェイスを調査をするキャラクターのはずなのに、仕事そっちのけでバットマンを追い回す…。
なのに、バットマンと2度キスしたかと思いきや急にブルース・ウェインに惹かれはじめたと言い出したり、まー結局同一人物ではあるけれど、終始なんだかよくわからないキャラクターでした…。

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Nicole Kidman as Dr. Chase Meridian in BATMAN FOREVER (1995)

前作の撮影稿にも名前が出ていたのに、すでにキャラクターが多すぎるという理由から登場することのなかったディック・グレイソン/ロビン。
当時配役されていたのはマーロン・ウェイアンズで、衣装合わせまで済んでいたそう。
監督がシュマッカーに代わり、彼が選んだのは1992年の『セント・オブ・ウーマン 夢の香り(原題: SCENT OF A WOMAN)』で「第50回ゴールデングローブ賞(英語: 50TH GOLDEN GLOBE AWARDS)」の「映画部門 最優秀助演男優賞(英語: BEST SUPPORTING ACTOR – MOTION PICTURE)」にノミネートされたクリス・オドネルでした。

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レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、クリスチャン・ベール、ジュード・ロウ、ユアン・マクレガー、コリー・ハイム、コリー・フェルドマン、トビー・スティーブンスやスコット・スピードマンなど、そうそうたる面々の中からこの役を勝ち取りました。

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Chris O'Donnell as Dick Grayson in BATMAN FOREVER (1995)

なんとなく「とっちゃん坊や」なイメージが強くて最初はちょっと心配だったけれど、今思えば無難なキャスティングだったかも。

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Chris O'Donnell as Robin in BATMAN FOREVER (1995)

前2作から引き続いてアルフレッド・ペニーワースを演じる「すてきなおじいちゃん」の代表マイケル・ガフはやっぱり今回も最高。

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Michael Gough as Alfred Pennyworth in BATMAN FOREVER (1995)

はじめて観た時もっとも驚いたキャスティングが、トゥー・フェイスのアシスタントの1人シュガー役のドリュー・バリモア。

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Drew Barrymore as Sugar and Debi Mazar as Spice in BATMAN FOREVER (1995)

ディック・グレイソン/ロビン役のクリス・オドネルとは本作公開の直前、アメリカで1995年5月26日に公開された恋愛映画『マッド・ラブ(原題: MAD LOVE)』でも共演しています。

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セリフは少なかったけれど、その存在感はさすがです。
ちなみにもう1人のアシスタントの名前はスパイス。

『バットマン フォーエヴァー』にはスクリーンから伝わってくることのないさまざまな「人間ドラマ」がありました。
登場人物は監督のジョエル・シュマッカー、ヴァル・キルマー、トミー・リー・ジョーンズとジム・キャリー。

本作の撮影現場でキルマーが周囲と衝突を繰り返していたという報告は当時からいくつもありましたが、シュマッカーも1997年4月発行のアメリカの映画情報誌『PREMIERE』の中で次のように話しています。

- 「ヴァル(・キルマー)はこれまで一緒に仕事をしてきた中でもっとも心理的問題を抱えていた人間だったよ。彼と仕事をするために使ったツール - つまりコミュニケーション、忍耐と理解力 - は、わたしが今5才の名づけ子に使っているものだ。ヴァルは神経質なんてもんじゃない。専門家の助けが必要だよ」

“Val is the most psychologically troubled human being I’ve ever worked with. The tools I used working with him — tools of communication, of patience and understanding — were the tools I use on my 5-year-old godson. Val is not just high-strung. I think he needs help.” -

それでも、ニコール・キッドマンと再び組んだ2011年公開のサイコスリラー『ブレイクアウト(原題: TRESPASS)』のプロモーションでアメリカの有料テレビチャンネル「IFC」の取材を受けたシュマッカーは、「キルマーのバットマン」に賛辞を送っています。

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- 「わたしにとってヴァル・キルマーは最高のバットマンだった。バット・スーツを着た彼は素晴らしかったし、キャラクターに深みを与えてくれた。彼とニコール・キッドマンの関係もとてもセクシーだったね。ジム・キャリーは、もちろん完璧なリドラーだった。わたしには偉大なトミー・リー・ジョーンズもいたし、ほかにもたくさんのすばらしい人たちが出演してくれた」

“For me, Val Kilmer was the best Batman. I thought he looked great in the costume, and I thought he brought a depth to the role. I thought the relationship between Val and Nicole Kidman was very sexy. Jim Carrey, of course, was the perfect Riddler. And then I had the great Tommy Lee Jones and a lot of other great people are in that movie.” -

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Val Kilmer as Batman in BATMAN FOREVER (1995)

ジム・キャリーはトミー・リー・ジョーンズとの撮影中のエピソードを披露しています。

以下はエンタメ情報を発信しているアメリカのサイト『CINEMABLEND』にポストされたAdam Holmesの2017年10月3日の記事「Why Tommy Lee Jones Hated Working With Jim Carrey On The Set of Batman Forever」からの抜粋です。

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Tommy Lee Jones as Two-Face and Jim Carrey as The Riddler in BATMAN FOREVER (1995)

- 『バットマン フォーエヴァー』では楽しい時間を共有しているように見えたトゥー・フェイスとリドラー。しかしスクリーンの外でのトミー・リー・ジョーンズとジム・キャリーの関係は真逆のものでした。彼と働くことを嫌っていたジョーンズについてはこれまでも隠すことなく語ってきていたキャリーですが、彼は今回、ジョーンズがその不快感をフルに見せたとあるできごとについて振り返りました。『バットマン フォーエヴァー』の撮影が続いていたある日、ジョーンズが同じレストランで食事をしているのを知ったキャリーは、ジョーンズのテーブルに挨拶に行きます。ジョーンズの顔から血の気が引いていきました。キャリーが続けます:

「彼が震えながら立ち上がったんだ --- おそらくぼくを殺す妄想をしている真っ最中かなにかだったんだろうね。そしてぼくをハグしながら、「お前が嫌いだ。本当にすきじゃない」と言ったんだ。ぼくは「何が問題なんだ?」と言いながら椅子を引いたんだけど、たぶんこれがいけなかったんだね。彼は「お前のおちゃらけっぷりは我慢ならない」と言ったんだ」

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Jim Carrey and Norm MacDonald on NORM MACDONALD LIVE, aired 3 October, 2017

トミー・リー・ジョーンズがキャリーを受け入れないことをこのような言動で表したこと自体が奇妙ですが、これが『バットマン フォーエヴァー』の中で2人が共演するもっとも大きなシーンの撮影直前だったというのはもっと奇妙な話です。キャリーがこの思い出を語ったあと、トークショー『ノーム・マクドナルド・ライブ(原題: NORM MACDONALD LIVE)』の名前にもなっている司会者は、映画のセットで注目の的となっていたキャリーに対してジョーンズが嫉妬していたのではないかと仮定しました。『バットマン フォーエヴァー』の撮影は、キャリーが『エース・ベンチュラ』と『マスク』によってコメディ・スターになった数ヶ月後に行われていたからです。しかしキャリーはジョーンズの態度に対して別の見方をしています:

「あの映画に出演することに違和感を覚えていたのかもしれないね。彼のスタイルに合う作品じゃなかった」

Two-Face and Riddler looked like they had a blast together during Batman Forever, but off-camera, Tommy Lee Jones and Jim Carrey's relationship was anything but amiable. Carrey hasn't been shy in the past about talking about how Jones hated working with him, but now the comedy star has gone into more detail on the encounter where Jones' unpleasantness was on full display. One day during Batman Forever's production, Carrey found out that Jones was eating at the same restaurant as him. He went to greet his co-star, which caused the blood in Jones' face to drain. Carrey continued:

"And he got up shaking --- he must have been in mid-'kill me' fantasy or something like that. And he went to hug me and he said, 'I hate you. I really don't like you.' And I said, 'What's the problem?' and pulled up a chair, which probably wasn't smart. And he said, 'I cannot sanction your buffoonery.'"

Tommy Lee Jones bluntly summarizing his hatred for Jim Carrey in such an archaic fashion is weird enough, but what's even stranger is that Jones expressed disapproval of Carrey's antics before they were going to shoot the biggest scene they had together in Batman Forever. After Carrey recalled this encounter during his recent appearance on Norm MacDonald Live, the show's eponymous host posited that Jones might have been jealous that Carrey was the center of attention on set. After all, Batman Forever was in principal photography months after Carrey became a comedy movie star thanks to Ace Ventura: Pet Detective and The Mask. But Carrey had a different take on Jones' grumpy demeanor, saying:

"He might have been uncomfortable doing that work, too. That's not really his style of stuff." -

キャリーが話しているように、本作はトミー・リー・ジョーンズに合う作品ではなかったと思います。
1997年に公開されたシリーズ第1作『メン・イン・ブラック(原題: MEN IN BLACK)』で証明されたように、コメディにおけるジョーンズの「おもしろさ」はフィジカルなものではなく、おかしな状況下で無表情で発するピリッとひねりの効いたセリフと沈黙によるもの。

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以下はアメリカのウェブサイト『VULTURE』に2019年8月にポストされた記者Andrew Goldmanが行ったシュマッカーへのインタビュー「In Conversation: Joel Schumacher After five decades in Hollywood, the director has plenty of stories — but don’t expect him to kiss and tell.」で、彼が撮影中の2人の関係について語っている部分を抜粋したものです。

- あなたのもう1つの才能は、つねに俳優たちに敬意を払っていることです。マスコミに対して彼らについてひどいことを言ったことはほとんどありませんね。

そんなことはないよ、『ピープル(英語: PEOPLE)』にトミー・リー・ジョーンズはくそったれだと言ったことがある。

ジョージ・クルーニーとの(1997年公開の本作の続編)『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲(原題: BATMAN & ROBIN)』の撮影がはじまる直前、1996年7月12日発行の『エンターテインメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)』の「”Batman & Robin” filming sails smoothly.」の中で、シュマッカーは『バットマン フォーエヴァー』に出演した(ヴァル・)キルマーと(トミー・リー・)ジョーンズについて批判しました: 「無駄に出演料の高い、権利ばかりを振りかざす俳優たちを守るのはうんざりなんだ。2度と彼らと仕事をすることがないよう祈ってるよ」

Another one of your talents has always been your respect for actors. You very infrequently said terrible things about them in the press.

No, I said Tommy Lee Jones was an asshole in People magazine.

In the July 12, 1996, issue of Entertainment Weekly, just before filming began on Batman & Robin with George Clooney, Schumacher criticized Kilmer and Jones, the stars of the prior Batman film: “I’m tired of defending overpaid, overprivileged actors. I pray I don’t work with them again.”

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Photo: Matt Carr

しかし、あなたは『ザ・クライアント 依頼人』と『バットマン フォーエヴァー』で彼と2度仕事をしていますね。

『ザ・クライアント 依頼人』の彼はすばらしかった。でも『バットマン フォーエヴァー』の撮影中、彼はジム・キャリーに不親切だったんだ。それと『バットマン フォーエヴァー』でヴァル(・キルマー)と仕事をするのが大変だったと言ったことはないよ。わたしは彼は狂っていたと言ったんだ。

But you hired him twice, in The Client and then Batman Forever.

He was fabulous on The Client. But he was not kind to Jim Carrey when we were making Batman Forever. And I didn’t say Val [Kilmer] was difficult to work with on Batman Forever. I said he was psychotic.

トミー・リー・ジョーンズはトゥー・フェイス、ジム・キャリーはリドラーを演じました。彼はジム(・キャリー)に何をしたのですか?

トミー(・リー・ジョーンズ)は、これは敬意を表して言うんだが、どんなシーンでも自分のものにしてしまう。ただしジム・キャリーからシーンを奪うことはできない。できるわけがないんだ。きっとそれがトミーをイライラさせたんだと思うね。

Tommy Lee Jones played Two-Face; Jim Carrey played the Riddler. What did he do to Jim?

Tommy is, and I say this with great respect, a scene stealer. Well, you can’t steal the scene from Jim Carrey. It’s impossible. And, I think it irked Tommy.

では、トミーはシーンを奪おうとしていたんですか?

そうじゃないよ。実際彼はジムにやさしくなかった。オスカー受賞者がハリウッドのスターに取るべき態度ではなかったんだ。キャストの中でも最年長で、卓越したキャリアとそれにともなう名声の持ち主らしくジムに対するべきだった。でも、セットで起こったことについては話さないでおくよ。

So did Tommy attempt to steal the scenes?

No, he wasn’t kind to Jim. He did not act towards Jim the way an Oscar winner with a star on Hollywood Boulevard, being the oldest member of the cast, and having such a distinguished career and the accolades to go with it, should have acted towards Jim. But what happens on the set stays on the set.

ヴァルはどのように「狂っていた」のですか?

それについては『エンターテインメント・ウィークリー』の記事を読むことをおすすめするよ。

『エンターテインメント・ウィークリー』の記事によると、キルマーは『D.N.A./ドクター・モローの島(原題: THE ISLAND OF DR. MOREAU)』の撮影中、クルーに自分のことを「ミスター・キルマー」と呼ぶよう強制し、毛布にくるまった格好でセットに遅れて現れ、カメラマンの顔でタバコをもみ消したり、さらに誰にも聞こえない大きさでセリフをつぶやいたりしたことがあったそうである。

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And how was Val “psychotic”?

You should look up the huge article that Entertainment Weekly did.

According to an Entertainment Weekly story, Kilmer insisted the crew address him as “Mr. Kilmer,” would arrive to set late and covered in blankets, stubbed a cigarette out on the face of a cameraman, and muttered his lines so quietly they could not be heard. -

当のヴァル・キルマーは、2020年5月6日『THE NEW YORK TIMES MAGAZINE』にポストされた Taffy Brodesser-Akner によるインタビュー「What Happened to Val Kilmer? He’s Just Starting to Figure It Out.」 で当時を振り返りっています。
以下は本作に関する部分の抜粋です。

- 『バットマン フォーエヴァー』の監督ジョエル・シュマッカーはかつてあるインタビューで、その続編に出演する予定だったキルマーを「狂っていた」と呼んでいた。ジョージ・クルーニーがキルマーの代役になった理由にはさまざまなバージョンが存在するが、キルマーはすでに契約を結んでいた『セイント』撮影とのスケジュールの折り合いがつかなかったのだと言う。 - しかしそれでも、彼に対する監督の評価がその要因の1つであったことは間違いないだろう。複数の情報筋が、キルマーが『D.N.A./ドクター・モローの島』のセットでキルマーがスタッフの1人のもみあげに火の点いたタバコを押しつけたと伝えている。(キルマーによればあれはアクシデントで、撮影監督からカメラの近くからタバコの煙を吹きかけるよう指示を受け、そのすぐそばにスタッフの1人が立っていたために当たってしまったのだそうだ。『1フィートも離れていないところで1日15時間も一緒に過ごしている同僚に火を点けようなんてやつがいると思うかい?狂ってるよ』)

Joel Schumacher called him “psychotic” in an interview after directing him in “Batman Forever,” whose sequels Kilmer was supposed to star in. There are several different versions of why George Clooney replaced him — Kilmer says it was because of scheduling difficulties with the other movie he had a contract for, “The Saint” — but one factor was surely this assessment by its director. Multiple sources have claimed that on the set of “The Island of Doctor Moreau,” Kilmer touched his lit cigarette to a crew member’s sideburn. (He claims this was an accident that resulted from the cinematographer’s asking him to blow smoke from off camera very close to where a member of the camera crew was standing. “What kind of person would singe a fellow worker he spends 15 hours a day with, often less than a foot apart? Madness.”)

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Photo: Jeff Minton

彼はバットマンだったころの思い出を振り返る。ある日、投資家で富豪のウォーレン・バフェットが孫たちを連れてセットを訪れたことがあったのだと語る。バットマンを見たがる子どもたちのために、キルマーは撮影後もバット・スーツを着たままでいたが、子どもたちが彼に話しかけてくることはなかった。マスクを着けたがったりバット・モービルに乗りたがる子どもたちを見ているうちにキルマーはバットマンなど存在していないと悟った。人びとはバットマンの中に彼ら自身を見ており、バットマンは無名の存在でなければならないのだと。「だからバットマンを演じる俳優が5人も6人もいるんだよ」と彼は話します。「バットマンは重要じゃないんだ。バットマンなんていないんだから」演じる人間に求められているのは、できるかぎりバットマンを具体化しないことなのだ。バット・スーツを着た彼はすばらしかったが、それを着ることは拷問を受けるのと同じことだったのだ。それを脱いだ時、彼はようやく自由になれたのだ。

He remembered a story from his time as Batman. One day he was filming and about to take off the Batsuit when Warren Buffett and his grandkids came by. They wanted to see Batman, so Kilmer stuck around in the suit, but they didn’t want to talk to him. They wanted to try on the mask and ride in the Batmobile. He understood then that Batman isn’t meant to be a real guy. Batman is meant to be so anonymous that the person who is looking at him can see himself in him. “That’s why it’s so easy to have five or six Batmans,” he says now. “It’s not about Batman. There is no Batman.” And so what kind of thing is that to play, a person whose job is to be as nonspecific as possible. He looked good in the Batsuit, but wearing it was torture. When he took it off, he was finally free. -

なんとなく、それぞれにまったく違う方法で仕事にアプローチするものすごい才能の持ち主たちが結集したことによって生まれた「誤解」がたくさんあったような気もする。

本作で「第68回アカデミー賞」の「撮影賞(英語: BEST CINEMATOGRAPHY)」にノミネートされた撮影監督スティーヴン・ゴールドブラットは、あふれんばかりの極彩色でスクリーンを埋め尽くしています。
はじめから終わりまで、どんだけのスポットライト使ったんだろう…。

ハリウッドの老舗業界紙『ハリウッド・リポーター(英語: THE HOLLYWOOD REPORTER)』のウェブサイトは、本作公開から20年後の2015年6月17日、Aaron Couchによる本作スタッフへのインタビュー『'Batman Forever': The Story Behind the Surprise Hit "Nobody Really Wanted"』をポストしました。
本作における照明について、ゴールドブラットは以下のように話しています。

- ゴールドブラット: 通常のスポットライトは使わなかったんだよ。あれは全部ロックンロールのものなんだ。コンサートの照明をやっている男と彼のスタッフがいてね。すべての照明が制御盤につながっていて、それぞれの照明に行くことなく色、強さ、方向や拡散ぐあいを調整することができた。ものすごく速く動くかすこともできた。従来の方法だったら数日かかっただろうね。それが映画にコミックのような見た目を与えているんだよ。 -

Goldlbatt: For the lights, I didn't use normal rigging. It was all rock 'n' roll rigging. I had a concert lighting guy and his crew. Now what that means is I could adjust the color and the intensity, the direction and the diffusion of each lamp without having to go to each lamp. They were all fed down to consoles on the stage floor. We could move very, very quickly. The conventional way could have taken days. It gave it that rock 'n' roll comic book look. -

なるほどなー…。

「オープニング」からリドリー・スコット監督の1982年のSF映画『ブレード・ランナー』のようで、この時点で前2作との違いは歴然。
「アニメの実写版」の見事なお手本とも言えそう。

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BATMAN FOREVER (1995)

シュマッカーとゴールドブラットはバットマン、トゥー・フェイス、リドラーのそれぞれに「青、黒とグレー」、「赤とマジェンタ」、「グリーン」の配色をあたえていて、これらはそのまま本作全体のイメージになっています。

あえて水平にせずに撮影する「ダッチアングル(英語: DUTCH ANGLE)」の多用や独創的なカメラのセットアップなど、「死ぬのにいい日だ “Today is a good day to die.”」の名ゼリフではじまる1990年の『フラットライナーズ(原題: FLATLINERS)』でも見られた「シュマッカー色」は本作で爆発した感じ。

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1966年1月22日から1968年3月14日にわたってアメリカのABC(AMERICAN BROADCASTING COMPANY)で全3シーズン、120話が放送されたテレビシリーズ『バットマン(原題: BATMAN)』の「キャンプ様式(大げさに誇張された振る舞いや、過度に装飾の多いけばけばしいファッション)」を見事にアップデートさせました。

「アクション・シーン」はどれも前2作を凌駕していて、とくに冒頭約10分にわたるトゥー・フェイスのヘリコプターのシーンの「グルーヴ感」はまさしく当時観客が「夏のブロックバスター映画」に求めていたもの。

大規模なミニチュアやCGIを駆使して作られた本作のVFXは、1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV – A NEW HOPE)』で「第50回アカデミー賞」の「視覚効果賞(英語: BEST VISUAL EFFECTS)」と、VFX界に革命をもたらしたモーション・コントロール・カメラ(コンピューターで動きをプログラムし、主にVFXの合成素材を撮影するために使用するカメラ)「Dykstraflex」の開発に対して「アカデミー特別業績賞(英語: ACADEMY AWARD FOR TECHNICAL ACHIEVEMENT)」を受賞し、さらに1979年の劇場版シリーズ第1作『スタートレック(原題: STAR TREK: THE MOTION PICTURE)』でも「第52回アカデミー賞」の「視覚効果賞」にノミネートされるなど、VFXの発展に大きく貢献してきたレジェンド、ジョン・ダイクストラによるもの。

以下は、イギリスのSF・ファンタジー専門誌『SFX』の2008年12月号に掲載されたダイクストラへのインタビュー「The John Dykstra Effects」から、本作に関する部分を抜粋したものです。

- バットマン フォーエヴァー

ティム・バートンが抜けた1995年の続編は、狂気を感じるほどの大げさな演技、微妙なジョークと「バット・乳首」を優先するために『バットマン リターンズ』の持っていたゴシックな雰囲気を捨て去ったものでした。しかし同時に、デジタル制作されたスーパー・ヒーローがひっそりと生み出された作品でもあったのです。

これはわたしがはじめて(フォトリアリスティックな)CGアニメーションをやった作品なんだ。バットマンがホテルから通りのマンホールに飛び降りるシーンがそれだよ。あれはとてもおもしろい体験で、その後のわたしに影響をあたえたシーンだった。(複数のフィルムを「オプティカルプリンター」という機械を使って光学的に合成する)「オプチカル合成(英語: OPTICAL COMPOSITING)」にうんざりしていて、あの作品に取りかかる前はコマーシャルの演出をしていたんだよ。映画で普通に使用されるようになるずっと以前からビデオでの(コンピューターを使って映像を合成する)「デジタル合成(英語: DIGITAL COMPOSITING)」はやっていたからね。だから『バットマン フォーエヴァー』をはじめた時、わたしにはデジタル・メディアでどれだけのことができるのかを見極めることができたんだ。
バットマンのような映画を手がけるプレッシャーは大変なものだが、つねに新しい方法を考えるのがわたしの仕事だからね。今ではすべてのヒーロー映画にデジタル・キャラクターが出ているが、最初にやったのはわたしたちだよ。

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BATMAN FOREVER (1995)

- BATMAN FOREVER

Tim Burton bailed out on this 1995 sequel which dumped the gothic atmospherics of Batman Returns in favour of frantic overacting (yes, Jim Carrey and Tommy Lee Jones, we’re looking at the pair of you), dodgy one liners and Bat-nips. It did, however, quietly introduce a digitally created superhero...

