LIVING A BOY'S ADVENTURE TALE2022-09-15T01:07:11+09:002moon1「映画監督」を目指し(だけじゃないんだけどね…。)、14年間LAに住んでいた僕の周りで起こる様々な「冒険」をお届けします。Excite BlogTHE ROCKETEER (1991)http://team.exblog.jp/31626234/2020-10-02T21:00:00+09:002020-10-12T19:27:40+09:002020-09-02T22:52:13+09:002moon1movie reviews
以下は、漫画に関する雑誌の出版社「TWOMORROW PUBLISHING」から2001年11月に発行された『COMIC BOOK ARTIST』第15号の、『ロケッティア』の作者でイラストレーター兼コミック・ブック・アーティストのデイヴ・スティーヴンスへのJon B. Cookeによるインタビュー「Of Hollywood & Heroes Rocketeer creator Dave Stevens on his life as an artist」をベースに、1991年7月12日発行の雑誌『エンターテインメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)』の「Behind the scenes of 'The Rocketeer' How the dazzling visuals and streamlined style of the new Disney film got to the big screen」、アメリカのホラー、ファンタジー、SF映画雑誌『CINEANTASTIQUE MAGAZINE』1991年8月号や、ポップカルチャー情報を発信しているウェブサイト『LOOPER』に2020年6月18日にポストされた、コミック・ライターChris Simsよる「The untold truth of The Rocketeer」などを参照し、構成しています。
本作のストーリーが展開する「1938年」はジョージ・ルーカス原案・製作総指揮、スティーヴン・スピルバーグ監督による1989年の大ヒット「冒険活劇」シリーズ第3作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(原題: INDIANA JONES AND THE LAST CRUSADE)』と同じだし、本作の主人公たちが立ち向かうのも「ナチス(=国家社会主義ドイツ労働者党)」。
「冒険活劇」にとって最高の時代です!
ちなみに1938年4月18日には「DCコミックス(英語: DC COMICS)」の前身である「ナショナル・アライド・パブリケーションズ(英語: NATIONAL ALLIES PUBLICATIONS)」から漫画雑誌『アクション・コミックス(英語: ACTION COMICS)』が創刊され、漫画原作者ジェリー・シーゲルとコミック・ブック・アーティストのジョー・シャスターの生み出した『スーパーマン(原題: SUPERMAN)」の第1話が掲載されています。
アメリカの伝説的コミック・ブック・アーティスト、ラス・マニングによる『ターザン(原題: TARZAN)』や『スター・ウォーズ(原題: STAR WARS)』などのコミック・ストリップ(新聞連載漫画)のペン入れを担当し、アーティストとしてのキャリアをスタートさせました。
70年代後半には数々のテレビ・アニメーションを制作した「ハンナ・バーべラ・プロダクション(英語: HANNA-BARBERA PRODUCTIONS)」でストーリーボード・アーティストとして活躍。
その後、1981年のシリーズ第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(原題: RAIDERS OF THE LOST ARK)』や1982年のマイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオ『スリラー(原題: THRILLER)』などのストーリーボードを手がけました。
From the first character sketches, I always viewed it in my mind's eye as a film. I never really looked at it as just words and pictures on paper. I saw it and I heard it in my head. So for me, it was always a film. -
最初に映画化に動きだしたのは、1981年のシリーズ第2作『13日の金曜日 PART2(原題: FRIDAY THE 13TH: PART 2)』、その翌年のシリーズ第3作『13日の金曜日 PART3(原題: FRIDAY THE 13TH PART 3)』や、1986年のシリーズ第1作『ガバリン(原題: HOUSE)』などの監督として知られるスティーヴ・マイナー。
... because I really felt they had the right sensibility for it; they came from the same roots as me. They understood what I was reaching for. -
ロサンゼルス生まれのダニー・ビルソンとニューヨーク州バッファロー生まれのポール・デ・メオは、カリフォルニア州立サンバーナーディノ校(英語: CALIFORNIA STATE UNIVERSITY, SAN BARNERDINO=CSUSB)で演劇を専攻し、そこで出会いました。
その後2人はファンタジー・SF専門の制作会社「ペット・フライ・プロダクションズ(英語: PET FLY PRODUCTIONS)」を設立します。
「エンターテインメント」に徹した作品を得意とするコンビで、アメリカCBS(COLUMBIA BROADCASTING SYSTEM)で1990年9月20日から1991年5月18日まで全22エピソードが放送された「DCコミックス」の『ザ・フラッシュ(原題: THE FLASH)』の実写版ドラマ・シリーズ『超音速ヒーロー ザ・フラッシュ(原題: THE FLASH)』の生みの親でもあります。
ドラマ・シリーズは未見だけど、日本劇場未公開作品を扱う「ワーナー・ホーム・ビデオ」の「CUE」レーベルからリリース/レンタルされてたパイロット版『最新・最強・最速のヒーロー / ザ・フラッシュ(原題: THE FLASH)』好きだったなー…。
2人は2004年2月17日にアメリカのコンピューターゲーム販売企業「エレクトロニック・アーツ(英語: ELECTRONIC ARTS INC.)」からリリースされた「プレイステーション2」、「ゲームキューブ」、そして「ゲームボーイアドバンス」対応のTPSゲーム『007/エヴリシング・オア・ナッシング(原題: JAMES BOND 007: EVERYTHING OR NOTHING)』の脚本も手がけています。
なかなか難しかったけど、1番遊んだ「プレステ2」のゲームだったなー…。
なつかしー…。
同じ1985年、2年後にスピルバーグが製作総指揮としてノンクレジットで参加した『ハリーとヘンダスン一家(原題: HARRY AND THE HENDERSONS)』を監督することになるウィリアム・ディアが、スティーヴンス、ビルソン、そしてデ・メオにアプローチします。
This was 1986, long before Batman or Dick Tracy or anything similar. In those days, no studio was interested at all in an expensive comic book movie. We got there about three years too early for our own good! -
アメリカ、テキサス州生まれのジョンストンは、1977年7月にジョージ・ルーカスが「インダストリアル・ライト&マジック(INDUSTRIAL LIGHT & MAGIC=ILM)」を創設した時からのメンバーで、VFXアーティストとして1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV – A NEW HOPE)』に登場する「ミレニアム・ファルコン」、「デス・スター」や「Xウイング・スター・ファイター」などのデザインに参加。
1980年のシリーズ第2作『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(原題: STAR WARS: EPISODE V – THE EMPIRE STRIKES BACK)』ではVFXアートディレクターとしても活躍し、「AT-ATウォーカー」、「ヨーダ」や「ボバ・フェット」などをデザイン。
同じくVFXアーティスト/VFXアートディレクターとして参加した1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』で、「第52回アカデミー賞(英語: THE 54TH ACADEMY AWARDS)」の「視覚効果賞(英語: BEST VISUAL EFFECTS)」を受賞。
さらに1983年のシリーズ第3作『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE VI – RETURN OF THE JEDI)』でもVFXアートディレクターとして「イウォーク」などをデザインしました。
Joe Johnston, in the Lucasfilm Archives, sometime in the late 80s.
1984年、自分の仕事に疑問を抱きはじめたジョンストンに対し、ルーカスは研修休暇の形で「南カリフォルニア大学(英語: UNIVERSITY OF SOUTHERN CALIFORNIA=USC)」の「映画芸術学部(英語: CINEMATIC ARTS)」に通うことを勧めました。
ジョンストンは助言に従い、ルーカスは授業料と学校に通っている間のジョンストンの給与も支払っています。
なので、ジョンストンがそれまでとはだいぶ毛色の違う、「マーベル・シネマティック・ユニバース(英語: MARVEL CINEMATIC UNIVERSE=MCU)」の第5作品目となった2011年の『キャプテン・アメリカ』シリーズ第1作『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー(原題: CAPTAIN AMERICA: THE FIRST AVENGER)』の監督だと知った時には正直ちょっとびっくりした…。
Joe really had to fight the studio for him, because understandably, they wanted a ‘name’ actor. So Billy was a longshot in many respects, but he really came through, God bless him. -
Billy Campbell as Cliff Secord/The Rocketeer in THE ROCKETEER (1991)
ケリー・プレストンやダイアン・レインも候補に挙がっていたクリフの恋人で女優の卵のジェニー・ブレイクには、スクリーン・デビュー作、セルジオ・レオーネ監督の1984年の一大叙事詩『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ(原題: ONCE UPON A TIME IN AMERICA)』でかわいいおしりを見せてくれたジェニファー・コネリー!
Jennifer Connelly as Jenny Blake in THE ROCKETEER (1991)
Robert Guy Miranda as Spanish Johnny, Paul Solvino as Eddie Valentine, and John Lavachielli as Rusty in THE ROCKETEER (1991)
テリー・オクィンが演じた大富豪の実業家ハワード・ヒューズは実在した人物。
Terry O'Quinn as Howard Hughes in THE ROCKETEER (1991)
本作では政府に依頼されて極秘裏にロケット・パック「シラス-X3」を開発したという夢のある設定になっていますが、ヒューズは本当に飛行機が大好きで、1935年には航空機製造会社「ヒューズ・エアクラフト・カンパニー(英語: HUGHES AIRCRAFT COMPANY)」を設立しています。
彼が飛行機にかけた情熱の集大成「ヒューズ H-4 ハーキュリーズ(英語: HUGHES H-4 HERCULES)」、別名「スプルース・グース(英語: SPRUCE GOOSE)」は、1947年の完成当時、世界最大の航空機でした。
Hughes H-4 Hercules "Spruce Goose" lifts above the waters of Long Beach Harbor on November 2, 1947.
劇中、クリフがヒューズの研究所から逃げ出す際にグライダー代わりに使ったのがこの「ヒューズ H-4 ハーキュリーズ」のモデルで、そのフライトを見たヒューズが微笑みながら言う「やつは飛ぶぞ! “That son of a bitch WILL fly!”」には二重の意味があるんですねー。
ドラマチックなヒューズの生涯は、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ出演の2004年の伝記映画『アビエイター(原題: THE AVIATOR)』で描かれています。
I gave the production designer [Jim Bissell] and his two art directors my entire reference library-everything I had: Blueprints for hangers and bleachers, schematics for building the autogyro, photos and drawings of the Bulldog Café, field uniforms for the air circus staff, contacts for the vintage planes we'd need, including securing the Gee Bee itself. Virtually everything of the period I either had or knew where to find it. So they literally just took the reference and built the sets.
I remember the helmet was a real problem at first. Disney wanted to change it completely. [Disney executive Michael] Eisner wanted a straight NASA-type helmet. They wanted to update the whole thing anyway, in the beginning. But fortunately for all of us, Joe told them that if they changed the helmet at all, then it was no longer The Rocketeer and he would not be interested in directing. He really stuck to his guns. So they acquiesced and tried to generate a couple of prototype helmets on their own and everyone thought they just looked terrible. I told Joe, "Look, let me get with my sculptor, give us a week and I promise we'll come up with something you can shoot." He thought about it for a second and said, "Okay." That was a major leap of faith too, because we were right down to the wire, due to start shooting in days, and getting the helmet was crucial to the context of the film (not to mention the overall importance of it as a necessary visual to market the film)-it had to be perfect! There was no room for mistakes at all. So I immediately had a cast made of our main stuntman's head, grabbed my good friend Kent Melton (who had already done the bronze Rocketeer statue) and we proceeded to brainstorm at his studio with my sketches and his expertise and came back with a helmet that really worked, from all angles. We brought it in, showed it to Joe and he smiled and said, "That's definitely the comic book! -
そんな『ロケッティア』の紙上の世界を忠実に再現したプロダクション・デザイナー、ジム・ビセルは、スピルバーグ監督の1982年の『E.T.(原題: E.T. - THE EXTRA-TERRESTRIAL)』で「第36回英国アカデミー賞(英語: 36TH BRITISH ACADEMY FILM AWARDS)」の「ベスト・プロダクション・デザイン/アート・ディレクション(英語: BEST PRODUCTION DESIGN/ART DIRECTION)」にノミネートされ、スピルバーグ制作による1983年の『トワイライト・ゾーン/超次元の体験(原題: TWILIGHT ZONE: THE MOVIE)』、1987年の『ハリーとヘンダスン一家』や1989年の『オールウェイズ』にも参加した、「スピルバーグ組」の初期の常連。
本作のあとには1995年の『ジュマンジ』でふたたびジョー・ジョンストン監督と組んでいます。
いつまでも色あせない『ロケッティア』のVFXは前述の「ILM」によるもの。
スピルバーグ製作総指揮による1985年のシリーズ第1作『バック・トゥ・ザ・フューチャー(原題: BACK TO THE FUTURE)』から2007年の『ベオウルフ/呪われし勇者(原題: BEOWULF)』まで、2000年の『ホワット・ライズ・ビニース(原題: WHAT LIES BENEATH)』をのぞくすべてのロバート・ゼメキス監督作品に参加してきたケン・ラルストンがVFXスーパーバイザーを務めています。
1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』、1984年の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(原題: INDIANA JONES AND THE TEMPLE OF DOOM)』、そして1989年の『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』の撮影監督ダグラス・スローカム。
1993年の『シンドラーのリスト(原題: SCHINDLER’S LIST)』以来すべてのスピルバーグ作品に参加している撮影監督ヤヌス・カミンスキーは、2008年のシリーズ第4作『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国(原題: INDIANA JONES AND THE KINGDOM OF THE CRYSTAL SKULL)』でスローカムのスタイルを継承しました。
映画製作者向けの業界紙「AMERICAN CINEMATOGRAPHER」の2008年6月号に掲載された「Vintage Indy Janusz Kaminski revives an action icon with Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull」の中で、カミンスキーは次のように語っています。
An Indiana Jones film has to have that glossy, warm look with strong, high-key lighting. It’s suspenseful but not too dark — you always see things clearly. -
撮影監督ヒロ・ナリタが『ロケッティア』で見せてくれた映像にもこの言葉はぴったり当てはまります。
日本人の両親のもと韓国に生まれたナリタは、1957年ハワイに移住。
1960年に奨学金を使って「サンフランシスコ芸術大学(英語: SAN FRANCISCO ART INSTITUTE)」に進み、グラフィック・デザインを専攻。
1964年に卒業すると、デザイン会社勤務を経てテレビ業界に入り、その後映画界へ。
カメラ・オペレーターとしてフランシス・フォード・コッポラ監督の1979年の『地獄の黙示録(原題: APOCALYPSE NOW)』や、ルーカス製作総指揮による1979年のシリーズ第2作『アメリカン・グラフィティ2(原題: MORE AMERICAN GRAFFITI)』に参加。
Walter Koenig as Pavel Chekov, George Takei as Hikaru Sulu, DeForest Kelley as Leonard McCoy, Nichelle Nichols as Uhura, William Shatner as James T. Kirk, James Doohan as Montgomery Scott, and Leonard Nimoy as Spock in STAR TREK VI: THE UNDISCOVERED COUNTRY (1991)
すばらしい編集術でハラハラドキドキのクライマックスを組み立ててくれたのは、1985年の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で組んで以来、2000年の『キャスト・アウェイ(原題: CAST AWAY)』までのすべてのロバート・ゼメキス監督作品に参加してきたアーサー・シュミット。
この中で、スピルバーグ製作総指揮による1988年の『ロジャー・ラビット(原題: WHO FRAMED ROGER RABBIT)』と、スピルバーグは関係ないけれど1994年の『フォレスト・ガンプ/一期一会(原題: FORREST GUMP)』で、それぞれ「第61回アカデミー賞」と「第67回アカデミー賞」の「最優秀編集賞(英語: BEST FILM EDITING)」を受賞しています。
4週間半で書き上げた1982年の劇場版シリーズ第2作『スタートレック2 カーンの逆襲(原題: STAR TREK II: THE WRATH OF KHAN)』によって映画音楽作曲家としての地位を確立したホーナーは、その後も1982年のシリーズ第1作『48時間(原題: 48 HRS.)』、1984年の劇場版シリーズ第3作『スタートレック3 ミスター・スポックを探せ!(原題: STAR TREK III: THE SEARCH FOR SPOCK)』、1985年の『コマンドー(原題: COMMANDO)』、シリーズ第1作『コクーン(原題: COCOON)』、1986年のシリーズ第2作『エイリアン2(原題: ALIENS)』、スピルバーグ製作総指揮の1987年の『ニューヨーク東8番街の奇跡(原題: *BATTERIES NOT INCLUDED)』、1988年の『ウィロー』、『レッド・ブル(原題: RED HEAT)』、シリーズ第2作『コクーン2/遥かなる地球(原題: COCOON: THE RETURN)』、1989年の『フィールド・オブ・ドリームス(原題: FIELD OF DREAMS)』などなど、80年代を代表する数々の名作にスコアを提供しました。
2週間以下で書き上げたジェームズ・キャメロン監督との初コラボレーション作品『エイリアン2』で、「第59回アカデミー賞」の「作曲賞(英語: BEST ORIGINAL SCORE)」に初ノミネート。
80年代、90年代には、1986年のシリーズ第1作『アメリカ物語(原題: AN AMERICAN TALE)』、1988年の『リトルフット(原題: THE LAND BEFORE TIME)』、1991年のシリーズ第2作『アメリカ物語2/ファイベル西へ行く(原題: AN AMERICAN TALE: FIEVEL GOES WEST)』、1993年の『恐竜大行進(原題: WE’RE BACK! A DINOSAUR’S STORY)』や1995年の『キャスパー(原題: CASPER)』など、スピルバーグの製作会社「アンブリン・エンターテインメント(英語: AMBLIN ENTERTAINMENT)」による多くの「ファミリー映画」も手がけています。
『ロケッティア』は1989年の『ミクロキッズ』に次ぐジョンストンとの2度目のコラボレーションで、日本劇場未公開だった1994年のライブアクション/アニメーション・ファンタジー・アドベンチャー『ページマスター(原題: THE PAGEMASTER)』、1995年の『ジュマンジ』へと続きます。
キャメロン監督との2度目のコラボレーション作品、1997年の『タイタニック(原題: TITANIC)』で、「第70回アカデミー賞」の「作曲賞」と、ソングライターのウィル・ジェニングスとともに「歌曲賞(英語: BEST ORIGINAL SONG)」を受賞したことは記憶に「比較的」新しいところ。
セリーヌ・ディオンの歌う主題歌『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン(原題: MY HEART WILL GO ON)』は当時ロサンゼルスのFMで毎日何度も何度も流れてたもんなー…。
正直ちょっと飽きちゃったもん…。
こちらも挙げるときりがないんだけど、2011年1月にアメリカのレーベル「INTRADA RECORDS」から「INTRADA SPECIAL COLLECTION VOLUME 155」としてようやくリリースされた『48時間』のサウンドトラック『48 HRS.』の1曲目「Main Title」、2003年12月2日に「VARESE SARABANDE RECORDS」からリリースされた『コマンドー』のサントラ『COMMANDO: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の1曲目「Prologue/Main Title』、そして1988年にイギリスのレーベル「VIRGIN RECORDS」からリリースされた『レッド・ブル』のサントラ『RED HEAT: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の5曲目「TAILING KAT / THE SET UP」はほんとそっくり…。
でも、どれもめちゃくちゃかっこいいんだよなー…。
『スタートレック2 カーンの逆襲』と『コクーン』、もしくは『ニューヨーク東8番街の奇跡』を足して2で割った感じで、そんな「コピペ感」もゼロではないけれど、1991年5月26日に「HOLLYWOOD RECORDS」からリリースされた『THE ROCKETEER: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』は本当にすばらしい!