“That was the first time I had to animate something with CGI. It’s when Batman leaps out of the hotel and then jumps into a manhole in the street. That was very interesting experience and a seminal point for me. I had started to direct commercials before doing Batman. I did that because I was so frustrated with optical compositing. I was doing digital compositing on video long before it was commonplace on film. That meant that when I went to work on Batman Forever I was well positioned to see how far we could press the digital medium.
“The pressure of doing something like a Batman movie is big but this is my trade – to consistently come up with new ways of doing things. Now, of course, you see digital characters in every superhero movie, but we were there first.” -

既出の「ヘリコプター・シーン」の直後の「ウェイン・エンタープライズ」の外観などCGバレバレな部分もあったけれど、本作はダイクストラが大規模なミニチュアを使用して撮影を行っていた最後のころの作品だそうです。

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BATMAN FOREVER (1995)

本作はCGが全盛期を迎える以前の作品だけど、とにかくたくさんある「落下シーン」のスピード感がすごい。

それなのに、「第68回アカデミー賞」の「視覚効果賞」にノミネートもされていなかったのはびっくり…。

本作のあと、ダイクストラはサム・ライミ監督の2002年のシリーズ第1作『スパイダーマン(原題: SPIDER-MAN)」で「第75回アカデミー賞」の「視覚効果賞」にノミネートされ、2004年の続編『スパイダーマン2(原題: SPIDER-MAN 2)』では「第77回アカデミー賞」で2度目の「視覚効果賞」を受賞しています。

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「THE NEW」な「バット・モービル」は悪くはないと思うけれど、前2作の方がウソでも実用的に思えたし、なによりセクシーだった。

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Kim Basinger as Vicki Vale and Michael Keaton as Batman in BATMAN (1989)

1979年のシリーズ第1作『エイリアン(原題: ALIEN)』のクリーチャー・デザイナーとして知られるH・R・ギーガーにもデザイン提供を依頼したそうですが、あまりに前衛的すぎたために採用されなかった模様。
「有機的」というアイデアは最終デザインにも生かされています。

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同様にモデル・チェンジした「バット・ウィング」や「バット・ボート」も派手に登場してどんな活躍が観られるのかわくわくしたけれど、結局どちらもバットマンとロビンの移動に使用されただけで数分しか見られなかったのは悲しかった…。

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『バットマン フォーエヴァー』は、例えばなんの脈略もなく突然バットマンとトゥー・フェイス一味のカーチェイスがはじまったり、エドワード・ニグマがあっと言う間に自分の会社「ニグマ・テック」を設立しちゃったり、「「クロー・アイランド』はいったいどうなってるんだ?」など、たくさんのことが説明なく展開するにもかかわらず、全体としては成立しているように見えてしまう「奇跡の映画」。

この「奇跡」を起こしたジョエル・シュマッカーは、映画やテレビのプロダクション&コスチューム・デザイナーを経て映画監督・脚本家・プロデューサーになった人で、これまでにも1985年の「ブラット・パック(1980年代のハリウッド青春映画に出演した若手俳優の一団に付けられたあだ名。)」出演映画『セント・エルモス・ファイアー(原題: ST. ELMOS FIRE)』、リチャード・ドナー製作総指揮による1987年のティーン・ホラー・コメディ『ロストボーイ(原題: THE LOST BOYS)』や1993年のクライム・スリラー『フォーリング・ダウン(原題: FALLING DOWN)』、本作のあとにはアメリカの小説家ジョン・グリシャム原作の1996年の法廷サスペンス『評決のとき(原題: A TIME TO KILL)』、脚本も手掛けた1999年のクライム・コメディ・ドラマ『フローレス(原題: FLAWLESS)』や2002年のサスペンス『フォーン・ブース(原題: PHONE BOOTH)』など、ジャンルにとらわれないたくさんの名作を残しました。

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プロダクション&コスチューム・デザイナーだった経歴、個性的な「ビジュアル・スタイル」と柔軟性を持ち合わせたシュマッカーでなければ、アート性の強いティム・バートンが前2作で作り上げた「世界観」を壊すことなくエンターテインメント性を高めるという「離れ業」はできなかったのではないでしょうか?
「トランジション」は大成功だったように思います。

前2作のダニー・エルフマンに代わって本作の音楽を手がけたのはエリオット・ゴールデンサール。
2005年10月18日に「ワーナー・ホーム・ビデオ」からリリースされた『バットマン フォーエヴァー スペシャル・エディション(原題: BATMAN FOREVER: TWO-DISC SPECIAL EDITION)』DVDに収録されている「映像特典」の1つ「バットマン フォーエヴァーの音楽(原題: SCORING FOREVER: THE MUSIC OF BATMAN FOREVER)」によると、ゴールデンサールは脚本ができあがる前に起用されたのだそう。
話し合いの中で、シュマッカーはゴールデンサールにエルフマンの楽曲とはまったく違うオリジナルのものを要求しました。

この変更には公開当時多くの人が不満を感じたそうですが、彼の1992年のシリーズ第3作『エイリアン3(原題: ALIEN 3)』や1993年の『デモリションマン(原題: DEMOLITION MAN)』も好きだったし、ぼくは違和感なかったな。

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でも、吹っ切っちゃった感じの金管楽器や金属片を打ちつけるようなノイズなど、どれも似すぎ…。
アメリカのレーベル「MCA Records」から1992年6月9日にリリースされた『ALIEN 3: MUSIC FROM THE ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の14曲目、泣きそうになるほどに感動的な「ADAGIO」と、1995年7月11日に「Atlantic Records」からリリースされた『BATMAN FOREVER: ORIGINAL MOTION PICTURE SCORE ALBUM』の18曲目「BATTERDAMMERUNG」はそっくり!

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2曲目の「PERPETUUM MOBILE」は、60年代テレビシリーズ『バットマン』のニール・ヘフティによる主題歌「バットマンのテーマ(原題: BATMAN THEME)」のコーラスを思わせるフレーズで終わります。

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本作にはほかにも多くのアーティストが参加し、シングルカットされたアイルランドのロック・バンド「U2」の「HOLD ME, THRILL ME, KISS ME, KILL ME」と、イギリスのソウル・ミュージシャンSEALの「KISS FROM A ROSE」は世界中で大ヒット!

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「KISS FROM A ROSE」のミュージック・ビデオはシュマッカーが手掛けていて、どちらも未だにラジオから流れることがあります。

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公開に先駆けて「Atlantic Records」から1995年6月6日にリリースされた、この2曲をふくむ『BATMAN FOREVER: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE)』も、タイムレスな名盤。
「U2」のシングルもふくめてまだ全部持ってるなー…。

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バットマン、ロビン、リドラーとトゥー・フェイスが彫刻されたアメリカ「マクドナルド」の特製マググラス(フランス製!)や玩具メーカー「Kenner Products」のアクション・フィギュアなど、本作公開に合わせてあらゆる分野で関連グッズが販売され、1995年の夏、アメリカは『バットマン フォーエヴァー』一色でした。

「ワーナー・ブラザーズ」の「ムービー・マーチャンダイジング(キャラクターの商品化にとどまらず、原作、音楽から広告デザインまでふくめた多角的、総合的なイメージの商品化)」は大成功。

1995年6月1日に「DCコミックス(英語: DC COMICS)」から出版された、Denis O'neil脚色、Michal Dutkiewicz画による本作のコミック版『BATMAN FOREVER: THE OFFICIAL COMIC ADAPTATION OF THE WARNER BROS. MOTION PICTURE』は文字どおり本作がそのまま漫画になっていて、キャラクターの見た目も映画のキャストそのまま。

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今でも持っているのですが、パラパラと絵を見ているだけでも楽しい。

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当時、「劇場映画」はまだまだ「ポップ・カルチャー」の中心でした…。

今回これを書いている時に思い出したんだけれど、「ワーナー・ホーム・ビデオ」から1996年8月8日にリリースされた日本版VHSのカセットは緑でした。
文法間違ってるけど、パッケージにもやっぱり「IT'S NEW MODEL!」の文字がありました。
「日本語吹替版」でブルース・ウェイン/バットマンを吹き替えたのは竹中直人でしたね!

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大ヒットを記録したにも関わらず、大不評だった1997年の次作『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』に足を引っ張られて年を追うごとに評価が下がっている『バットマン フォーエヴァー』。
でも本作には派手さと同時にブルース・ウェインやディック・グレイソンの苦悩、つまり「暗さ」もバランスよくちりばめられていて、125分におよぶ「おもちゃのCM」のようだった『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲』よりもはるかに「ちゃんとした映画」です。

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当時のみんなが観たかったバットマンを見せてくれました。

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Val Kilmer as Batman in BATMAN FOREVER (1995)

なにより、はじめから終わりまでバットマンの長年のファンだったシュマッカーが楽しんで作っていたことが伝わってくるし、それが本作を誰が観ても楽しめる最高の娯楽作品にしています。

この「RETROSPECTIVE / REVIEW」を書くためのリサーチをはじめた2020年6月22日、監督のジョエル・シュマッカー氏が亡くなられました。

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Joel Schumacher and Jim Carrey as The Riddler on the set of BATMAN FOREVER (1995)

翌6月23日、ジム・キャリーは自身の「ツイッター」で追悼の言葉を送っています。

- ジョエル・シュマッカーが亡くなった。彼はほかの誰よりもぼくの中に多くのものを見つけてくれ、創造的、そして英雄的なすばらしい人生を送った。ぼくの友人でいてくれたことに感謝している。

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“Joel Schumacher has passed away. He saw deeper things in me than most and he lived a wonderfully creative and heroic life. I am grateful to have had him as a friend.” -

たくさんの名作を残してくださったことに感謝するとともに、ご冥福をお祈りいたします。(07/23/20)



BATMAN FOREVER © 1995 DC Comics Inc. All Rights Reserved.
DIE HARD WITH A VENGENCE © 1995 Cinergi Productions N.V., Inc. Cinergi Pictures Entertainment, Inc. and Twentieth Century Fox Film Corporation.
DIE HARD 2: DIE HARDER © 1990 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
BATMAN RETURNS © 1992 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
TOMBSTONE © 1993 Hollywood Pictures
THE SAINT © 1997 BY PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
BATMAN © 1989 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BATMAN and all related characters and elements are TM and © of DC.
THE CLIENT © 1994 Monarchy Enterprises B.V. and Warner Bros. All Rights Reserved.
THE FUGITIVE © 1993 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
ACE VENTURA: PET DETECTIVE © 1994 Morgan Creek Productions, Inc. All Rights Reserved.
THE NUMBER 23 © 2007 New Line Productions, Inc. All Rights Reserved.
SCENT OF A WOMAN © 1992 Universal City Studios, Inc. All Rights Reserved.
MAD LOVE © 1995 Touchstone Pictures
TRESPASS © 2011 V V S Films
MAN IN BLACK © 1997 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
THE ISLAND OF DR. MOREAU © 1996 New Line Productions Inc.
FLATLINERS © 1990 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
SPIDER-MAN 2 ©2004 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved. Spider-Man Character ® & ©2004 Marvel Character, Inc. All Rights Reserved.
THE LOST BOYS © 1987 Warner Bros. All Rights Reserved.
BATMAN & ROBIN © 1997 Warner Bros. Entertainment Inc. Batman and Robin and all related elements are the property of DC Comics TM and 1998. All rights reserved.

# by 2moon1 | 2020-07-23 21:00 | movie reviews | Comments(1)

V (1983) & V: THE FINAL BATTLE (1984)

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CREDIT

V (1983)

脚本 ケネス・ジョンソン
監督 ケネス・ジョンソン
出演 ジェーン・バドラー、フランク・アシュモア、ボニー・バーレット、ダイアン・キャリー、マイケル・デュレル、ロバート・イングランド、フェイ・グラント、リチャード・ハード、リチャード・ローソン、ピーター・ネルソン、デヴィッド・パッカー、ネヴァ・パターソン、アンドリュー・プライン、マーク・シンガー、ジェニー・サリヴァン、ブレア・テフキン、ペネロープ・ウィンダスト、マイケル・ライト
製作総指揮 ケネス・ジョンソン、ブランドン・タルティコフ
製作 チャック・ボウマン、パトリック・ボイリベン
音楽 ジョー・ハーネル
撮影 ジョン・マクファーソン
編集 ポール・ディクソン、アラン・C・マークス、ロバート・K・リチャード、ジャック・W・ショーエンガース
制作会社 ケネス・ジョンソン・プロダクションズ、ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン
配給会社 ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン
オリジナル・ネットワーク NBC
公開 1983年5月1日 – 5月2日
上映時間 197分

V: THE FINAL BATTLE (1984)

原案 ケネス・ジョンソン
脚本 「Part 1」ブライアン・タガート、ペギー・ゴールドマン 「Part 2」ブライアン・タガート、ダイアン・フロロフ 「Part 3」ブライアン・タガート、ファウスタス・バック
原作 「Part 1」リリアン・ウィーザー、ペギー・ゴールドマン、ファウスタス・バック、ダイアン・フロロフ、ハリー&レニー・ロングストリート 「Part 2」リリアン・ウィーザー、ダイアン・フロロフ、ペギー・ゴールドマン、ファウスタス・バック 「Part 3」リリアン・ウィーザー、ファウスタス・バック、ダイアン・フロロフ、ペギー・ゴールドマン
監督 リチャード・T・へフロン
出演 ジェーン・バドラー、マイケル・デュレル、ロバート・イングランド、フェイ・グラント、リチャード・ハード、トーマス・ヒル、マイケル・アイアンサイド、ピーター・ネルソン、デヴィッド・パッカー、ネヴァ・パターソン、アンドリュー・プライン、サンディ・シンプソン、マーク・シンガー、ブレア・テフキン、マイケル・ライト、デニース・ガリク
製作総指揮 ダニエル・H・ブラット、ロバート・シンガー
製作 パトリック・ボイリベン、ディーン・オブライエン
音楽 「Part 1」ジョセフ・コンラン、バリー・デ・ヴォーゾン 「Part 2」&「Part 3」デニス・マッカーシー テーマ&追加音楽 ジョセフ・コンラン、バリー・デ・ヴォーゾン
撮影 スチーブン・ラーナー
編集 マイケル・アンダーソン、ポール・ディクソン
制作会社 ブラット-シンガー・プロダクションズ、ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン
配給会社 ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン
オリジナル・ネットワーク NBC
公開 1984年5月6日 – 5月8日
上映時間 268分

STORY

V Part I -来訪者(ビジター)-

壮大なスケールで描く未知なるドラマが誕生した

 ある日、雲ほどもある巨大なUFOのマザー・シップが数十隻も地球に飛来。エイリアン “ビジター” たちの司令官は以外にも平和と友好を全人類に約束するが、その裏には人類絶滅の危機をはらんだ陰謀が隠されていた……。
 全米でオン・エアーされるやいなやアメリカTV史上に残る高視聴率をマークした27.487秒にも及ぶ幻のSF超大作がついにビデオでも日本上陸。
 製作総指揮・脚本・監督は「600万ドルの男」「地上最強の美女/バイオニック・ジェニー」「超人ハルク」と次々にヒットを飛ばすケネス・ジョンソン、特殊視覚効果に「トワイライト・ゾーン/超次元の体験」「ブルー・サンダー」のドリーム・クエスト・イメージーズ社、マット・ペイントを「スタートレック」「2010年」のマシュー・J・ユーリッチ、また「未知との遭遇」でマザー・シップを制作したグレッグ・ジーンがミニチュア制作を担当した超ド級大作。
 出演は「ミラクルマスター/七つの冒険」のマーク・シンガー、「アメリカンヒーロー」のフェイ・グラント、そして「エルム外の悪夢」のフレディ役を演じ一躍人気スターとなったロバート・イングランドら。なお本ビデオでは全米オン・エアー時にカットされた未公開部分が多分に収録されているのも話題。 (文・光山 昌男)

「ワーナー・ホーム・ビデオ」VHS『V Part I -来訪者(ビジター)-』パッケージより

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V Part II -抵抗(レジスタンス)-

友好的なメッセージの裏に隠された彼らの真の目的とは……

 地球に友好を求めてやって来た、一見人間の姿をしたビジターたちの驚くべき実体と本当の目的に気づき始めた少数の人々は、対ビジター攻撃組織を結成し、反撃の準備を始める。ところが、ビジターに捕まり危うくUFO母船で処刑にされかけたTVカメラマンのマイク・ドノバンの命を救ったのは、地球侵略計画に反対するビジターたちだった。彼らの助けを借りてマイクは母船の中に閉じ込められている人質をシャトルで救出しようと試みるが……。
 全米で高視聴率をマークし、日本ではその規模の大きさから放映が見送られていた幻のSF超大作「V」。そのPART IIではビジターたちの隠された正体と、その驚くべき目的が430カット以上もの驚異のSFXとともにいよいよ明らかにされる。ビジターが必要とする地球でしか得られない特殊化合物とは?母船に連れ去られた人々はいったいどうなってしまったのか?
 題名の「V」とは、地球を訪れた訪問者たち(Visitors)の “V” であり、そのえじきとなった犠牲者(Victim)の “V” であり、そして彼らを撃退し、人類の勝利(Victory)を意味する “V” なのである。 (文・光山 昌男)

「ワーナー・ホーム・ビデオ」VHS『V Part II -抵抗(レジスタンス)-』パッケージより

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V Part III -潜入(スニーク・イン)-

人類の英知の結集は恐るべき罠に打ち勝つことができるのか!?

 地球に豊富にある水資源と、人類の新鮮な生血と肉体をねらうエイリアンたち。外見は人類と寸分も違わないが特殊な生科学フォームの皮膚の下は、グロテスクなトカゲの姿だった。人類は彼らを美ビジター(来訪者)と呼び、ある者は彼らを平和の使者と信じ、ある者は彼らの陰謀を打ち砕くためにレジスタンス活動を続けるのだった。
 史上最長のSF巨編「V」第3弾では、マイクを筆頭とするレジスタンスたちが、ビジターらの本性を全世界の人々に知らせるために、ビジターの最高司令官によるTV中継をねらったゲリラ作戦を企てるが…。
 製作総指揮はダニエル・H・ブラットとロバート・シンガー、監督は『未来世界』『探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!』のリチャード・T・ヘフロン、特殊メイク&SFXは『マニトウ』『アニマル大戦争』のジーン・グリッグ、特殊視覚効果は『ガバリン』『世紀の賭け』のドリーム・クエスト・イメージーズ社。出演はマーク・シンガー、フェイ・グラントらのレギュラー陣に加え、ゲストに『ピラニア』『ハウリング』『エクスプロラーズ』のディック・ミラー、『宇宙空母ギャラクティカ』のフランク・アシュモアら。 (文・光山 昌男)

「ワーナー・ホーム・ビデオ」VHS『V Part III -潜入(スニーク・イン)-』パッケージより

V Part IV -脱出(エスケープ)-

地球人と異星人(ビジター)の子供が誕生した - それは悪魔の使いか急性異種か!?

 かつて合衆国政府の戦争屋として暗躍していたハムとクリスが仲間に加わり、マイクは捕虜となったレジスタンスの女性リーダー、ジュリーのUFO母船からの救出に成功する。しかしジュリーはビジターの科学主任ダイアナによって洗脳手術を受けていた。やがて艦隊司令官パメラの命令によりビジターたちはわずか30日間でカリフォルニアの真水を吸水し尽くす計画を実行に移すが、マイクたちはそれを阻止しようとクリスの開発した新型爆弾を片手にダムに乗り込む。またダイアナの人体実験の一環としてビジターのブライアンとの間に子供を宿してしまったロビンがついに出産。生まれたのは元気な双子だったがその内の1人は……。
 ハム役に『トップガン』『スキャナーズ』のマイケル・アイアンサイド。パメラ役に『スーパーマンI・II』『太陽の七人』のサラ・ダグラスを新メンバーに迎え、人気SF巨編『V』第4弾は、最高の盛り上がりを見せる。
 生まれてくる赤ん坊ももちろんすごいが、ダイアナの拷問幻覚映像はスペース・ゾンビや巨大トカゲモンスターなどが続々登場してSFX度満点! (文・光山 昌男)

「ワーナー・ホーム・ビデオ」VHS『V Part IV -脱出(エスケープ)-』パッケージより

V Part V -決戦(ファイナル・バトル)-

歴史をかけた想像を絶する戦いが今、始まる

 7時間以上にわたる超大作SF巨編『V』。いよいよエイリアン"ビジター"とマイク・ドノバン率いるレジスタンスとの闘いもクライマックスを迎える。人類は果たしてはるか宇宙のかなたから巨大な母船を率いてやって来た高度科学文明を持つっビジターたちを撃破できるのだろうか?それとも彼らの食料として全滅の道をたどるのだろうか?
 ビジターとロビンの間に生まれてきた双子の子供の1人はエリザベスと名付けられ特殊な超能力を使い、また人類の数十倍の早さで成長を続けた。一方トカゲの格好をしたもう1人は間もなく病に侵され死んでしまう。その死因が地球人には全く無害なウィルスであることを突き止めたジュリーは、ビジター攻撃用に細菌兵器を作り、世界中に散らばったレジスタンスに配る一方で、マーチンを中心とする地球人に友好的なビジターの協力者を救うためのワクチン開発を急ぐのだった。そしていよいよ最後の決戦の時が訪れた。世界中の同志たちの手によってビジター撃滅のためのウィルスの詰まった風船が最後の希望を乗せて一斉に宙に舞い上がった。しかし、その時ビジターの科学主任ダイアナは水爆による地球攻撃を実行に移そうとしていた……。 (文・光山 昌男)

「ワーナー・ホーム・ビデオ」VHS『V Part V -決戦(ファイナル・バトル)-』パッケージより

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RETROSPECTIVE / REVIEW
1987年11月6日に「ワーナー・ホーム・ビデオ(英語: WARNER HOME VIDEO)」からVHSがリリース・レンタルされるやいなや、日本中のレンタルビデオ店で「貸出中」が続いた超話題作。
「全5巻7時間38分07秒」というのを全面に押し出していて、価格は「(特典2本付き)」で「¥47,000」でした。
高っ!

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ずっと知らなかったんだけど、アメリカでは5パートの制作・放映は一気に行われたわけではなく、NBC(NATIONAL BROADCASTING COMPANY)の「ミニシリーズ」としてまず「Part 1」と「Part 2」が制作され、1983年5月1日、2日に放映されました。

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残りの3パートは完結編ミニシリーズ『V: THE FINAL BATTLE』としてそのあとに制作され、1年後の1984年5月6日から8日にかけて放映されています。

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1983年の「Part 1」は全米でレーティング(=全世帯数に対して何%が視聴したか)25.4%をマーク、「Part 2」はそのさらに上を行く27.0%をマークしました。
どちらもシェア(=テレビの電源を入れていた全世帯数に対するパーセンテージ)は40%。
これは8000万人以上が観た計算になるそうで、その後2年間NBCの最高視聴率番組として君臨しました。
おかげでNBCの経営状況も好転。

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アメリカでの放映から日本でVHSのリリース・レンタルが開始されるまでの4年以上のタイムラグについて、「ワーナー・ホーム・ビデオ」から本国アメリカより10年以上も早くリリースされた日本版レーザーディスクの解説には次のように書かれています。

- ところで、「V」全5巻が一応完結したのは1984年であったのだが、日本でリリースされたのは1987年。このブランク期間、我らが「V」は一体どうしていたのであろうか。実はこの「V」のリリースにあたっては、数多くの問題があったらしい。まず何よりも、そのあまりのスケールの大きさがあった。7時間以上にも及ぶ、この壮大なストーリーが日本で受け入れられるのか、配給スタッフは相当悩んだのであろう。一時は幾つかのエピソードをカットして、4時間ぐらいのショートバージョンを作る事も考えたというが、この物語においては、ほとんどすべてのエピソードが互いに関連し合い、重要な伏線として後につながって行くという構成になっているため、それは不可能であった。「あまりの長さに、見てくれる人がいないのでは…」「レンタルでもチャートの上位に上がって来るのは劇場でヒットした作品ばかり。日本では無名の"V"がヒットするのは難しいだろう」「いや、しかし今こそ、ビデオでしか楽しめないこうしたスケールの大きな作品が待ち望まれているのではないだろうか…」スタッフの間では、連日こんな講論が交わされていたという。そうして得られた結論は、「"V"の魅力は、その壮大なスケールにある。見てもらえば絶対に面白いのだし、むしろその規模の大きさを人々に伝え、とにかく内容を見てもらうように努めよう」というものであった。- 早速、数々の仕掛けが用意された。無料プロモーション・ビデオ、オリジナル・ポスター、アドベンチャー・クイズ、テレフォンサービス……。スタッフは大忙しだったが、結果として日本に上陸した「V」は大反響を呼び、問い合わせの電話は鳴りっぱなしで、「史上最大のSFビデオ」にふさわしい記録的なヒットとなったのである。 (文・鍵谷 透) -

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その日本版レーザーディスクは「長時間(10面) ¥25,000」って、VHSめちゃクソ高い!
VHSがパートごとのパッケージングだったせいなのかもしれないけど、それにしたって…。

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世界的にも有名な故生頼範義氏による既出のポスターなど、日本の配給スタッフがどれだけ力を入れていたのかがよくわかります。
赤いユニフォームを着たビジターたちが整列している真っ赤なポスターは、本国アメリカで1990年代半ばに「ワーナー・ホーム・ビデオ」から『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』としてリリースされた「Part 1」と「Part 2」の2本組VHSカバーにも採用されています。

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あのころのレンタルビデオ店はワクワクしたし、アツかった…。

そして1988年の12月2日、「Part 1」が『V パート1 ビジター 宇宙からの訪問者』のタイトルで日本テレビ系列『金曜ロードショー』にて日本初放映されました。
あまりのインパクトに翌日の学校はその話題でもちきり。
スケールやVFXなど、「アメリカのテレビってすごいなー」と何度思ったことか…。

「Part 2」は『V パート2 レジスタンス 壮絶なる抵抗』のタイトルで翌週に、続く『V: THE FINAL BATTLE』の3パートもそれぞれ『V パート3 スニーク・イン 決死の潜入』、『V パート4 エスケープ 恐怖からの脱出』、『V パート5 ファイナルバトル 最後の決戦』のタイトルで翌年頭に順次初放映されています。
もはや「一大イベント」で、最高28.7%、平均18.5%の高視聴率を記録。

当時角川書店発行のテレビ情報誌『WEEKLY ザテレビジョン』にはテレビ放送のキー局で放映される映画のVHS用ラベルが掲載されていて、『V』の時には5パートのそれらを定規とカッターでカットして、「標準」で録画した『Konica』のVHSテープ1本1本のケースに両面テープで貼り付けていました。
この時は「解説」の切り抜きもケースに入れてた…。

そのくらい夢中だったし、ぼくにとってはテレビもあのころが全盛期…。

余談ですが、同じ角川書店発行の雑誌『ビデオでーた』など、当時テレビ・ビデオ情報誌によってはVHS用のラベルシールをつけているものもありました。

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A clipping of "V: THE FINAL BATTLE PART 1" from a Japanese TV magazine, "The Television Tokyo Metropolitan Area Edition"

ストーリーは5パートできれいに完結しているのですが、アメリカでは全19話からなる週一の続編ドラマ・シリーズ『V2/ビジターの逆襲(原題: V: THE SERIES)』が、1984年10月26日から1985年3月22日にかけて放送されます。

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こちらは「ワーナー・ホーム・ビデオ」による日本でのVHSリリース・レンタル開始時にはテレビCMも頻繁に流れていました。
この時も「長時間」っていうのをものすごく押していたけれど、今考えると不思議だなー…。
価格は「全22本組 特別価格 ¥168,000」!
たけーっ!
どのへんが「特別価格」だったんだろう?

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1989年3月2日に「ワーナー・ホーム・ビデオ」から日本のみでリリースされた『V2/ビジターの逆襲』の10枚組レーザーディスクセットは、今では世界中のコレクターたちの「マストアイテム」。

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「¥48,000」って、ディスク枚数は前作の倍になったのに、値段はそこまで大きくは変わらなかったんだ…。
やっぱりVHS高すぎじゃね?

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1990年5月25日に『金曜ロードショー』で第1話と第2話が初放映され、そのあとは確か深夜に放映されていたけれど、無理やりすぎるストーリー展開についていけなくなって観るのを止めてしまった…。
実際アメリカでも視聴率の低下によってシーズン途中でキャンセルとなり、最終話は撮影されていません…。

シリーズの生みの親で、『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』の製作総指揮・脚本・監督のケネス・ジョンソンは、ABC(AMERICAN BROADCASTING COMPANY)の『600万ドルの男(原題: THE SIX MILLION DOLLAR MAN)』(1973-78)、そのスピンオフ作品『地上最強の美女/バイオニック・ジェニー(原題: THE BIONIC WOMAN)』(1976-78)、CBS(CBS BROADCASTING, INC.)の『超人ハルク(原題: THE INCREDIBLE HULK)』(1977-82)や、1988年のグラハム・ベイカー監督作品『エイリアン・ネイション(原題: ALIEN NATION)』から派生したFOX(FOX BROADCASTING COMPANY)のテレビシリーズ版(1994-1997)と5本のテレビ映画版などを立ち上げた名テレビプロデューサー・監督・脚本家。

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1988年のシリーズ第2作『ショート・サーキット2/がんばれ!ジョニー5(原題: SHORT CIRCUIT 2)』や、元NBAのスーパースター、シャキール・オニール主演による1997年のDC作品『スティール(原題: STEEL)』などの映画も手掛けますが、どちらも評判はよくなく、「映画」というフィールドはあまりジョンソンには合わなかったよう…。

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彼の語りたいストーリーがどれも「テレビ」向きなのかも…。

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地球に異星人がやって来る時点ですでに荒唐無稽な本作ですが、ストーリーには独特の「リアルな怖さ」がありました。

本作のストーリーはアメリカの作家シンクレア・ルイスによる1935年出版の反ファシズム小説『IT CAN’T HAPPEN HERE(訳: ここでは起こりえない)』にインスパイアされています。

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ジョンソンが最初に書いた脚本には異星人は登場せず、アメリカ国内で成長したファシストによる国の乗っ取りと、突然戒厳令下に置かれた国がどう変わっていくのかを描いたものでした。
当時のタイトルは『STORM WARNINGS』で、ジョンソンはそれをテレビのミニシリーズの脚本としてNBCに持ち込みます。
しかしNBCの首脳部はストーリーがアメリカの平均的な視聴者には「知的すぎる」と考えました。
視聴率の取れる作品にするためにジョンソンはファシストを異星人に置き換え、当時『スター・ウォーズ』などでブームとなっていた「SF(=Science Fiction)」へと方向転換しました。

『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』ではこの「置き換え」が細部に至るまで徹底的に行われていて、それに直面した社会を「マイノリティ」の視点から描いています。
だいぶ誇張されてはいるけれどそれがとても「リアル」で、またそれがほかの「異星人による地球侵略もの」と本作を大きく隔てています。

以下は、2001年に「ワーナー・ホーム・ビデオ」からリリースされた『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』DVD収録のケネス・ジョンソンによる「コメンタリー」をベースに構成しています。

V パートI - 来訪者(ビジター) -

- 過去 現在 未来の抵抗の戦士(レジスタンス)に敬意を持ってこの作品をささぐ
To the heroism of the Resistance Fighters --past, present, and future-- this work is respectfully dedicated

報道カメラマンのマイク・ドノバンとサウンド・エンジニアのトニー・ワー・チョン・レオネッティは、内戦下のエル・サルバドルで全体主義政府と戦うレジスタンスのリーダーへのインタビューを行っていた。

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Evan C. Kim as Tony Wah Chong Leonetti and Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

撮影を終えた2人はピックアップ・トラックで戦場からの脱出を試みるが、敵ヘリコプターに追い詰められてしまう。

マイクが近づくヘリにカメラを向けると、ヘリは不意に攻撃を止め飛び去って行く。
怪訝に思ったマイクが振り返ると、巨大な1隻の円盤型宇宙船が、上空をゆっくりと彼の方へと向かって来ていた…。 -

このテレビ映画とは思えない「オープニング」は、カリフォルニア州ロサンゼルスの北東にある遊園地『シックス・フラッグス・マジック・マウンテン(英語: SIX FLAGS MAGIC MOUNTAIN)』近くの「Indian Dunes」で2日半かけて撮影されています。

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The shooting of the opening firefight at "Indian Dunes"
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本作と同じ「ワーナー・ブラザーズ」配給による1983年のオムニバス映画『トワイライトゾーン/超次元の体験(原題: TWILIGHT ZONE: THE MOVIE)』のジョン・ランディス監督による第1話「偏見の恐怖(原題: TIME OUT)」のベトナム戦争シーンの撮影中にヘリコプターが落下し、ローターに巻き込まれて出演のヴィック・モローと子役2人が亡くなったのもこの場所でした。

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オープニングの撮影には地上に2台、ヘリに1台のカメラが設置され、別アングルから同時に撮影されています。

レジスタンスのリーダーが敵のヘリに向かって銃を撃つシーンは「Part 2」のクライマックスに重ね合わせるためのもので、「レジスタンスのリーダー対全体主義」という図式がオープニングの時点で明確に提示されています。

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Marc Singer as Mike Donovan, Evan C. Kim as Tony Wah Chong Leonetti, and Robert Vandenberg as Rebel Camp Leader in V (1983)

主人公マイク・ドノバンを演じるマーク・シンガーはとある金曜日にキャスティングされ、翌週の月曜日から撮影に参加していました。
ぼくは本作でしか観たことがなく、あとは1982年の『ミラクルマスター/七つの大冒険(原題: THE BEASTMASTER)』からはじまるファンタジー・アドベンチャー・シリーズに出演していたことぐらいしか知らないな…。
2000年のシリーズ第1作『X-メン(原題: X-MEN)』や2006年の『スーパーマン リターンズ(原題: SUPERMAN RETURNS)』を手掛けたブライアン・シンガー監督の従兄弟。
上向き加減の鼻の穴とか、ケビン・ベーコンに似てない?

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本作のスタッフの誰もが好きだったというトニー・ワー・チョン・レオネッティにはエヴァン・キム。
本作以外では、1988年のシリーズ第5作『ダーティ・ハリー5(原題: THE DEAD POOL)』で演じたクリント・イーストウッド演じる主人公ハリー・キャラハンの相棒、中国系アメリカ人のアル・クワン役が有名。
ケネス・ジョンソンが手掛けたテレビシリーズ版『エイリアン・ネイション』の1エピソードも監督しています。

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ジョンソンはこのオープニングを「ドキュメンタリー」風に見せたかったため、マザー・シップが現れてはじめてジョー・ハーネルによる音楽が流れます。

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Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

本作ではルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの「交響曲第5番」や「交響曲第7番」などが効果的に使用されていますが、このシーンの「バ バ バ バー」は「交響曲第5番」の第1楽章の有名な出だしに似ているし、偶然にもどちらも「• • • −」という「V」を示すモールス信号と同じなのだそう。
「V」はローマ数字の「5」でもあります。

予算が足りず、このシーンや世界各国に現れるマザー・シップの多くは「マット・ペイント」によるものでした。
マット・ペインティング・スーパーバイザーのマシュー・ユリシーチ以下、アーティストが多かったためにマザー・シップの形が少しずつ違いますが、これは準備期間が2週間半しかなかったため。

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V (1983)

撮影は1982年10月にはじまり、撮影日数は54日間でした。
そのうちの5日間がセットでの撮影で、残りはロサンゼルス各地で行われています。
オープニングのスケールからして驚きですが、製作費も当時のテレビ映画としては最高額の1300万ドルでした。

- マイクが目撃したのと同型の宇宙船が50以上、世界中の大都市上空に現れる。

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V (1983)

翌日、各言語によるカウントダウンが世界中に響き渡った。
カウントダウンが終わり、男性の声が、グリニッジ標準時の翌日午前1時、ニューヨーク時間で同日午後8時に、国際連合本部屋上での国連事務総長との面会を要求する。

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V (1983)

午後8時、言葉のとおりマザー・シップから1機のシャトルが現れ、国連事務総長、武装した護衛、マイクやトニーを含むマスコミが待機している屋上に着陸する。 -

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V (1983)
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シャトルの模型は3フィート(約90cm)で製作費は20,000ドル。
現在でもジョンソンのオフィスにあるそうです。

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V (1983)

- シャトル内から国連事務総長の母国語であるスウェーデン語の挨拶が流れ、続く指示に従って事務総長は単身シャトルに乗り込む。

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Wiley Harker as UN Secretary General in V (1983)

船外に戻ってきた彼は、シャトルに乗船している艦隊の最高司令官から人類に向けて直接話があると伝える。
姿を現した最高司令官は人間の要旨を持ち、自らをジョンと名乗った。
彼にとってはまぶしすぎる照明を抑えるためのサングラスをかけ、その声には奇妙な残響があった。
ジョンは深刻な環境問題に直面している自分たちの惑星を救う化合物製造のために地球の助けが必要であり、その見返りとして彼らの持つ高度な知識を人類に与えると話す。 -

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Richard Herd as John in V (1983)

シャトルが国連ビルの屋上に到着するシーンの楽曲は、イギリスの作曲家グスターヴ・ホルストによる大管弦楽の組曲『惑星(原題: THE PLANET)』の第1楽章「火星、戦争(戦い)をもたらす者(原題: MARS, THE BRINGER OF WAR)」にインスパイアされています。

ロケ地は「ロサンゼルス市警察(英語: LOS ANGELES POLICE DEPARTMENT=LAPD)」がヘリコプターの発着に利用している「C. ERWIN PIPER TECHNICAL CENTER」。
1983年のジョン・バダム監督によるアクション・スリラー『ブルーサンダー(原題: BLUE THUNDER)』にも登場します。

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美術監督チャールズ・R・デイビスがデザインしたシャトルは、シャトルのタイプによってユニットごとに自由に組み合わせられるようになっており、製作費の節約に大きく貢献しました。

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V (1983)
kennethjohnson.us

違う場所にいる主要キャラクターたちが「テレビ」を通じてこの様子を観ているというのがとても印象的です。
今観ると、当時ぼくらの情報源の最たるものがテレビだったことを改めて思い出します。

実際には、テレビ画面を通した映像にしたのは細部まで見せなくて済むからだったそうですが…。

本作が「異星人の地球への侵略」を描いていることも含め、このことは1938年10月30日にCBSのラジオ番組『マーキュリー放送劇場(原題: THE MERCURY THEATRE ON THE AIR)』で「ハロウィン特別番組」として放送されたオーソン・ウェルズの『宇宙戦争(原題: THE WAR OF THE WORLDS)』を彷彿とさせます。

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この番組は音楽中継の途中突如「臨時ニュース」として火星人の地球への侵略が報じられるというもので、ストーリーの舞台も原作のイギリスからアメリカの実在する各地に変更されていました。
多くの聴取者がこの生放送に恐怖し、火星人侵略が実際に進行中であると信じました。
番組がフィクションである旨を告げる「おことわり」も何度か流れたそうですが、そのうちの1回は放送開始直後、残り2回は終了間際であったため、聞き逃した人々がパニックに陥ったと言われています。

今なら確実にスマホだな…。

- 国連事務総長とマイク、彼の元恋人でTVキャスターのクリスチーン・ウォルシュがゲストとしてマザー・シップに招かれる。

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Marc Singer as Mike Donovan, Jenny Sullivan as Kristine Walsh, and Evan C. Kim as Tony Wah Chong Leonetti in V (1983)

マザー・シップ内で彼らはジョンの次官ダイアナと出会う。
ジョンは彼女が船団の科学部門も率いていると説明する。 -

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Jane Badler as Diana in V: THE SERIES (1984)

ダイアナ役の俳優はなかなか見つからず、ジェーン・バドラーは撮影がはじまったあとで選ばれました。
はじめてバドラーに会ったジョンソンは、彼女の美しさとまなざしの持つ怖さに即決したのだそうです。
『V』シリーズのあとには、1988年から1990年にかけて放映されていたABCの『新スパイ大作戦(原題: MISSION: IMPOSSIBLE)』の第12話よりシャノン・リード役でレギュラーになっています。
でもダイアナとしての印象が強すぎて、いつまで経っても「味方」として観れなかった…。
まさに「妖艶」という言葉がぴったり。

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Phil Morris as Grant Collier, Thaao Penghlis as Nicholas Black, Peter Graves as Jim Phelps, Jane Badler as Shannon Reed, and Antony Hamilton as Max Harte in MISSION: IMPOSSIBLE (1988)

ダイアナは大人気キャラクターとなり、既述の『V2/ビジターの逆襲』の10枚組レーザーディスクセットにも、ジェーン・バドラー来日時の記者会見の模様が「〈ダイアナ スペシャル〉」として20分収録されています。

マイクとクリスチーンがVTRで観ているマザー・シップ内のシーンは、1954年に操業を開始したカリフォルニア州ヴァン・ナイズにある『バドワイザー』の醸造所で撮影。

「ワーナー・ブラザーズ・スタジオ」の2つのサウンド・ステージにマザー・シップのドッキング・ベイのセットが作られ、クルーは「ジョンソン・スペース・センター」というジョークの看板を取り付けていました。
予算が足りなかったため、「ステージ25」に作られたのは正面から見たドッキング・ベイの右側のみ。

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Kenneth Johnson on the set of V (1983)
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全体を映したショットでは中央部分をマット・ペイントで描き、左側に右側の映像を反転したものをつなげています。

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V (1983)

あらゆるVFX技術を駆使して「世界観」を作り上げているのも当時テレビ映画としては考えられなかったスケール。

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V (1983)
kennethjohnson.us

- 異星人たちは地球への「来訪者(ビジター)」として歓迎され、人間との関係は急速に発展していった。

ティーン・エイジャーのダニエル・バーンステインはビジターによる「ビジター・フレンズ」プログラムに参加し、ビジターのヤング・リーダー、ブライアンから茶色のユニフォームと高い地位を与えられた。
ダニエルの隣人、ロビン・マックスウェルはブライアンに惹かれてゆく。
マイクの母エレノア・デュプレスはビジターの警備隊長スチーブンとの親交を深め、ビジターの化合物製造のために夫(マイクの継父)アーサーに彼がロサンゼルス近郊に所有する巨大な化学工場を提供するよう求める。
クリスチーンはビジターのスポークスマンに任命された。 -

ビジターに魅了されてゆくダニエルとその家族、人類学者ロバート・マックスウェルの一家、エレノアとアーサーの住む住宅街は、ロサンゼルス西部、サンタモニカ・マウンテン(英語: SANTA MONICA MOUNTAINS)と太平洋に挟まれた高級住宅地「パシフィック・パリセイズ(英語: PACIFIC PALISADES)」で撮影されています。

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Neva Patterson as Eleanor Dupres, Dominique Dunne as Robin Maxwell, Penelope Windust as Kathleen Maxwell, Viveka Davis as Polly Maxwell, David Packer as Daniel Bernstein, and Bonnie Bartlett as Lynn Bernstein in V (1983)

ダニエルは第二次世界大戦時のドイツの若者をモデルにしています。
当時、国の情勢に不満を抱いていた多くの若者が「ナチス(=国家社会主義ドイツ労働者党)」の「ヒトラー・ユーゲント(=ヒトラー青少年団)」に参加していました。

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Adolf Hitler poses with young men at a Hitler Youth gathering, 1935.
Universal History Archive / UIG via Getty Images

マックスウェル家の長女ロビンには、1982年のスティーヴン・スピルバーグ初プロデュース作品『ポルターガイスト(原題: POLTERGEIST)』でさまざまな怪奇現象に襲われるフリーリング家の長女ダナを演じたドミニク・ダンが配役されていましたが、本作の撮影がはじまった4週間後、逆上したボーイフレンドに絞殺されています。

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David Packer as Daniel Bernstein, Dominique Dunne as Robin Maxwell, and Marin May as Katie Maxwell on the rehearsal of V (1983)
kennethjohnson.us

『ポルターガイスト』シリーズが「呪われた映画」と称されるきっかけとなった悲惨な事件です。

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『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の「Part 2」の「エンド・クレジット」の最後には「ドミニク・ダンの美しき思い出に あなたがいなくて寂しい “In Loving Memory of DOMINIQUE DUNNE Her friends miss her”」とあります。