ホーナーとは『コクーン』シリーズや『ニューヨーク東8番街の奇跡』などでも組んでいるアメリカの作曲家、アレンジャー、そしてトランぺッターのビリー・メイがアレンジしたビッグバンドによる2曲の挿入歌「Begin The Beguine」と「When Your Lover Has Gone」も収録されていて、1枚のアルバムとして映像抜きでも楽しめます。
耳にじつに心地いいんです…。
2015年6月22日、ホーナーの操縦していた飛行機がカリフォルニア州ヴェンチュコパ近くの「ロス・パドレス国立森林公園(英語: LOS PADRES NATIONAL FOREST」に墜落、61歳で亡くなられました…。
また1人、いつまでも耳に残るメロディラインが書ける映画作曲家がいなくなってしまった…。
1995年の前作『バットマン フォーエヴァー(原題: BATMAN FOREVER)』が大好きだったので当然楽しみに観に行ったのだけれど、感想は「ムムム…」だった…。
スタッフは前作とほぼ同じだったのに…。
「最低映画」を選んで表彰する「第18回ゴールデンラズベリー賞=ラジー賞(18TH GOLDEN RASBERRY AWARDS)」では最多の11部門にノミネートされ、バーバラ・ウィルソン/バットガールを演じたアリシア・シルヴァーストーンが「最低助演女優賞(英語: WORST SUPPORTING ACTRESS)」を受賞…。
「ラジー賞」と類似の「第20回スティンカーズ最悪映画賞(英語: 20TH STINKERS BAD MOVIE AWARDS)」でも「最低作品賞(英語: WORST PICTURE)」、ジョエル・シュマッカー監督が「最低監督賞(英語: WORST DIRECTOR)」、アリシア・シルヴァーストーンが「最低助演女優賞」を、脚本のアキヴァ・ゴールズマンが「興行収入1億ドルを超えた最低脚本賞(原題: WORST SCREENPLAY FOR A FILM GROSSING OVER $100M WORLDWIDE USING HOLLYWOOD MATH)」を受賞…。
「スティンカーズ最悪映画賞」が2001年1月1日に発表した「20世紀最悪映画100本(英語: 100 YEARS, 100 STINKERS)」では、2000年の『バトルフィールド・アース(原題: BATTLEFIELD EARTH)』、1999年の『ワイルド・ワイルド・ウェスト(原題: WILD WILD WEST)』に次ぐ第3位にランクイン…。
ぼくの「ムムム…」は間違ってはいなかったようで…。
このような結果となってしまった原因は、上に書いたような「関連グッズ」の多さ、つまり「ワーナー・ブラザーズ(英語: WARNER BROS.)」が進めた「ムービー・マーチャンダイジング(キャラクターの商品化にとどまらず、原作、音楽から広告デザインまでふくめた多角的、総合的なイメージの商品化)」の展開、にありました。
ティム・バートン監督による1992年のシリーズ第2作『バットマン リターンズ(原題: BATMAN RETURNS)』は興行的に成功し、批評家からも好意的な評価を得ました。
2005年10月18日に「ワーナー・ホーム・ビデオ」からリリースされた『BATMAN & ROBIN Mr. フリーズの逆襲! スペシャル・エディション(原題: BATMAN & ROBIN: TWO-DISC SPECIAL EDITION)』DVDに収録されている「映像特典」の1つ「コウモリの影 パート6:解放されたバットマン(原題: SHADOWS OF THE BAT PART 6: THE CINEMATIC SAGA OF THE DARK KNIGHT- BATMAN UNBOUND)」では、シュマッカーが前作との境遇の違いについて話しています。
Now of course everyone wanted to be involved, so it was the opposite from Batman Forever when we had to go around and convince everybody to come along with us, we were going to make a Batman movie. And this was how can we stop everybody, you know what I mean, it was everybody and their mother wanted to have their franchise in the movie and be part of it and, and it was a very very different experience. -
It was evolving, I mean, it was, I don’t think we were publicly saying, okay, we’re making another one. We’re going straight into the next one, as it turned out we did pretty go into the second set of the fourth one, second one for us almost without a break. -
前作から引き続いてディック・グレイソン/ロビンを演じたクリス・オドネルは、制作に入るのが早すぎたのではないかと指摘します。
以下は、2015年6月9日にアメリカCBS(英語: CBS BROADCASTING INC.)の『エンターテインメント・トゥナイト(英語: ENTERTAINMENT TONIGHT)』のウェブサイトにポストされたStacy Lambeの「'Batman Forever' 20 Years Later: Chris O'Donnell Looks Back on the Franchise」からの抜粋です。
I thought Forever was terrific. I really thought it was well made. With Batman & Robin, I think Warner Bros. got piggy. It was too soon. ... There needs to be a certain amount of time before people had the appetite, “I need another Batman.” We had just finished and all of a sudden it was, like, boom here’s another one. There was a lot of waste. I felt it wasn’t tight and it wasn’t thought out. People just got greedy. That being said, I had a great time doing it. -
In Batman & Robin, there was a real desire at the studio to keep it more family friendly, more kid friendly, and, a word I’d never heard before, more toyetic, which means that what you create makes toys that can sell.
We involved the toy company. We let them look and be involved in how the Batmobile was going to look, how Batman‘s gadgets were going to be, which they wanted - this is a key to them - they needed a lot of lead time. –
ハリウッドの老舗業界紙『ハリウッド・リポーター(英語: THE HOLLYWOOD REPORTER)』のウェブサイトは、本作公開から20年後の2017年6月20日、Aaron Couchによる本作スタッフへのインタビュー『'Batman & Robin' at 20: Joel Schumacher and More Reveal What Really Happened』をポストしました。
If there's blame to be had, Schumacher accepts it all. But he also feels bad that he may have let down his cast and crew, who he feels did strong work.
"All I'm going to say is I was a big boy. I chose to do it. I don't think I did my best job. That really bothers me," Schumacher says. -
ほかの出演作や前作の撮影現場でも周囲との衝突を繰り返していたと言われているキルマーですが、実際なにが起こったのか、シュマッカーが明かしています。
以下はアメリカのポップカルチャー専門誌「エンターテインメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)」のウェブサイトに1996年5月3日にポストされた、Rebecca Ascher-Walshの「Val Kilmer makes enemies in Hollywood」からの抜粋です。
When Kilmer signed to do Batman Forever two years ago, Schumacher braced himself. “I had heard horror stories about Val and was warned not to hire him,” he says. “But I have heard that about many talented people, hired them anyway, and had no problems whatsoever.”
This time, Schumacher was less fortunate. After a couple of weeks of shooting, Kilmer’s behavior had eroded to the point where Schumacher says he and Kilmer “had a physical pushing match. He was being irrational and ballistic with the first AD, the cameraman, the costume people. He was badly behaved, he was rude and inappropriate. I was forced to tell him that this would not be tolerated for one more second. Then we had two weeks where he did not speak to me, but it was bliss.” As for Kilmer’s absence from Batman and Robin, which starts shooting this August, “he sort of quit, we sort of fired him,” says Schumacher. “It probably depends on who’s telling the story.”
In fact, says a Warner Bros. insider, Kilmer’s contract required him to make a second Bat-film; when Kilmer announced that he would making The Saint for Paramount until mid-July, leaving only days to prepare for Batman and Robin, Warner Bros. reminded Paramount that Kilmer was due on Batman Aug. 1. “They went insane,” says the source, “and said they’d make The Saint without Val. Suddenly Val says, ‘Then I won’t do Batman,’ thinking we’d say, ‘Oh, come a month later.’” Instead, Warner Bros. kept its start date, released Kilmer from his contract, and handed the Batsuit to George Clooney. -
Arnold Schwarzenegger as Mr. Freeze in BATMAN & ROBIN (1997)
でも、シュワちゃんこの役絶対楽しんでたと思う…。
3代目ブルース・ウェイン/バットマンには、このころはアメリカNBC(NATIONAL BROADCASTING COMPANY)のテレビドラマ『ER緊急救命室(原題: ER)』や、1996年のシリーズ第1作『フロム・ダスク・ティル・ドーン(原題: FROM DUSK TILL DAWN)』に出演しているぐらいしか知らなかったジョージ・クルーニー。
George Clooney as Batman and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)
前作同様大規模なミニチュアやCGIを駆使した驚きのVFXを見せてくれたのは、1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV – A NEW HOPE)』で「第50回アカデミー賞」の「視覚効果賞(英語: BEST VISUAL EFFECTS)」と、VFX界に革命をもたらしたモーション・コントロール・カメラ(コンピューターで動きをプログラムし、主にVFXの合成素材を撮影するために使用するカメラ)「Dykstraflex」の開発に対して「アカデミー特別業績賞(英語: ACADEMY AWARD FOR TECHNICAL ACHIEVEMENT)」を受賞し、さらに1979年の劇場版シリーズ第1作『スタートレック(原題: STAR TREK: THE MOTION PICTURE)』でも「第52回アカデミー賞」の「視覚効果賞」にノミネートされるなど、VFXの発展に大きく貢献してきたレジェンド、ジョン・ダイクストラ。
この「奇跡」を起こしたジョエル・シュマッカーは、映画やテレビのプロダクション&コスチューム・デザイナーを経て映画監督・脚本家・プロデューサーになった人で、これまでにも1985年の「ブラット・パック(1980年代のハリウッド青春映画に出演した若手俳優の一団に付けられたあだ名。)」出演映画『セント・エルモス・ファイアー(原題: ST. ELMOS FIRE)』、リチャード・ドナー製作総指揮による1987年のティーン・ホラー・コメディ『ロストボーイ(原題: THE LOST BOYS)』や1993年のクライム・スリラー『フォーリング・ダウン(原題: FALLING DOWN)』、本作のあとにはアメリカの小説家ジョン・グリシャム原作の1996年のリーガル・サスペンス『評決のとき(原題: A TIME TO KILL)』、脚本も手掛けた1999年のクライム・コメディ・ドラマ『フローレス(原題: FLAWLESS)』や2002年のサスペンス『フォーン・ブース(原題: PHONE BOOTH)』など、ジャンルにとらわれないたくさんの名作を残しています。
George Clooney as Batman and Chris O'Donnell as Robin in BATMAN & ROBIN (1997)
音楽も前作から引き続きのエリオット・ゴールデンサールが担当。
前作との間にはシュマッカー監督の『評決のとき』も手掛けています。
本作では彼も時間に追われ、既出の『ハリウッド・リポーター』のポスト『'Batman & Robin' at 20: Joel Schumacher and More Reveal What Really Happened』では次のように話しています。
It seems like you never have enough time, and seeing the posters all over Ventura Boulevard or Sunset Boulevard or the subways in New York, you are reminded how few days you have left to complete the project. -
アメリカのレーベル「ヴァレーズ・サラバンド・レコーズ(英語: Varese Sarabande Records)」から1993年11月23日にリリースされた『DEMOLITION MAN: THE ORIGINAL ORCHESTRAL SCORE』の1曲目「DIES IRAE」の後半と、なぜかオフィシャル・リリースされず、ブートレッグ=海賊版のみのリリースとなった『BATMAN & ROBIN: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の「MR. FREEZES PLANS」、または『BATMAN & ROBIN: COMPLETE MOTION PICTURE SCORE』の「POIZON IVY / MR. FREEZE'S PLANS」はそっくり!
ただし、これら以外のバージョンも存在している模様…。
バットマンとの死闘のあと、Mr.フリーズが科学者としての誇りと良心を取り戻すシーンで流れる「ACCESS ALLOWED / TRUST ME NOW / BARB SUITS UP / IVY'S GARDEN / ICE MALICE / FINAL CONFRONTATION / A HELPING HAND」、または「STORMING THE OBSERVATORY / FINAL BATTLE / A HELPING HAND」、とにかく「A HELPING HAND」は泣けます…。
本作にも多くのアーティストが参加していて、シングルカットされたアメリカのロックバンド「スマッシング・パンプキンズ(英語: THE SMASHING PUMPKINS)」の「THE END IS THE BEGINNING IS THE END」と、R&Bシンガーソングライター・音楽プロデューサーのR・ケリーが歌う「GOTHAM CITY」は世界中で大ヒット!
「GOTHAM CITY」のシングルはニューヨーク旅行の時に買って、今でも聴いてる…。
思い出すわー…。
「シュマッカー版『バットマン』といえば」な名曲です…。
「THE END IS THE BEGINNING IS THE END」のミュージックビデオはシュマッカーが手掛けています。
公開に先駆けて「Warner Bros. Records」から1997年5月27日にリリースされた、この2曲をふくむ『BATMAN & ROBIN: MUSIC FROM AND INSPIRED BY THE "BATMAN & ROBIN" MOTION PICTURE』も、タイムレスな名盤。
ゴールデンサールによる「A BATMAN OVERTURE」も収録されています。
これもまだ持ってるなー…。
1997年6月1日に「DCコミックス(英語: DC COMICS)」から出版された、Denis O'neil脚色、Rodolfo Damaggio、Bill Sienkiewicz、Pat Garrahy画による本作のコミック版『BATMAN & ROBIN: THE OFFICIAL COMIC ADAPTATION OF THE WARNER BROS. MOTION PICTURE』は文字どおり本作がそのまま漫画になっていて、キャラクターの見た目も映画のキャストそのまま。
If there's anybody watching this, that... let's say, loved Batman Forever, and went into Batman & Robin with great anticipation, if I've disappointed them in any way, then I really want to apologize. Because it wasn't my intention. My intention was just to entertain them. -
これに対する彼の言葉がとても印象的だった…。
アメリカのウェブサイト『VULTURE』に2019年8月にポストされた記者Andrew Goldmanが行ったシュマッカーへのインタビュー「In Conversation: Joel Schumacher After five decades in Hollywood, the director has plenty of stories — but don’t expect him to kiss and tell.」からの抜粋です。
- わたしが同性愛者でなければ、誰もそのようなことは言わなかっただろうね。
If I wasn't gay, they would never say those things. -
『バットマン フォーエヴァー』制作時、シュマッカーはブルース・ウェインがバットマンとなった1年目の活躍を描いたアメリカのコミック・ライター兼アーティスト、フランク・ミラーによる『バットマン: イヤーワン(原題: BATMAN: YEAR ONE)』の実写化を切望していました。
この作品がクリストファー・ノーラン監督による「ダーク・ナイト・トリロジー」の2005年の第1作『バットマン ビギンズ(原題: BATMAN BEGINS)』にインスピレーションをあたえていることからしても、生き方もふくめた多くの点で、時代を先取りしていたシュマッカーのセンスに周りがついていけていなかっただけなのではないかという気もします…。
『バットマン フォーエヴァー』は、ティム・バートン監督による1989年の『バットマン(原題: BATMAN)』からはじまる大人気シリーズの3作目となるわけですが、本作の公開の約1ヶ月前、5月19日には、同じ1980年代に生まれた『ダイ・ハード』シリーズの第3作『ダイ・ハード3(原題: DIE HARD WITH A VENGENCE)』が公開されています。
Bruce Willis as John McClane in DIE HARD WITH A VENGENCE (1995)
これまで孤軍奮闘を余儀なくされてきたマクレーンと行動を共にすることになるサミュエル・L・ジャクソン演じる相棒、ゼウス・カーバーがいたり、季節が前2作の冬の夜間から真夏の昼間になったことでヴォーン・モンローの歌う「レット・イット・スノウ(原題: Let It Snow! Let It Snow! Let It Snow!)」が「エンド・クレジット」に流れなかったり、さまざまな理由からボニー・ベデリア演じる肝っ玉母ちゃんのホリー・マクレーン、ウィリアム・アザートンが演じてきたTVレポーター、リチャード・ソーンバーグや、レジナルド・ベルジョンソンが最高だったロサンゼルス市警察のアル・パウエル巡査部長も登場しませんでした。
Bruce Willis as John McClane and Bonnie Bedelia as Holly Gennero McClane in DIE HARD 2: DIE HARDER (1990)
Michelle Pfeiffer as Catwoman, Michael Keaton as Batman and Tim Burton on the set of BATMAN RETURNS (1992)
2000年10月1日にイギリスのインディーズ系出版社「FABER AND FABER LIMITED」から出版されたマーク・ソールズベリー編集の『BURTON ON BURTON REVISED EDITION』の中で、バートンは「ぼくはずっと『バットマン フォーエヴァー』みたいなタイトルが大嫌いなんだ。まるでクスリか何かでラリってるやつが入れたタトゥーとか、子供がイヤーブックに書いた言葉みたいだ "I always hated those titles like Batman Forever. That sounds like a tattoo that somebody would get when they're on drugs or something. Or something some kid would write in the yearbook."」と話しています。
もともとバットマンのファンだったシュマッカーは当初、アメリカのコミック・ライター兼アーティスト、フランク・ミラーの『バットマン: イヤーワン(原題: BATMAN: YEAR ONE)』の映画化を考えていました。
1989年の第1作『バットマン』でハービー・デントを演じていたのは1981年の『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(原題: STAR WARS: EPISODE V – THE EMPIRE STRIKES BACK)』と、続く1983年の『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE VI – RETURN OF THE JEDI)』のランド・カルリジアンが最高だったビリー・ディー・ウィリアムズでした。
Billy Dee Williams as Harvey Dent in BATMAN (1989)
当初はウィリアムズが再びハービー・デント/トゥー・フェイスを演じるという話もありましたが、シュマッカーは1994年のリーガル・サスペンス『ザ・クライアント 依頼人(原題: THE CLIENT)』で組んだトミー・リー・ジョーンズを起用しました。
1993年の傑作アクション・スリラー『逃亡者(原題: THE FUGITIVE)』での、ハリソン・フォード演じる医師リチャード・キンブルを追いつめる連邦保安官補サミュエル・ジェラード役で「第66回アカデミー賞(英語: 66TH ACADEMY AWARDS)」の「最優秀助演男優賞(英語: BEST SUPPORTING ACTOR)」を受賞するなど、このころのジョーンズは絶好調でした。
本作公開の前年、1994年はまさに彼の年で、アメリカでは2月4日に公開された初主演作『エース・ベンチュラ(原題: ACE VENTURA: PET DETECTIVE)』を皮切りに、7月29日公開の『マスク(原題: THE MASK)』、12月16日公開の『ジム・キャリーはMr.ダマー(原題: DUMB AND DUMBER)』が立て続けに大ヒットを記録。
Jim Carrey as The Riddler in BATMAN FOREVER (1995)
キャリーは2007年のスリラー『ナンバー23(原題: THE NUMBER 23)』でシュマッカーと2度目のタッグを組んでいます。
2003年3月31日にアメリカ・イリノイ州シカゴの新聞「シカゴ・サンタイムズ(英語: CHICAGO SUN-TIMES」に掲載された記事「Hey, what about that man in the glass booth?」の記者Mike Thomasのインタビューの中で、シュマッカーはマイケル・ジャクソンからこの役への熱心な売り込みがあったことを告白しています。
あぶなかった…。
監督がシュマッカーに代わり、彼が選んだのは1992年の『セント・オブ・ウーマン 夢の香り(原題: SCENT OF A WOMAN)』で「第50回ゴールデングローブ賞(英語: 50TH GOLDEN GLOBE AWARDS)」の「映画部門 最優秀助演男優賞(英語: BEST SUPPORTING ACTOR – MOTION PICTURE)」にノミネートされたクリス・オドネルでした。
“Val is the most psychologically troubled human being I’ve ever worked with. The tools I used working with him — tools of communication, of patience and understanding — were the tools I use on my 5-year-old godson. Val is not just high-strung. I think he needs help.” -
“For me, Val Kilmer was the best Batman. I thought he looked great in the costume, and I thought he brought a depth to the role. I thought the relationship between Val and Nicole Kidman was very sexy. Jim Carrey, of course, was the perfect Riddler. And then I had the great Tommy Lee Jones and a lot of other great people are in that movie.” -
Val Kilmer as Batman in BATMAN FOREVER (1995)
ジム・キャリーはトミー・リー・ジョーンズとの撮影中のエピソードを披露しています。
以下はエンタメ情報を発信しているアメリカのサイト『CINEMABLEND』にポストされたAdam Holmesの2017年10月3日の記事「Why Tommy Lee Jones Hated Working With Jim Carrey On The Set of Batman Forever」からの抜粋です。
Tommy Lee Jones as Two-Face and Jim Carrey as The Riddler in BATMAN FOREVER (1995)
Two-Face and Riddler looked like they had a blast together during Batman Forever, but off-camera, Tommy Lee Jones and Jim Carrey's relationship was anything but amiable. Carrey hasn't been shy in the past about talking about how Jones hated working with him, but now the comedy star has gone into more detail on the encounter where Jones' unpleasantness was on full display. One day during Batman Forever's production, Carrey found out that Jones was eating at the same restaurant as him. He went to greet his co-star, which caused the blood in Jones' face to drain. Carrey continued:
"And he got up shaking --- he must have been in mid-'kill me' fantasy or something like that. And he went to hug me and he said, 'I hate you. I really don't like you.' And I said, 'What's the problem?' and pulled up a chair, which probably wasn't smart. And he said, 'I cannot sanction your buffoonery.'"