急遽ブレア・テフキンが代役として起用されましたが、失礼ながら終始かわいいとも綺麗ともなんとも思えないお方でした…。

マックスウェル家の次女ポリーを演じたヴィヴィカ・デイヴィスは2000年、トム・ハンクス主演のサバイバル・ドラマ『キャスト・アウェイ(原題: CAST AWAY)』に墜落する『FedEx』貨物機のパイロット、グウェン役で出演。

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Tom Hanks as Chuck Noland, Viveka Davis as Gwen, and Nick Searcy as Stan in Cast Away (2000)

ビジターのヤング・リーダー、ブライアンにはピーター・ネルソン。
1990年のシリーズ第2作『ダイ・ハード2(原題: DIE HARD 2: DIE HARDER)』ではテロリスト・グループの1人、英国旅客機を墜落させるために計器着陸装置(INSTRUMENT LANDING SYSTEM = ILS)を操作するトンプソンを演じていました。
ハンサムだけど、素顔の冷たさが印象的な俳優。

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Peter Nelson as Thompson in DIE HARD 2: DIE HARDER (1990)

ビジターたちが化合物製造に使用するアーサーの工場は、カリフォルニア州ロング・ビーチにある発電所「HAYNES POWER PLANT」。

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V (1983)

ダイアナに誘惑されてビジターのスポークスマンとなるクリスチーン・ウォルシュは、ナチスが政党を獲得した1933年、アドルフ・ヒトラーにその才能を高く評価され、ニュルンベルクでの「ナチス党大会」の模様を捉えたプロパガンダ映画『信念の勝利(英語: THE VICTORY OF FAITH)』や、国外でも高い評価を得た1934年の『意志の勝利(英語: TRIUMPH OF THE WILL)』などを監督したレニー・リーフェンシュタールがモデル。
戦後、1970年代以降には戦前の監督作品も含めて再評価の動きが強まった時期もありましたが、ナチスの協力者としてのイメージが消えることはありませんでした。

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Leni Riefenstahl

セリフのあるキャラクターだけでも56人いたそうですが、ジョンソンは本作を書く1年前に帝政ロシアの小説家レフ・トルストイの長編小説『戦争と平和(英語: WAR AND PEACE)』を読んだそうで、読んでいなければ『V』は書けなかったとのこと。
はじめはなんの関係もないように見えるキャラクターたちのつながりが、ストーリーが進むにつれてゆっくりとわかってくるような作品を書きたかったのだそうです。

- ビジターは自分たちに必要な化合物製造のために世界中の工場の改造をはじめる。

ロサンゼルスの工場に誤って派遣されたビジターのウィリアム(=ウィリー)は不慣れな英語のせいで迷子となり、ハーモニーという地球人女性に助けられる。 -

この2人の関係は、第二次世界大戦下のナチスと同じく、すべてのビジターが人類を滅ぼしに来ているわけではないということを描いています。

2人が出会うシーンではカメラがウィリーを追っています。
移動映像をスムーズに撮影するカメラ・スタビライザー(カメラ安定支持機材)の「ステディカム(英語: STEADICAM)」は当時まだ普及には至っておらず、カメラ・オペレーターのリック・F・ガンターによるハンドヘルドが際立っています。

本作の撮影監督ジョン・マクファーソンは、『600万ドルの男』、『ショート・サーキット2/がんばれ!ジョニー5』や『エイリアン・ネイション』でもジョンソンと組んでいます。
照明主任を13年務めたのちに撮影監督になった人物で、本作における光と影による表現は絶妙です。

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Diane Cary as Harmony Moore and Robert Englund as Willie in V (1983)

- ウィリーはビジターに対して不愛想な態度をとる地球人ケイレブ・テイラーの監督下に置かれた。
ある日、マイナス150℃の液体窒素で満たされたタンクに閉じ込められてしまったケイレブはウィリーによって救い出される。
ウィリーも怪我を負うが、最小限にとどまった。 -

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Jason Bernard as Caleb Taylor and Robert Englund as Willie in V (1983)

ビジターで唯一愛嬌のあるウィリーを演じたのは、ウェス・クレイヴン監督が1984年に解き放った『エルム街の悪夢(原題: NIGHTMARE ON ELM STREET)』シリーズの殺人鬼フレディ・クルーガーで有名なロバート・イングランド。
フレディ同様本作のウィリーも大変な人気で、ファンに尋ねられるのはフレディのことよりもウィリーのことの方が多いとジョンソンに話しているそうです。

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Robert Englund as Freddy Kruger in A NIGHTMARE ON ELM STREET (1984)

- こうしてビジターたちが人類の良き隣人となってゆく中、著名な人類学者アーチ・クイントンが姿を消し、彼の車の運転席側のドアの内側が奇妙に焼けていることがわかる。

マイクはビジター関連のイベントや活動をフィルムに収め、ロサンゼルス上空のマザー・シップを頻繁に訪れていた。
そんなある日、マイクはシャトルの中で鍵のようなものを見つける。
シャトルを操縦するビジターのマーチンに渡そうとするが、息子ショーンへの贈り物としてそれをポケットに忍ばせた。

ショーンの母親であるマージとマイクは、ショーンの愛が、自分よりもエキサイティングな人生を送っているマイクに向けられていることに対するマージのフラストレーションが原因で離婚していた。 -

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Joanna Kerns as Marjorie Donovan in V (1983)

のちに重要なアイテムとなる鍵も、現在はジョンソンが所有。

- 生化学者のルースがケイレブの衣服からウィリーの皮膚を採取して調べると、結果は不可解なものだった。
その発見の直後、彼女は自宅に潜んでいたビジターに連行されてしまう。

ノーベル賞受賞者で、ベルギーの「ブリュッセル生物医学協会」会員のモーリス・ジャンコフスキー博士が、ビジターに対する世界中の科学者たちの陰謀に関する声明を発表した。
彼は自分の声明に署名し、この陰謀を唱えている科学者たちのリストを提出する。
ビジターの安全を期すため、国連はビジターに対し、全科学者およびその家族の所在を届け出させることを約束する。

翌日、テレビ・スタジオでトニーはマイクに声明に署名するジャンコフスキーを写したビデオを見せる。
過去のビデオと見比べてみると、以前は右利きだったはずが、署名する際には左利きになっている。
別のノーベル賞受賞者、フランスの生化学者ドビビエ博士にも同じことが起こっていた。
疑問を抱いた2人は調査のためにロサンゼルスのマザー・シップへの潜入を決意し、改造された工場の1つに駐機中のシャトルに駆け寄る。
トニーが転んでしまい、マイクは1人でマザー・シップに向かうことになる。 -

マイクとトニーがビジターのシャトルに駆け寄るシーンでは、本作の「アクション・シーン」に何度も使われる楽曲が流れます。
本作のサントラ『ORIGINAL SOUNDTRACK RECORDING V』の1曲目「Opening Title / Donovan Looks Up」のアレンジで、アルフレッド・ヒッチコック監督の1959年の傑作スリラー『北北西に進路を取れ(原題: NORTH BY NORTHWEST)』のバーナード・ハーマンによるサントラ『ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK ALFRED HITCHCOCK’S NORTH BY NORTHWEST』 (TURNER CLASSIC MOVIES MUSIC)の1曲目「Overture」にそっくりです。

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ジョンソンと本作の音楽を手掛けたジョー・ハーネルは、おたがいの好きな曲を聴き、取り入れようと試みました。
オーケストラは60人編成。
豪華…。

2人は『600万ドルの男』、『地上最強の美女/バイオニック・ジェニー』、『超人ハルク』や『エイリアン・ネイション』でも組んでいて、息もぴったり。

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Joe Harnell and Kenneth Johnson on the set of V (1983)
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ビジターたちの使うレーザー銃も、ドイツの名銃ルガーをモデルにデザインされています。

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Jane Badler as Diana, Richard Herd as John, Peter Nelson as Brian, and Andrew Prine as Steven in V The Final Battle (1984) in V: THE FINAL BATTLE (1984)

- マザー・シップに潜入したマイクは、ビジターの乗員たちが生成した気体化合物を大気中に廃棄しているのを目撃する。
彼らは廃棄のためだけにガスをマザー・シップに運び込むのがいかに無駄であるかを話し合っていた。
その様子を撮影すると、マイクは乗員の部屋に通じるダクト・トンネルに入って行く。 -

マザー・シップ内のダクト・トンネルは、カリフォルニア州スタジオ・シティにある「マック・セネット・スタジオ(英語: MACK SENNET STUDIOS)」で撮影されました。
撮影監督ジョン・マクファーソンによる鉄格子の影が、シーンに緊張感と不気味さを与えています。

- ある鉄格子の隙間からスチーブンとダイアナの会話が聞こえてくる。
2人はダイアナの「洗脳プロセス」について話し合っていた。
話し合いの最中、スチーブンがケージから1匹の白いネズミを取り出し、丸飲みする。

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Andrew Prine as Steven in V (1983)

ダイアナも大きなモルモットで同じことをするが、彼女の顎は大きく開かれ、飲み込む際には喉が膨らんだ。 -

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Jane Badler as Diana in V (1983)

ダイアナの「モルモット丸飲みショット」がパペットなのはバレバレだけど、はじめて観た時はめちゃめちゃびっくりした…。
このショットを抜きにして本作は語れないほどに有名なショット。
トラウマになってる人、たくさんいると思う…。

- その様子をカメラに収めたマイクは別の鉄格子に移動する。
隙間から覗くと、鏡の前に立つビジターが人間の目のようなものを取り外していた。
気配に気づいて振り返ったビジターの両目は赤く、爬虫類そのものだった。
ビジターはダクト・トンネルからマイクを引っ張り出して乱暴に投げ飛ばし、先がフォーク状に分かれた舌を伸ばして弱い毒の滴を吹きかける。

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V (1983)

マイクがビジターの顔に爪を立てて皮膚を引き剥がすと、粘着性のある緑のうろこと角の生えた頭部が現れた。

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V (1983)

顔を隠しながらも殺意をむき出しにするビジターの頭をカメラで強打し、マイクはダクト・トンネルを抜けてドッキング・ベイへと戻る。
警報を鳴らして彼を探すビジターたちの間隙を縫い、マイクは別のシャトルで地上に降下する。 -

ジョンソンによると、マイクとビジターの狭い部屋での格闘は、1963年の007シリーズ第2作『ロシアより愛をこめて(原題: FROM RUSSIA WITH LOVE)』のクライマックス、ジェームズ・ボンドと犯罪組織「スペクター」の刺客グラントが繰り広げるオリエント急行での戦いにヒントを得たのだそう。

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Sean Connery as James Bond and Robert Shaw as Donald 'Red' Grant in FROM RUSSIA WITH LOVE (1963)

「モルモット丸飲みシーン」とこの「格闘シーン」のおかげで、以降ビジターの誰を見ても「中身は爬虫類なんだよなー…」と思ってしまう…。

- マイクからテープを見せられたテレビ・スタジオのプロデューサーは、それを臨時ニュースとして放送することにする。
しかし生放送が開始される寸前に通信網がビジターに奪われ、化合物を製造する世界中の工場が科学者たちによる暴力を伴った妨害を受けたというビジター最高司令官ジョンの臨時ニュースが流れる。
事態を恐れる各国政府の首脳たちはビジターに保護を求め、現在はマザー・シップで安全に過ごしているとジョンは続ける。
また治安回復のため、ビジターは各国首脳と戒厳令の発令を決定し、各国警察と「ビジター・パトロール」がその任に当たることとなった。
ジョンはさらに、市民にマイク発見の協力を呼びかける。
彼はビジターを狙って巨大化するレジスタンス運動の首謀者と見なされていた。
武装したビジターの部隊がマイク連行のためにスタジオに現れるが、テープのコピーとともにマイクはかろうじてスタジオから逃げ出す。 -

「報道機関を抑え込んで宣伝する」というのも、どこの国でもクーデターが起こった際にはまず報道機関が抑えられることから得たアイデア。

ビジターの最高司令官ジョンが流す臨時ニュースでは、1930年代から40年代にかけてのドイツのプロパガンダ映画に使われていたシンボルが再現されています。

ヒトラーは1933年2月27日の夜に起こった「ドイツ国会議事堂放火事件」の罪を「コミュニスト=共産主義者」に着せて支持を集めました。
このシーンでもジョンが同じことをしようとしていて、真実のように思えるためにたくさんの人たちが彼の言葉を信じてしまいます。

「勝利も悲劇もない平凡な生活が激変したらどうなるかをこの作品で描いてみたかった 」とジョンソンは言います。

- マックスウェル家のメキシコ人の庭師サンチョは、自分がマックスウェル家と関わりがあるためにほかのクライアントを失いつつあるとロバートの妻キャシーに告げる。 -

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Rafael Campos as Sancho Gomez in V (1983)

これも第二次世界大戦時のドイツではよく見られた光景だそう。
ナチス占領下のフランスでは、人々がユダヤ人の下で働くことは難しくなっていました。
本作の場合、科学者の家で働くことが差別を受けるきっかけとなってしまいます。

『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』ではとくに、「偏見」や「差別」をする者たち、される者たちが鮮明に描かれています。
観ていて「怒り」、そしてなにより「恐怖」がじわじわと伝わってきます。

- ダニエルの両親は新たな地位を手に入れた息子の態度が傲慢になっていくのを感じていた。
ある夜、リビング・ルームでビジター関連のリポートをするクリスチーンの番組を観ていた父親のスタンレーは、ほとんどのニュース報道がビジターに好意的であり、それをリポートしているのがクリスチーン1人であることに不満を漏らした。
ビジターから与えられた茶色のユニフォームや支給物に身を包んだダニエルは、父親から忠告されるとリビング・ルームを出て行った。
妻のリンに大声でビジターへの不満を話さないようたしなめられ、スタンレーは口をつぐむ。
2人はビジターに批判的な態度を取る自分たちが息子に密告される可能性があることを悟っていたのだ。 -

スタンレー・バーンステインは、「何も起きてない。自分には関係ない。何もしなければ大丈夫」という「事なかれ主義」の象徴として描かれています。

- 生化学者ルースの失踪後、彼女の友人で生化学研究生のジュリエット・パリッシュは数人の同僚、中小企業の経営者、そしてロサンゼルスの警察官と密かに会うようになっていた。
彼らは同様に反感を抱く同僚や、科学の分野で活躍する人間が続けて失踪していることに対してビジターを疑っていた。
小さなレジスタンス・グループの結成を提案したジュリーは、ビジターに関する情報を集め、上からの不当な扱いや迫害を経験した同じ考えを持つ人々を見つけることが重要だと話す。
さらにクリスチーン・ウォルシュと会って生まれたばかりのレジスタンスのために動いてくれるよう説得する役を買って出ると、できるかぎり多くの仲間を次の秘密会議に招くよう仲間に要求する。 -

本作のもう1人の主人公ジュリー・パリッシュを演じたフェイ・グラントは、1990年のクライム・スリラー『インターナル・アフェア/背徳の囁き(原題: INTERNAL AFFAIRS)』や、あまりよく覚えていないけれどアメリカではテレビ映画として放映された1991年のシリーズ第4作『オーメン4(原題: OMEN IV: THE AWAKENING)』にも出演しています。

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『インターナル・アフェア/背徳の囁き』ではかなりエッチな役どころでけっこうショックだった…。

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Richard Gere as Dennis Peck and Faye Grant as Penny in Internal Affairs (1990)

ジュリーはナチス占領下のベルギーのレジスタンス「The Comet Line(Le Réseau Comète)」のリーダーだったAndrée de Jonghという女性がモデル。
「The Comet Line」を率い、連合軍の兵士や、ヨーロッパの各地で撃墜された生き残りの航空隊員たちをナチス占領下のベルギーから脱出させました。
1941年8月から1942年12月までの間、80人以上の航空隊員をふくむ118人をベルギーから中立スペインまで護衛。
1943年1月にドイツ軍に捕らえられ、「The Comet Line」のリーダーではないかと疑われていた父親を守るために自分がリーダーであることを認めたにも関わらず、ドイツ軍は彼女のような娘がリーダーであるわけがないと最後まで彼女を信じませんでした。
収容所にも送られるも戦争を生き延び、2007年10月13日に90歳で亡くなられています。

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Andrée de Jongh

フェイ・グラントは後日彼女と偶然出会ったのだそうです。

ジュリーはジョンソンの娘の名前、マイクは次男から取られました。
ジョンソンはほかの登場人物にも自身の好きな人たちの名前をつけていて、逆に悪役には嫌いな人物の名眼をつけています。

- ロバート・マックスウェルは人類学者である自分もビジターに連行される可能性があることを知り、家族を集めてロサンゼルス郊外にあるキャビンに向かう。
ビジターと地元警察による検問の列に並んでいると、1人の男が車から飛び出し彼らの方へ逃げて来る。

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V (1983)

ヘルメットとバイザーを着けたビジター男に向かってがパルス・ライフルを発砲し、気絶させる。
男は2人の警察官に逮捕された。
そのうちの1人はビジターの取った行動に疑問を持つが、もう1人は法律は変わったのだと反論する。
自分たちの身の危険を感じたロバートは、車の向きを変えロサンゼルスに戻る。 -

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Michael Swan as Officer Bob Briggs, Penelope Windust as Kathleen Maxwell, Michael Durrell as Robert Maxwell, Viveka Davis as Polly Maxwell, Marin May as Katie Maxwell, and Michael Bond as Officer Randy Talbot in V (1983)

第二次世界大戦前のドイツやイタリアでも、自分が国に迫害される民族、例えばユダヤ人だった場合には苦境に陥り、突然にして命の危険にさらされることがあり、マックスウェル一家の置かれる状況はそれを再現しています。

- アブラハム・バーンステインは息子スタンレーのプール・ハウスをマックスウェル一家の避難所として提供する。
スタンレーは父親の行動に反対するが、アブラハムはヨーロッパがナチスの統治下にあった時、生後8ヶ月だったスタンレーを連れた自分たちがどのようにしてポーランドから脱出したのかを話す。
アブラハムはまた、心臓マヒで死んだとされてきたスタンレーの母親の死の真相を話して聞かせる。
彼女はナチの収容所のガス室に送られていたのだ。
彼はマックスウェル一家をかくまうことを強く主張し、最終的にスタンレーもそれに同意する。

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George Morfogen as Stanley Bernstein and Leonardo Cimino as Abraham Bernstein in V (1983)

ジュリーはクリスチーンと会うために彼女のアパートを訪れるが、そこでアパートの非常用はしごを登っているマイクを見つける。
マイクはクリスチーンにマザー・シップへ潜入したこととビジターの真の姿について話すが、彼らと多くの時間を過ごしているクリスチーンは彼の話を信じることができない。

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Jenny Sullivan as Kristine Walsh and Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

一方、外のジュリーはビジターのシャトルがアパートの屋上に着陸するのを目撃する。
自分を確保しようとするビジターたちに反撃し、マイクは脱出する。
ジュリーもその場を立ち去った。 -

レーザー光線のVFXは1発につき1,000ドルかかったのだとか…。
「コメンタリー」の中で、発射されるたびにジョンソンが金額を数えているシーンがあります。

- 雨の夜、帰宅したダニエルはリビング・ルームにいるロビンを見つける。
彼女は窮屈で居心地の悪いプール・ハウスから抜け出し、自分の家族がそこに隠れていることをダニエルに話してしまう。
その人生のほとんどの時間をロビンへの憧れに費やしてきたダニエルは、ロビンが自分ではなくブライアンに惹かれていることに激しい嫉妬心を燃やす。

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David Packer as Daniel Bernstein and Blair Tefkin as Robin Maxwell in V (1983)

ジュリーはケイレブ・テイラーの長男で同僚のベンと仲間の警官とともに、製薬会社の出荷場から盗んだ研究機材をトラックに積み込んでいた。
ビジターに発見され、ベンは自らおとりとなって駐車場の入口ランプを駆け下りるが、その背中をビジターのレーザー銃が撃ち抜く。
一度は逃げ切ったジュリーだったが、彼を救うためにVWビートルで集荷場に戻る。
倒れたベンを見つけ、抱え上げようとするが、自分も腰を撃たれてしまう。
それでもなんとかベンを車に乗せ、出荷場を去った。

2人はベンの弟で闇取引などを行っているギャング・メンバーのエライアスと合流する。
息を引き取る直前、ベンはエライアスにジュリーやレジスタンスの仲間と一緒に戦いを続けるよう告げる。 -

ベン・テイラー役のリチャード・ローソンは、前出の1982年のSFXホラー『ポルターガイスト』で、フリーリング家を襲う怪奇現象の調査を行う3人の超心理学者の1人、ライアンを好演していました。

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Martin Casella as Marty, Beatrice Straight as Dr. Lesh, and Richard Lawson as Ryan in POLTERGEIST (1982)

- アブラハムと友人のルビー・エンゲルスは、ビジターが人類の友人であることを訴えるプロパガンダ・ポスターに真っ赤なスプレーでいたずら書きする子どもたちに出会う。
アブラハムは彼らの行動を止め、ポスターに大きな「V」の文字を吹きつけさせると、それが「Victory=勝利」の略であることを教え、友達にも同じことをするよう伝えろと告げるのだった。

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Leonardo Cimino as Abraham Bernstein in V (1983)

戦いは続く… -

「エンド・クレジット」に流れるのはサントラの9曲目「”Go Tell Your Friends”」で、ベートーヴェンの「交響曲第5番」第4楽章をアレンジしたもの。

ジョンソンはNBCの当時の宣伝広報部長スティーブ・ソマーに「ナチの宣伝ポスターを見たことは?兵士が子供を肩車し友好を装うやつだ。そういうポスターを全国に貼り出そう。放送開始の3週間前から地下鉄や広告版に貼ろう」と提案しました。
放映2週間前には子どもたちにスプレー缶を持たせて街へ出し、スプレーでポスターに「V」と書かせます。
1週間前にはソマーのアイデアで「5月1日日曜日NBCで戦いが始まる(英語: THE BATTLE BEGINS SUNDAY MAY 1 ON NBC)」という小見出しがつきました。

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The Ad Campaign of V (1983)
kennethjohnson.us

これが口コミで広まり、高視聴率につながったのです。

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V パートII - 抵抗(レジスタンス) -

- 過去 現在 未来の抵抗の戦士(レジスタンス)に敬意を持ってこの作品をささぐ
To the heroism of the Resistance Fighters --past, present, and future-- this work is respectfully dedicated

ビジターの追跡から逃れるため、報道カメラマンのマイク・ドノバンは元妻マージと息子ショーンの住むロサンゼルス郊外の町へと車を走らせる。

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Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