Tommy Lee Jones bluntly summarizing his hatred for Jim Carrey in such an archaic fashion is weird enough, but what's even stranger is that Jones expressed disapproval of Carrey's antics before they were going to shoot the biggest scene they had together in Batman Forever. After Carrey recalled this encounter during his recent appearance on Norm MacDonald Live, the show's eponymous host posited that Jones might have been jealous that Carrey was the center of attention on set. After all, Batman Forever was in principal photography months after Carrey became a comedy movie star thanks to Ace Ventura: Pet Detective and The Mask. But Carrey had a different take on Jones' grumpy demeanor, saying:
"He might have been uncomfortable doing that work, too. That's not really his style of stuff." -
キャリーが話しているように、本作はトミー・リー・ジョーンズに合う作品ではなかったと思います。
1997年に公開されたシリーズ第1作『メン・イン・ブラック(原題: MEN IN BLACK)』で証明されたように、コメディにおけるジョーンズの「おもしろさ」はフィジカルなものではなく、おかしな状況下で無表情で発するピリッとひねりの効いたセリフと沈黙によるもの。
以下はアメリカのウェブサイト『VULTURE』に2019年8月にポストされた記者Andrew Goldmanが行ったシュマッカーへのインタビュー「In Conversation: Joel Schumacher After five decades in Hollywood, the director has plenty of stories — but don’t expect him to kiss and tell.」で、彼が撮影中の2人の関係について語っている部分を抜粋したものです。
ジョージ・クルーニーとの(1997年公開の本作の続編)『バットマン&ロビン Mr.フリーズの逆襲(原題: BATMAN & ROBIN)』の撮影がはじまる直前、1996年7月12日発行の『エンターテインメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)』の「”Batman & Robin” filming sails smoothly.」の中で、シュマッカーは『バットマン フォーエヴァー』に出演した(ヴァル・)キルマーと(トミー・リー・)ジョーンズについて批判しました: 「無駄に出演料の高い、権利ばかりを振りかざす俳優たちを守るのはうんざりなんだ。2度と彼らと仕事をすることがないよう祈ってるよ」
Another one of your talents has always been your respect for actors. You very infrequently said terrible things about them in the press.
No, I said Tommy Lee Jones was an asshole in People magazine.
In the July 12, 1996, issue of Entertainment Weekly, just before filming began on Batman & Robin with George Clooney, Schumacher criticized Kilmer and Jones, the stars of the prior Batman film: “I’m tired of defending overpaid, overprivileged actors. I pray I don’t work with them again.”
But you hired him twice, in The Client and then Batman Forever.
He was fabulous on The Client. But he was not kind to Jim Carrey when we were making Batman Forever. And I didn’t say Val [Kilmer] was difficult to work with on Batman Forever. I said he was psychotic.
Tommy Lee Jones played Two-Face; Jim Carrey played the Riddler. What did he do to Jim?
Tommy is, and I say this with great respect, a scene stealer. Well, you can’t steal the scene from Jim Carrey. It’s impossible. And, I think it irked Tommy.
No, he wasn’t kind to Jim. He did not act towards Jim the way an Oscar winner with a star on Hollywood Boulevard, being the oldest member of the cast, and having such a distinguished career and the accolades to go with it, should have acted towards Jim. But what happens on the set stays on the set.
ヴァルはどのように「狂っていた」のですか?
それについては『エンターテインメント・ウィークリー』の記事を読むことをおすすめするよ。
『エンターテインメント・ウィークリー』の記事によると、キルマーは『D.N.A./ドクター・モローの島(原題: THE ISLAND OF DR. MOREAU)』の撮影中、クルーに自分のことを「ミスター・キルマー」と呼ぶよう強制し、毛布にくるまった格好でセットに遅れて現れ、カメラマンの顔でタバコをもみ消したり、さらに誰にも聞こえない大きさでセリフをつぶやいたりしたことがあったそうである。
And how was Val “psychotic”?
You should look up the huge article that Entertainment Weekly did.
According to an Entertainment Weekly story, Kilmer insisted the crew address him as “Mr. Kilmer,” would arrive to set late and covered in blankets, stubbed a cigarette out on the face of a cameraman, and muttered his lines so quietly they could not be heard. -
当のヴァル・キルマーは、2020年5月6日『THE NEW YORK TIMES MAGAZINE』にポストされた Taffy Brodesser-Akner によるインタビュー「What Happened to Val Kilmer? He’s Just Starting to Figure It Out.」 で当時を振り返りっています。
Joel Schumacher called him “psychotic” in an interview after directing him in “Batman Forever,” whose sequels Kilmer was supposed to star in. There are several different versions of why George Clooney replaced him — Kilmer says it was because of scheduling difficulties with the other movie he had a contract for, “The Saint” — but one factor was surely this assessment by its director. Multiple sources have claimed that on the set of “The Island of Doctor Moreau,” Kilmer touched his lit cigarette to a crew member’s sideburn. (He claims this was an accident that resulted from the cinematographer’s asking him to blow smoke from off camera very close to where a member of the camera crew was standing. “What kind of person would singe a fellow worker he spends 15 hours a day with, often less than a foot apart? Madness.”)
He remembered a story from his time as Batman. One day he was filming and about to take off the Batsuit when Warren Buffett and his grandkids came by. They wanted to see Batman, so Kilmer stuck around in the suit, but they didn’t want to talk to him. They wanted to try on the mask and ride in the Batmobile. He understood then that Batman isn’t meant to be a real guy. Batman is meant to be so anonymous that the person who is looking at him can see himself in him. “That’s why it’s so easy to have five or six Batmans,” he says now. “It’s not about Batman. There is no Batman.” And so what kind of thing is that to play, a person whose job is to be as nonspecific as possible. He looked good in the Batsuit, but wearing it was torture. When he took it off, he was finally free. -
本作で「第68回アカデミー賞」の「撮影賞(英語: BEST CINEMATOGRAPHY)」にノミネートされた撮影監督スティーヴン・ゴールドブラットは、あふれんばかりの極彩色でスクリーンを埋め尽くしています。
はじめから終わりまで、どんだけのスポットライト使ったんだろう…。
ハリウッドの老舗業界紙『ハリウッド・リポーター(英語: THE HOLLYWOOD REPORTER)』のウェブサイトは、本作公開から20年後の2015年6月17日、Aaron Couchによる本作スタッフへのインタビュー『'Batman Forever': The Story Behind the Surprise Hit "Nobody Really Wanted"』をポストしました。
本作における照明について、ゴールドブラットは以下のように話しています。
Goldlbatt: For the lights, I didn't use normal rigging. It was all rock 'n' roll rigging. I had a concert lighting guy and his crew. Now what that means is I could adjust the color and the intensity, the direction and the diffusion of each lamp without having to go to each lamp. They were all fed down to consoles on the stage floor. We could move very, very quickly. The conventional way could have taken days. It gave it that rock 'n' roll comic book look. -
あえて水平にせずに撮影する「ダッチアングル(英語: DUTCH ANGLE)」の多用や独創的なカメラのセットアップなど、「死ぬのにいい日だ “Today is a good day to die.”」の名ゼリフではじまる1990年の『フラットライナーズ(原題: FLATLINERS)』でも見られた「シュマッカー色」は本作で爆発した感じ。
大規模なミニチュアやCGIを駆使して作られた本作のVFXは、1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV – A NEW HOPE)』で「第50回アカデミー賞」の「視覚効果賞(英語: BEST VISUAL EFFECTS)」と、VFX界に革命をもたらしたモーション・コントロール・カメラ(コンピューターで動きをプログラムし、主にVFXの合成素材を撮影するために使用するカメラ)「Dykstraflex」の開発に対して「アカデミー特別業績賞(英語: ACADEMY AWARD FOR TECHNICAL ACHIEVEMENT)」を受賞し、さらに1979年の劇場版シリーズ第1作『スタートレック(原題: STAR TREK: THE MOTION PICTURE)』でも「第52回アカデミー賞」の「視覚効果賞」にノミネートされるなど、VFXの発展に大きく貢献してきたレジェンド、ジョン・ダイクストラによるもの。
以下は、イギリスのSF・ファンタジー専門誌『SFX』の2008年12月号に掲載されたダイクストラへのインタビュー「The John Dykstra Effects」から、本作に関する部分を抜粋したものです。
これはわたしがはじめて(フォトリアリスティックな)CGアニメーションをやった作品なんだ。バットマンがホテルから通りのマンホールに飛び降りるシーンがそれだよ。あれはとてもおもしろい体験で、その後のわたしに影響をあたえたシーンだった。(複数のフィルムを「オプティカルプリンター」という機械を使って光学的に合成する)「オプチカル合成(英語: OPTICAL COMPOSITING)」にうんざりしていて、あの作品に取りかかる前はコマーシャルの演出をしていたんだよ。映画で普通に使用されるようになるずっと以前からビデオでの(コンピューターを使って映像を合成する)「デジタル合成(英語: DIGITAL COMPOSITING)」はやっていたからね。だから『バットマン フォーエヴァー』をはじめた時、わたしにはデジタル・メディアでどれだけのことができるのかを見極めることができたんだ。
バットマンのような映画を手がけるプレッシャーは大変なものだが、つねに新しい方法を考えるのがわたしの仕事だからね。今ではすべてのヒーロー映画にデジタル・キャラクターが出ているが、最初にやったのはわたしたちだよ。
BATMAN FOREVER (1995)
- BATMAN FOREVER
Tim Burton bailed out on this 1995 sequel which dumped the gothic atmospherics of Batman Returns in favour of frantic overacting (yes, Jim Carrey and Tommy Lee Jones, we’re looking at the pair of you), dodgy one liners and Bat-nips. It did, however, quietly introduce a digitally created superhero...
“That was the first time I had to animate something with CGI. It’s when Batman leaps out of the hotel and then jumps into a manhole in the street. That was very interesting experience and a seminal point for me. I had started to direct commercials before doing Batman. I did that because I was so frustrated with optical compositing. I was doing digital compositing on video long before it was commonplace on film. That meant that when I went to work on Batman Forever I was well positioned to see how far we could press the digital medium.
“The pressure of doing something like a Batman movie is big but this is my trade – to consistently come up with new ways of doing things. Now, of course, you see digital characters in every superhero movie, but we were there first.” -
この「奇跡」を起こしたジョエル・シュマッカーは、映画やテレビのプロダクション&コスチューム・デザイナーを経て映画監督・脚本家・プロデューサーになった人で、これまでにも1985年の「ブラット・パック(1980年代のハリウッド青春映画に出演した若手俳優の一団に付けられたあだ名。)」出演映画『セント・エルモス・ファイアー(原題: ST. ELMOS FIRE)』、リチャード・ドナー製作総指揮による1987年のティーン・ホラー・コメディ『ロストボーイ(原題: THE LOST BOYS)』や1993年のクライム・スリラー『フォーリング・ダウン(原題: FALLING DOWN)』、本作のあとにはアメリカの小説家ジョン・グリシャム原作の1996年の法廷サスペンス『評決のとき(原題: A TIME TO KILL)』、脚本も手掛けた1999年のクライム・コメディ・ドラマ『フローレス(原題: FLAWLESS)』や2002年のサスペンス『フォーン・ブース(原題: PHONE BOOTH)』など、ジャンルにとらわれないたくさんの名作を残しました。
前2作のダニー・エルフマンに代わって本作の音楽を手がけたのはエリオット・ゴールデンサール。
2005年10月18日に「ワーナー・ホーム・ビデオ」からリリースされた『バットマン フォーエヴァー スペシャル・エディション(原題: BATMAN FOREVER: TWO-DISC SPECIAL EDITION)』DVDに収録されている「映像特典」の1つ「バットマン フォーエヴァーの音楽(原題: SCORING FOREVER: THE MUSIC OF BATMAN FOREVER)」によると、ゴールデンサールは脚本ができあがる前に起用されたのだそう。
話し合いの中で、シュマッカーはゴールデンサールにエルフマンの楽曲とはまったく違うオリジナルのものを要求しました。
でも、吹っ切っちゃった感じの金管楽器や金属片を打ちつけるようなノイズなど、どれも似すぎ…。
アメリカのレーベル「MCA Records」から1992年6月9日にリリースされた『ALIEN 3: MUSIC FROM THE ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の14曲目、泣きそうになるほどに感動的な「ADAGIO」と、1995年7月11日に「Atlantic Records」からリリースされた『BATMAN FOREVER: ORIGINAL MOTION PICTURE SCORE ALBUM』の18曲目「BATTERDAMMERUNG」はそっくり!
2曲目の「PERPETUUM MOBILE」は、60年代テレビシリーズ『バットマン』のニール・ヘフティによる主題歌「バットマンのテーマ(原題: BATMAN THEME)」のコーラスを思わせるフレーズで終わります。
本作にはほかにも多くのアーティストが参加し、シングルカットされたアイルランドのロック・バンド「U2」の「HOLD ME, THRILL ME, KISS ME, KILL ME」と、イギリスのソウル・ミュージシャンSEALの「KISS FROM A ROSE」は世界中で大ヒット!
「KISS FROM A ROSE」のミュージック・ビデオはシュマッカーが手掛けていて、どちらも未だにラジオから流れることがあります。
公開に先駆けて「Atlantic Records」から1995年6月6日にリリースされた、この2曲をふくむ『BATMAN FOREVER: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE)』も、タイムレスな名盤。
「U2」のシングルもふくめてまだ全部持ってるなー…。
1995年6月1日に「DCコミックス(英語: DC COMICS)」から出版された、Denis O'neil脚色、Michal Dutkiewicz画による本作のコミック版『BATMAN FOREVER: THE OFFICIAL COMIC ADAPTATION OF THE WARNER BROS. MOTION PICTURE』は文字どおり本作がそのまま漫画になっていて、キャラクターの見た目も映画のキャストそのまま。
今でも持っているのですが、パラパラと絵を見ているだけでも楽しい。
当時、「劇場映画」はまだまだ「ポップ・カルチャー」の中心でした…。
今回これを書いている時に思い出したんだけれど、「ワーナー・ホーム・ビデオ」から1996年8月8日にリリースされた日本版VHSのカセットは緑でした。
文法間違ってるけど、パッケージにもやっぱり「IT'S NEW MODEL!」の文字がありました。
「日本語吹替版」でブルース・ウェイン/バットマンを吹き替えたのは竹中直人でしたね!
“Joel Schumacher has passed away. He saw deeper things in me than most and he lived a wonderfully creative and heroic life. I am grateful to have had him as a friend.” -
]]>V (1983) & V: THE FINAL BATTLE (1984)http://team.exblog.jp/30723988/2020-06-20T21:00:00+09:002020-09-24T00:19:05+09:002020-02-20T00:27:11+09:002moon1movie reviews
シリーズの生みの親で、『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』の製作総指揮・脚本・監督のケネス・ジョンソンは、ABC(AMERICAN BROADCASTING COMPANY)の『600万ドルの男(原題: THE SIX MILLION DOLLAR MAN)』(1973-78)、そのスピンオフ作品『地上最強の美女/バイオニック・ジェニー(原題: THE BIONIC WOMAN)』(1976-78)、CBS(CBS BROADCASTING, INC.)の『超人ハルク(原題: THE INCREDIBLE HULK)』(1977-82)や、1988年のグラハム・ベイカー監督作品『エイリアン・ネイション(原題: ALIEN NATION)』から派生したFOX(FOX BROADCASTING COMPANY)のテレビシリーズ版(1994-1997)と5本のテレビ映画版などを立ち上げた名テレビプロデューサー・監督・脚本家。
1988年のシリーズ第2作『ショート・サーキット2/がんばれ!ジョニー5(原題: SHORT CIRCUIT 2)』や、元NBAのスーパースター、シャキール・オニール主演による1997年のDC作品『スティール(原題: STEEL)』などの映画も手掛けますが、どちらも評判はよくなく、「映画」というフィールドはあまりジョンソンには合わなかったよう…。
『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』ではこの「置き換え」が細部に至るまで徹底的に行われていて、それに直面した社会を「マイノリティ」の視点から描いています。
だいぶ誇張されてはいるけれどそれがとても「リアル」で、またそれがほかの「異星人による地球侵略もの」と本作を大きく隔てています。
以下は、2001年に「ワーナー・ホーム・ビデオ」からリリースされた『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』DVD収録のケネス・ジョンソンによる「コメンタリー」をベースに構成しています。
V パートI - 来訪者(ビジター) -
- 過去 現在 未来の抵抗の戦士(レジスタンス)に敬意を持ってこの作品をささぐ
To the heroism of the Resistance Fighters --past, present, and future-- this work is respectfully dedicated
このテレビ映画とは思えない「オープニング」は、カリフォルニア州ロサンゼルスの北東にある遊園地『シックス・フラッグス・マジック・マウンテン(英語: SIX FLAGS MAGIC MOUNTAIN)』近くの「Indian Dunes」で2日半かけて撮影されています。
The shooting of the opening firefight at "Indian Dunes"
kennethjohnson.us
本作と同じ「ワーナー・ブラザーズ」配給による1983年のオムニバス映画『トワイライトゾーン/超次元の体験(原題: TWILIGHT ZONE: THE MOVIE)』のジョン・ランディス監督による第1話「偏見の恐怖(原題: TIME OUT)」のベトナム戦争シーンの撮影中にヘリコプターが落下し、ローターに巻き込まれて出演のヴィック・モローと子役2人が亡くなったのもこの場所でした。
Marc Singer as Mike Donovan, Evan C. Kim as Tony Wah Chong Leonetti, and Robert Vandenberg as Rebel Camp Leader in V (1983)
主人公マイク・ドノバンを演じるマーク・シンガーはとある金曜日にキャスティングされ、翌週の月曜日から撮影に参加していました。
ぼくは本作でしか観たことがなく、あとは1982年の『ミラクルマスター/七つの大冒険(原題: THE BEASTMASTER)』からはじまるファンタジー・アドベンチャー・シリーズに出演していたことぐらいしか知らないな…。
2000年のシリーズ第1作『X-メン(原題: X-MEN)』や2006年の『スーパーマン リターンズ(原題: SUPERMAN RETURNS)』を手掛けたブライアン・シンガー監督の従兄弟。
上向き加減の鼻の穴とか、ケビン・ベーコンに似てない?