すべてがひっくり返された町を行くマイクの前に唯一の生存者であるショーンの親友ジョッシュ・ブルックスが現れ、何が起こったのかを話す。

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Marc Singer as Mike Donovan and Tommy Petersen as Josh Brooks in V (1983)

多くの住民が近隣の戒厳令に抗議し、近くに止められていたビジターのシャトルに爆弾を投げ込んで高官の1人を殺害したのだ。
そこへ武装したビジター軍が現れ、住民たちを囚人として連れ去った。
マージとショーン、ジョッシュの両親もその中に入っていた。
家に向かい、マイクはジョッシュに以前ショーンに渡した鍵の場所を尋ねる。
ジョッシュがそれを見つけ、マイクは恐怖に怯える彼を連れて家を出た。 -

マージとショーンの身に起こったことに葛藤しながらもジョッシュを慰めるこのシーンのマーク・シンガーの演技はほんとうにすばらしい。

- バーンステイン家の夕食の席で、1人息子のダニエルはロビン・マックスウェルに求婚するつもりであることを家族に伝える。
ロビンが受け入れなければビジターにマックスウェル一家の居場所をばらせばよいと傲慢な態度で話すダニエルに、祖父のアブラハムはダニエルが注いだグラスのシャンパンを浴びせる。 -

ダニエルを演じたデビッド・パッカーにはシャンパンをかけることは知らされておらず、彼のリアクションは本物。

- ロビンを無理やり連れて行こうとしたダニエルは父親のスタンリーに阻止され、マックスウェル一家の居場所をブライアンに密告する。 -

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David Packer as Daniel Bernstein in V (1983)

このシーンのリハーサルでは、デビッド・パッカーはレーザー銃の代わりにバナナを使っていました。

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David Packer as Daniel Bernstein at the rehearsal of V (1983)
kennethjohnson.us

- ビジターの一隊が連行のためにバーンステイン家に押しかけるが、そこにいたのはアブラハムだけだった。

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Leonardo Cimino as Abraham Bernstein in V (1983)

アブラハムとサンチョの助けを借り、人類学者ロバート・マックスウェルの一家はビジターの目の光るロサンゼルスからの脱出に成功する。
以前検問所にいた彼らに同情的な警官も手を差し伸べ、一家は検問も通り抜けることができた。

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Blair Tefkin as Robin Maxwell, Viveka Davis as Polly Maxwell, Marin May as Katie Maxwell, Michael Durrell as Robert Maxwell, Penelope Windust as Kathleen Maxwell, and Rafael Campos as Sancho Gomez in V (1983)

ビジターに殺された兄、ベン・テイラーの意思を引き継いだギャング・メンバーのエライアスは、ジュリーたちを隠れ家へと連れて行く。
そこはロサンゼルスの使われなくなった駅で、近くの通りからもうまく遮られている場所だった。
エライアスはジュリーのグループと同じようにビジターを嫌悪している地元のギャングにも手を回し、ジュリーたちが彼らの縄張りに滞在できるよう取り計らう。 -

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Michael Wright as Elias Taylor in V (1983)

レジスタンス本部の外観は、現在では「ロサンゼルス歴史文化記念物(英語: LOS ANGELES HISTORIC-CULTURAL MONUMENT)に指定されている「Belmont Tunnel / Tolca Substation and Yard」。
1925年12月1日から1955年6月19日まで、ロサンゼルス・ダウンタウンからウェストレイク地区間約1.5kmを走っていた「Pacific Electric Railway Company」の地下鉄の駅でした。
1950年代南カリフォルニア全土に巨大なフリーウェイ・システムが建造されて「マイカー文化」が浸透したために廃線に追い込まれてしまいましたが、自動車業界主導の圧力団体に爆破されたという噂も尽きません。
その後、新しいビルやホテル建造のためにトンネルの約半分が埋められました。

アーノルド・シュワルツェネッガー主演の1987年のディストピア・アクション『バトルランナー(原題: THE RUNNING MAN)』や、1990年のSFアクションシリーズ第2作『プレデター2(原題: PREDATOR 2)』にも登場します。

内部は古い銀行で撮影。

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- ダニエルはマックスウェル一家をかくまった自分の家族への恩赦を求めていたが、ビジターのヤング・リーダー、ブライアンにだまされ、両親と祖父は連行されてしまった。

マイクの母エレノア・デュプレスの密告により、マックスウェル一家を山間部にあるレジスタンスのキャンプに送った帰り道、サンチョも捕まってしまう。

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Neva Patterson as Eleanor Dupres in V (1983)

広い家の中で1人落ち込むダニエルのもとにブライアンが現れる。
彼はダニエルを自分の部隊の副隊長にすると伝え、さらにダニエルの忠誠心に対するビジターの次官ダイアナからの感謝の気持ちとして大きな指輪を渡す。

戻って来た両親はあからさまにダニエルを軽蔑する。
拷問によって2人は怪我を負っていた。

夜、マイクとサウンド・エンジニアの相棒トニー・ワー・チョン・レオネッティはビジターに使用されている化学工場に潜入する。
死角に身を潜めた2人はサンチョ、スタンレーとリン・バーンステインを含む囚人のグループがビジターのシャトルに乗せられるのを目撃する。
2人は発見され、トニーがビジターの1人に毒を吹きかけられて無力化され、マイクも胸を撃たれて気絶してしまう。 -

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Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

このシーンでは第二次大戦中に貨車で運ばれた捕虜たちを再現しています。
音楽は「讃美歌」で、ジョンソン自身が歌詞を書き、聖職者団体のジョン・タガートがそれをラテン語に翻訳しました。
意味は「子供たちを奪わないで どうか傷つけないで 苦しめないで」というもの。

本作のスタント・コーディネーターはデヴィッド・エリス。
本作のあとメジャー作品の第二班監督を経て、2003年のシリーズ第2作『デッドコースター(原題: FINAL DESTINATION 2)』や2004年のアクション・スリラー『セルラー(原題: CELLULAR)』などを監督しました。
監督としてもすばらしい「眼」を持たれていた方ですが、残念ながら2013年1月7日に急死されています。

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- ロバート、ロビンやアブラハムの友人ルビー・エルゲンスもジュリーたちのグループに合流する。

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Camila Ashland as Ruby Engels in V (1983)

マザー・シップでは、ダイアナが情報を得るためにマイクを拷問にかけようとする。

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Jane Badler as Diana in V (1983)

そこにスタンレーが連れてこられ、恐ろしい見た目の椅子に縛り付けられる。

彼女は高官のマーチンにマイクを殺させるつもりだったが、マーチンはマイクを「洗脳」するようダイアナを挑発する。

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Frank Ashmore as Martin in V (1983)

挑発に乗ったダイアナは、マイクを「保存室」へ連れて行かせる。 -

シャトルやマザー・シップ内のドアなど、美術監督のチャールズ・R・デイビスは一貫して爬虫類のイメージを取り入れ、作品全体に共通するトーンを作り上げています。

- 保存室に向かう途中、マーチンはマイクにマザー・シップから脱出させると告げる。
マーチンによれば、少数ではあるが、ビジターの中にはリーダーの計画に反対する者がいるのだという。
怒りに燃えるマイクは、ビジターの真の計画が何なのか、ショーンはどうなったのかを教えるようマーチンに迫る。
しかしマーチンがすべてを説明するだけの時間はなかった。

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Marc Singer as Mike Donovan and Frank Ashmore as Martin in V (1983)

その後マイクは美しいブロンドの髪を持つビジター、バーバラと出会う。
彼女は自分のユニフォームを脱いでマイクに渡し、ドッキング・ベイに行って次のシャトルで地上に戻るよう伝える。
バーバラはまた、自分がマイクに圧倒されたと見せかけるためにレーザー銃を使って彼女を撃つよう指示した。

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Jenny Neumann as Barbara in V (1983)

マイクはバーバラを撃ち、命に別条がないことを確認すると、地上に向かう次のシャトルに乗り込む。

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Marc Singer as Mike Donovan and Jenny Neumann as Barbara in V (1983)

隣り合わせになったビジター兵士に疑われ、シャトルの着陸と同時に命を狙われるが、走って来たトラックを奪って逃げ出すことができた。 -

マーチンやバーバラは、「良いナチス」と「悪いナチス」が存在したことを描きたかったために生まれたキャラクター。

- ビジターのユニフォームを着たままのマイクは、ギャングのコネを使ってレジスタンスのための食料や必需品を集めていたエライアスに捕まる。
レジスタンス本部に連れて行かれ、自分がビジターでもスパイでもないことを証明すると、知っていることを伝えた。
ビジターは凶悪なトカゲのような存在であり、人類を征服する隠された計画を持っていると。
ビジターの真の姿のスケッチが描かれ、ロバートはビジターが人間同様に支配欲の強い種だと理論づける。
彼らはまた、明るい光が武器になること、世界中で抵抗を続ける人間と接触する必要があることを話し合う。 -

ジュリーがリーダーシップに目覚めるとても重要なシーンで、フェイ・グラントの繊細な演技がすばらしいです。

- 娘のロビンを探しに外に出たロバートはビジター・キャプテンのジェイクに見つかり、ロビンがマザー・シップに捕らえられていると教えられる。
同情的な態度を見せるジェイクだったが、ロビンを救う見返りとしてレジスタンスのキャンプの所在地を明かすようロバートに迫る。

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Stack Pierce as Visitor Captain Jake and Michael Durrell as Robert Maxwell in V (1983)

逡巡するロバートに対しジェイクは、ロバートがキャンプに残してきた妻のキャシーと娘2人を救い出せるよう、キャンプへの攻撃を翌日の午後4時まで遅らせることを約束する。
ロバートは所在地を教えた。

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Michael Durrell as Robert Maxwell in V (1983)

マザー・シップに監禁されているロビンのもとにブライアンが現れ、彼女を誘惑する。
ダイアナの非人道的な実験の一環としてロビンを妊娠させるためである。

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Jane Badler as Diana, Blair Tefkin as Robin Maxwell, and Peter Nelson as Brian in V (1983)

ジュリーたちはロサンゼルスの武器庫襲撃、そして集めた科学機器や武器のすべてをキャンプから本部へ移動する計画を立てる。

翌日、ビジターの目的を探るためにマイクは再びマザー・シップに潜入。
1度は息子に与えた鍵を使って、新鮮な水で満たされた巨大タンクの並ぶ貯蔵庫を発見する。 -

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Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

貯蔵庫のシーンも既述の『バドワイザー』醸造所で撮影され、マシュー・ユリシーチとミッシェル・モーエンによるマット・ペインティングが使用されました。

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V (1983)

- レジスタンスが武装庫への襲撃を開始した。
盗んだ銃器と光を反射させるための鏡を使い、できるだけ多くの武器を盗むとバンへ積み込んだ。
しかし彼らは通常の弾丸がビジターの皮膚と防具を貫通しないことを発見する。
苦戦を強いられ、仲間の数名が命を落とすが、大量の武器の強奪に成功した。

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V (1983)

ロバートはキャンプにいるキャシーや娘たち、そして仲間を救うためにジープに飛び乗る。

マザー・シップのマイクはマーチンを見つけ、息子の居場所とビジターたちが地球にやって来た真の目的を尋ねる。
マーチンは化合物製造は偽装で、実際には自分たちの生存ために地球の豊富な水を奪いに来たことを告白する。
生命を維持するための核融合炉や原子爆弾に水が必要なのだと。
マイクは事情がわかれば人類は水を共有するだろうと話すが、ビジターの総督はすべてを欲しがっているのだとマーチンは反論する。
だがビジターが地球の水をすべて奪うには一世代かかる。
それが果たされれば場合地球は住める環境ではなくなるが、それ以前に人間はビジターによって滅ぼされてしまうだろう。

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Marc Singer as Mike Donovan and Frank Ashmore as Martin in V (1983)

マーチンは、ダイアナが開発したプロセスによって仮死状態にされた数千人の人間が収容されている巨大な空間へマイクを連れて行く。
生きた食料源を好むビジターは、人間を仮死状態で保存していた。
マーチンによれば、中にはビジターが以前の戦争で負けた別の異星人との闘いのための部隊として訓練される人間もいるという。 -

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Marc Singer as Mike Donovan and Frank Ashmore as Martin in V (1983)

音楽のジョー・ハーネルは、ビジターの目的は水なので、映像に水を何度も出すべきだとジョンソンに提案しました。
モチーフとして本作には水がさまざまな形で登場しています。

- マイクはなぜそのような者が総督になれたのかを尋ねる。
総督にはカリスマと信望もあり、同様の独裁者が地球にも存在するとマーチンは話す。
彼は次にマイクを別の保存室へ連れて行き、トニーがどうなったのかを見せる。
ダイアナの調査手術によって、トニーは殺されていた。
マイクは復讐を誓う。
2人はそこで、尋問用の椅子に縛り付けられていたサンチョを発見する。

マイクはサンチョをドッキング・ベイに連れて行き、マーチンがロビンを連れてくる。
マイクは2人を乗せたシャトルをスタートさせ、マザー・シップを飛び出した。

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V (1983)

以前マイクを疑ったビジター兵士の操るシャトルと、さらにもう1機が彼らを追う。

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Rafael Campos as Sancho Gomez in V (1983)

マイクが敵の攻撃をかわす中、サンチョは後部に取り付けられたキャノンで後続の敵シャトル1機を撃墜する。

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V (1983)

マイクは眼下を走るトラックの前方にあるトンネルへと機を進め、すぐ後ろを追っていたビジター兵士のシャトルは山に激突する。 -

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V (1983)

視線を泳がせていまいち何をやっているのかわかっていないようなマイクと、ドッグファイトの最中、シャトルが宙返りしている時の物理学を覆すロビンの髪の毛はご愛敬…。

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Blair Tefkin as Robin Maxwell and Marc Singer as Mike Donovan in V (1983)

- レジスタンスのキャンプについて聞いていたダイアナも、シャトルの小隊を率いてキャンプを襲う。

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V (1983)

だまされていたことを悟ったロバートが到着するころにはキャンプは猛攻撃を受けていた。 -

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Stack Pierce as Visitor Captain Jake in V (1983)

ロバートが猛スピードで走らせるジープを追い越して飛び去る5機のシャトルのショットは本作でもっとも高価なVFXで、75,000ドルかかっています。

- 仲間とともにキャンプに着いたジュリーは、仲間を助けながらダイアナの乗るシャトルに拳銃を向ける。 -

ビジターの攻撃によって倒れてゆく仲間たちを映すシーンでは再び「讃美歌」が使われています。

シャトルに向けて銃を向けるジュリーと、オープニングでエルサルバドルのリーダーが政府軍のヘリに向かって銃を構えていたシーンが重なります。

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Faye Grant as Juliet Parrish in V (1983)

- マイクたちのシャトルがジェイクの操縦するダイアナのシャトルを攻撃し、爆発によって顔の偽装が解かれたダイアナは攻撃の中止を命じる。

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Jane Badler as Diana in V (1983)

レジスタンスのメンバー数名が倒れ、ケガを負ったロバートの妻キャシーも息を引き取るが、2人の娘は無事だった。

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Michael Durrell as Robert Maxwell in V (1983)

シャトルを降りたロビンも母親の死を知って取り乱すが、母親代わりとなって2人の妹を抱きしめる。
マイクもジュリーやレジスタンスの仲間たちと再会する。

レジスタンス本部に戻ったロビンは自分の妊娠を悟る。

バーンステイン家にロバートが現れ、スタンレーとリンをレジスタンスに誘う。
猛反対するリンに、スタンレーは父親アブラハムがビジターに連れ去られる前に残した手紙を見せる。
手紙で彼は、バーンステインの者は希望を持って戦うべきであると告げていた。

ジュリーとエライアスはとある天文台にいた。
ジュリーと彼女の天文学者の友人は、ビジターと敵対する存在と同盟を結ぶことに望みをかけ、宇宙に向けて救難信号を送る。
エライアスはこの計画に感動するが、ジュリーは同盟者にメッセージが届くのにどれだけの時間がかかるか分からないと話す。
返信が来るとしても数年先になるのか、味方かどうかさえも分からない。
その間、レジスタンスは組織を作り、ビジターと戦い続けなければならないのだ。
去り際、エライアスはスプレーを使ってドアに大きく「V」を描く。 -

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Faye Grant as Juliet Parrish and Michael Wright as Elias Taylor in V (1983)

「エンド・クレジット」ではベートーヴェンの「交響曲第5番」と「交響曲第7番」を合わせたサントラの15曲目「Finale / Gloria Victoria」が流れます。
歌詞はジョンソンによるオリジナルのもので、「大義に栄光あれ 戦死者に栄光あれ 自由のために戦う戦士に 勝利に栄光あれ」と謳われています。
いやー、本当に感動…。

最後まですばらしい楽曲を提供したジョー・ハーネルは、本作で見事「第35回プライムタイム・エミー賞(英語: 35TH ANNUAL PRIMETIME EMMY AWARDS)」の「作曲賞リミテッド・シリーズ/スペシャル部門(英語: OUTSTANDING ACHIEVEMENT IN MUSIC COMPOSITION FOR A LIMITED SERIES OR A SPECIAL (DRAMATIC UNDERSCORE))」にノミネートされました。

先に述べた本作のサントラ『ORIGINAL SOUNDTRACK RECORDING V』は1998年にアメリカのレーベル「SUPER TRACKS MUSIC GROUP」からCDリリースされた際のタイトルで、2008年にはハーネル自身のレーベル「FIVE JAYS RECORDS」から『"V": THE ORIGINAL MINI-SERIES (ORIGINAL TELEVISION SCORE)』のタイトルで再リリースされています。

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どちらも内容は同じで『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』の楽曲が収録されています。
『iTunes』などのコンテンツ配信サービスからも手に入りますので、興味のある方はぜひ!

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編集を終えたジョンソンは完璧でどこもカットすることができず、本来4時間の作品になるはずが4時間15分になってしまうことを当時NBCの「エンターテイメント部門」のトップで番組編成を牛耳っていたブランドン・タルティコフに相談しました。
試写を観たタルティコフはジョンソンに同意し、局に放映時間の延長を申請します。
その結果、『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』の「Part 1」は1983年5月1日日曜日、21:00-23:15の枠で放映されました。

翌年の1984年にヨーロッパで放映された際には、あの「1984 ロサンゼルス・オリンピック(英語: LOS ANGELES 1984 SUMMER OLYMPICS)」よりも高い視聴率を記録。

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当時人種隔離政策「アパルトヘイト」下にあった南アフリカでは、放映の翌日、人種を超えて協力するキャラクターたちに共感した国民が赤いスプレーであちこちに「V」を描きました。
これは後日談としてジョンソンが一番気に入っているもの。

ジョンソンたちの当初からの計画どおり、本作はシリーズ化されることになりました。
毎週1時間の番組では費用が高すぎるので、ジョンソンは6~8週間おきの「テレビ映画」として制作することをタルティコフに提案します。
「テレビ映画シリーズ」というのは当時まだ前例がありませんでしたが、タルティコフは6時間の続編を発注します。
ジョンソンは脚本の監修に回ることになりましたが、「ワーナー・ブラザーズ」の提示した予算枠での制作はかなり厳しく、本作と同じ品質を保てるのかと不安を抱きはじめました。
結局自信を持つことができず、ジョンソンは計画をあきらめます。

ジョンソンは計画から手を引いたことを今でも残念に思っているそうです。
しかしタルティコフには後日「テレビ映画のシリーズにするべきだった」と言われたのだとか…。

そんなことがあってジョンソンは翌年の完結編ミニシリーズ『V: THE FINAL BATTLE』の制作にはほとんどタッチしておらず、「共同原作者」のクレジットにもペンネーム「Lillian Weezler」を使っています。

このあたりについてはのちほどさらにくわしく…。

制作会社も「ブラット-シンガー・プロダクションズ(英語: BLATT-SINGER PRODUCTIONS)」へと移り、続くドラマ『V2/ビジターの逆襲』も彼らが手がけました。

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日本テレビ系列『金曜ロードショー』で1989年1月13日に『V パート3 スニーク・イン 決死の潜入』が初放映された際、本編終了後に解説の水野春朗さんがこのことを話されていたのを覚えています。

ジョンソンから監督を引き継いだのは、作家マイケル・クライトンがメガホンを取った1973年のSF・ウェスタン・スリラー『ウェストワールド(原題: WESTWORLD)』の1976年の続編『未来世界(原題: FUTUREWORLD)』や1982年のネオ・ノワール『探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!(原題: I, THE JURY)』をはじめ、数々のテレビ映画やドラマを手掛けてきたベテラン、リチャード・T・へフロン。

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ところが『V: THE FINAL BATTLE』についていくらリサーチしてみても、海外のサイトもふくめて「メイキング」に関する情報はほとんどなく、どうも全体的に『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の扱いとはずいぶんと違う印象なのです。
まあDVDリリース時からうすうす感じていたことではあるのですが…。

そんなわけで以下、『V: THE FINAL BATTLE』については日本版レーザーディスクの解説をベースに構成しています。

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V パートIII - 潜入(スニーク・イン) -

- 人類の英知の終結は恐るべき罠(トラップ)に打ち勝つことができるのか!?