本作のスタッフの誰もが好きだったというトニー・ワー・チョン・レオネッティにはエヴァン・キム。
本作以外では、1988年のシリーズ第5作『ダーティ・ハリー5(原題: THE DEAD POOL)』で演じたクリント・イーストウッド演じる主人公ハリー・キャラハンの相棒、中国系アメリカ人のアル・クワン役が有名。
ケネス・ジョンソンが手掛けたテレビシリーズ版『エイリアン・ネイション』の1エピソードも監督しています。
シャトルが国連ビルの屋上に到着するシーンの楽曲は、イギリスの作曲家グスターヴ・ホルストによる大管弦楽の組曲『惑星(原題: THE PLANET)』の第1楽章「火星、戦争(戦い)をもたらす者(原題: MARS, THE BRINGER OF WAR)」にインスパイアされています。
ロケ地は「ロサンゼルス市警察(英語: LOS ANGELES POLICE DEPARTMENT=LAPD)」がヘリコプターの発着に利用している「C. ERWIN PIPER TECHNICAL CENTER」。
1983年のジョン・バダム監督によるアクション・スリラー『ブルーサンダー(原題: BLUE THUNDER)』にも登場します。
本作が「異星人の地球への侵略」を描いていることも含め、このことは1938年10月30日にCBSのラジオ番組『マーキュリー放送劇場(原題: THE MERCURY THEATRE ON THE AIR)』で「ハロウィン特別番組」として放送されたオーソン・ウェルズの『宇宙戦争(原題: THE WAR OF THE WORLDS)』を彷彿とさせます。
Phil Morris as Grant Collier, Thaao Penghlis as Nicholas Black, Peter Graves as Jim Phelps, Jane Badler as Shannon Reed, and Antony Hamilton as Max Harte in MISSION: IMPOSSIBLE (1988)
ビジターに魅了されてゆくダニエルとその家族、人類学者ロバート・マックスウェルの一家、エレノアとアーサーの住む住宅街は、ロサンゼルス西部、サンタモニカ・マウンテン(英語: SANTA MONICA MOUNTAINS)と太平洋に挟まれた高級住宅地「パシフィック・パリセイズ(英語: PACIFIC PALISADES)」で撮影されています。
Neva Patterson as Eleanor Dupres, Dominique Dunne as Robin Maxwell, Penelope Windust as Kathleen Maxwell, Viveka Davis as Polly Maxwell, David Packer as Daniel Bernstein, and Bonnie Bartlett as Lynn Bernstein in V (1983)
Tom Hanks as Chuck Noland, Viveka Davis as Gwen, and Nick Searcy as Stan in Cast Away (2000)
ビジターのヤング・リーダー、ブライアンにはピーター・ネルソン。
1990年のシリーズ第2作『ダイ・ハード2(原題: DIE HARD 2: DIE HARDER)』ではテロリスト・グループの1人、英国旅客機を墜落させるために計器着陸装置(INSTRUMENT LANDING SYSTEM = ILS)を操作するトンプソンを演じていました。
ハンサムだけど、素顔の冷たさが印象的な俳優。
Peter Nelson as Thompson in DIE HARD 2: DIE HARDER (1990)
ビジターたちが化合物製造に使用するアーサーの工場は、カリフォルニア州ロング・ビーチにある発電所「HAYNES POWER PLANT」。
V (1983)
ダイアナに誘惑されてビジターのスポークスマンとなるクリスチーン・ウォルシュは、ナチスが政党を獲得した1933年、アドルフ・ヒトラーにその才能を高く評価され、ニュルンベルクでの「ナチス党大会」の模様を捉えたプロパガンダ映画『信念の勝利(英語: THE VICTORY OF FAITH)』や、国外でも高い評価を得た1934年の『意志の勝利(英語: TRIUMPH OF THE WILL)』などを監督したレニー・リーフェンシュタールがモデル。
戦後、1970年代以降には戦前の監督作品も含めて再評価の動きが強まった時期もありましたが、ナチスの協力者としてのイメージが消えることはありませんでした。
Leni Riefenstahl
セリフのあるキャラクターだけでも56人いたそうですが、ジョンソンは本作を書く1年前に帝政ロシアの小説家レフ・トルストイの長編小説『戦争と平和(英語: WAR AND PEACE)』を読んだそうで、読んでいなければ『V』は書けなかったとのこと。
Jason Bernard as Caleb Taylor and Robert Englund as Willie in V (1983)
ビジターで唯一愛嬌のあるウィリーを演じたのは、ウェス・クレイヴン監督が1984年に解き放った『エルム街の悪夢(原題: NIGHTMARE ON ELM STREET)』シリーズの殺人鬼フレディ・クルーガーで有名なロバート・イングランド。
フレディ同様本作のウィリーも大変な人気で、ファンに尋ねられるのはフレディのことよりもウィリーのことの方が多いとジョンソンに話しているそうです。
Robert Englund as Freddy Kruger in A NIGHTMARE ON ELM STREET (1984)
マイクとトニーがビジターのシャトルに駆け寄るシーンでは、本作の「アクション・シーン」に何度も使われる楽曲が流れます。
本作のサントラ『ORIGINAL SOUNDTRACK RECORDING V』の1曲目「Opening Title / Donovan Looks Up」のアレンジで、アルフレッド・ヒッチコック監督の1959年の傑作スリラー『北北西に進路を取れ(原題: NORTH BY NORTHWEST)』のバーナード・ハーマンによるサントラ『ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK ALFRED HITCHCOCK’S NORTH BY NORTHWEST』 (TURNER CLASSIC MOVIES MUSIC)の1曲目「Overture」にそっくりです。
Joe Harnell and Kenneth Johnson on the set of V (1983)
kennethjohnson.us
ビジターたちの使うレーザー銃も、ドイツの名銃ルガーをモデルにデザインされています。
Jane Badler as Diana, Richard Herd as John, Peter Nelson as Brian, and Andrew Prine as Steven in V The Final Battle (1984) in V: THE FINAL BATTLE (1984)
本作のもう1人の主人公ジュリー・パリッシュを演じたフェイ・グラントは、1990年のクライム・スリラー『インターナル・アフェア/背徳の囁き(原題: INTERNAL AFFAIRS)』や、あまりよく覚えていないけれどアメリカではテレビ映画として放映された1991年のシリーズ第4作『オーメン4(原題: OMEN IV: THE AWAKENING)』にも出演しています。
『インターナル・アフェア/背徳の囁き』ではかなりエッチな役どころでけっこうショックだった…。
Richard Gere as Dennis Peck and Faye Grant as Penny in Internal Affairs (1990)
Michael Swan as Officer Bob Briggs, Penelope Windust as Kathleen Maxwell, Michael Durrell as Robert Maxwell, Viveka Davis as Polly Maxwell, Marin May as Katie Maxwell, and Michael Bond as Officer Randy Talbot in V (1983)
「エンド・クレジット」に流れるのはサントラの9曲目「”Go Tell Your Friends”」で、ベートーヴェンの「交響曲第5番」第4楽章をアレンジしたもの。
ジョンソンはNBCの当時の宣伝広報部長スティーブ・ソマーに「ナチの宣伝ポスターを見たことは?兵士が子供を肩車し友好を装うやつだ。そういうポスターを全国に貼り出そう。放送開始の3週間前から地下鉄や広告版に貼ろう」と提案しました。
放映2週間前には子どもたちにスプレー缶を持たせて街へ出し、スプレーでポスターに「V」と書かせます。
1週間前にはソマーのアイデアで「5月1日日曜日NBCで戦いが始まる(英語: THE BATTLE BEGINS SUNDAY MAY 1 ON NBC)」という小見出しがつきました。
The Ad Campaign of V (1983)
kennethjohnson.us
これが口コミで広まり、高視聴率につながったのです。
V パートII - 抵抗(レジスタンス) -
- 過去 現在 未来の抵抗の戦士(レジスタンス)に敬意を持ってこの作品をささぐ
To the heroism of the Resistance Fighters --past, present, and future-- this work is respectfully dedicated
Blair Tefkin as Robin Maxwell, Viveka Davis as Polly Maxwell, Marin May as Katie Maxwell, Michael Durrell as Robert Maxwell, Penelope Windust as Kathleen Maxwell, and Rafael Campos as Sancho Gomez in V (1983)
レジスタンス本部の外観は、現在では「ロサンゼルス歴史文化記念物(英語: LOS ANGELES HISTORIC-CULTURAL MONUMENT)に指定されている「Belmont Tunnel / Tolca Substation and Yard」。
1925年12月1日から1955年6月19日まで、ロサンゼルス・ダウンタウンからウェストレイク地区間約1.5kmを走っていた「Pacific Electric Railway Company」の地下鉄の駅でした。
1950年代南カリフォルニア全土に巨大なフリーウェイ・システムが建造されて「マイカー文化」が浸透したために廃線に追い込まれてしまいましたが、自動車業界主導の圧力団体に爆破されたという噂も尽きません。
その後、新しいビルやホテル建造のためにトンネルの約半分が埋められました。
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の1987年のディストピア・アクション『バトルランナー(原題: THE RUNNING MAN)』や、1990年のSFアクションシリーズ第2作『プレデター2(原題: PREDATOR 2)』にも登場します。
最後まですばらしい楽曲を提供したジョー・ハーネルは、本作で見事「第35回プライムタイム・エミー賞(英語: 35TH ANNUAL PRIMETIME EMMY AWARDS)」の「作曲賞リミテッド・シリーズ/スペシャル部門(英語: OUTSTANDING ACHIEVEMENT IN MUSIC COMPOSITION FOR A LIMITED SERIES OR A SPECIAL (DRAMATIC UNDERSCORE))」にノミネートされました。
先に述べた本作のサントラ『ORIGINAL SOUNDTRACK RECORDING V』は1998年にアメリカのレーベル「SUPER TRACKS MUSIC GROUP」からCDリリースされた際のタイトルで、2008年にはハーネル自身のレーベル「FIVE JAYS RECORDS」から『"V": THE ORIGINAL MINI-SERIES (ORIGINAL TELEVISION SCORE)』のタイトルで再リリースされています。
どちらも内容は同じで『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』の楽曲が収録されています。
『iTunes』などのコンテンツ配信サービスからも手に入りますので、興味のある方はぜひ!
編集を終えたジョンソンは完璧でどこもカットすることができず、本来4時間の作品になるはずが4時間15分になってしまうことを当時NBCの「エンターテイメント部門」のトップで番組編成を牛耳っていたブランドン・タルティコフに相談しました。
試写を観たタルティコフはジョンソンに同意し、局に放映時間の延長を申請します。
その結果、『V: THE ORIGINAL MINISEIRES』の「Part 1」は1983年5月1日日曜日、21:00-23:15の枠で放映されました。
翌年の1984年にヨーロッパで放映された際には、あの「1984 ロサンゼルス・オリンピック(英語: LOS ANGELES 1984 SUMMER OLYMPICS)」よりも高い視聴率を記録。
ジョンソンから監督を引き継いだのは、作家マイケル・クライトンがメガホンを取った1973年のSF・ウェスタン・スリラー『ウェストワールド(原題: WESTWORLD)』の1976年の続編『未来世界(原題: FUTUREWORLD)』や1982年のネオ・ノワール『探偵マイク・ハマー/俺が掟だ!(原題: I, THE JURY)』をはじめ、数々のテレビ映画やドラマを手掛けてきたベテラン、リチャード・T・へフロン。
ところが『V: THE FINAL BATTLE』についていくらリサーチしてみても、海外のサイトもふくめて「メイキング」に関する情報はほとんどなく、どうも全体的に『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の扱いとはずいぶんと違う印象なのです。
まあDVDリリース時からうすうす感じていたことではあるのですが…。
そんなわけで以下、『V: THE FINAL BATTLE』については日本版レーザーディスクの解説をベースに構成しています。
V パートIII - 潜入(スニーク・イン) -
- 人類の英知の終結は恐るべき罠(トラップ)に打ち勝つことができるのか!?
Marc Singer as Mike Donovan and Eric Johnston as Sean Donovan in V: THE FINAL BATTLE (1984)
すでに「オープニング・クレジット」の「Main Theme」からして『V: THE ORIGINAL SERIES』とは違うものになっていますが、「なんか変わった?」とは思っても違和感を感じることなくすんなり受け入れることができます。
ジョー・ハーネルに代わって『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 1」の音楽を手掛けたのは、ジョセフ・コンランとバリー・デ・ヴォーゾンの2人。
不安感を静かにあおってくるシンセサイザーを駆使したメロディラインや低く機械的なパーカッションなど、ブラッド・フィーデルによる1984年のシリーズ第1作『ターミネーター(原題: THE TERMINATOR)』の「ターミネーターのテーマ(原題: Theme from "The Terminator")」にも通じるものがあります。
すぐに覚えられちゃうので、「『V』と言えばこの曲」という方も多いのではないでしょうか?
しかし残念ながら「Part 1」の楽曲はどれもサントラ化されていません…。
主要なクルーが一新されたことも大きいけれど、『V: THE FINAL BATTLE』はレジスタンスによるビジターへの反撃がストーリーのメインなので、決してダメというわけではなく、『V: THE ORIGINAL SERIES』にあった「社会的/政治的メッセージ」は影を潜め、大掛かりなアクション満載となっています。オープニングからレーザー光線が飛び交い、ケネス・ジョンソン監督が「1発につき1,000ドルかかった…」と話していたことが思い出されます。
Faye Grant as Juliet Parrish in V: THE FINAL BATTLE (1984)
第4巻のハイライトは、貯水場の破壊場面。タイムリミットが設定され、スリルも満点。
そしてラストで姿を現す赤ん坊は、いったいどんな姿をしているのだろうか? (文・鍵谷 透) -
『V: THE FINAL BATTLE』から登場する新キャラクターの中でももっとも輝いているのが、この「Part 2」のオープニングからいきなりすごい存在感なのになぜか違和感のないハム・タイラー。
演じたマイケル・アイアンサイドはカナダ・オンタリオ州トロント出身の俳優・声優・プロデューサー・監督・脚本家。
Mickey Jones as Chris Farber, Michael Wright as Elias Taylor, Michael Ironside as Ham Tyler, Faye Grant as Juliet Parrish, Blair Tefkin as Robin Maxwell, and Marc Singer as Mike Donovan in V: THE FINAL BATTLE (1984)
1981年のデヴィッド・クローネンバーグ監督の出世作『スキャナーズ(原題: SCANNERS)』での悪役ダリル・レボックを経て本作でブレイクしたあとは、1986年の『トップ・ガン(原題: TOP GUN)』のトム・クルーズ演じるピート・"マーヴェリック"・ミッチェルの教官リック・"ジェスター"・ヘザーリー、1990年の『トータル・リコール(原題: TOTAL RECALL)』でアーノルド・シュワルツェネッガー演じるダグラス・クエイドを執拗に追うリクター、1991年のシリーズ第2作『ハイランダー2/甦る戦士(原題: HIGHLANDER II: THE QUICKENING)』のカターナ将軍や1997年の『スターシップ・トゥルーパーズ(原題: STARSHIP TROOPERS)』で主人公たちを導く教官ジーン・ラズチャックなど、どうしても憎めない悪役やタフなヒーローを数多く演じています。
レジスタンスが破壊作戦を決行する貯水場は、カリフォルニア州キャスティークにある「CASTAIC POWER PLANT」。
V: THE FINAL BATTLE (1984)
上記のように『V: THE FINAL BATTLE』はタイトルどおりどのパートも大掛かりなアクション満載で、「Part 2」のこのシーンはロケーションもさることながらその中でも最大のスケール。
1961年の『ナバロンの要塞(原題: THE GUNS OF NAVARONE)』、1968年の『荒鷲の要塞(原題: WHERE EAGLES DARE)』や1978年の『ナバロンの嵐(原題: FORCE 10 FROM NAVARONE)』といったアリステア・マクリーン原作による戦争映画を思い起こさせるトラップやタイムリミットの設定など、構成もすばらしいです。
ジョセフ・コンランとバリー・デ・ヴォーゾンによる「Main Theme」の流れる「オープニング・クレジット」を見てもわかるように、『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 2」では2人は「追加音楽(英語: ADDITIONAL MUSIC BY)」としてクレジットされ、「音楽(英語: MUSIC BY」にはデニス・マッカーシーの名があります。
これはコンランとデ・ヴォーゾンのシンセサイザーによる楽曲に違和感を感じたプロデューサー陣が『V: THE FINAL BATTLE』の「Part 1』放映の6週間前にマッカーシーを雇ったためで、3人の楽曲が使用されている「Part 2」ではそれぞれのスタイルの違いを聴くことができます。
デニス・マッカーシーはアメリカで1987年から1994年にかけてシンジケーション放送されたシリーズ2番目のテレビシリーズ『新スタートレック(原題: STAR TREK: THE NEXT GENERATION)』以降のシリーズ常連で、同ドラマで18の「ASCAP FILM AND TELEVISION MUSIC AWARDS」を受賞。
1993年から1999年に放送されたシリーズ3番目のテレビシリーズ『スタートレック/ディープ・スペース・ナイン(原題: STAR TREK: DEEP SPACE NINE)』の「Main Theme from "Star Trek: Deep Space Nine"」では、1993年の「第45回プライムタイム・エミー賞(英語: 45TH ANNUAL PRIME TIME EMMY AWARDS」の「作曲賞主題歌部門(英語: OUTSTANDING INDIVIDUAL ACHIEVEMENT IN MAIN TITLE THEME」を受賞しています。
1994年の『新スタートレック』劇場版第1作『スタートレック ジェネレーションズ(原題: STAR TREK: GENERATIONS)』も担当。
同年にアメリカのレーベル「GNP CRESCENDO RECORDS」からリリースされた『STAR TREK GENERATIONS - ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の1曲目「STAR TREK GENERATIONS Overture」と『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』の「Main Theme from "Star Trek: Deep Space Nine"」は、どちらも管楽器による主題が美しく、とくに後者は「深宇宙の孤独」を感じさせるすばらしいもの。
Faye Grant as Juliet Parrish, Peter Nelson as Brian, Blair Tefkin as Robin Maxwell, and Michael Durrell as Robert Maxwell in V: THE FINAL BATTLE (1984)
Michael Durrell as Robert Maxwell, Marc Singer as Mike Donovan, Bob Harks as Freedom Fighter, Faye Grant as Juliet Parrish, Rafael Campos as Sancho Gomez, Denise Galik as Maggie Blodgett, Diane Cary as Harmony Moore, and Blair Tefkin as Robin Maxwell in V The Final Battle (1984)
George Morfogen as Stanley Bernstein in V: THE FINAL BATTLE (1984)
ダイアナはシャトルに乗って1977年のシリーズ第1作『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS: EPISODE IV - A NEW HOPE)』のダース・ベイダーのように逃げてしまいましたが、地球には再び平和が訪れました…。
少なくとも同じ年の秋に続編ドラマ『V2/ビジターの逆襲』が放送されるまでは…。
「Part 3」では「Main Theme」以外の楽曲はすべてデニス・マッカーシーのものが使用されました。
彼が本作に提供した楽曲には80年代を感じさせるものが多く、1998年に「SUPER TRACKS MUSIC GROUP」からリリースされた本作のサントラ『ORIGINAL SOUNDTRACK RECORDING V: THE FINAL BATTLE』の7曲目「Maggie Mourns / Maggie And Brad」や12曲目の「Love Theme」などは「80年代洋物ポルノ」みたい…。
彼が続投する『V2/ビジターの逆襲』の「"V" THE SERIES - Main Title」へつながる主題もちらほら登場します。
2009年には「WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.」から『ORIGINAL MUSIC FROM THE MINI-SERIES V: THE FINAL BATTLE』のタイトルで再リリースされており、「ボーナス・トラック」として17曲目「SUITE FROM "V" THE FINAL BATTLE」が追加されています。
こちらも各種コンテンツ配信サービスから購入可能です。
前作のサントラよりもはるかに強い「タイムスリップ効果」があります!
『V: THE FINAL BATTLE』放映後の1984年5月28日、アメリカの「PINNACLE BOOKS」から『V: THE ORIGINAL MINISERIES』と『V: THE FINAL BATTLE』の全5パートを1冊に収めたSF作家A・C・クリスピンによるノベライゼーション『V』が出版されました。
2008年2月5日、アメリカの「TOR BOOKS」からケネス・ジョンソン自身の手による『V: THE SECOND GENERATION』が出版されました。
これは『V: THE FINAL BATTLE』や彼がいっさい関わらなかった『V2/ビジターの逆襲』とはまったく別の、『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の直接の続編。
英語版「ウィキペディア」によるあらすじは以下のとおり。
- 物語の舞台は『V: THE ORIGINAL MINISERIES』から20年後の世界。『THE SECOND GENERATION』はビジターによる支配が続く地球で勝ち目のない戦いを続けるレジスタンスを描いている。彼らはビジターが人類滅亡を企む邪悪な異星人であることを大衆に暴くべく活動を続けていたが、すでにビジターは地球に多くの技術的および社会的進歩をもたらすことで大多数の支持を得ており、彼らの声が届くことはなかった。ビジターは汚染物質の浄化を装い、地球上の水の半分を採集していた。また、多くの人々がレジスタンス撲滅を目的としたビジターの民兵組織「チームメイト(英語: THE TEAMMATE)」(『V: THE ORIGINAL MINISERIES』における『ビジター・フレンズ』が進化したもの)に参加していた。
すべてが絶望的であると思われた時、レジスタンスのリーダー、ジュリエット・パリッシュが『V: THE ORIGINAL MINISERIES』の最後に宇宙へ送ったメッセージがようやく聞き入れられた。ビジターの長年の敵である異星人種「ゼッティ(英語: ZEDTI)」が危機に陥っていたレジスタンスに加勢し、戦局はレジスタンスにとって有利なものとなってゆく。だが何事も見かけどおりとは限らない、レジスタンスは徐々に、新しい味方の真の目的に疑問を持ちはじめる。
Set 20 years after the original miniseries, The Second Generation depicts an Earth still under Visitor domination with the Resistance fighting a losing battle. They desperately try to persuade the masses that the Visitors are evil aliens bent on mankind's destruction. However, they are largely ignored, as the many technological and social advancements brought by the Visitors to the planet have convinced the majority that the aliens have their best interests in mind. They are halfway to taking all of the planet's water, under the guise of cleansing it of all polluting substances. Many people were also convinced to join the Visitors' civilian militia, the Teammates (an evolution of the miniseries' Visitor Youth), for the purposes of hunting resistance members.
Just when all seems hopeless, the message that Resistance leader Juliet Parrish sent into space at the end of the original miniseries is finally heard. An alien race called the Zedti, who are long-standing enemies of the Visitors, reinforces the Resistance in their time of need and soon the war is turned in their favor. However, all is not as it seems, as the Zedti's actions make the Resistance wonder about their newfound allies' actual motives. -
ペンシルバニア州ピッツバーグの新聞『Pittsburgh Post-Gazette』のウェブサイトにポストされた2008年2月3日の記事「Tuned In Journal: "V" creator speaks」には、記者Rob Owenによるジョンソンへのインタビューが紹介されています。
以下はジョンソンが『V: THE FINAL BATTLE』制作をあきらめた理由や、続編について答えている部分をメインに抜粋したものです。
- ケネス・ジョンソンが2003年から制作準備を進めていたNBCの『V: THE SECOND GENERATION』は2004年に中止が決定。ジョンソンと『ワーナー・ブラザーズ・テレビジョン』は復活を賭けてその後も他のネットワークへの売り込みを続けていますが、その間にジョンソンは脚本を小説に書き換えました。(ハードカバー $24.95; ペーパーバック $14.95、TOR BOOKS)以下はジョンソンと交わした『V』シリーズについての会話からの抜粋です。
Johnson developed "V: The Second Generation" for NBC in 2003 but by 2004 the project was dead at the network. Johnson and Warner Bros. continue to shop the revival to other networks, and in the meantime, Johnson turned his script into a novel ($24.95 hardcover; $14.95 paperback, Tor Books), due in stores Tuesday. Here are excerpts from my conversation with Johnson about the "V" saga:
質問: なぜネットワークはミニシリーズを作らなくなってしまったのでしょうか?
ケネス・ジョンソン: 完璧な例があるよ。1983年に『V』をやった時、(当時NBCのプログラミング・エグゼクティブだった)ブランドン・タルティコフとぼくは(『V: THE ORIGINAL MINISERIES』を)連続ドラマの「パイロット版」として考えていたんだ。ところがいざ4時間のミニシリーズを作ってみると、1話1時間の連続ドラマにするには製作費がかかりすぎることがわかった。そこでぼくらは1話1時間の連続ドラマを制作する代わりに6時間の続編ミニシリーズをやろうとを思いついたんだ。でも『ワーナー(・ブラザーズ・テレビジョン)』が反対した。彼らにとってはプラス要素がなかったからね。連続ドラマの場合、ヒットすればスタジオは儲かるけれど、1度かぎりの6時間ものとなるとそうはいかないんだ。だがブランドンが言った、もし『ワーナー』が6時間の続編ミニシリーズをやるなら、NBCは1話1時間の連続ドラマ13話分を『ワーナー』に追加発注するとね。続編ミニシリーズをまだ何も決まっていない連続ドラマへの客寄せ商品とすることにして、『ワーナー』は同意した。『ワーナー』にとってもそれしか前に進む方法はなかった。当時でさえ彼らは連続ドラマから長期的に稼ぐ方法を探していたんだよ。
Question: Why are networks not making miniseries anymore?
Kenneth Johnson: Here's the perfect example. When we did "V" originally in 1983, [NBC programming executive] Brandon Tartikoff and I envisioned [the first miniseries] as a pilot for some ongoing series. After the four-hour miniseries, it became clear it was going to be too expensive to do as a one-hour episodic show. Instead of doing it as a one-hour series, we said, let's do it as a six-hour sequel miniseries and Warner Bros., [which owns the rights to "V"], said no, we don't want to do that. The reason is there was no upside for them. On a series, if you get a hit, the studio stands to make quite a bit of money. But as a one-off six-hour event, it doesn't take them into that world. It wasn't until Brandon said, if Warner will do a six-hour sequel, then NBC will give Warner an additional order for a separate one-hour series, 13 episodes, a put series commitment. Nobody had ever gotten that. Warner Bros. agreed, viewing the miniseries as a loss leader for a blind series commitment. That's the only way Warners would go forward. Even back then they were looking at the longer term of how to make money on series.
質問: 『V: ORIGINAL SERIES』のあと降板された理由はなんだったのですか?また『V: THE FINAL BATTLE』にはどの程度関わっていたのでしょうか?
ケネス・ジョンソン: クレイグ(・ファウスタス)・バック、ペギー・ゴールドマンとダイアン・フロロフの3人を雇い、『ワーナー』のオフィスで6時間の続編を作った。ぼくが書いた最初のの4時間(『V: THE ORIGINAL MINISERIES』)よりもよいものができあがり、ブランドンも気に入ってくれていた。順調に歩きはじめたところで『ワーナー』から電話があり、ぼくが彼らの望みどおりの速く、安く、そしてひどいものを作らないことに不安を抱いていると言われたんだ。彼らは質ではなく、不安要素を片づけてしまうことを望んでいた。ぼくは「監督するなというのが契約違反になることに気づいているのか?」と言うと、「そんなことはどうでもいい。それよりも連続ドラマに取り組んでくれ」と言われたんだ。それで思った、もしスタジオがぼくが作りたいように『V』をやらせてくれないならやめようと。彼らは言ったよ、「12時間の連続ドラマを自ら辞めるやつなんていない」と。それで言ってやったんだ、「そっちがぼくにそうさせているんだ。ほかになんと言えばいい?」ってね。結局彼らは脚本を別のグループに渡し、書き直させた。生まれた赤ん坊をまったく知らない、信用もしていない里親に預けるような気持ちだったね。(中略)『V: THE FINAL BATTLE』はいまだに30秒ほどしか観たことがないよ。その30秒で、彼らはすべてにおいて間違った選択をしていたよ。
Q: Remind me why you quit after the original "V"? How involved were you in "V: The Final Battle"?
KJ: I hired three writers to work with -- Craig Buck, Peggy Goldman and Diane Frolov -- and sat in my office at Warner Bros. and fashioned the six-hour sequel. It was better than what I had written in the first four-hours and Brandon loved it. We were just starting down the road and Warners called and said they were concerned I wouldn't direct it as quick and cheap and dirty as they wanted it. They were anxious to get it over with and out of the way and not pay too much attention to quality. And I said, "You realize by asking me not to direct, you're breaching my contract?" And they said, "We don't care, we want you to work on the blind series commitment." And I thought, if they won't let me make "V" the way I want to direct it, I should depart the studio. They said, "Nobody walks away from a 12-hour series commitment on the air." And I said, "You're forcing me to do it, what can I say?" So they handed off the script and had it re-written for a different group of people. It was a bit like having a baby and giving it over to the foster parents you didn't know or trust. ... To this day I've only seen 30 seconds of it and watched them make every wrong choice in 30 seconds.
Q: How much from what you wrote did they use: The alien babies, the conversion chamber, the red dust?
KJ: Yes, but at the end of ours when the Visitors were leaving, Donovan and Juliet didn't want them to go and take all of our people and we had them in a fighter that flew into a departing Mothership without the Visitors knowing what they had done. Maybe they would have found a way to save everyone. We left it open-ended that way.
KJ: When I was putting together the DVD [of the original] for Warner Home Video, the last scene had Faye [Grant as resistance leader Juliet Parish] sending a message to deep space hoping that the enemy of my enemy is my friend. And I thought, what if I picked up the story 20 years later to see what happened? We see Visitors control all the media and all communications and they can make the truth be whatever they want the truth to be. On the other hand, they cured AIDS and cancer and heart disease, but they're taking our water and half the oceans are gone. They say it's dialysis on a planetary scale, that they're just cleaning the water and will bring it back. It's a little like living in Paris in 1943 during the German occupation. You could have your cappuccino on the Champs Elyse if you didn't mind soldiers sitting next to you. You could go to the theater if you didn't mind that it was carefully edited and some of your friends would disappear occasionally. I thought it became an interesting allegory for what's been going on today in the world, particularly since when we wrote the original "V" the Soviet Union and the United States were the superpowers and now we have only one hyper-power, led by a group of people who say, "We are your wise leaders, we know what's best for you, stay the course, don't ask questions and we'll do what we want, undermine the Constitution a little bit, but we'll take care of you." ...
By the end of the first third of the book, it does look like our resistance is hobbled and they have no hope of winning and then there's a knock at the back door [and a new race of aliens arrive and say], "We got your message. We're here to help." That became a very exciting concept for me to pursue.
質問: 『V: THE SECOND GENERATION』では、『V: THE FINAL BATTLE』や『V2/ビジターの逆襲』の出来事は完全に無視されています。あの中で死んでしまったキャラクター、科学者のロバート・マックスウェル、味方のビジターのマーティンや他のキャラクターたちも再び登場します。
それらすべてを無視することにしたのはなぜですか?
ケネス・ジョンソン: 20年の間にはほんとうにたくさんのことが起こり得ると思うんだ。90年代の終わりごろ、多くの命が失われ、一掃された「大粛清(ソビエト連邦《ソ連》の最高指導者ヨシフ・スターリンが1930年代にソビエト連邦および衛星国のモンゴル人民共和国などで実行した政治的弾圧)」のことを伝えたいと思ったことがあってね。(中略)最初に創り上げたものと、もともと意図していたものに戻ってみたいと思ったんだよ。彼らが『V: THE FINAL BATTLE』で行ったすべての変更点について何も知らなかったが、ハム(・タイラー)については知っていたよ。あのキャラクターは車椅子に乗っているという設定だったんだけど、(俳優の)マイケル・アイアンサイドはプロデューサーたちに「おれの名前はアイアンサイドだ、車椅子になんて乗れない」と言ったんだ。彼らはこのような変更を重ね、大規模なものにしてしまった。(中略)だが、『V: THE FINAL BATTLE』を観たことがあって、すでに『V: THE SECOND BATTLE』を読んだ人たちは誰も気にしていないようだよ。これは最初にぼくがやろうとしていたことをもとにオリジナルでもっとも重要だったキャラクターたちを継承し、そこに新しいキャラクターたちを登場させるまったく新しい作品なんだ。
Q: In "V: The Second Generation," the events of the second miniseries and series are completely ignored. Characters that died are alive again, including scientist Robert Maxwell, fifth columnist Martin and other characters. Why ignore all that?
KJ: I figure a lot of water can go under the bridge in 20 years. I felt by introducing a "great purge" of the Resistance in the late '90s when many people were lost and swept away by that. ... I wanted to go back to what I had built to begin with and what my original intent had been. I felt that I wasn't that informed about all the changes they made in "The Final Battle." I knew the character of Ham. He was supposed to be in a wheelchair. [Actor] Michael Ironside went to the producers and said, "My name's Ironside, you can't put me in a wheelchair." They made all these changes of such a gross magnitude. ... I have found among people who got an early read of the book who had seen "The Finale Battle," nobody seems to have minded. This is a new piece that builds off of what I originally had done and carries on with the characters that were most important in the original and introduces a new set of characters.
質問: 『V: THE FINAL BATTLE』と『V2/ビジターの逆襲』を無視したことにNBCの重役たちは懸念を抱きませんでしたか?
Q: Did NBC executives have concerns about ignoring the events of the second miniseries or the series?
KJ: Not at all.
What they were concerned about was that they did a miniseries about the Warsaw ghetto and it didn't do well because it was such a downer. They were concerned about this being too grim and dark and I said, it has to be grim and dark for people to triumph over it.
質問: オリジナルの『V』と『V: THE SECOND GENERATION』の売り込みにはどんな違いがありましたか?
ぼくがNBCと『V: THE SECOND GENERATION』脚本執筆の契約を結んだのは、ちょうど企業買収が盛んに行われていた時だった。そのさなかにNBCがヴィヴェンディ・ユニバーサル(英語: VIVENDI UNIVERSAL)を合併買収し、大きな混乱が生じた。ブランドンが週末に脚本を読む代わりに彼らは5、6ヶ月かけて読み、それでも確信を持つことができなかった。こんなことを言われたことがあるよ、「これはリンゴについてのすばらしい脚本だ。でももしオレンジについてだったらどうだろう?」とね。「ストーリーについては互いに合意していたはずだ!」と言って聞かせなければならなかった。とてもイライラさせられたよ。(中略)
ある時、彼らは「脚本はとても良いが、まずは『V: THE ORIGINAL MINISERIES』をリメイクするべきだ」と言い出した。『ワーナー』もぼくも当然「なぜ?」と聞いたね。ぼくらはNBCのクリエイティブのトップたちと話していたんだけど、彼らは「あれはわれわれのアイデアではなく、マーケティング部門の考えだ」と言うんだ。これがすべてを物語っているよ。誰が主導権を握っていて、ネットワークがなぜひどい状況にあるのかわかるだろ?
Q: How did your experience differ between pitching the original "V" and "V: The Second Generation"?
KJ: When I went to Brandon in 1983, I told him the story. He never read it. At the end, he said, go write the script. I wrote a 230-page script in 19 days brought it back, he read it over the weekend and on Monday he said, "Go to production." On scripts you do revisions on different color pages. The first draft is white, the second set is blue. With "V" we shot the white pages of my first draft. Same thing happened on "The Incredible Hulk."
When I sold [a script commitment for] "V: The Second Generation" to NBC, it was a time when there were corporate takeovers. In the midst of this, there was a management change and suddenly NBC was buying Universal and the whole big tangle there. Instead of Brandon reading it over a weekend, these guys would take five and six months to read a draft and then be not certain. One of the things I got was, "This is a good script about apples. What if it was about oranges?" And I said, "We already agreed on the story!" It was a very frustrating situation. ...
At one point they said, this is a pretty good script, maybe we should re-make the original miniseries first. Warners and I said, Why? We were sitting with the creative heads of NBC and they said, "It wasn't our idea. It was the marketing department that thought it would be a good idea." I think that says it. It gives you a sense of who's running the show, why networks have gotten themselves into bad places.
Q: Did you discuss this sequel with the primary cast members?
KJ: The principals I did. Any of them could have been recast. We see that happen. But I have huge affection for Marc [Singer], Faye, Jane [Badler] and Bobby [Englund] as well as some supporting players. For me the fun for the audience was having them see the same faces 20 years older. What a rare thing to be able to do that. -
Faye Grant as Juliet Parrish, Marc Singer as Mike Donovan, and Jane Badler as Diana in V: THE FINAL BATTLE (1984)
2008年10月28日には、『V: THE SECOND GENERATION』と同じ「TOR BOOKS」からA・C・クリスピンによるノベライゼーションが『V: THE ORIGINAL MINISERIES』のタイトルで再出版されています。
タイトルからもわかるように『V: THE FINAL BATTLE』に当たる部分はカットされ、代わりにジョンソンが『V: THE SECOND GENERAION』へリンクする部分を加筆しています。
「リ・イマジニング」された『V(原題: V)』はABCで2009年11月3日から2011年3月15日まで、全2シーズンが放送されました。
ジョンソンの名前も「原案」としてクレジットされていますが、実際には自分の名前を外すよう「全米脚本家組合(英語: THE WRITERS GUILD OF AMERICA)」に働きかけたほどで、いっさい関わっていません。
2018年2月6日、アメリカの制作会社『デシル・スタジオ(英語: DESILU STUDIOS INC.)』が映画版『V』の制作を発表。
ジョンソンも「『デシル』と手を組むことによって、時代を超えた-そしてタイムリーな-専制君主に対抗するレジスタンスのストーリーを21世紀に蘇らせられることをうれしく思っています。『V』は私がつねに思い描いていた方法で壮大な物語を伝える映画三部作の最初の作品となります。 "We are delighted to team up with Desilu to bring the timeless—and timely—story of resistance against tyranny into the 21st Century. V will be the first of a cinematic trilogy which will tell the full epic tale in the manner I always envisioned."」と喜びの言葉を寄せていました。
『デシル・スタジオ』の「デシル」は、1951年から1957年までCBSで放送されたシットコム『アイ・ラブ・ルーシー(原題: I LOVE LUCY)』の主人公ルーシー・リカードとその夫リッキーを演じたルシル・ボールとデジ・アーナズ夫妻が1950年に設立した制作会社『デシル・プロダクション(英語: DESILU PRODUCTIONS)』から取られたもの。
Lucille Ball and Desi Arnaz
『デシル・プロダクション』は、『アイ・ラブ・ルーシー』終了後、1960年の離婚を機にボールがアーナズの権利を買い取ったあとも、1966年から1969年まで放送されたNBCの『宇宙大作戦(原題: STAR TREK)』や、1966年から1973年まで放送されたCBSの『スパイ大作戦(原題: MISSION: IMPOSSIBLE)』など、数々の人気シリーズを制作しました。
その後同社はさまざまなスタジオに買い取られ、社名も次々と変わりましたが、2013年にCharles Hensleyという人物がまったく別の『デシル・スタジオ』を設立します。
2019年8月27日、「ワーナー・ブラザーズ」の所有する莫大なライブラリーから「オンデマンド方式」でDVDやBlu-rayの製造・販売をしている「ワーナー・ホーム・ビデオ」部門の1つ「ワーナー・アーカイブ・コレクション(英語: WARNER ARCHIVE COLLECTION)」(以下「ワーナー・アーカイブ」)から、新たなリマスターによる『V: THE ORIGINAL SERIES』Blu-rayがリリースされました。
これを記念し、「ワーナー・アーカイブ」は2019年7月19日-22日にカリフォルニア州サンディエゴで行われた「サンディエゴ・コミコン2019(英語: SAN DIEGO COMIC-CONVENTION 2019)」の初日、「WARNER ARCHIVE CELEBRATES V: THE ORIGINAL MINI-SERIES」と題したパネル(=プレゼンテーション)を開催。
“V” creator Kenneth Johnson and star Marc Singer appeared on a panel with the Warner Archive team at San Diego Comic Con to promote the new “V:The Original Miniseries” Blu-ray.
"SDCC: THE VISITORS ARE RETURNING AS “V:THE ORIGINAL MINISERIES” MAKES ITS BLU-RAY DEBUT" by Joe Vanourney, CherryLosAngeles the Geek
「ワーナー・アーカイブ」チームが鮮明に生まれ変わった『V: THE ORIGINAL SERIES』のHD映像を上映、ケネス・ジョンソンとマーク・シンガーも登場し、『V: THE ORIGINAL SERIES』の制作秘話を披露しました。
ジョンソンは映画三部作にも触れ、1995年から始まる『ジュマンジ(原題: JUMANJI)』シリーズを手掛けたプロデューサー、テッド・フィールドが制作を統括することや、「プリビズ(英語: PREVISUALIZATION)」(CG映像を制作する前に、完成した状態を確認するためのシミュレーション映像)を紹介。
1作目は1980年代を舞台にした『V: THE ORIGINAL SERIES』のリメイク、続編2作は1作目から35年後の世界を描くそうで、実現すれば、今度はスクリーンでシンガーのマイク・ドノバンを観ることができそうです。
(L-R): Promoting the upcoming Warner Archive Blu-ray of ‘V: The Original Miniseries,’ actor Marc Singer and creator Kenneth Johnson.
"Warner Archives’ Impending ‘V’ Blu-ray Inspires Reflections on Sci-Fi Miniseries’ Legacy" by John Latchem, Media Play News
『V: THE ORIGINAL SERIES』Blu-rayはDVD同様、80年代アナログテレビの標準アスペクト比だった「1.33:1」ではなく、ワイドスクリーンのアスペクト比「1.85:1」で収録されています。
またBlu-rayではサウンドトラック(映画のフィルム上における音声が収録されている部分)も新しく生まれ変わりました。
パネルでジョンソンは「DVDの時は『ワーナー』からステレオ・ミックス制作の許可が下りず、サウンドはモノラルだったんだ。今回は完璧なものを作り上げるためにいつもの2倍の時間をかけたよ。 “When they released it on DVD, it had mono sound because Warner wouldn’t let me mix it in stereo. I spent twice as much time doing the sound for this Blu-ray to get it right.”」と振り返っています。
DVD同様、「映像特典」として「メイキング(約25分)」、「音声特典」として「監督ケネス・ジョンソンによる音声解説」が収録されています。
『V: THE ORIGINAL SERIES』Blu-rayリリースから遅れること約8ヶ月、2020年4月14日には同じ「ワーナー・アーカイブ・コレクション」から『V: THE FINAL BATTLE』Blu-rayもリリースされました。
2005年10月4日にリリースされたDVDのアスペクト比は上下をクロップした形での「1.85:1」でしたが、Blu-rayは放映時とおなじ「1.33:1」で収録されています。
またBlu-rayには、「映像特典」として2本の予告編「Next on V: The Final Battle – Part 1」と「Next on V: The Final Battle – Part 2」も収録されています。
DVDには「特典」の類がいっさいなかったのでうれしいはうれしいけれど、「コメンタリー」や「メイキング」なども収録してほしかった…。
1984年の『V: THE FINAL BATTLE』の時点で自分の想い描いていたとおりの作品が作れなかったジョンソンの無念を思うとぜひ映画三部作を実現してほしいし、『V: THE ORIGINAL SERIES』のようなよい意味での「重み」のある「完結編」ならぜひ観てみたい。
と同時に、はじめて『V: THE FINAL BATTLE』を観終わった時から今も持ち続けているあの感動を壊されてしまうのではないかという「怖さ」もあり、複雑な気持ちです…。
kennethjohnson.us
2011年秋に2009年の「リ・イマジニング」版『V』を日本初放送した海外ドラマ専門チャンネル「スーパードラマ!TV」の公式サイトでは、『V: THE ORIGINAL MINISERIES』と『V: THE FINAL BATTLE』を次のように紹介していました。
STORY
新型ウイルスの感染拡大で外出自粛を余儀なくされている日本。そんな中、自宅の映像ディレクター・日暮の元に笹原、吉沢の両プロデューサーからビデオ電話がかかってくる。「今月中に再現ドラマを1本作って欲しい」という無茶ぶり……。「今は撮影できる状況じゃないですよ」と渋る日暮に、驚きの返答が返ってくる。「スタッフキャスト全員、一度も会わずに作ります」。かくして”完全リモート”での映像制作が始まった。
新型コロナウイルスのパンデミックによって映画館の閉鎖が続く中、劇場公開の機会を逃した作品に対する救済措置として「米映画芸術科学アカデミー(英語: ACADEMY OF MOTION PICTURE ARTS AND SCIENCES = AMPAS)」は2020年4月28日、「一時的な措置として2021年の第93回アカデミー賞においてはストリーミングのみで公開された作品も対象にする」と発表しました。
日本のアカデミー賞には「短編実写映画賞(英語: ACADEMY AWARD FOR BEST LIVE ACTION SHORT FILM)」はないけれど、今後「日本アカデミー賞協会」がアメリカと同様の措置を取るのであれば、ぜひ本作も選考対象にしてただきたい…。
2017年には俳優ジェームズ・フランコの監督、主演で本作の製作過程を映画化した『ディザスター・アーティスト(原題: THE DISASTER ARTIST)』も公開されていて、第75回ゴールデングローブ賞で「最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル)」を受賞、第90回アカデミー賞では「脚本賞」にノミネートされています。
『ザ・ルーム』の監督、製作、脚本と出演のトミー・ウィゾー(ワイゾーと発音される場合も)の長年の友人で、『ザ・ルーム』にも出演したグレッグ・セステロと、ジャーナリストトム・ビゼルによる2013年の暴露本『THE DISASTER ARTIST: MY LIFE INSIDE THE ROOM, THE GREATEST BAD MOVIE EVER MADE』(SIMON & SCHUSTER)が原作。
絶対読む!