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Marc Singer as Mike Donovan and Eric Johnston as Sean Donovan in V: THE FINAL BATTLE (1984)

ジュリーとマイク率いるレジスタンスの戦いは続いていた。次のターゲットはビジターが捕らえた人間を食料用に保存する加工工場である。しかし、夜のやみに紛れての奇襲攻撃もむなしく、パワーアップされたビジターの戦闘要員たちの強化服の前には、通常の小火器では全く歯が立たず、撤退を余儀なくされてしまう。

ロビンは、ダイアナの「実験」によって、ブライアンの子供を宿していた。異星人の子を身ごもったロビンの肉体には、様々に不気味な変化が生じて来ている……。

ビジターによる侵略と支配は、レジスタンスの活動をよそに、順調に進められていた。既にほぼ世界中の首脳たちが洗脳され、司令官ジョンとダイアナの支配下に置かれてしまっていた。

ビジターは、実に大掛かりなデモンストレーションを画策した。ロス医療センターを会場とした、がんワクチンの発表会である。

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Peter Nelson as Brian, Andrew Prine as Steven, and Jane Badler as Diana in V: THE FINAL BATTLE (1984)

警備本部にスパイとして潜入しているルビーの情報を基に、レジスタンスたちは、発表会の攻撃計画を練る。世界中の同志に対するアピールのためには、何としても成功しなければならなかった。

厳重なチェックを潜り抜けて会場に潜入するためには、特殊な通行証が必要であった。マイクは早速カード偽造屋を手配し、自らは、ビジターのシンパとして信頼を得ている母エレノアの棲家に忍び込み、カードを盗み出し、偽造に成功する。

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Peter Nelson as Brian and Jane Badler as Diana in V: THE FINAL BATTLE (1984)

ハーミーとの密会中のウィリアムが、レジスタンスに捕らえられてしまった。ウィリアムの正体を知ったハーミーはショックを受けるが、心優しい彼への気持ちは変わらなかった。

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Robert Englund as Willie in V: THE FINAL BATTLE (1984)

実験台になっているウィリアムの緑色の皮膚を見て、取り乱したのはロビンだった。彼女は自分が宿しているものへのおぞましさと恐れから、ジュリーに中絶を願い出る。

神父の反対を押し切って中絶手術が開始されたが、胎児の触毛が子宮からほかの内臓にまで張り巡らされており、手術は不可能であった。

そして、発表会の日が来た。ビジターの最高司令官ジョンが演壇に立ち、ワクチンの開発に成功したことを告げる。そしてその時すでに、ジュリー、ロバート、ルビー、神父、サンチョ、エライアスらのレジスタンス戦士たちは、会場への潜入に成功していた……。

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Richard Herd as John in V: THE FINAL BATTLE (1984)

第3巻は、始まりと終わりにスーパー・アクション場面が用意され、レジスタンスの地下活動や、ロビンの妊娠というショッキングな内容をサンドイッチにしている。ケネス・ジョンソンからバトンタッチした、リチャード・T・へフロン監督の歯切れの良い演出と、アクション満載の戦闘シーンは、見ていて盛り上がってしまうこと請け合いである。 (文・鍵谷 透) -

すでに「オープニング・クレジット」の「Main Theme」からして『V: THE ORIGINAL SERIES』とは違うものになっていますが、「なんか変わった?」とは思っても違和感を感じることなくすんなり受け入れることができます。
ジョー・ハーネルに代わって『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 1」の音楽を手掛けたのは、ジョセフ・コンランとバリー・デ・ヴォーゾンの2人。
不安感を静かにあおってくるシンセサイザーを駆使したメロディラインや低く機械的なパーカッションなど、ブラッド・フィーデルによる1984年のシリーズ第1作『ターミネーター(原題: THE TERMINATOR)』の「ターミネーターのテーマ(原題: Theme from "The Terminator")」にも通じるものがあります。
すぐに覚えられちゃうので、「『V』と言えばこの曲」という方も多いのではないでしょうか?
しかし残念ながら「Part 1」の楽曲はどれもサントラ化されていません…。

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撮影監督もジョン・マクファーソンからスチーブン・ラーナーへ代わり、とくに室内シーンの照明の使い方に違いを見ることができます。

マザー・シップのブリッジやビジターのユニフォームなど、新しいビジュアルも増えました。
チャールズ・R・デイビスから美術監督のバトンを受け取ったモ―ト・ラビノウィッツは、世界観を壊すことなく押し広げています。
ちょっと「派手」になった感じ。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 1」にゲスト出演しているカード偽造屋ダン・パスカル役のディック・ミラーとロス医療センターの医師フレッド・キング役のマーク・L・テイラー。

ディック・ミラーはジョー・ダンテ監督作品の常連俳優で、1984年のシリーズ第1作『グレムリン(原題: GREMLINS)』とその1990年の続編『グレムリン2 新・種・誕・生(原題: GREMLINS 2: THE NEW BATCH)』で大活躍するマレー・フッターマンは当たり役。

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Jason Bernard as Caleb Taylor, Dick Miller as Dan Pascal, and Faye Grant as Juliet Parrish in V: THE FINAL BATTLE (1984)

マーク・L・テイラーも、1989年の『アラクノフォビア(原題: ARACHNOPHOBIA)』や1990年のシリーズ第1作『ミクロキッズ(原題: HONEY, I SHRUNK THE KIDS)』などで派手ではないのに強い印象を残す名バイプレイヤーです。

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Mark Taylor as Dr. Fred King and Faye Grant as Juliet Parrish in V: THE FINAL BATTLE (1984)

この2人はジョー・ダンテ監督の1987年の『インナースペース(原題: INNERSPACE)』でも共演しています。
ディック・ミラーは冒頭に登場するタクシー運転手、マーク・L・テイラーはクライマックスに登場するナイルズ博士を演じています。

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主要なクルーが一新されたことも大きいけれど、『V: THE FINAL BATTLE』はレジスタンスによるビジターへの反撃がストーリーのメインなので、決してダメというわけではなく、『V: THE ORIGINAL SERIES』にあった「社会的/政治的メッセージ」は影を潜め、大掛かりなアクション満載となっています。
オープニングからレーザー光線が飛び交い、ケネス・ジョンソン監督が「1発につき1,000ドルかかった…」と話していたことが思い出されます。

V パートIV - 脱出(エスケープ) -

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- 地球人と異星人(ビジター)の子供が誕生した - それは悪魔の使いか急性異種か!?

レジスタンスのキャンプに突如押し掛けて来た2人組がいた。彼らはプロの戦争屋・ハムと、相棒の爆弾専門家、クリスであった。マイクは過去何度も、戦場でこの秘密工作員と出会って来ていた。

ハムはマイクに、自分たちの世界的なネットワークに加わよう、強く呼び掛ける。素人集団が今までやって来れたのは、運が良かっただけなのだ、と。

レジスタンスたちは、この危険な戦争屋に恐怖を感じ、訴えを蹴るが、その時ルビーからの緊急連絡が入った。ビジターたちが、レジスタンスのキャンプを突き止めて、今しも襲撃に向かったと言う。

マイクらレジスタンスはすぐに脱出。ハムとクリスは残ってビジターを待ち受け、見事に手慣れた作戦で、戦闘員たちをほぼ全滅させる。

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Jason Bernard as Caleb Taylor, Mickey Jones as Chris Farber, and Michael Ironside as Ham Tyler in V THE FINAL BATTLE (1984)

一方、ダイアナに捕らえられたジュリーは、洗脳オペレーションを受けていた。生命力の限界まで抵抗を続けるジュリーだったが、ダイアナの残忍な責めの前に、もはや洗脳されるのは時間の問題であった。

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Faye Grant as Juliet Parrish in V: THE FINAL BATTLE (1984)

マイクは、ジュリーを救う作戦を計画し、マーチンに協力を依頼する。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

洗脳室が襲われた。安全管理上、ジュリーは地上の警備本部に移送される事になる。そして本部の周囲には、新たにハムとクリスが加わったレジスタンスの戦士たちが待ち構えていた。奇襲は成功し、ジュリーは無事に奪い返されたが、本部内で大活躍した老女ルビーは、親衛隊のダニエルに殺されてしまった。

ジュリーの持ち帰った情報から、ビジターの次の計画が明らかになった。新たな艦隊長パメラのてこ入れで、水の採集に拍車が掛けられることとなり、カリフォルニアの水源はあと30日で干上がってしまうという。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

レジスタンスたちは、クリスの作った新型高性能爆弾を携え、貯水場を破壊する作戦を決行する。戦いの日々の中、女戦士マギーと愛し合うようになっていた元警官のブレッドは、この戦闘で、仲間を援護して壮絶な最期を遂げる。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

ダイアナはマイクを捕らえようと、息子ショーンをそ生させる。人質交換が行われ、マイクは母船に連行された。

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Faye Grant as Juliet Parirsh, Marc Singer as Mike Donovan, and Michael Ironside as Ham Tyler in V: THE FINAL BATTLE (1984)

強力な自白剤の責めによって、マイクはビジター側の協力者がマーチンであると明かしてしまう。マーチンはすぐにマイクを連れ出し、広大な母船の換気口を使って脱出を図る。

一方、ロビンに出産が迫っていた。ジュリーは帝王切開を施して赤ん坊を取り上げるのだが……。

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Faye Grant as Juliet Parrish in V: THE FINAL BATTLE (1984)

第4巻のハイライトは、貯水場の破壊場面。タイムリミットが設定され、スリルも満点。

そしてラストで姿を現す赤ん坊は、いったいどんな姿をしているのだろうか? (文・鍵谷 透) -

『V: THE FINAL BATTLE』から登場する新キャラクターの中でももっとも輝いているのが、この「Part 2」のオープニングからいきなりすごい存在感なのになぜか違和感のないハム・タイラー。
演じたマイケル・アイアンサイドはカナダ・オンタリオ州トロント出身の俳優・声優・プロデューサー・監督・脚本家。

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Mickey Jones as Chris Farber, Michael Wright as Elias Taylor, Michael Ironside as Ham Tyler, Faye Grant as Juliet Parrish, Blair Tefkin as Robin Maxwell, and Marc Singer as Mike Donovan in V: THE FINAL BATTLE (1984)

1981年のデヴィッド・クローネンバーグ監督の出世作『スキャナーズ(原題: SCANNERS)』での悪役ダリル・レボックを経て本作でブレイクしたあとは、1986年の『トップ・ガン(原題: TOP GUN)』のトム・クルーズ演じるピート・"マーヴェリック"・ミッチェルの教官リック・"ジェスター"・ヘザーリー、1990年の『トータル・リコール(原題: TOTAL RECALL)』でアーノルド・シュワルツェネッガー演じるダグラス・クエイドを執拗に追うリクター、1991年のシリーズ第2作『ハイランダー2/甦る戦士(原題: HIGHLANDER II: THE QUICKENING)』のカターナ将軍や1997年の『スターシップ・トゥルーパーズ(原題: STARSHIP TROOPERS)』で主人公たちを導く教官ジーン・ラズチャックなど、どうしても憎めない悪役やタフなヒーローを数多く演じています。

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『トータル・リコール』や『スターシップ・トゥルーパーズ』で組んだポール・バーホーベン監督が1987年のシリーズ第1作『ロボコップ(原題: ROBOCOP)』の主人公アレックス・マーフィ役に最初に選んだのもアイアンサイドでした。
しかしすでに完成していたロボコップのスーツに体格がフィットしなかったため、代わりにピーター・ウェラーが起用されました。

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Michael Ironside as Richter in TOTAL RECALL (1990)

本作では「Part 2」と「Part 3」にしか登場しませんが、彼のシーンはどれも最高!

『V: THE ORIGINAL SERIES』からの使い回しが多い中で、さらなるマザー・シップが地球に到着する新しいVFXシーンとともに登場するビジターの艦隊長パメラにはサラ・ダグラス。

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Sarah Douglas as Pamela in V: THE FINAL BATTLE (1984)

1978年のシリーズ第1作『スーパーマン(原題: SUPERMAN)』と1980年の続編『スーパーマンII/冒険篇(原題: SUPERMAN II)』で演じたクリプトンの3悪人の1人アーサや、1984年のシリーズ第2作『キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2(原題: CONAN THE DESTROYER)』での悪役女王タラミスなどが有名。
アーサ、セクシーで好きだったなー…。

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マイケル・アイアンサイド同様2パートにしか登場していないにも関わらず、その存在感はやっぱりさすがです。
そして悪役なのにとても人間臭くてやっぱりどうしても憎めません。

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Sarah Douglas as Ursa in SUPERMAN II (1980)

レジスタンスが破壊作戦を決行する貯水場は、カリフォルニア州キャスティークにある「CASTAIC POWER PLANT」。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

上記のように『V: THE FINAL BATTLE』はタイトルどおりどのパートも大掛かりなアクション満載で、「Part 2」のこのシーンはロケーションもさることながらその中でも最大のスケール。

1961年の『ナバロンの要塞(原題: THE GUNS OF NAVARONE)』、1968年の『荒鷲の要塞(原題: WHERE EAGLES DARE)』や1978年の『ナバロンの嵐(原題: FORCE 10 FROM NAVARONE)』といったアリステア・マクリーン原作による戦争映画を思い起こさせるトラップやタイムリミットの設定など、構成もすばらしいです。

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「Part 2」のラストに産まれるロビンの双子の赤ちゃんは、前作のダイアナの「モルモット丸飲みシーン」に匹敵するトラウマ度の高さ…。
ビジターの姿の赤ちゃんもなかなかだけど、「Part 3」でエリザベスと呼ばれることになる人間の姿の赤ちゃん怖すぎ!

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

ジョセフ・コンランとバリー・デ・ヴォーゾンによる「Main Theme」の流れる「オープニング・クレジット」を見てもわかるように、『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 2」では2人は「追加音楽(英語: ADDITIONAL MUSIC BY)」としてクレジットされ、「音楽(英語: MUSIC BY」にはデニス・マッカーシーの名があります。
これはコンランとデ・ヴォーゾンのシンセサイザーによる楽曲に違和感を感じたプロデューサー陣が『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 1』放映の6週間前にマッカーシーを雇ったためで、3人の楽曲が使用されている「Part 2」ではそれぞれのスタイルの違いを聴くことができます。

デニス・マッカーシーはアメリカで1987年から1994年にかけてシンジケーション放送されたシリーズ2番目のテレビシリーズ『新スタートレック(原題: STAR TREK: THE NEXT GENERATION)』以降のシリーズ常連で、同ドラマで18の「ASCAP FILM AND TELEVISION MUSIC AWARDS」を受賞。
1993年から1999年に放送されたシリーズ3番目のテレビシリーズ『スタートレック/ディープ・スペース・ナイン(原題: STAR TREK: DEEP SPACE NINE)』の「Main Theme from "Star Trek: Deep Space Nine"」では、1993年の「第45回プライムタイム・エミー賞(英語: 45TH ANNUAL PRIME TIME EMMY AWARDS」の「作曲賞主題歌部門(英語: OUTSTANDING INDIVIDUAL ACHIEVEMENT IN MAIN TITLE THEME」を受賞しています。

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1994年の『新スタートレック』劇場版第1作『スタートレック ジェネレーションズ(原題: STAR TREK: GENERATIONS)』も担当。
同年にアメリカのレーベル「GNP CRESCENDO RECORDS」からリリースされた『STAR TREK GENERATIONS - ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の1曲目「STAR TREK GENERATIONS Overture」と『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』の「Main Theme from "Star Trek: Deep Space Nine"」は、どちらも管楽器による主題が美しく、とくに後者は「深宇宙の孤独」を感じさせるすばらしいもの。

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V パートV - 決戦(ファイナル・バトル) -

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- 歴史をかけた、想像を絶する戦いが今、始まる

ロビンが産んだ双子のうち、女の子の姿をした方はエリザベスと名付けられ、元気だったが、ビジターの姿をしたもう一人は衰弱が激しく、ハーミーの介助も空しく短い生命を閉じる。ジュリーは早速死因を調べるが、そこで新種のバクテリアを発見する。それは地球のバクテリアと、シリウスのバクテリアとの混合物であった。一筋の希望が生まれた。このバクテリアこそ、対ビジターの決定的な武器となるのではないか。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

実験のためにハムたちは、ルビーを殺したダニエルと一緒の、ブライアンを誘拐し、ダニエルを犯人に仕立てて密告し、復しゅうを遂げる。

ロビンは、自分に対してこれほどの苦しみを与えたブライアンを憎んでいた。脱皮を繰り返して驚異的なスピードで成長したエリザベスの手を引いて、ブラインを閉じ込めたケースの前に立つと、持ち出したバクテリアのカプセルを投げ入れた。
ほとんど瞬時にして、実験と復しゅうは終わった。ブライアンはもがきながら死んだ。

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Faye Grant as Juliet Parrish, Peter Nelson as Brian, Blair Tefkin as Robin Maxwell, and Michael Durrell as Robert Maxwell in V: THE FINAL BATTLE (1984)

続いてジュリーが、止める間もなくケースの中に入り込んだ。影響はない。バクテリアは地球人に対しては全く無害なのであった。

ビジターとの友好を望んでいたアンドリュー神父は、エリザベスを連れ出して、ダイアナを訪ねた。2つの星の間に生まれたエリザベスを、有効と平和のあかしとして認めさせようという考えであった。ダイアナは自分の実験の成果に満足し、エリザベスを手元に置いて「教育」を始めるが、神の教えを説く神父は殺してしまった。ダイアナは、パメラとの主導権争いで焦りを感じており、自らの心の弱さを認めさせる一切の存在は許せなかったのだ。

マイク、ジュリーを始めとするレジスタンスたちは、今や決断を迫られていた。ビジターを倒す毒素は完成、マーチンやウィリアムら味方のビジターを守る抗毒剤もできた。ところがマーチンからの情報によると、ビジターの母船には、侵略が失敗したときの臨時兵器として、協力な核爆弾が備えられているというのだ。攻撃賛成派と慎重派の議論が続く中、元こそ泥のエライアスは言う。
「このままじゃいずれにしても人類は滅びる。だが、戦えば勝てるかもしれない。そして、それがやれるのは俺たちだけだ」。

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Michael Durrell as Robert Maxwell, Marc Singer as Mike Donovan, Bob Harks as Freedom Fighter, Faye Grant as Juliet Parrish, Rafael Campos as Sancho Gomez, Denise Galik as Maggie Blodgett, Diane Cary as Harmony Moore, and Blair Tefkin as Robin Maxwell in V The Final Battle (1984)

攻撃の決断が下され、いよいよ決戦の時がやって来た。マイク、ジュリー、ハムに率いられ、こそ泥、工員、未亡人、学者、庭師 - 平和な時にはごく普通の市民だった人々が、今、レジスタンスの戦士として、全人類の運命を背負って立ち上がったのだ。

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Jenny Beck as Elizabeth Maxwell in V The Final Battle (1984)

人類の歴史をかけた戦いが、いま、始まろうとしていた……。 (文・鍵谷 透) -

「高度な科学力を持つ異星人が『バクテリア』によってあっけなく絶滅してしまう」という展開は、地球に古代から存在していた病原菌が地球侵略を進める火星人を倒すイギリスの作家H・G・ウェルズによる1898年のSF小説『宇宙戦争』へのオマージュとも取れます。

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ちょっと変化球ではありますが、はじめて観た時真っ先に本作が頭に浮かんだ1996年のシリーズ第1作『インデペンデンス・デイ(原題: INDEPENDENCE DAY)』では、コンピューターウイルスが地球侵略にやって来た異星人を倒すきっかけを作っていました。

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INDEPENDENCE DAY (1996)

これまでさんざんイライラさせられてきたダニエル、ブライアン、エレノアやスチーブンは、申し訳ないけれど観ていてスカッとする哀れな最期を迎えます。

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Andrew Prine as Steven in V: THE FINAL BATTLE (1984)

最終決戦の時が訪れ、バクテリアを積んだ無数の気球が大空へ舞い上がる感動的なシーンは、ニューメキシコ州アルバカーキで行われた「ALBUQUERQUE INTERNATIONAL BALLOON FIESTA」で撮影されました。
バクテリア、ビジターのレーザー銃やシャトルはともかくとして、レジスタンスが「実在するもの」で戦いを挑んでいるのが本当にすばらしい!
気球なんてもう最高!

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

ビジターに死をもたらすバクテリアを「赤い粉」で表現しているのもこれまでキャラクターたちが「V」を赤いスプレーで描いてきたことに通じるものがあるし、ビジュアル的にもよかったなー。

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

「赤い粉」をまき散らすバルーンを見上げる群衆の中に前作以降登場していなかったスタンレー・バーンステインがひょっこり登場しています…が、彼が腕を回している女性は…だれー?

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George Morfogen as Stanley Bernstein in V: THE FINAL BATTLE (1984)

ダイアナはシャトルに乗って1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV - A NEW HOPE)』のダース・ベイダーのように逃げてしまいましたが、地球には再び平和が訪れました…。
少なくとも同じ年の秋に続編ドラマ『V2/ビジターの逆襲』が放送されるまでは…。

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「Part 3」では「Main Theme」以外の楽曲はすべてデニス・マッカーシーのものが使用されました。
彼が本作に提供した楽曲には80年代を感じさせるものが多く、1998年に「SUPER TRACKS MUSIC GROUP」からリリースされた本作のサントラ『ORIGINAL SOUNDTRACK RECORDING V: THE FINAL BATTLE』の7曲目「Maggie Mourns / Maggie And Brad」や12曲目の「Love Theme」などは「80年代洋物ポルノ」みたい…。
彼が続投する『V2/ビジターの逆襲』の「"V" THE SERIES - Main Title」へつながる主題もちらほら登場します。

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2009年には「WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.」から『ORIGINAL MUSIC FROM THE MINI-SERIES V: THE FINAL BATTLE』のタイトルで再リリースされており、「ボーナス・トラック」として17曲目「SUITE FROM "V" THE FINAL BATTLE」が追加されています。
こちらも各種コンテンツ配信サービスから購入可能です。
前作のサントラよりもはるかに強い「タイムスリップ効果」があります!