ちなみに『ロッキー・ホラー・ショー(原題: THE ROCKY HORROR PICTURE SHOW)』は1975年に公開されたイギリスのミュージカル・ホラー映画。
アメリカでは公開1年後から深夜興行がはじまり、ロサンゼルスでぼくが住んでいたアパートのそばのアートハウス映画館『LANDMARK'S NUART THEATRE』にも毎週土曜日の深夜ど派手なコスプレをした観客たちが集まっていました。
作品を観ながらみんなでお約束の「ツッコミ」を叫んだり、紙吹雪や米をまき散らしたり、さらにはスクリーンの前で映画と同時進行で演技したりする「カルトムービーの親分」。
『ザ・ルーム』について少々…。
本作は映画学界にも浸透していて、2018年12月12日の『エンターテイメント・ウィークリー(英語: ENTERTAINMENT WEEKLY)』のClark Collisによる記事「The crazy cult of The Room A five-year-old box office flop has turned into the newest midnight movie sensation」によると、アメリカ・ミネソタ州の「セント・クラウド州立大学(英語: St. Cloud State University)」の映画学の助教授Ross Morinは本作を「この映画はハリウッドの虚構をさらけ出している。『ザ・ルーム』は駄作界の『市民ケーン』だ ”It exposes the fabricated nature of Hollywood. The Room is the Citizen Kane of bad movies.”」と評しています。
「駄作界の『市民ケーン』」は今では本作を語る上での常套句。
ジェームズ・フランコの『ディザスター・アーティスト』も同じ場所に同じデザインの広告を出しました。
電話番号まで再現していて、実際に掛けるとウィゾーに成りきったフランコによる「トミー・ウィゾーのボイスメールです。とても忙しくしています。別の電話に出ているかもしれません、もしくはあなたと話したくないのかも。ウソだよ。メッセージをどうぞ。HA-HA-HA ”You’ve reached voicemail of Tommy Wiseau, I’m very busy guy. Maybe on another call, or maybe I just don’t want to talk to you. I’m joking, my friend. Leave me a message. Ha-ha-ha.”」という音声が聞けたのだそう。
『エンターテイメント・ウィークリー』の記事によると、公開2週目に「観客ゼロ “absolutely empty”」の劇場で本作を観た脚本家のマイケル・ルスレは映画の終わりに「これは観なきゃダメだ “You have to come see this movie.”」と友人たちに電話を掛け、3日間で4回鑑賞しました。
観客の数が100人ほどに増えた4回目の鑑賞時、劇中やたらと映り込む写真立てに入った「スプーン」の写真に疑問を感じていた彼はそれが映るたびに「スプーン!」と叫び、友人たちと持ち込んだスプーンをスクリーンに向かって投げはじめました。
「『ザ・ルーム』の上映会はアメリカの犯罪件数を引き下げました。することもなく町をほっつき歩いていた若者たちの多くが『ザ・ルーム』を観に行き、楽しみました。『ザ・ルーム』のない世界を想定してみましょう。人々は町をぶらぶらし、石ころを手にとって誰かに当たるまで投げるでしょう。誰かに石ころが当たったら、彼らは逮捕され投獄されます。これこそ『ザ・ルーム』がない世界に起こる事態です。犯罪率は急騰するでしょう。私がなにを言いたいかお分かりですね "Screening The Room midnight eliminated crime in America. Look at how many young people—you been young, I mean we still young, whatever—go in the street, you know, walking on the street, nothing to do, go see The Room, have fun. Let's assume you don't see The Room, you don't have The Room, you walk on the street, grab the rock, and by accident you hit somebody, you know? Accident happen, get 'em arrested, go to jail, whatever. Instead, you see The Room. So high probability crime, high probability…you know what I'm saying?"」と、ウィゾーは2014年10月6日のウェブサイト『GAWKER』の記事『"Move On, Next Question": An Attempt to Communicate With Tommy Wiseau』の中で語っています。
以下は2018年7月2日にカリフォルニア州・ウェストウッドにある『LANDMARK'S REGENT THEATER』で行われた上映会、さらに『The A.V. Club』に2009年3月11日に掲載されたHouse of Qwesiによる「A Viwer's Guide To The Room」、『MENTAL FLOSS』のMark Manciniによる2016年5月29日の「11 Surprising Facts About The Room」と、アメリカ版『BuzzFeed』のAlex Zakonによる2017年7月26日の記事「40 Absurd Facts About The Worst Movie Ever Made」などをベースに構成しています。
タイトル『ザ・ルーム』の意味について、ウィゾーは2011年の『CNN』のインタビューで「部屋とは関係なのです。部屋はわたしとあなたであり、アメリカにいるすべての人々です。それが部屋なのです。わたしはいつも言っているのですが、人は笑ったり泣いたり、そして自分を表現することができます。しかしどうかお互いを傷つけないでください “The room is a relationship. The room is you and me and everyone in America. That’s basically what “The Room” is. I always say, you can laugh, you can cry, and you can express yourself, but please don’t hurt each other.”」と答えています。
"Interview with Greg Sestero and Tommy Wiseau" on "CNN International"
また本作DVDの「特典映像」の中では「製作当時、わたしは特別な場所、プライベートな場所、安心できる場所について考えていました。それは部屋ではありせんが、部屋でもあるのです。ずっと人々は部屋に関係していると考えています。つまり部屋というのはあなたが行ける場所で、楽しい時間やそうでない時間をすごせ、そして安全な場所です “At the time, I thought about a special place, a private place, a place where you can be safe. And it's not a room, but it's the room. I thought and I think, a lot of people were related to it. So the room is a place where you can go, you can have a good time, you have a bad time, and a safe place.”」と語っています。
"Interview with Director Tommy Wiseau" on "THE ROOM " DVD
Tommy Wiseau as Johnny and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
本作公開から10年後、『THE AWL』のEj Dicksonによる2013年6月28日の記事「Lisa Exits "The ROOM"」によると、ダニエルには当初リサの親友ミシェルが配役されていました。
ところがミスキャストを理由にリサ役の女優が降板し、ダニエルはその代役として起用されます。
役作りの手助けのつもりだったのか、ウィゾーはダニエルにスタンリー・キューブリック監督の1999年の遺作『アイズ・ワイド・シャット(原題: EYES WIDE SHUT)』を観るよう指示しています。
「彼がなにをしたかったのか未だにわからない “I still don’t know what he was trying to do there,” 」とダニエルは話しています。
途方に暮れたダニエルはリサを理解するために様々な視点からほかのキャラクターに手紙を書いてみたり、ほかの出演者たちと積極的にコミュニケーションを取ってみたりしたのだそう。
Philip Haldiman and Juliette Danielle at the Premiere of THE ROOM on June 27, 2003
デニーがリサのドレスを褒め、リサがジョニーからもらったことを告げると、ジョニーが得意げに「プリンセスのためならなんなりとー HA-HA-HA-HA(Anything for my princess! Ha-ha-ha-ha.)」と言いますが、劇中ずっと続くこの「棒読み」がたまりません。
本当はジョニーのセリフはすべて「ひらがな」で書きたいくらい…。
Phillip Haldiman as Denny, Tommy Wiseau as Johnny, and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
ジョニーとリサはデニーがいるのにも関わらず思わせぶりに2階へと移動し、デニーはテーブルの上のリンゴをかじります。
「食べちゃだめだー! "DON'T EAT THE APPLE!!"」と止めてあげますが、結局食べちゃうので「あー! "AWWWWW!!"」と残念がります。
このリンゴは別になにかを「比喩」しているわけではありません。
2階に上がった2人が枕投げをしてじゃれ合っていると、突然デニーが飛び込み参加します。
Tommy Wiseau as Johnny, Phillip Haldiman as Denny, and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
ジョニーが「デニー、ほかにやることないのか? "Denny, do you have something else to do?"」と聞いたあとのデニーの答え「2人を見てたいんだ "I just like to watch you guys."」には驚愕…。
誰がどう見てもジョニーとリサはこれからセックスするのに、「見てたい」っていうのは…?
そしてリサも「もーデニーったら "Denny, Denny, Denny boy!"」と言ってそんな彼の髪を撫でてあげるけど、この時点ではこの3人の関係性がまったく分からないので「?」。
ちょっと妙な間があり、デニーが不満気に「わかったよ。どうせ宿題あるし "Fine, I have homework to do anyway."」と出て行きます。
「お前いくつだよ? "HOW OLD ARE YOU?"」
ほんとだよ。
Juliette Danielle as Lisa and Phillip Haldiman as Denny in THE ROOM (2003)
I can't explain
Why I feel this way about you
It'd be a shame
Living in this world without you
(B section)
There's nothing
I wouldn't do for you
You are my fantasy
Dream come true
(V.2)
When I see your face
It stirs up my emotions
Your style and grace
It inspires my devotion
(B section)
... and
(Hook)
I will stand in the way of a bullet
I will run through a forest of flames
I will climb the highest of mountains
Just to show you I love you I will
(Vamp)
I will (8x) -
リサが髪留めを外して髪が下りた時には「下げてー!"PUT YOUR HAIR DOWN!"」、次のカットでまたアップになったら「上げてー! "PUT YOUR HAIR UP!"」
リサはクローデットに「ジョニーはつまらない人なの "He's so boring."」と言いはなち、突然ビッチになります。
クローデットは2人が5年も付き合っていて婚約もしているし、ジョニーの経済力がなければ生活できないではないかと説得します。
ここはみんなで「女性なんだから! "BECAUSE YOU'RE A WOMAN!"」を付け足します。
Carolyn Minnot as Claudette and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
クローデットは「5年」と言っていますが、あとでジョニーは「7年」と言っています。
ひととおり話し終わるとクローデットが「もう行かないと "Listen, I've got to go."」と言って席を立ちます。
「来たばっかじゃん! "YOU JUST GOT HERE!"」
クローデット役のキャロライン・ミノットは撮影現場とこのキャラクターについて、本作DVDの「Behind the scenes of "The Room"」の中で次のように話しています。
「撮影を楽しんでいます。わたしにとってはじめての長編映画で、とても楽しんでいます。クルーをはじめ、参加しているみなさんとも楽しい時間をすごしています。とてもプロ意識の高い人たちです。彼らがどのように仕事を進めているのかを見れるのはとても勉強になります。クローデットはわたしが知っている複数の女性の集合体だと思います。彼女はこれまで控え目に生きてきましたが、同時にもっとよいなにかを人生に求めてきたのだと思います。これまで数回、つねに経済的にも社会的にも自分より少し上にいると感じた女性と結婚してきました “I’ve been enjoying the production, it’s the first full-scale feature film production I’ve been a part of, and I’ve been enjoying it very much, I’ve been enjoying the crew and everybody involved with it, everybody’s very professional. And it’s been a real education, watching everybody work and doing their job. I see Claudette, in my mind, is at accumulation of several different women that I’ve known in my life. And I have the feeling that Claudette probably comes from fairly modest means, but she had aspirations of something better in life. And she’s married several times always married men who she felt were just a little above her, probably economically and socially.”」
次の日、リサの話を聞くためにマークがアパートを訪ねて来ます。
露骨に彼を誘惑するリサ。
「ビッチ! "YOU BITCH!"」
「ジョニーは親友なんだ "Johnny's my best friend."」と、誘惑を拒絶するマークも、すぐに一線を越えます。
2人ともひでーやつら。
Juliette Danielle as Lisa and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
2人がキスし、お互いに唇を押しつけるたびに「OH!」
Juliette Danielle as Lisa and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
らせん階段に移動して、変なカット割りの多い2回目の「ラブ・シーン」へ。
Juliette Danielle as Lisa and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
Kitra Williamsの「You're My Rose」が流れ、手拍子もしくは合唱で盛り上げます。
- You're My Rose
Kitra Williams
[Verse]
Your touch
Pullin' fire out of me
Your touch
Like the wind crashing on the sea
Your kiss
As gentle as a summer breeze
Your love
Is what I need to set me free
[Chorus]
A rose is what you are to me
The smell of wonders oh so sweet
You are a rose to me
You are my rose baby
You are a rose to me
You are my rose baby
[Outro]
You are my rose
You are my rose
You are my rose
You are my rose
You are my rose
You are my rose -
Juliette Danielle as Lisa and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
ふたたびサンフランシスコの街のショットが入り、ここでは「そのころ、サンフランシスコでは "MEANWHILE IN SAN FRANCISCO"」とみんなでわざわざ言います。
これも「お約束」。
THE ROOM (2003)
ジョニーはリサへのプレゼントを買いに花屋に立ち寄ります。
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ここからがこの作品の最初の見どころ。
このシーンは静かに堪能します。
ジョニー「ハーイ “Hi.”」
店員「なににします? “Can I help you?”
ジョニー「ああ、ダズンローズをくれる? “Yeah, can I have a dozen red roses, please?”」
店員「あらジョニー。気がつかなかった。はいどうぞ “Oh hi, Johnny, I didn’t know it was you. Here we go.”」
ジョニー「ぼくだよー。いくら? “That’s me! How much is it?”」
店員「18ドル “It'll be eighteen dollars.”」
ジョニー「はい、おつりはいいよ。やあワンちゃん “Here we go, keep the change. Hi doggie!"」
店員「わたしのお気に入りさん “You’re my favorite customer.”」
ジョニー「ありがとう、バーイ “Thanks a lot, bye!”」
ジョニーは嫌だと言っているのに「愛しているならこれを飲んで "If you love me, you'll drink this."」とリサはやたらと勧めます。
一口飲んだジョニーが「ほんとだ。美味しいよ A-HA "You're right. It tastes good. A-ha."」と笑顔になるけど、そんなわけないと思う…。
Juliette Danielle as Lisa and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
しばし飲み続け、フラフラになったジョニーが頭にネクタイを巻いたリサに言うセリフも名言となっています。
「A-HA-HA。疲れた。ヘトヘトだ。愛してるよ、ダーリン! "A-ha-ha. I'm tired, I'm wasted, I love you, darling!"」
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
リサは「抱いて "Come on, make love to me."」とジョニーを誘います。
すごい女性だ…。
2人が熱いキスを交わすので、動きに合わせて「OH!」を連呼。
Juliette Danielle as Lisa and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ベッドルームに移り、キャンドルのショットから本作すでに3回目の「ラブ・シーン」。
「FIRE!」
最初の「ラブ・シーン」とそっくりなので、「前に観た気がする! "I FEEL LIKE I'VE SEEN THIS BEFORE!"」も有効。
最初の時と同じく、ここでもなにかを流れる水が映ります。
「WATER!」
ここで使用されている歌はClint Gamboaの「Crazy」。
上記を無視して一緒に歌うのもありです。
案外いい歌じゃないか!
これまでに比べると控え目な長さで終わります…。
「おつかれさまでした!」のあとには「また」サンフランシスコの家並みが映るので、Jesse Frederickの歌うアメリカABCテレビ(英語: AMERICAN BROADCASTING COMPANY)で1987年から1995年にかけて放送されていたシチュエーション・コメディ『フルハウス(原題: FULL HOUSE)』のオープニング・テーマソング「EVERYWHERE YOU LOOK」から、「見わたせばそこにある "EVERYWHERE YOU LOOK, EVERYWHERE YOU LOOK!"」の部分をみんなで「歌わず」に叫びます。
なーんだそうだったのか…?
2人はドアを「閉めず」に出て行きます。
「ドア閉めろ! "CLOSE THE GOD DAMN DOOR!"」
いったいどんなアパートなのかさっぱりませんが、開いたままのドアからデニーが現れます。
「デニー!"DENNY!"」
Phillip Haldiman as Denny and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
クローデットも同じことを疑問に思ったようで「いったいこの部屋には毎日何人が出入りしてるの?グランド・セントラル駅よりひどいわ "How many people come in and out of this apartment everyday? This is worse than Grand Central Station!"」と呆れます。
本作でもっともまともなセリフ。
ドアは閉まらないのかと疑うほど開いたまま…。
「ドア閉めろ! "CLOSE THE DOOR!"」
Carolyn Minnot as Claudette, Juliette Danielle as Lisa, and Phillip Haldiman as Denny in THE ROOM (2003)
とにかくみんながひととおり怒り終わるとジョニーが戻って来ます。
リサが「デニー、ジョニーはあなたの父親代わりなのよ。私たちは友達なんだから、力になるわ "Denny, you know that Johnny's like your father. And we're your friends. We're going to help you."」と言って聞かせる時のジョニーの顔よ…。
Juliette Danielle as Lisa, Phillip Haldiman as Denny, and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
マークはジョニーに、女性も男性のように浮気をすると思うかと尋ねます。
ジョニーはリサに愛されていると信じており、自分は心配していないと答えます。
マークは「分からないぞ。最近はみんなおかしい。俺が知ってた女には何人も男がいて、それを知った1人が彼女をなぐって病院送りにしたんだ "Yeah man, you never know. People are very strange these days. I used to know a girl, she had a dozen guys. One of them found out about it, beat her up so bad she ended up in a hospital on Guerrero Street."」と、深刻に話します。
「HA-HA-HA-HA!すごい話だなマーク! "HA-HA-HA-HA! What a story, Mark!"」とジョニーは「ここでも」上の空な感じで笑い飛ばします。
笑うとこじゃない!
HA-HA-HA-HA
Tommy Wiseau as Johnny and Phillip Haldiman as Denny in THE ROOM (2003)
リサに惹かれてしまっているデニーは複雑な心境をジョニーに告白しますが、ジョニーはリサもデニーのことを1人の人間として愛していると的外れな返答をします。
ジョニーが話しはじめる時の「デニー、心配するな "Denny, don't worry about that."」の言い方はぼくにはどツボ。
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ジョニーの話は「世界平和」についてのスピーチで終わります。
「もしみんなが愛し合えば、世界はもっと住みやすいところになる "If a lot of people loved each other, the world would be a better place to live."」
そもそも論点がずれてるけれど、それどころじゃなくまったく話が入ってこない…。
HA-HA-HA-HA
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
感動的に場違いなスピーチにみんなで拍手喝采。
その後デニーが学費を払ってくれているジョニーによくわからないタイミングで礼を言い、ジョニーがまったく感情のこめずに「なにか食べよう、はうんぁー "Let's go eat, hunh?”」と誘って2人は肩を組んで屋上を去ります。
パリスは監督、脚本家としても活躍していて、自身もふくめ、本作に出演した俳優たちのその後の人生をモキュメンタリー・スタイルで描いたウェブシリーズ『THE ROOM ACTORS: WHERE ARE THEY NOW? A MOCKYUMENTARY』は2016年に第24回「レインダンス映画祭(英語: Raindance Film Festival)」でプレミア上映され、数々の映画祭で賞を受賞しています。
Kyle Vogt, Juliette Danielle, Robyn Paris, Michael Rousselet, Carolyn Minnot, and Philip Haldiman in THE ROOM ACTORS: WHERE ARE THEY NOW? A MOCKUMENTARY (2016-)
かなり辛口な自虐ネタだらけのこの作品は、パリス自身の『YouTube』チャンネル「Robyn Paris(https://www.youtube.com/channel/UCq7I_2zXFDGlU0bbJ8eKzGw)」でも観ることができます。
『ザ・ルーム』に関するそれぞれのキャストへのインタビューや、キャストがファンからの質問にライブ配信で答えている「The Room Actors Q and A」もおすすめです。
ロサンゼルスにはこのシーンのような場所があふれているのに、ウィゾーはセット撮影にこだわりました。
本作DVDの「Behind the scenes of "The Room"」では、デニーとChris-Rのシーンの撮影もこのセットで行われています。
その後屋上に変更しちゃって、セットもったいないからこの意味不明なシーンを書き足したのかも…。
リサとクローデットが部屋に入ってきます。
「スプーン! "SPOONS!"」
「ドア閉めろ! "CLOSE THE DOOR!"」
このあたりになるともう観客も怒ってます。
Carolyn Minnot as Claudette and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
らせん階段でその話を聞いていたジョニーは大きな棒読みの独り言を。
「なぜあんなことが言えるんだ。信じられない。見てろ、全部録音してやる "How can they say this about me? I don't believe it. I show them. I will record everything."」
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ジョニーが動き出し、みんなで『スパイ大作戦(原題: MISSION: IMPOSSIBLE)』の「スパイ大作戦(原題: Theme from Mission: Impossible)」を合唱。
Tommy Wiseau as Johnny and Kyle Vogt as Peter in THE ROOM (2003)
みんなで「ピーター! "PETER!"」。
このあとも、少しでも彼が映ると「ピーター! "PETER!"」
リサが疑われるようなことをするとは思っていないピーターにジョニーは、
「心理学者だろ、なにかアドバイスをくれないか "But you're a psychologist. Do you have some advice?"」
と尋ねます。
リサと話すべきだ、人生は複雑で時には向き合わなければならないことも起こる、と本当に実も蓋もないアドバイスをするピーター。
ジョニー自身も問題を抱えていると「また」同じ話をはじめ、心配するピーターが話すよう促します。
ところがジョニーは「ピーター、君はいつも心理学者みたいな話し方をする "Peter, you always play psychologist with us!"」
お前が呼んだんちゃうんか!
なんなん?
結局ピーターもさっき言ったことと同じ話をリピート…。
でもやっと彼がカメラ目線になると観客は大喜び!
これがピーターの1回目の「カメラ目線」。
Kyle Vogt as Peter in THE ROOM (2003)
マークが話題を変え、2人にその年の「Bay to Breaker(毎年5月の第3日曜日にカリフォルニア州・サンフランシスコで行われる競馬)」に賭けるかどうか尋ねます。
その年はやめておくというピーターをジョニーがからかいます。
「HA-HA-HA、ピーター、お前はチキンだ CHEEP, CHEEP CHEEP CHEEP CHEEP CHE-EE-EE-EEP EEEEEEEEEEEE! "HA-HA-HA, chicken, Peter, you’re just a little chicken! CHEEP, CHEEP CHEEP CHEEP CHEEP CHE-EE-EE-EEP EEEEEEEEEEEE!"」
やば…。
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ピーターがジョニーにリサとのなれそめを尋ねますが、これがまー見事にまったくおもしろくない話で…。
ジョニーがキッチンに消え、リサとデニーが帰ってきます。
「ハイ、デニー!"HI, DENNY!"」
「ドア閉めろ! "CLOSE THE GOD DAMN DOOR!"」
慌てて帰ろうとするマークを引き留めるリサ…。
Greg Sestero as Mark, Kyle Vogt as Peter, Tommy Wiseau as Johnny, and Phillip Haldiman as Denny in THE ROOM (2003)
ピーター転んで最後の「カメラ目線」!
Kyle Vogt as Peter in THE ROOM (2003)
「バイ、ピーター! "BYE, PETER!"」
ピーターとはこのシーンでお別れ、もう出番はありません…。
なんなんだよ!
本作DVDの「特典映像」の中で、ウィゾーは「どうしてキャラクターたちはタキシードを着てフットボールをしているのですか、そしてなぜみんな1mほどしか離れていないのですか? "Why are the characters playing football in tuxedos, and why just three feet apart?"」に対し、「みなさんは防具や巨大なフィールドなしでフットボールをすることが楽しいということを知るべきです。フットボールはタキシードを着ていても、1mしか離れていなくてもプレイできます。楽しむことが目的なので、みなさんにおすすめします "I think, people should realize that playing football without any gear and special big huge field is fun. So you can play football in tuxedos, you can play football three feet apart. And the idea is to have fun, so I'll recommend anyone to try it."」と答えています。
ダメだ…全然わからん…。
Juliette Danielle as Lisa, Tommy Wiseau as Johnny, Philip Haldiman as Denny, and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
「WATER!」からの「そのころ、『スター・ウォーズ』では "MEANWHILE IN 'STAR WARS'"」
Daron Jennings as Barista #2, Padma Moyer as Susan, Arelle Mitkowski as Coffee Shop #3, Frank Willey as Coffee Shop #4, Nora Demarcky as Coffee Shop #2, and Thomas E. Webster as Coffee Shop #1 in THE ROOM (2003)
注文を終えた2人も金を払わず席に着き、マークがジョニーの仕事の近況を尋ねます。
顧客に関わることなので話せないと答えるジョニーですが、突然話題を変えます。
「ところで、セックス・ライフはどうだい? "Anyway, how is your sex life?"」
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
へ??
マークは話せないと答え、なぜだと聞いたくせにジョニーはすぐに「行かなきゃ」と席を立ちます…。
「来たばっかじゃん! "YOU JUST GOT HERE!"」
次の日に一緒にジョギングすることを約束し、ジョニーは出て行きます。
その後やったらこっち見てるマークの後ろの人がめっちゃ気になる…。
「お前の出番じゃない、こっち見るな! "THIS IS NOT YOUR SHOT, TURN AROUND!"」
Frank Willey as Coffee Shop #4 and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
ベッドルームにリサとマークがやって来ます。
誘いを掛けるビッチ・リサに、もう「アホ」としか思えないマークは「また」同じセリフを…。
「どうしたんだ? "What's going on here?"」
「ジョニーは親友なんだぞ "Johnny's my best friend."」
よくもまーいけしゃーしゃーと毎回毎回…。
「タッチダウーン! "TOUCHDOWN!"」
Juliette Danielle as Lisa and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
最後の「ラブ・シーン」、BGMはClint GamboaとBell Jonsonの「Baby You and Me」。
カフェのシーンで約束してたジョニーとマークによる「ゴールデン・ゲート・パーク(英語: GOLDEN GATE PARK)」での「男の! "MALE!"」、「絆! "BONDING!"」
劇場の後方へ移動していた観客たちがジョニーとマークの動きに合わせてスクリーン前までジョギングし、2人と同じことをします。
Greg Sestero as Mark and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
「WATER!」
THE ROOM (2003)
アパートの掃除をしているリサのもとへマークがやって来ます。
服を脱ぎはじめるビッチ・リサに「なにしてるんだ? "Wait, what're you doing?"」
アホだ…。
「タッチダウーン! "TOUCHDOWN!"」
Greg Sestero as Mark and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
「OH!」の連呼。
Greg Sestero as Mark and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
2人が本番に入ろうとするとドアベルが鳴り、ミシェルが訪ねてきます。
やっぱり彼女の方がさー…。
Robyn Paris as Michelle in THE ROOM (2003)
アホアホ・マークは帰り、ミシェルは2人の関係がどうなっているのかを聞きます。
「来たばっかじゃん! "YOU JUST GOT HERE!"」
ビッチ・リサはなにもかも手に入れたいと思っていて、もしマークがそれらを与えてくれない場合にはほかの男に移るとぬけぬけと話します…。
その考え方が理解できない「普通の女性」ミシェルに対し、「この話はしたくないわ "Look, I don't want to talk about it."」
じゃー最初から話すなよ…。
Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
「WATER!」と「GO!」の連呼。
THE ROOM (2003)
「また」ジョニーとマークのジョギング…。
さきほどの観客たちもまたスクリーン前を走り回ります。
Greg Sestero as Mark and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
「WATER!」からの映画『ロッキー(原題: ROCKY)』のサントラから「ロッキーのテーマ(原題: Theme from Rocky)」
Tommy Wiseau as Johnny and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
「ガレージに入れろ! "PARK THAT CAR!"」
Tommy Wiseau as Johnny and Greg Sestero as Mark in THE ROOM (2003)
「そのころ、サンフランシスコでは "MEANWHILE IN SAN FRANCISCO"」
THE ROOM (2003)
ジョニーが仕事へ。
「スプーン! "SPOONS!"」
Tommy Wiseau as Johnny and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
入れ替わりでクローデットがやって来ます。
「スプーン! "SPOONS!"」
Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
リサは「また」ジョニーを愛していないと言い、クローデットは「結婚」に「愛」など関係なく、経済的にはジョニーと結婚するべきだと「また」言う…。
「女性なんだから! "BECAUSE YOU'RE A WOMAN!"」
この母にしてこの娘あり…。
Juliette Danielle as Lisa and Carolyn Minnot as Claudette in THE ROOM (2003)
クローデットの帰り際には「ガン! "CANCER!"」
Carolyn Minnot as Claudette and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
夜のサンフランシスコを徘徊するジョニー…。
彼の前方には足元の草を見つめてる謎の人物が…。
「この男は草を見つめてるだけだ! "THIS MAN IS JUST LOOKING AT GLASS!"」
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
「ディズニー! "DISNEY!"」
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ジョニーがアパートの電気を点けるとサプライズ・バースデイ・パーティが!
みんなで一緒に「ハッピー・バースデイ・トゥー・ユー(原題: HAPPY BIRTHDAY TO YOU)」を歌います。
Phillip Haldiman as Denny, Greg Sestero as Mark, Juliette Danielle as Lisa, Carolyn Minnot as Claudette, Greg Ellery as Steven, Jen Vanderbliek as Party Member 3, Bennett Dunn as Party Member #4, Robyn Paris as Michelle, Piper Gore as Party Member #1, Kari McDermott as Party Member #2, and Mike Holmes as Mike Scott in THE ROOM (2003)
乾杯のあとはサンフランシスコの夜景で「GO!」の連呼。
長い…。
THE ROOM (2003)
「トランジション」多すぎでしょう…。
スコアもずっと一緒で見事に飽きる…。
熱い視線を交わすリサとマーク。
Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
それに気づくジョニー…。
Tommy Wiseau as Johnny and Carolyn Minnot as Claudette in THE ROOM (2003)
チョコレートを食べさせ合って喜ぶミシェルと、子供みたいな腕時計のマイク…。
Robyn Paris as Michelle and Mike Holmes as Scott Holmes as Mike in THE ROOM (2003)
ビッチ・リサは新鮮な空気を吸おうとみんなを外に追い出し、アホアホ・マークといちゃつく…。
Greg Sestero as Mark and Juliette Danielle in THE ROOM (2003)
そこへ…誰!?
「誰だー? "WHO ARE YOU?"」
Greg Ellery as Steven in THE ROOM (2003)
まーいーや、とにかくこの人が入って来て2人を怒る。
Greg Ellery as Steven in THE ROOM (2003)
このキャラクターの名前はスティーヴン。
でも名前は1度も呼ばれません…。
本作の上映時間は99分ですが、彼が登場するのは映画が始まって76分後…。
当初脚本には登場せず、ここでのセリフはピーターのものでした。
もともとピーター役のカイル・ヴォトが撮影に参加できる時間は限られていて、すべてのシーンの撮影が終わらないうちにタイムアップとなってしまいました。
スティーヴン役のグレッグ・エリーは、ウィゾーに「ピーターはいなくなった。これからは君がピーターだ。でもスティーヴンだ "Peter left. Now you are like Peter, but you are Steven."」と伝えたそうです。
「また」夜のサンフランシスコの街角を見せられる…。
ここで観客数名がスクリーンの右下に集合しはじめます。
THE ROOM (2003)
本作唯一の「トラッキング・ショット」があり、トニーが映ると「トニーこっちよー! "TOMMY! OVER HERE!"」とスクリーン右下に集まった観客たちが声を掛けます。
トニーが彼らに気づいて手を振ってくれます。
Greg Sestero as Mark, Bennett Dunn as Party Member #4, Juliette Danielle as Lisa, Jen Vanderbliek as Party Member #3, Tommy Wiseau as Johnny, and Carolyn Minnot as Claudette in THE ROOM (2003)
Piper Gore as Party Member #1, Bennett Dunn as Party Member #4, Tommy Wiseau as Johnny, Kari McDermott as Party Member #2, Greg Sestero as Mark, and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
ジョニーは2人を引き離そうとしますが、リサは冷たくあしらい、マークも彼女の気持ちにいい加減気づけとジョニーに詰め寄ります。
ここでもジョニーのすごい棒読みが…。
「さわるなこの野郎!出てけ! "Don't touch me, motherfucker! Get out!"」
Piper Gore as Party Member #1, Bennett Dunn as Party Member #4, Tommy Wiseau as Johnny, Kari McDermott as Party Member #2, and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
押し問答が続き、ジョニーが「チキンめ、CHEEP-CHEEP-CHEEP-CHEEP-CHEEP-CHEEP! "You're just a chicken, CHEEP-CHEEP-CHEEP-CHEEP-CHEEP!"」とマークをからかうと、うん「また」つかみ合い…。
Greg Ellery as Steven, Piper Gore as Party Member #1, Kari McDermott as Party Member #2, Phillip Haldiman as Denny, and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
スティーブが「もう終わったんだ! "It's over!"」と言ってジョニーを押しとどめます。
「終わってなんかいない!みんな裏切り者だ!もううんざりだ! "It's not over! Everybody betrayed me! I fed up with this world!"」と叫んでジョニーは2階へ。
Piper Gore as Party Member #1, Kari McDermott as Party Member #2, Tommy Wiseau as Johnny, and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
「ディズニー! "DISNEY!"」
THE ROOM (2003)
クローデットがリサのいる2階に上がって来る時には『スター・ウォーズ』から「帝国のマーチ(ダース・ベイダーのテーマ)(原題: IMPERIAL MARCH (DARTH VADER'S THEME)」を合唱。
「リサ、お前の母親はこの私だ!ジョニーと結婚しろ! "LISA, I AM YOUR MOTHER! YOU SHOULD MARRY JOHNNY!"」
彼らの「想像力」にも脱帽…。
Juliette Danielle as Lisa and Carolyn Minnot as Claudette in THE ROOM (2003)
リサはジョニーがこもっているトイレのドアノブに手を掛けますが、鍵がかかっています。
手前には木の人形が置いてあります。
「彼女はブードゥーを使うぞ! "SHE DOES VOODOO!"」
Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
「もう帰ったわ。出てきていいわよ "You can come out now Johnny. She's gone."」とリサ。
ジョニーの逆襲がはじまります。
ジョニー「少ししたら出るよ、ビッチ "In a few minutes, bitch."」
リサ「誰のこと言ってるの? "Who are you calling a bitch."」
ジョニー「お前とバカな母親のことだよ "You and your stupid mother."」
ここは当然拍手喝采!
Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
ウィゾーの独特な訛りのせいで、撮影クルーは本作がコメディなのかどうかずっと困惑していたのだそう。
このシーンの撮影時、ウィゾーの「少ししたら出るよ、ビッチ "In a few minutes, bitch."」というセリフをジョークだと思ったクルーは笑ってしまいました。
ウィゾーは激怒し、なにをおもしろいと感じたのか聞かせろと詰め寄ったのだそうです。
「みんに裏切られた…。もう友達は誰もいない… "Everybody betray me. I don't have a friend in the world."」
「デニーがいるぞー! "YOU HAVE DENNY!"」
「おれたちがいるぞー! "YOU HAVE US!"」
観客みんなが急に優しくなる…。
Juliette Danielle as Lisa and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
出て行くリサ…。
Juliette Danielle as Lisa and Tommy Wiseau as Johnny in THE ROOM (2003)
らせん階段を見下ろしながら、ジョニーの最後の名ゼリフはみんなで一緒に。
「出て行け!出て行け!ぼくに関わるな!あぐー! "Get out, get out, get out of my life! Agh!"」
Greg Sestero as Mark, Phillip Haldiman as Denny, and Juliette Danielle as Lisa in THE ROOM (2003)
「エンド・クレジット」ではKitra Williamsの「You're My Rose」がリプライズし、映画は終了…。
「狂気」だ…。
2009年8月13日『Portland MERCURY』のNed Lannamannのウィゾーへのインタビュー「Tommy Wiseau: The Complete Interview(s) Our Epic Interviews with the Writer/Director/Star of The Room!」によると、当初ウィゾーは本作を戯曲として書きました。そこからより収益が見込める長編映画化を決心し、スクリプトに着手しましたが、代わりに500ページ超えの小説ができあがります。
ウィゾーによるとストーリー自体は変わらないものの、現映画版よりも詳細が描かれていたそう。
今後確実に出版するとも話していて、実際出版を希望する出版社もあるようですが、それも彼が300ページにまで減らせればの話だそうです。
上記の『エンターテイメント・ウィークリー』の記事「The crazy cult of The Room A five-year-old box office flop has turned into the newest midnight movie sensation」によると、撮影には6ヶ月かかり、その間ウィゾーはスタッフを4回総入れ替えしたそう。
俳優も3人辞めています。
ウィゾーは自身のウェブストア『Tommy Wiseau® - American Actor | Writer | Director | Fashion Designer(tommywiseau.com)』も持っていて、本作関連の時計、Tシャツやウィゾーの名前入りボクサー・パンツなどを購入することができます。
もはや「新興宗教」だけど、商売上手だな…。
でもTシャツはちょっと魅力…。
ムラデン・ミルセヴィッチによるスコアと、4つの「ラブ・シーン」に流れるJarah Gibsonの「I Will」、Kitra Williamsの「You're My Rose」、Clint Gamboaの「Crazy」とClint GamboaとBell Jonsonの「Baby You and Me」を完全網羅した『The Room (Original Motion Picture Soundtrack)』も購入可能。
STORY
今は亡きかつての銀河帝国皇帝パルパティーンの言葉に従い、「ファースト・オーダー」の最高指導者となったカイロ・レン(アダム・ドライバー)は、かつて火山の惑星ムスタファーにあったダース・ベイダーの城の跡地で古代の科学技術を駆使して作られた「ウェイファインダー」と呼ばれるシスのナビゲーターを手に入れる。
これは彼を星図に載ってない銀河系の「未知領域」の奥深くにある惑星エクセゴルへと導くものであった。
しかし現在ではシリーズ最高傑作、さらに優れた映画の1本と考えられている1981年の『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲(原題: STAR WARS: EPISODE V – THE EMPIRE STRIKES BACK)』でさえ、公開時の評論家やファンの評価は良くありませんでした。
さらに1983年に『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE VI – RETURN OF THE JEDI)』が公開された時にも、多くの人が「イウォーク」を嫌悪しました。
つまり「旧3部作=オリジナル・トリロジー」でさえ、公開時には現在ほど好意的には受け入れられていなかったんですね。
なので1999年に『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(原題: STAR WARS: EPISODE I – THE PHANTOM MENACE)』が公開された時には本当に感動しました。
世界中で社会現象となるほどでしたが、多くのファンは内容にがっかりしたようで…。
とにかくみんながみんな、ジャー・ジャー・ビンクスのこと大嫌い!
ぼくは再びジョージ・ルーカスによる新しい『スター・ウォーズ』が観れたこと自体に感動したし、心から楽しんで観れたけどな…。
2002年の『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃(原題: STAR WARS: EPISODE II – ATTACK OF THE CLONES)』は、ロイヤル・スターシップが惑星コルサントに到着したとたんに爆破される冒頭から大好きで、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーがスピーダーバイクで逃げた暗殺者ザム・ウェセルをスピーダーで追うチェイス・シーン、惑星カミーノでのオビ=ワンとジャンゴ・フェットの戦い、宇宙空間の隕石地帯での2人の宇宙船のドッグファイト、惑星ジオノーシスの「B1バトル・ドロイドの工場」でのアナキン、パドメ・アミダラ、C-3POとR2-D2によるコミカルなアクションや、ヨーダ、アナキンとドゥークー伯爵によるクライマックスのライトセーバーの戦いなど、シリーズ中もっともアクションの多い作品で楽しかった…。
2005年の『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE III – REVENGE OF THE SITH)』は、「新3部作」、そして「スカイウォーカー・サーガ」の最後を飾るのにふさわしい重厚な作品だったと思います。
April 29th, 2014, Pinewood Studios, UK - Writer/Director/Producer J.J Abrams (top center right) at the cast read-through of Star Wars Episode VII at Pinewood Studios with (clockwise from right) Harrison Ford, Daisy Ridley, Carrie Fisher, Peter Mayhew, Producer Bryan Burk, Lucasfilm President and Producer Kathleen Kennedy, Domhnall Gleeson, Anthony Daniels, Mark Hamill, Andy Serkis, Oscar Isaac, John Boyega, Adam Driver and Writer Lawrence Kasdan.