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『V: THE FINAL BATTLE』放映後の1984年5月28日、アメリカの「PINNACLE BOOKS」から『V: THE ORIGINAL MINISERIES』と『V: THE FINAL BATTLE』の全5パートを1冊に収めたSF作家A・C・クリスピンによるノベライゼーション『V』が出版されました。
アメリカやイギリスでは、このノベライゼーションからはじまるオリジナル・シリーズが1984年から1988年にかけて全16作品出版されています。

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日本語版は1986年5月1日に「サンリオ」から「サンリオSF文庫」として『V(上下)』が出版されていたようですが、ぼくが読んだのは1987年10月1日に「偕成社」から「スーパーブックス」として出版された単行本『V〈上〉異星からの侵入者』と『V〈下〉最後の戦い』でした。
それぞれ訳者も違うようだし、もう一度読んでみたい…。

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『V』にはコミック版も!
アメリカでは「DCコミックス(英語: DC COMICS, INC.)」が『V2/ビジターの逆襲』のストーリーに合わせた全18巻を1985年2月から1986年7月にかけて出版。

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そしてなんと日本オリジナル版も!
「勁文社」から1989年2月10日に監修・永井豪、画・安田タツ夫による『V(上巻) 悪魔の来訪者~Visitor~』と『V(下巻) 勝利~Victory~への道』が出版されていました
ぜんっぜん知らなかった…。

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1986年にはビデオゲーム開発や出版を手掛け、ヨーロッパ最大のシェアを誇っていたイギリスの「OCEAN SOFTWARE LIMITED」からテレビゲームも発売されています。
プレイヤーはマイク・ドノバンとなってマザー・シップに潜入し、マザー・シップの破壊と脱出をめざすというアクション・ゲームでした。

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2008年2月5日、アメリカの「TOR BOOKS」からケネス・ジョンソン自身の手による『V: THE SECOND GENERATION』が出版されました。
これは『V: THE FINAL BATTLE』や彼がいっさい関わらなかった『V2/ビジターの逆襲』とはまったく別の、『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の直接の続編。

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英語版「ウィキペディア」によるあらすじは以下のとおり。

- 物語の舞台は『V: THE ORIGINAL MINISERIES』から20年後の世界。『THE SECOND GENERATION』はビジターによる支配が続く地球で勝ち目のない戦いを続けるレジスタンスを描いている。彼らはビジターが人類滅亡を企む邪悪な異星人であることを大衆に暴くべく活動を続けていたが、すでにビジターは地球に多くの技術的および社会的進歩をもたらすことで大多数の支持を得ており、彼らの声が届くことはなかった。ビジターは汚染物質の浄化を装い、地球上の水の半分を採集していた。また、多くの人々がレジスタンス撲滅を目的としたビジターの民兵組織「チームメイト(英語: THE TEAMMATE)」(『V: THE ORIGINAL MINISERIES』における『ビジター・フレンズ』が進化したもの)に参加していた。

すべてが絶望的であると思われた時、レジスタンスのリーダー、ジュリエット・パリッシュが『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の最後に宇宙へ送ったメッセージがようやく聞き入れられた。ビジターの長年の敵である異星人種「ゼッティ(英語: ZEDTI)」が危機に陥っていたレジスタンスに加勢し、戦局はレジスタンスにとって有利なものとなってゆく。だが何事も見かけどおりとは限らない、レジスタンスは徐々に、新しい味方の真の目的に疑問を持ちはじめる。

Set 20 years after the original miniseries, The Second Generation depicts an Earth still under Visitor domination with the Resistance fighting a losing battle. They desperately try to persuade the masses that the Visitors are evil aliens bent on mankind's destruction. However, they are largely ignored, as the many technological and social advancements brought by the Visitors to the planet have convinced the majority that the aliens have their best interests in mind. They are halfway to taking all of the planet's water, under the guise of cleansing it of all polluting substances. Many people were also convinced to join the Visitors' civilian militia, the Teammates (an evolution of the miniseries' Visitor Youth), for the purposes of hunting resistance members.

Just when all seems hopeless, the message that Resistance leader Juliet Parrish sent into space at the end of the original miniseries is finally heard. An alien race called the Zedti, who are long-standing enemies of the Visitors, reinforces the Resistance in their time of need and soon the war is turned in their favor. However, all is not as it seems, as the Zedti's actions make the Resistance wonder about their newfound allies' actual motives. -

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ビジターの長年の敵である異星人種『ゼッティ』」なんて、2016年のシリーズ第2作『インデペンデンス・デイ: リサージェンス(原題: INDEPENDENCE DAY: RESURGENCE)』と似てる気がして若干心配な部分もあるけれど、マイクやジュリーも登場するそうなのでぜひ読んでみたい!
日本の出版社さんよろしくお願いします!
ぼく翻訳します!

ペンシルバニア州ピッツバーグの新聞『Pittsburgh Post-Gazette』のウェブサイトにポストされた2008年2月3日の記事「Tuned In Journal: "V" creator speaks」には、記者Rob Owenによるジョンソンへのインタビューが紹介されています。
以下はジョンソンが『V: THE FINAL BATTLE』制作をあきらめた理由や、続編について答えている部分をメインに抜粋したものです。

- ケネス・ジョンソンが2003年から制作準備を進めていたNBCの『V: THE SECOND GENERATION』は2004年に中止が決定。ジョンソンと『ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン』は復活を賭けてその後も他のネットワークへの売り込みを続けていますが、その間にジョンソンは脚本を小説に書き換えました。(ハードカバー $24.95; ペーパーバック $14.95、TOR BOOKS)以下はジョンソンと交わした『V』シリーズについての会話からの抜粋です。

Johnson developed "V: The Second Generation" for NBC in 2003 but by 2004 the project was dead at the network. Johnson and Warner Bros. continue to shop the revival to other networks, and in the meantime, Johnson turned his script into a novel ($24.95 hardcover; $14.95 paperback, Tor Books), due in stores Tuesday. Here are excerpts from my conversation with Johnson about the "V" saga:

質問: なぜネットワークはミニシリーズを作らなくなってしまったのでしょうか?

ケネス・ジョンソン: 完璧な例があるよ。1983年に『V』をやった時、(当時NBCのプログラミング・エグゼクティブだった)ブランドン・タルティコフとぼくは(『V: THE ORIGINAL MINISERIES』を)連続ドラマの「パイロット版」として考えていたんだ。ところがいざ4時間のミニシリーズを作ってみると、1話1時間の連続ドラマにするには製作費がかかりすぎることがわかった。そこでぼくらは1話1時間の連続ドラマを制作する代わりに6時間の続編ミニシリーズをやろうとを思いついたんだ。でも『ワーナー(・ブラザーズ・テレビジョン)』が反対した。彼らにとってはプラス要素がなかったからね。連続ドラマの場合、ヒットすればスタジオは儲かるけれど、1度かぎりの6時間ものとなるとそうはいかないんだ。だがブランドンが言った、もし『ワーナー』が6時間の続編ミニシリーズをやるなら、NBCは1話1時間の連続ドラマ13話分を『ワーナー』に追加発注するとね。続編ミニシリーズをまだ何も決まっていない連続ドラマへの客寄せ商品とすることにして、『ワーナー』は同意した。『ワーナー』にとってもそれしか前に進む方法はなかった。当時でさえ彼らは連続ドラマから長期的に稼ぐ方法を探していたんだよ。

Question: Why are networks not making miniseries anymore?

Kenneth Johnson: Here's the perfect example. When we did "V" originally in 1983, [NBC programming executive] Brandon Tartikoff and I envisioned [the first miniseries] as a pilot for some ongoing series. After the four-hour miniseries, it became clear it was going to be too expensive to do as a one-hour episodic show. Instead of doing it as a one-hour series, we said, let's do it as a six-hour sequel miniseries and Warner Bros., [which owns the rights to "V"], said no, we don't want to do that. The reason is there was no upside for them. On a series, if you get a hit, the studio stands to make quite a bit of money. But as a one-off six-hour event, it doesn't take them into that world. It wasn't until Brandon said, if Warner will do a six-hour sequel, then NBC will give Warner an additional order for a separate one-hour series, 13 episodes, a put series commitment. Nobody had ever gotten that. Warner Bros. agreed, viewing the miniseries as a loss leader for a blind series commitment. That's the only way Warners would go forward. Even back then they were looking at the longer term of how to make money on series.

質問: 『V: ORIGINAL SERIES』のあと降板された理由はなんだったのですか?また『V: THE FINAL BATTLE』にはどの程度関わっていたのでしょうか?

ケネス・ジョンソン: クレイグ(・ファウスタス)・バック、ペギー・ゴールドマンとダイアン・フロロフの3人を雇い、『ワーナー』のオフィスで6時間の続編を作った。ぼくが書いた最初のの4時間(『V: THE ORIGINAL MINISERIES』)よりもよいものができあがり、ブランドンも気に入ってくれていた。順調に歩きはじめたところで『ワーナー』から電話があり、ぼくが彼らの望みどおりの速く、安く、そしてひどいものを作らないことに不安を抱いていると言われたんだ。彼らは質ではなく、不安要素を片づけてしまうことを望んでいた。ぼくは「監督するなというのが契約違反になることに気づいているのか?」と言うと、「そんなことはどうでもいい。それよりも連続ドラマに取り組んでくれ」と言われたんだ。それで思った、もしスタジオがぼくが作りたいように『V』をやらせてくれないならやめようと。彼らは言ったよ、「12時間の連続ドラマを自ら辞めるやつなんていない」と。それで言ってやったんだ、「そっちがぼくにそうさせているんだ。ほかになんと言えばいい?」ってね。結局彼らは脚本を別のグループに渡し、書き直させた。生まれた赤ん坊をまったく知らない、信用もしていない里親に預けるような気持ちだったね。(中略)『V: THE FINAL BATTLE』はいまだに30秒ほどしか観たことがないよ。その30秒で、彼らはすべてにおいて間違った選択をしていたよ。

Q: Remind me why you quit after the original "V"? How involved were you in "V: The Final Battle"?


KJ: I hired three writers to work with -- Craig Buck, Peggy Goldman and Diane Frolov -- and sat in my office at Warner Bros. and fashioned the six-hour sequel. It was better than what I had written in the first four-hours and Brandon loved it. We were just starting down the road and Warners called and said they were concerned I wouldn't direct it as quick and cheap and dirty as they wanted it. They were anxious to get it over with and out of the way and not pay too much attention to quality. And I said, "You realize by asking me not to direct, you're breaching my contract?" And they said, "We don't care, we want you to work on the blind series commitment." And I thought, if they won't let me make "V" the way I want to direct it, I should depart the studio. They said, "Nobody walks away from a 12-hour series commitment on the air." And I said, "You're forcing me to do it, what can I say?" So they handed off the script and had it re-written for a different group of people. It was a bit like having a baby and giving it over to the foster parents you didn't know or trust. ... To this day I've only seen 30 seconds of it and watched them make every wrong choice in 30 seconds.

質問: あなた自身が書かれたものはどの程度残ったのでしょう: 異星人の双子、洗脳室や赤い粉などは?

ケネス・ジョンソン: そう、ぼくのアイデアだ。でもぼくらの書いたエンディングでは、マイクとジュリーは捕らえられた人々を救うためにシャトルに乗ってビジターのマザー・シップを追いかけるんだ。ビジターたちはそのことを知らない。2人はみんなを救い出すための方法を見つけ出すのかもしれない。そういうオープンな形で終わらせたんだよ。

Q: How much from what you wrote did they use: The alien babies, the conversion chamber, the red dust?

KJ: Yes, but at the end of ours when the Visitors were leaving, Donovan and Juliet didn't want them to go and take all of our people and we had them in a fighter that flew into a departing Mothership without the Visitors knowing what they had done. Maybe they would have found a way to save everyone. We left it open-ended that way.

質問: なぜふたたび『V』の世界へ?

ケネス・ジョンソン: 『ワーナー・ホーム・ビデオ』のDVDを制作している時だったね。ラスト・シーンでフェイ(・グラント。レジスタンスのリーダー、ジュリエット・パリッシュ役)は敵の敵は味方に違いないという希望を託して深宇宙へメッセージを送った。その時に思ったんだ。20年後はどうなったのかのストーリーを書いたらどうなるだろうかと。ビジターはすべてのメディアとコミュニケーション・システムを支配して望むままの真実を作り上げることができる。彼らはエイズ、がんや心臓病を治す一方で我々の水を盗み、海はすでに半分になってしまった。それを彼らは惑星レベルの透析であり、浄水を行った上で再び戻すと説明している。ドイツ支配下にあった1943年のパリに住んでいるようなものさ。隣に座る兵士たちが気にならなければ、シャンゼリゼでカプチーノを飲むことができる。巧妙に編集されていることや、たまに友人が消えてしまうことが気にならなければ映画館にも行ける。今日世界で起こっていることを表現するおもしろい寓話になると思ったんだ。最初の『V』を書いた時にはソビエト連邦とアメリカ合衆国が超大国だったけれど、今では「わたしたちはあなた方のすばらしいリーダーで、あなた方にとって何が最善なのかを理解しています。道から外れず、質問しないこと。わたしたちの望むようにするために法律を弱体化させることもありますが、あなたたちの面倒も見ますよ」と唱える者たちが主導する超強大国が1つあるだけだろう。(中略)

本の3分の1が終わるころにはレジスタンスは勝利への望みは絶たれてしまうが、そんな時裏口にノックの音がするんだ、(新たな異星人種が現れて言う)「あなたたちのメッセージを受け取りました。助けに来ましたよ」。追求するに値する魅力的なコンセプトになったんだ。

Q: Why did you decide to re-visit "V"?


KJ: When I was putting together the DVD [of the original] for Warner Home Video, the last scene had Faye [Grant as resistance leader Juliet Parish] sending a message to deep space hoping that the enemy of my enemy is my friend. And I thought, what if I picked up the story 20 years later to see what happened? We see Visitors control all the media and all communications and they can make the truth be whatever they want the truth to be. On the other hand, they cured AIDS and cancer and heart disease, but they're taking our water and half the oceans are gone. They say it's dialysis on a planetary scale, that they're just cleaning the water and will bring it back. It's a little like living in Paris in 1943 during the German occupation. You could have your cappuccino on the Champs Elyse if you didn't mind soldiers sitting next to you. You could go to the theater if you didn't mind that it was carefully edited and some of your friends would disappear occasionally. I thought it became an interesting allegory for what's been going on today in the world, particularly since when we wrote the original "V" the Soviet Union and the United States were the superpowers and now we have only one hyper-power, led by a group of people who say, "We are your wise leaders, we know what's best for you, stay the course, don't ask questions and we'll do what we want, undermine the Constitution a little bit, but we'll take care of you." ...

By the end of the first third of the book, it does look like our resistance is hobbled and they have no hope of winning and then there's a knock at the back door [and a new race of aliens arrive and say], "We got your message. We're here to help." That became a very exciting concept for me to pursue.

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質問: 『V: THE SECOND GENERATION』では、『V: THE FINAL BATTLE』や『V2/ビジターの逆襲』の出来事は完全に無視されています。あの中で死んでしまったキャラクター、科学者のロバート・マックスウェル、味方のビジターのマーティンや他のキャラクターたちも再び登場します。
それらすべてを無視することにしたのはなぜですか?

ケネス・ジョンソン: 20年の間にはほんとうにたくさんのことが起こり得ると思うんだ。90年代の終わりごろ、多くの命が失われ、一掃された「大粛清(ソビエト連邦《ソ連》の最高指導者ヨシフ・スターリンが1930年代にソビエト連邦および衛星国のモンゴル人民共和国などで実行した政治的弾圧)」のことを伝えたいと思ったことがあってね。(中略)最初に創り上げたものと、もともと意図していたものに戻ってみたいと思ったんだよ。彼らが『V: THE FINAL BATTLE』で行ったすべての変更点について何も知らなかったが、ハム(・タイラー)については知っていたよ。あのキャラクターは車椅子に乗っているという設定だったんだけど、(俳優の)マイケル・アイアンサイドはプロデューサーたちに「おれの名前はアイアンサイドだ、車椅子になんて乗れない」と言ったんだ。彼らはこのような変更を重ね、大規模なものにしてしまった。(中略)だが、『V: THE FINAL BATTLE』を観たことがあって、すでに『V: THE SECOND BATTLE』を読んだ人たちは誰も気にしていないようだよ。これは最初にぼくがやろうとしていたことをもとにオリジナルでもっとも重要だったキャラクターたちを継承し、そこに新しいキャラクターたちを登場させるまったく新しい作品なんだ。

Q: In "V: The Second Generation," the events of the second miniseries and series are completely ignored. Characters that died are alive again, including scientist Robert Maxwell, fifth columnist Martin and other characters. Why ignore all that?

KJ: I figure a lot of water can go under the bridge in 20 years. I felt by introducing a "great purge" of the Resistance in the late '90s when many people were lost and swept away by that. ... I wanted to go back to what I had built to begin with and what my original intent had been. I felt that I wasn't that informed about all the changes they made in "The Final Battle." I knew the character of Ham. He was supposed to be in a wheelchair. [Actor] Michael Ironside went to the producers and said, "My name's Ironside, you can't put me in a wheelchair." They made all these changes of such a gross magnitude. ... I have found among people who got an early read of the book who had seen "The Finale Battle," nobody seems to have minded. This is a new piece that builds off of what I originally had done and carries on with the characters that were most important in the original and introduces a new set of characters.

質問: 『V: THE FINAL BATTLE』と『V2/ビジターの逆襲』を無視したことにNBCの重役たちは懸念を抱きませんでしたか?

ケネス・ジョンソン: まったくなかったよ

NBCの懸念は「ワルシャワ・ゲットー(第二次世界大戦中にナチス・ドイツがポーランドのワルシャワ市内に設置したユダヤ人隔離地域)」を舞台にした気の滅入るようなミニシリーズがうまくいかなかったことだったね。作品が暗すぎたのではないかと嘆いていたから、困難に打ち勝つ人々を描いているんだから暗くなくちゃだめだろう言ってやったよ。

Q: Did NBC executives have concerns about ignoring the events of the second miniseries or the series?

KJ: Not at all.

What they were concerned about was that they did a miniseries about the Warsaw ghetto and it didn't do well because it was such a downer. They were concerned about this being too grim and dark and I said, it has to be grim and dark for people to triumph over it.

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質問: オリジナルの『V』と『V: THE SECOND GENERATION』の売り込みにはどんな違いがありましたか?

ケネス・ジョンソン: 1983年にブランドンに会いに行った時、ぼくは彼にストーリーを話して聞かせただけで結局彼は1度も読まなかったんだ。最後に脚本を書いて来いとだけ言われてね。19日間かけて230ページの脚本を書いて持って行くと、彼は週末にかけてそれを読み、月曜日には「制作に入れ」と言ったんだ。通常脚本は稿を重ねるごとに違う色のページが使われる。第1稿は白のページ、第2稿は青のページといった具合にね。『超人ハルク』と同じく、『V』は白のページ、第1稿で撮影したよ。

ぼくがNBCと『V: THE SECOND GENERATION』脚本執筆の契約を結んだのは、ちょうど企業買収が盛んに行われていた時だった。そのさなかにNBCがヴィヴェンディ・ユニバーサル(英語: VIVENDI UNIVERSAL)を合併買収し、大きな混乱が生じた。ブランドンが週末に脚本を読む代わりに彼らは5、6ヶ月かけて読み、それでも確信を持つことができなかった。こんなことを言われたことがあるよ、「これはリンゴについてのすばらしい脚本だ。でももしオレンジについてだったらどうだろう?」とね。「ストーリーについては互いに合意していたはずだ!」と言って聞かせなければならなかった。とてもイライラさせられたよ。(中略)

ある時、彼らは「脚本はとても良いが、まずは『V: THE ORIGINAL MINISERIES』をリメイクするべきだ」と言い出した。『ワーナー』もぼくも当然「なぜ?」と聞いたね。ぼくらはNBCのクリエイティブのトップたちと話していたんだけど、彼らは「あれはわれわれのアイデアではなく、マーケティング部門の考えだ」と言うんだ。これがすべてを物語っているよ。誰が主導権を握っていて、ネットワークがなぜひどい状況にあるのかわかるだろ?

Q: How did your experience differ between pitching the original "V" and "V: The Second Generation"?

KJ: When I went to Brandon in 1983, I told him the story. He never read it. At the end, he said, go write the script. I wrote a 230-page script in 19 days brought it back, he read it over the weekend and on Monday he said, "Go to production." On scripts you do revisions on different color pages. The first draft is white, the second set is blue. With "V" we shot the white pages of my first draft. Same thing happened on "The Incredible Hulk."

When I sold [a script commitment for] "V: The Second Generation" to NBC, it was a time when there were corporate takeovers. In the midst of this, there was a management change and suddenly NBC was buying Universal and the whole big tangle there. Instead of Brandon reading it over a weekend, these guys would take five and six months to read a draft and then be not certain. One of the things I got was, "This is a good script about apples. What if it was about oranges?" And I said, "We already agreed on the story!" It was a very frustrating situation. ...

At one point they said, this is a pretty good script, maybe we should re-make the original miniseries first. Warners and I said, Why? We were sitting with the creative heads of NBC and they said, "It wasn't our idea. It was the marketing department that thought it would be a good idea." I think that says it. It gives you a sense of who's running the show, why networks have gotten themselves into bad places.

質問: 続編について主要キャスト陣と話をしましたか

ケネス・ジョンソン: 主演陣とは話したよ。配役はやりなおすこともできるしね。今じゃよくあることだね。でもぼくはマーク(・シンガー)、フェイ(・グラント)、ジェーン(・バドラー)、ロバート(・イングランド)やほかの助演俳優陣が大好きなんだよ。観客も親しみのあるキャラクターたちの20年後を観るのを楽しみにしていると思うんだ。そんなことができるのはとても珍しいことだよね。

Q: Did you discuss this sequel with the primary cast members?

KJ: The principals I did. Any of them could have been recast. We see that happen. But I have huge affection for Marc [Singer], Faye, Jane [Badler] and Bobby [Englund] as well as some supporting players. For me the fun for the audience was having them see the same faces 20 years older. What a rare thing to be able to do that. -

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Faye Grant as Juliet Parrish, Marc Singer as Mike Donovan, and Jane Badler as Diana in V: THE FINAL BATTLE (1984)

2008年10月28日には、『V: THE SECOND GENERATION』と同じ「TOR BOOKS」からA・C・クリスピンによるノベライゼーションが『V: THE ORIGINAL MINISERIES』のタイトルで再出版されています。

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タイトルからもわかるように『V: THE FINAL BATTLE』に当たる部分はカットされ、代わりにジョンソンが『V: THE SECOND GENERAION』へリンクする部分を加筆しています。

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上記のインタビューのあと、『ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン』は『V』のリメイク制作を決定し、ジョンソンの続編制作プランは立ち消えてしまいました…。

「リ・イマジニング」された『V(原題: V)』はABCで2009年11月3日から2011年3月15日まで、全2シーズンが放送されました。
ジョンソンの名前も「原案」としてクレジットされていますが、実際には自分の名前を外すよう「全米脚本家組合(英語: THE WRITERS GUILD OF AMERICA)」に働きかけたほどで、いっさい関わっていません。

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ぼくも予告編や「メイキング」は観たものの、過剰に使用されるCGにうんざりして本編はまったくノーマーク…。

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V (2009)

シーズン2にはダイアナ役でジェーン・バドラーも出演していますが、その設定はオリジナルのダイアナにあたるビジターのリーダー、アナの母親にして先代の女王だそうで、オリジナルとは違うキャラクター。

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Jane Badler as Diana in V (2011)

また最終話にはマーク・シンガーもゲスト出演し、軍の上層部と各国政府のトップで構成されている最高機密組織に属すラーズ・トレモントを演じています。

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Marc Singer as Lars Tremont in V (2011)

予告編を観なおしてみるとプロダクション・デザインやCGはすでに「時代遅れ」だし、アナがネズミを丸飲みするシーンは1983年版の足元にも及ばない…。
改めてオリジナルの「年の取らなさ」を感じます。

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Morena Baccarin as Anna in V (2011)

スタート時の評価はおおむね好評だったようですが、全13話で制作される予定だったシーズン2が10話に短縮されたのちに打ち切られたことから見ても、近年数多く作られているリメイク作品同様、そもそも制作する必要なかった…。

2018年2月6日、アメリカの制作会社『デシル・スタジオ(英語: DESILU STUDIOS INC.)』が映画版『V』の制作を発表。
ジョンソンも「『デシル』と手を組むことによって、時代を超えた-そしてタイムリーな-専制君主に対抗するレジスタンスのストーリーを21世紀に蘇らせられることをうれしく思っています。『V』は私がつねに思い描いていた方法で壮大な物語を伝える映画三部作の最初の作品となります。 "We are delighted to team up with Desilu to bring the timeless—and timely—story of resistance against tyranny into the 21st Century. V will be the first of a cinematic trilogy which will tell the full epic tale in the manner I always envisioned."」と喜びの言葉を寄せていました。

『デシル・スタジオ』の「デシル」は、1951年から1957年までCBSで放送されたシットコム『アイ・ラブ・ルーシー(原題: I LOVE LUCY)』の主人公ルーシー・リカードとその夫リッキーを演じたルシル・ボールとデジ・アーナズ夫妻が1950年に設立した制作会社『デシル・プロダクション(英語: DESILU PRODUCTIONS)』から取られたもの。

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Lucille Ball and Desi Arnaz

『デシル・プロダクション』は、『アイ・ラブ・ルーシー』終了後、1960年の離婚を機にボールがアーナズの権利を買い取ったあとも、1966年から1969年まで放送されたNBCの『宇宙大作戦(原題: STAR TREK)』や、1966年から1973年まで放送されたCBSの『スパイ大作戦(原題: MISSION: IMPOSSIBLE)』など、数々の人気シリーズを制作しました。
その後同社はさまざまなスタジオに買い取られ、社名も次々と変わりましたが、2013年にCharles Hensleyという人物がまったく別の『デシル・スタジオ』を設立します。

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ところが2018年10月、Hensleyが「デシル」の名を使って何も知らない投資家たちに詐欺を働いているとして、同年初頭にHensleyと「デシル」の商標権を巡って法廷で争った経緯のあるCBSがカウンター訴訟を起こしたのです。

このできごとによって映画版『V』のプロジェクトも白紙に…。

でも大丈夫!
まだ大丈夫です!

2019年8月27日、「ワーナー・ブラザーズ」の所有する莫大なライブラリーから「オンデマンド方式」でDVDやBlu-rayの製造・販売をしている「ワーナー・ホーム・ビデオ」部門の1つ「ワーナー・アーカイブ・コレクション(英語: WARNER ARCHIVE COLLECTION)」(以下「ワーナー・アーカイブ」)から、新たなリマスターによる『V: THE ORIGINAL SERIES』Blu-rayがリリースされました。

これを記念し、「ワーナー・アーカイブ」は2019年7月19日-22日にカリフォルニア州サンディエゴで行われた「サンディエゴ・コミコン2019(英語: SAN DIEGO COMIC-CONVENTION 2019)」の初日、「WARNER ARCHIVE CELEBRATES V: THE ORIGINAL MINI-SERIES」と題したパネル(=プレゼンテーション)を開催。

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“V” creator Kenneth Johnson and star Marc Singer appeared on a panel with the Warner Archive team at San Diego Comic Con to promote the new “V:The Original Miniseries” Blu-ray.
"SDCC: THE VISITORS ARE RETURNING AS “V:THE ORIGINAL MINISERIES” MAKES ITS BLU-RAY DEBUT" by Joe Vanourney, CherryLosAngeles the Geek

「ワーナー・アーカイブ」チームが鮮明に生まれ変わった『V: THE ORIGINAL SERIES』のHD映像を上映、ケネス・ジョンソンとマーク・シンガーも登場し、『V: THE ORIGINAL SERIES』の制作秘話を披露しました。
ジョンソンは映画三部作にも触れ、1995年から始まる『ジュマンジ(原題: JUMANJI)』シリーズを手掛けたプロデューサー、テッド・フィールドが制作を統括することや、「プリビズ(英語: PREVISUALIZATION)」(CG映像を制作する前に、完成した状態を確認するためのシミュレーション映像)を紹介。
1作目は1980年代を舞台にした『V: THE ORIGINAL SERIES』のリメイク、続編2作は1作目から35年後の世界を描くそうで、実現すれば、今度はスクリーンでシンガーのマイク・ドノバンを観ることができそうです。

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(L-R): Promoting the upcoming Warner Archive Blu-ray of ‘V: The Original Miniseries,’ actor Marc Singer and creator Kenneth Johnson.
"Warner Archives’ Impending ‘V’ Blu-ray Inspires Reflections on Sci-Fi Miniseries’ Legacy" by John Latchem, Media Play News

『V: THE ORIGINAL SERIES』Blu-rayはDVD同様、80年代アナログテレビの標準アスペクト比だった「1.33:1」ではなく、ワイドスクリーンのアスペクト比「1.85:1」で収録されています。
ジョンソンによると、彼が手掛けた1977年の『超人ハルク』パイロット版がヨーロッパでは劇場公開されたため、その可能性を見すえて『V』では最初からこのアスペクト比を採用していたのだとか。

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またBlu-rayではサウンドトラック(映画のフィルム上における音声が収録されている部分)も新しく生まれ変わりました。
パネルでジョンソンは「DVDの時は『ワーナー』からステレオ・ミックス制作の許可が下りず、サウンドはモノラルだったんだ。今回は完璧なものを作り上げるためにいつもの2倍の時間をかけたよ。 “When they released it on DVD, it had mono sound because Warner wouldn’t let me mix it in stereo. I spent twice as much time doing the sound for this Blu-ray to get it right.”」と振り返っています。
DVD同様、「映像特典」として「メイキング(約25分)」、「音声特典」として「監督ケネス・ジョンソンによる音声解説」が収録されています。

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『V: THE ORIGINAL SERIES』Blu-rayリリースから遅れること約8ヶ月、2020年4月14日には同じ「ワーナー・アーカイブ・コレクション」から『V: THE FINAL BATTLE』Blu-rayもリリースされました。

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2005年10月4日にリリースされたDVDのアスペクト比は上下をクロップした形での「1.85:1」でしたが、Blu-rayは放映時とおなじ「1.33:1」で収録されています。
またBlu-rayには、「映像特典」として2本の予告編「Next on V: The Final Battle – Part 1」と「Next on V: The Final Battle – Part 2」も収録されています。
DVDには「特典」の類がいっさいなかったのでうれしいはうれしいけれど、「コメンタリー」や「メイキング」なども収録してほしかった…。

今のところ日本版のリリース予定はないようですが、どちらも「リージョンフリー」でネット上でも簡単に手に入れることができます。

1984年の『V: THE FINAL BATTLE』の時点で自分の想い描いていたとおりの作品が作れなかったジョンソンの無念を思うとぜひ映画三部作を実現してほしいし、『V: THE ORIGINAL SERIES』のようなよい意味での「重み」のある「完結編」ならぜひ観てみたい。
と同時に、はじめて『V: THE FINAL BATTLE』を観終わった時から今も持ち続けているあの感動を壊されてしまうのではないかという「怖さ」もあり、複雑な気持ちです…。

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kennethjohnson.us

2011年秋に2009年の「リ・イマジニング」版『V』を日本初放送した海外ドラマ専門チャンネル「スーパードラマ!TV」の公式サイトでは、『V: THE ORIGINAL MINISERIES』と『V: THE FINAL BATTLE』を次のように紹介していました。

- ファンを熱狂させた「V」現象再び
1983年から全米NBCネットワークで放送されたオリジナル版第1章の全米視聴率は25.4%!そして日本におけるレンタルビデオの黎明期だった1987年11月6日にVHSビデオでのリリースにて日本上陸。ハマったファンがレンタルした巻を返却すると同時に次の巻を借りる“「V」現象”が発生し、最高で141回、平均で49.25回という、レンタルビデオ・DVD業界において異例の高回転をマーク!後の「ツインピークス」や「X-ファイル」「24」などに先駆け、“貸出し中”の札が外れないという大反響を呼び、日本における「海外ドラマをレンタルビデオで楽しむ」ことの元祖といってもいい作品となった。そして1988年12月からは地上波のゴールデンタイムで放送され、最高22.7%、平均18.5%という高視聴率を記録。“ビデオで先行してヒット→TV放送でも人気”というパターンを、こちらも日本において史上初めて確立した! -

キャストやVFXをはじめ、今振り返ってみると1984年の時点ですでに「80年代SF作品」のすべてが詰まっていた『V: THE ORIGINAL MINISERIES』と『V: THE FINAL BATTLE』。
ぜひ体験してみてください!

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V: THE FINAL BATTLE (1984)

「全5巻7時間38分07秒」は強敵だった…。(06/20/20)


V © 1983 Warner Bros. Inc.
V: THE FINAL BATTLE © 1984 Warner Bros. Inc.
V: THE SERIES © 1984 Warner Bros. Inc.
ALIEN NATION © 1988 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
SHORT CIRCUIT 2 © 1988 TriStar Pictures, Inc. All Rights Reserved.
STEEL © 1997 Warner Bros. Entertainment Inc. STEEL and all related characters and elements are trademarks of and DC Comics. All rights reserved.
TWILIGHT ZONE: THE MOVIE © 1983 Warner Bros. All Rights Reserved.
THE BEASTMASTER © 1982 MGM, Leisure Investment Company
THE DEAD POOL © 1988 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
BLUE THUNDER © 1983 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
MISSION: IMPOSSIBLE © CBS Broadcasting, Inc. All Rights Reserved.
POLTERGEIST © 1982 Warner Bros. Entertainment Inc.
CAST AWAY © 2000 DreamWorks L.L.C. and Twentieth Century Fox Film Corporation.
DIE HARD 2: DIE HARDER © 1990 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
A NIGHTMARE ON ELM STREET © 1984 New Line Productions, Inc.
NORTH BY NORTHWEST © 1959 Turner Entertainment Co.
FROM RUSSIA WITH LOVE © 1963 UNITED ARTISTS CORPORATION & DANJAQ, LLC
INTERNAL AFFAIRS TM, ® & Copyright © 2003 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
PREDATOR 2 © 1990 Twentieth Century Fox Film Corporation.
CELLULAR © 2004 New Line Productions, Inc.
LOS ANGELES 1984 SUMMER OLYMPICS LOGO © 1980 L.A. Olympic Committee
FUTUREWORLD © 1976 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.
INNERSPACE © 1987 Warner Bros. Entertainment Inc. All Right Reserved.
HIGHLANDER 2: THE QUICKENING © 1990 Harat Investments Limited.
TOTAL RECALL © 1990 Carolco Pictures, Inc. All Rights Reserved.
SUPERMAN II © 1981 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
FORCE 10 FROM NAVARONE © 1978 ORION PICTURES CORPORATION
STAR TREK: DEEP SPACE NINE © CBS Studios Inc. All Rights Reserved. STAR TREK and related marks are trademarks of CBS Studios Inc.
STAR TREK: GENERATIONS © TM & Copyright 1994 by Paramount Pictures. All Rights Reserved. STAR TREK and related marks and logos are trademarks of CBS Studios Inc.
INDEPENDENCE DAY © 1998 Twentieth Century Fox Film Corporation.
UPRISING © 2001 Brooklyn Films and Warner Home Video.
V © 2009 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

# by 2moon1 | 2020-06-20 21:00 | movie reviews | Comments(0)

カメラを止めるな!リモート大作戦! (2020)

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CREDIT
監督・企画・脚本・編集 上田慎一郎
プロデューサー 上田慎一郎、市橋浩治
ラインプロデューサー 鈴木伸宏
製作 津上里奈、ふくだみゆき
音楽・主題歌 鈴木伸宏、伊藤翔麿
オープニングアニメーション ふくだみゆき ビジュアルデザイン リック
エンドロールダンス振付 浅森咲希奈 エンドロール編集 松本純弥
出演 濱津隆之、しゅはまはるみ、真魚、大沢真一郎、どんぐり、秋山ゆずき、市原洋、長屋和彰、細井学、山口友和、浅森咲希奈、吉田美紀、合田純菜、藤村拓矢、生見司織、佐渡未来、眼鏡太郎、白岡優、久場寿幸、山本真由美、林奏絵、曽我真臣
主題歌「Your Operation」 謙遜ラヴァーズ feat. 村上杏奈/小西桃代/小林未沙/エモジエマ(Off Jit)/キノリユノ(Off Jit)
主題歌ミックス & マスタリング 山本真義
制作 PANPOKOPINA
製作協力 ENBUゼミナール
公開 2020年5月1日(YouTube)
上映時間 本編26分

STORY
新型ウイルスの感染拡大で外出自粛を余儀なくされている日本。そんな中、自宅の映像ディレクター・日暮の元に笹原、吉沢の両プロデューサーからビデオ電話がかかってくる。「今月中に再現ドラマを1本作って欲しい」という無茶ぶり……。「今は撮影できる状況じゃないですよ」と渋る日暮に、驚きの返答が返ってくる。「スタッフキャスト全員、一度も会わずに作ります」。かくして”完全リモート”での映像制作が始まった。

* 『YouTube』より

REVIEW
また会えたー!

前2作に引き続き、ほんとうにすごい!
お見事!

2020年4月13日の「緊急制作発表」からわずか18日後の5月1日18時に動画共有サービス『YouTube』 で公開がはじまった「異例中の異例」の作品。

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2017年公開の『カメラを止めるな!』と2019年の『カメラを止めるな!スピンオフ ハリウッド大作戦!』では「長―いワンカット」に挑んでいましたが、「STORY」にもあるように、本作ではスタッフ・キャストが一度も顔を合わさない「完全リモート」に挑み、キャストによるスマートフォンでの自撮り映像を上田慎一郎監督が受け取り、編集を行ったのだそうです。

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カメラを止めるな!リモート大作戦! (2020)

「緊急制作発表」から3日後の4月16日には『Twitter』の公式アカウント「映画『カメラを止めるな!』公式 リモ止め制作中!」が、「応募者全員参加!\\エンドロールに参加しよう//」、そして「『カメラを止めるな!リモート大作戦!』出演者も大募集です!!」と続けてツイートし、「ダンス動画」と「こちょこちょされて大笑いする10秒程の動画」の一般募集を開始。

『YouTube』の概要欄によると、前者には日本だけでなく、韓国、カナダ、カンボジアからも動画が届き、305人が出演、後者からは20人以上の動画が採用されているとのこと。

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まず感じたのは、オープニングで濱津隆之さん演じる映像ディレクター日暮、大沢真一郎さん演じるラインプロデューサー小沢、そしてどんぐりさん演じる番組プロデューサー笹原の3人が行う「リモートミーティング」の中の笹原のセリフと同じく「はー えらい時代になったなあ」…。

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カメラを止めるな!リモート大作戦! (2020)

いやーほんとに…。

1990年代の終わりから2000年代のはじまりにかけてまだ映像制作をしていたぼくは、ロサンゼルスで働いていたカフェでアート作品や写真の個展が開かれるたびに、それらが「壁などに展示すれば楽しんでもらえる」ことをうらやましく思っていました…。

映像作品の場合、上映のための機材の都合もさることながら、カフェでは音を流すのも難しく、楽しみ方には限度がありました。

上映以前に映像制作そのもののハードルも高かった…。

でもその後約20年を経て、映像を取り巻く環境は大きく変わりました。

ざーっくりたどってみると…。

2005年11月15日にアメリカで『YouTube』がスタート。
映像クリエイターたちが作品の発表の場として利用したり、小規模・中小企業の経営者たちが自分のビジネスのCMや映像資料をアップロードしたり、さらに多くの人たちが違法なものもふくめたさまざまな映像をアップロードしはじめたことで、『YouTube』は巨大な「映像アーカイブ」の体を成してゆきました。

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翌年にはさまざまな大企業や団体による利用もはじまり、ほかの動画共有サービスもスタートします。

2007年1月には「アップル(英語: APPLE INC.)」がスマートフォン「iPhone」の発売を開始。
翌2008年10月には、初の商用「Android」端末「T-Mobile G1」が「T-Mobile US」から発売されます。
どちらも年を追うごとに進化し、2010年の「アップル」の「iPad」を皮切りに、「タブレット型コンピューター」も続々登場。

『Netflix』、『hulu』や『Amazon プライム・ビデオ』などのビデオ・オン・デマンド方式の配信サービスも次々とスタートしました。

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2011年4月からは『YouTube』の「YouTubeパートナープログラム」が一般ユーザーにも開放され、「YouTuber」が急増。

一般生活レベルにおけるネット環境が少しずつ整っていくのと同時にスマートフォン、タブレット型コンピューターやラップトップパソコンなども普及し、それぞれに対応する映像編集用ソフトも安価、もしくは無料で手に入るように。

さまざまな仕様のカメラ、ドローン、スタビライザーや照明などの価格も、かつては想像できなかったほどに下がってゆきました。

2020年現在では、構図、照明や編集による表現技術の有無はさておき、画質について言えばプロとアマの間に差はほとんどありません。

そもそも、スマートフォン1台あれば、撮影したものをそのまま、『YouTube』などの動画共有サービスはもちろん、『Facebook』、『Twitter』や『Instagram』などのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にも投稿することができます。

こんな感じで、カフェ時代の話が嘘のように、映像はかつてのブログにすっかり取って代わりました。

「外出自粛」というなかなか動かせない状況というのもあるけれど、『カメラを止めるな!リモート大作戦!』は、これらすべてがたどり着いた1つの「答え」でもあるのかなと思います。

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さて、本作に登場するキャラクターたちも、「外出自粛」という、2020年5月3日現在ぼくらが「リアル」に体験している同じ状況下にいます。
さらに一般の人たちの出演、劇中『YouTube』へアップロードした作品をスマートフォンで観ているメインキャラクターたちと、それを同じようにスマートフォン上の『YouTube』で観ている多くのぼくたち…。
ここまで作品を身近に、もっと言うと作品に参加しているように感じられることはこれまでなかった気がする…。

あらゆる点で「進行形」なので、真魚さん演じる日暮真央のクライマックスの「リモート打ち上げ」でのセリフ、そして通信を終えたあとの父親隆之の表情と最後のセリフには、「お涙ちょうだい」ではなく素直に胸を打たれました…。

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カメラを止めるな!リモート大作戦! (2020)

音楽は前2作を担当した鈴木伸宏さんと伊籐翔麿さんによるユニット『謙遜ラヴァーズ』が手掛け、本シリーズのオープニングの「お約束」、日暮へのズームインとともに「zombeat」も流れます。
やっぱこれがないと『カメ止め!』ははじまらない!

そしてエンドロールの歌「Your Operation」も、タイトルからして本作の制作過程そのもの。
一般募集したダンスと相まって現在の「リアル」の先にある希望を感じさせてくれるし、前2作同様、作品をさわやかに送り出してくれて、またまた、また、感動しました…。
早く手に入るようにならないかな…。

「エンドロールダンス振付」の浅森咲希奈さん、おつかれさまでした!

とても5日間で終わらせたとは思えないほど全編を通してに編集がすばらしく、ストーリーを伝えるのに必要な間とテンポが光ってました。

新型コロナウイルスのパンデミックによって映画館の閉鎖が続く中、劇場公開の機会を逃した作品に対する救済措置として「米映画芸術科学アカデミー(英語: ACADEMY OF MOTION PICTURE ARTS AND SCIENCES = AMPAS)」は2020年4月28日、「一時的な措置として2021年の第93回アカデミー賞においてはストリーミングのみで公開された作品も対象にする」と発表しました。
日本のアカデミー賞には「短編実写映画賞(英語: ACADEMY AWARD FOR BEST LIVE ACTION SHORT FILM)」はないけれど、今後「日本アカデミー賞協会」がアメリカと同様の措置を取るのであれば、ぜひ本作も選考対象にしてただきたい…。

なーんてね…。
いやーでもそのくらい楽しくて、心地よい時間でした…。

上田監督が『YouTube』の概要欄にコメントを寄せています。

- 新型コロナウイルスの感染拡大。未曾有の事態に世界中が不安に包まれています。外出自粛要請、感染への不安により「人に会えない」状況が続いています。いま、自分にできること。それはやはり「明るいエンターテイメン ト」を創って、それを楽しんでもらうことだと思いました。いま下を向いている誰かに前を向いてもらいたい。そんな想いから本作を創り始めました。また、現在、仕事を失い生活の危機に瀕しているクリエイターが沢山います。そんな人達に「人と会えない状況でも知恵 と工夫でものづくりは出来る」と前を向いてもらいたい。完全リモート制作の本作が、誰かにとって「新たな仕事を創出するヒント」になればとも思いました。
そんな想いから作り始めた本作。とにかく愉快痛快な楽しい映画を!と作ったんですが。自分自身、編集をしながら涙が止まらなくなってしまった場面が2箇所ありました。いつの間にか、今自分が考えていること、抱え込んでいる想いが染み込んでいました。半分は誰かの娯楽のために。半分は自分を救うために。この作品を創ったんだと思います。
この作品が誰かの気分を少しでも明るくすることが出来ますように! -

ぼくの大好きなリチャード・ドナー監督に似たやさしい監督さんですな。

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濱津隆之さんもコメントを発表しています。

- 一足お先にちょろりと拝見させて頂きました。完全リモート、完全自撮りならではの粗さもまた、面白味の一つになっていたり。取り敢えず、何も考えずにただただ笑ってくれたらと思います -

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カメラを止めるな!リモート大作戦! (2020)

「完全リモート」という困難を逆手に取って制作を決意し、動き出してくれた上田監督をはじめ、それに応え、完全自撮りの中演技をしてくださったキャストや、短い制作期間での完成を可能にしたスタッフのみなさん、前2作に引き続き、さわやかなやさしさのあふれた作品をありがとうございました!

たくさんの映画がビジネス的なリスクを回避するためのあらゆる計算をし尽くした上でしか制作されなくなってからずいぶんと時が経ちますが、そういうところとまったく別の場所で笑顔で飄々(ひょうひょう)としている上田監督作品群のような映画が、やっぱりみんな好きなんだと思います。

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カメラを止めるな!リモート大作戦! (2020)

次にまたこのチームに会うのが楽しみだ…。

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前2作の撮影監督曽根剛さんの書かれた『低予算の超・映画制作術 「カメラを止めるな!」はこうして撮られた』も早く読まなきゃ…。

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「じゃー また 現場で」

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上田監督にならって、鑑賞後なるべく早めに考えをまとめて書き出してみたものの、やっぱり時間かかっちゃった…。
(05/03/20)


© カメラを止めるな!リモート大作戦!

# by 2moon1 | 2020-05-03 17:00 | movie reviews | Comments(0)