これは「続3部作」すべてに言えることだけど、予告編はどれもすばらしく、2015年12月18日に『スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒(原題: STAR WARS: EPISODE VII - THE FORCE AWAKENS)』が公開されると初日ではなかったけれどやはりすぐ観に行きました。
本作でも新しい楽曲を提供していますが、これまで以上に「旧3部作」からの楽曲が帰ってきています。
とくにサントラの19曲目「FINALE」は『エピソード4/新たなる希望』のサントラの1曲目「スター・ウォーズのテーマ(英語: STAR WARS: MAIN TITLE)」とほぼ一緒で、「スカイウォーカー・サーガ」の終わりを実感させられる感動的なものでした。
本作でウィリアムズが『スター・ウォーズ』の楽曲を手掛けるのは最後になるようですが、40年以上にわたり勇気と感動をありがとうございました!
2014年4月25日、「ルーカスフィルム」はそれまで36年にわたって小説やコミック、ビデオ・ゲームなどで展開されてきた「エクスパンデッド・ユニバース=EU(英語: EXPANDED UNIVERSE)」はこれ以上発展されないことを明らかにしました。
同時に「EU」を「スター・ウォーズ レジェンズ(英語: STAR WARS LEGENDS)」、それまでの映画6作品と、2008年に公開された3DCGアニメ映画『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ(原題: STAR WARS: THE CLONE WARS)』からなる新しい作品世界を「正史=カノン(英語: CANON)」と設定しています。
Splinter of the Mind's Eye, the first Expanded Universe novel, published in 1978
本作でレイやカイロが使っていた「フォース・ヒーリング」は本作公開前日に『Disney+』で配信された『ザ・マンダロリアン(原題: THE MANDALORIAN)』のエピソードにも登場していたそう。
過去の「レジェンズ」作品に登場していたための処置らしいとネット上に書かれているけれど、そこまでして「正史」のものとして通したかったのかなー…。
さらに「ディズニーDX」で2014年から2018年にかけて放送されていた3DCGテレビアニメ『スター・ウォーズ 反乱者たち(原題: STAR WARS REBELS)』に登場するスローン大提督は、SF作家ティモシイ・ザーンによる1991年の「レジェンズ」作品『スター・ウォーズ/帝国の後継者(原題: STAR WARS: HEIR TO THE EMPIRE)』からはじまる「スローン3部作(英語: THE THRAWN TRILOGY)」の悪役…。
もう実現はさらに難しくなってしまったけれど、個人的には『NINTENDO64』のゲーム、小説、コミックなど、それぞれの特徴を生かして同じ物語を多角的に描いた1996年のマルチメディア・プロジェクト『スター・ウォーズ/シャドウズ・オブ・ジ・エンパイア[帝国の影](原題: STAR WARS: SHADOWS OF THE EMPIRE)』の映画版が観たかったなー…。
LE-BO2D9 and Dash Render in STAR WARS: SHADOWS OF THE EMPIRE (1996)
実は彼も『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(原題: SOLO: A STAR WARS STORY)』公開後の2018年9月11日にアメリカで発売されたジェイソン・フライによるレプリカ・ジャーナル・ブック『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー:テールズ・フロム・ヴァンドア(原題: SOLO: A STAR WARS STORY: TALES FROM VANDOR)』(STUDIO FUN INTERNATIONAL)に文字のみだけど登場しているそう。
「正史」として扱われたのはうれしい。
Outrider in STAR WARS: SHADOWS OF THE EMPIRE (1996)
とても人気のあった宇宙船で、1997年に公開された『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望《特別篇》(原題: STAR WARS: EPISODE IV - A NEW HOPE - SPECIAL EDITION)』では新しく追加された宇宙港街モス・アイズリーのロング・ショットでその飛び立つ雄姿を観ることができました。
STAR WARS: EPISODE IV - A NEW HOPE - SPECIAL EDITION (1997)
『エピソード5/帝国の逆襲』と『エピソード6/ジェダイの復讐』の間のストーリーで、ルークをメインに描いているスティーヴ・ペリーによる小説版はおもしろかったなー…。
ぼくとしては「ディズニー」になってからの『スター・ウォーズ』映画としては1番楽しかった2016年の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(原題: ROGUE ONE: A STAR WARS STORY)』のような感じ。
なので映画しか観ていなかったぼくにもとても入りやすい作品でした。
日本では未発表のようですが、このプロジェクトの「メイキング」を莫大な資料とともに紹介していたMark Cotta Vazによる『THE SECRETS OF STAR WARS: SHADOWS OF THE EMPIRE』(LUCASBOOKS)は読みごたえがありました。
アメリカのレーベル「VARESE SARABANDE RECORDS」からは、作曲・指揮ジョエル・マクニーリー、演奏「ロイヤル・スコティッシュ管弦楽団(英語: ROYAL SCOTTISH NATIONAL ORCHESTRA AND CHORUS) 」による『STAR WARS: SHADOWS OF THE EMPIRE ORIGINAL SOUNDTRACK』もリリースされました。
STORY
1993年、USGS(United States Geological Survey=アメリカ内務省地質調査部)の火山学者ハリー・ドルトン(ピアース・ブロスナン)とその婚約者マリアンが観測を続けていたコロンビアの火山が噴火する。
避難する2人だったが、火山弾がハリーのトラックの屋根を突き破り、マリアンの頭に直撃して彼女は即死する。
RETROSPECTIVE / REVIEW1969年の『ポセイドン・アドベンチャー(原題: THE POSEIDON ADVENTURE)』、1974年の『大地震(原題: EARTHQUAKE)』、『タワーリング・インフェルノ(原題: THE TOWERING INFERNO)』、1978年の『アバランチ/白銀の恐怖(原題: AVALANCHE)』や1979年の『メテオ(原題: METEOR)』など、70年代は「パニック映画」が大好きでした。
80年代はおやすみの期間でしたが、1996年の『ツイスター(原題: TWISTER)』の大ヒットにより、90年代半ばにブームが再燃します。同年の終わりにはシルベスター・スタローンの『デイライト(原題: DAYLIGHT)』が公開され、森林火災を扱った1998年の『ファイアーストーム(原題: FIRESTORM)』、隕石・彗星が地球に衝突するアメリカNBCの1997年のミニシリーズ『アステロイド/最終衝撃(原題: ASTEROID)』、1998年の『ディープ・インパクト(原題: DEEP IMPACT)』や『アルマゲドン(原題: ARMAGEDDON)』、さらには大雨を取り上げた『フラッド(原題: HARD RAIN)』も製作されました。
Tommy Lee Jones as Mike Roark and Gaby Hoffmann as Kelly Roark in VOLCANO (1997)
映画評論家のロジャー・エバートは、1997年4月25日の『シカゴ・サンタイムズ(英語: CHICAGO SUN-TIMES)』に「これは驚くほどつまらないディザスター・ムービーだ。『ボルケーノ』の製作費は2ヶ月前に公開された競争相手『ダンテズ・ピーク』よりも高いそうだが、そうは見えない。『ダンテズ・ピーク』の方がVFXはよくできていたし、ストーリーもおもしろかった。そしてなにより本物の山が出ていた "This is a surprisingly cheesy disaster epic. It's said that Volcano cost a lot more than Dante's Peak, a competing volcano movie released two months ago, but it doesn't look it. Dante's Peak had better special effects, a more entertaining story, and a real mountain."」と書いています。
溶岩がロサンゼルスのウィルシャー大通りとフェアファックス・アベニューの交差点に迫るシーンのために、カリフォルニア州トーランスに実際の80%のスケールのオープンセットが組まれましたが、アメリカ国内に作られたセットの中でも最大のものだったそうで、これはなかなかすごかった!
このセットの話ですが、劇場公開時に「知り合いの住んでるアパートが燃えてたらしい」と友人が話していたのを覚えています。
この素材に取り組むことのできる監督を探しはじめた2人は、1995年のSFホラー『スピーシーズ/種の起源(原題: SPECIES)』 を大ヒットさせたロジャー・ドナルドソンにアプローチします。1987年のポリティカル・スリラー『追いつめられて(原題: NO WAY OUT)』や、1994年のリメイク『ゲッタウェイ(原題: THE GETAWAY)』など、「骨太」な作品の多い監督。
1995年の「沈黙シリーズ」第2作『暴走特急(原題: UNDER SIEGE 2: DARK TERRITORY)』や、1999年の『フォートレス2(原題: FORTRESS 2: RE-ENTRY)』のジェフ・マーフィ監督が、第2班監督兼共同プロデューサーとして参加しています。
撮影監督のアンジェイ・バートコウィアクは、1994年の『スピード(原題: SPEED)』、ドナルドソン監督と組んだ1995年の『スピーシーズ/種の起源』、1998年の『追跡者(原題: U.S. MARSHALS)』や『リーサル・ウェポン4(原題: LETHAL WEAPON 4)』などに参加したベテランで、2000年の『ロミオ・マスト・ダイ(原題: ROMEO MUST DIE』で監督デビューを果たしています。その後の監督作には2001年の『DENGEKI 電撃(原題: EXIT WOUNDS)』や2003年の『ブラック・ダイヤモンド(原題: CRADLE 2 THE GRAVE)』などがありますが、監督としては…うーん…。
本作ではダンテズ・ピークの町や大自然の美しさを、どこか「クラシック」な感じのする色彩で見事に捉えています。
VHSに「特典映像」として収録されていた『メイキング・オブ・「ダンテズ・ピーク」(原題: THE MAKING OF DANTE’S PEAK)』の中で、ドナルドソンがこの映画を引き受けた理由を話しています。大学で地質学を専攻していたドナルドソンは映画製作に携わったために地質学の道には進みませんでしたが、その後も地質学への情熱が消えることはありませんでした。火山の調査や噴火を正確に描くため、デイヴィッド・ハーロウをはじめとする火山学者数名をアドバイザーとして招いています。
Mount St. Helens - USGS Photograph taken on May 18, 1980, by Austin Post
撮影隊は実際の火山と「ダンテズ・ピーク」の町に適したロケーション探しに3ヶ月近くを費やしましたが、見つけることができませんでした。そこで火山をデジタル処理で追加することに決め、スクリプトと監督のビジョンに合ったアイダホ州のウォレスという町を見つけました。町の南東には大きな丘があり、デジタル処理によって火山に見せることができます。住民の多くが序盤の授賞式、町の高校の体育館で開かれる緊急説明会、そしてスタントを必要としない避難のシーンの撮影に参加しています。毎日楽しかっただろうなー…。
「Idaho Film Commission」が「インセンティブ制度」を推進するために製作したプロモーション・ビデオでは、ウォレスの経営者たちが撮影時のエピソードを話しています。
1979年、ウォレスでは「ユナイテッド・アーティスツ(英語: UNITED ARTISTS CORPORATIONS=UA)」を倒産に追い込んだ1980年の大問題作『天国の門(原題: HEAVEN'S GATE)』の撮影も行われていますが、当時町とスタジオの関係はあまりよくなかったそう…。
しかし本作の撮影ではそのようなことはなく、撮影隊と住民との関係は経済的にも良好だったそうです。
火山が噴火したあと町に火山灰が降り注ぐシーンでは、町の一角に粉砕した新聞紙が吹き付けられました。撮影隊の住民への対応について、撮影が行われた通りから1ブロックほど離れた場所で『INDELIBLE TIDBITS』を経営していたShauna Hillmanが話しています。
「撮影中1番ひどかったのは灰ね。でも彼らはわたしたちのカーペットをきれいにしてくれたの。わたしのお店は撮影にはいっさい関係がないのに、わたしのカーペットまできれいにしてくれたわ。お店というお店を回って、排水口や路地、側溝まできれいにしてたの。みんないい人だった。 “The ash was probably the single most awful item in the whole movie. But they cleaned our carpets, they cleaned my carpet and like I said I wasn’t even part of the real set, but what was tracked in they just went from the storefront to storefront cleaning up holes, down the alleys, vacuumed gutters, nice people, nice people in general.”」
宿泊施設『BEALE HOUSE BED AND BREAKFAST』を営むJim Seeはさらに撮影を楽しんでいたようで、「町は灰であふれていたね。彼らは車や家の掃除を申し出てくれたよ。映画会社は事前に日中や夜間にどんな撮影が行われるのかを話してくれていたから、彼らが車や建物を破壊したり、映画がどのように作られるのかを見れたのは楽しかったね。夜に車がクラッシュするらしいと聞いて見に行ったり、彼らがどんな方法で物を作るのか、どうやってれんがをマッチさせるのかを見れたのはすばらしい体験だった。 “The town was pretty full of ash and they offered to wash your car and wash your house. Well, I think one of the things it was really exciting that the particular movie company that came would let us know ahead of time what was going to that day or that night and so we could come down and watch cars blow up and buildings blow up and see how movie is made and I think that was very entertaining itself so it was a lot of fun to know while tonight they’re gonna go crash a car or blow them and just to watch their techniques how they built things how they match the brick all these kinds of things that were just magical.”」と話しています。
DANTE'S PEAK (1997)
火山学者ハリー・ドルトン博士役をピアース・ブロスナンに打診したのはドナルドソン監督でした。2人は長年の友人で、ドナルドソンは本作のスクリプトをブロスナンに渡し、もしオファーがあったら引き受けるかどうか教えてくれるよう頼みました。もしブロスナンが作品を気に入らなければ、「ユニバーサル・ピクチャーズ」(以下『ユニバーサル』)に彼を推薦するつもりはなかったのだそうです。ブロスナンは作品をとても気に入り、本作の撮影中にさらに親しくなった2人は2014年の『スパイ・レジェンド(原題: THE NOVEMBER MAN )』で再び一緒に仕事をしています。
Linda Hamilton as Rachel Wando and Pierce Brosnan as Harry Dalton in DANTE'S PEAK (1997)
ハリーの上司のポール・ドレイファスを演じているのは、ぼくにはジョン・カーペンター監督の1982年の傑作SFホラー『遊星からの物体X(原題: THE THING)』の地球物理学者ヴァンス・ノリス役の印象が強いチャールズ・ハラハン。
残念ながら本作が公開された後、1997年の11月25日に心臓発作で54歳の若さで亡くなられています。
『ダンテズ・ピーク』のVFXは20年以上経った今観ても驚くほどよくできています。
多くの映画ですばらしい特殊メイクやアニマトロ二クスを作り出してきたスタン・ウィンストンとジェームズ・キャメロン監督が設立したVFX工房「デジタル・ドメイン(英語: DIGITAL DOMAIN)」をメインに、「BANNED FROM THE RANCH ENTERTAINMENT」と「CIS HOLLYWOOD」が手掛けています。本作ほど実写とミニチュアがシームレスにミックスされている作品ってあまりない…。
なのに第70回アカデミー賞では「視覚効果賞」にノミネートもされていない…。ちなみにこの年のノミネート作品は『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク(原題: THE LOST WORLD: JURASSIC PARK)』、『スターシップ・トゥルーパーズ(原題: STARSHIP TROOPERS)』と『タイタニック(原題: TITANIC)』で、『タイタニック』が受賞しています。
VFXジャーナリストIan Failesによるウェブサイト『vfxblog』は、本作の20周年記念として2017年にPatrick McClungへのインタビューを掲載しています。
- 今日であれば、1997年のディザスタームービー『ダンテズ・ピーク』のVFXの多くはデジタル処理で制作されたことでしょう。火砕流、吹き飛ばされる建物、灰色の川に流される橋や車などは、複雑なエフェクト・シミュレーション、CG素材、そして完璧な合成によって作り出すことができます。
しかし20年前、これらの技術はまだ幼少期にあり、ミニチュアやプラクティカル・エフェクトをデジタル技術によって補強するというハイブリッドな方法も出現したばかりでした。
ロジャー・ドナルドソン監督の『ダンテズ・ピーク』は、映画史上もっとも素晴らしいミニチュア・ワーク – とくに川と橋のシーン - と新しいデジタル・エフェクト・ツールを融合させ、リアリティを加えました。これを可能にしたのは「デジタル・ドメイン」をはじめ、ミニチュア制作スタジオやデジタル・エフェクト・ハウスでした。
同作の20周年を記念して、どのような流れでミニチュア撮影が決定されたのか、もう1本の「火山」映画『ボルケーノ』が製作にどう影響したのかを、当時「デジタル・ドメイン」に所属していたVFXスーパーバイザーPatrick McClungに聞きます。
Today, many of the visual effects in the 1997 disaster flick Dante’s Peak would probably be done completely digitally. Pyroclastic flows, exploding buildings, bridges and cars being swept away by a torrent of ashen river – these are things that can be done with complex effects simulations, CG elements and masterful compositing.
But two decades ago, the techniques were still in their infancy, and a hybrid approach to realising such shots involving miniatures, practical effects and then augmenting with digital techniques, was just emerging.
Dante’s Peak, directed by Roger Donaldson, took advantage of this approach by incorporating some of the most convincing miniatures ever put to screen – especially for the river and bridge scene – and using nascent digital effects tools to add even more layers of realism. The work was realised by Digital Domain as well as a host of other modelmaking studios and digital effects houses.
To celebrate the film’s 20th anniversary, vfxblog spoke to overall visual effects supervisor Patrick McClung, then at DD, about the hybrid effects in Dante’s Peak, how the decisions about miniatures were made, and how the only slightly related Volcano film heavily influenced production.
vfxblog: あなたがこの作品に参加したころ、CGはまだ初期段階にあって、「デジタル・ドメイン」もまだミニチュアを使用していました。『ダンテズ・ピーク』は最初からVFXをハイブリッドな方法で制作することになっていたのですか?それとも監督やスタジオからの提案があったのでしょうか?
Patrick McClung: 話は少しさかのぼるけれど、VFX業界は最新の手段が手に入ればいつでも利用していたんだ。VFXの大きな課題の1つが「オプティカル合成(英語: OPTICAL COMPOSITING)」でね。古いテレビ番組などはコントラストが強く、合成された人物の周りにあった青いラインを見たことがあるだろう。あれは長い間とても難しく、辛くて値の張るプロセスだったんだ。ぼくが90年代にかけて「ボス・フィルムズ(英語: BOSS FILMS)」にいたころにデジタル合成が登場して、すべてに革命をもたらしたんだ。はるかに優れた合成が可能になった。手ごろな価格で誰もが飛びついて、できることが増えたんだ。
そこへCGI(英語: COMPUTER GENERATED IMAGES)がやってきた。ジェームズ・キャメロンの『アビス』を手掛けていた「インダストリアル・ライト&マジック(英語: INDUSTRIAL LIGHT & MAGIC)」が、ぼくらが「Water Weenie」と呼んでいた大きな水の触手を作ったんだ。製作費もすごかったね。彼らもやっと成し遂げた感じだったよ。その後、『ターミネーター2』をやったころからソフトの質が良くなって値段も下がり、機材も安くなってたくさんの会社が導入しはじめたんだ。
Ed Harris as Virgil "Bud" Brigman and Mary Elizabeth Mastrantonio as Dr. Lindsey Brigman in THE ABYSS (1989)
vfxblog: When you came on board, it was still the early days of CG and Digital Domain was clearly still doing great miniature work. Was Dante’s Peak always planned as a hybrid mix of the techniques, or was the director or studio pushing a certain approach at all?
Patrick McClung: Well, going back a bit, the visual effects industry has always just used the latest techniques if they’re applicable, you know. And one of the big problems with visual effects was optical compositing, and you could see on our old TV shows and so forth where sometimes the shots are very contrasty and have bad edges and mattes and blue lines around people. And that’s always been a very difficult process. And painful and expensive. When I was at Boss Film toward the 90s, digital compositing came in and that sort of revolutionised everything. All of a sudden you could get much better composites. So everybody jumped on that because it was affordable. And you had a lot more control.
Then with CGI, the computer generated imagery was rolling. And ILM was on The Abyss and had done what we called the ‘Water Weenie’, the big water tentacle, and that was a very expensive proposition. They were just barely able to do it back then. And then later they did Terminator 2, and so as the software got better and less expensive and the equipment got less expensive, things became available to more and more other companies.
So at the time I did Dante’s I just looked at what had to be done and I made a decision as to what to do, and the studio – they really had very little to do with it. The director Ronald Donaldson was on board with everything. One of the big problems I guess back then was the pyroclastic flow, the big cloud of ash. There was software to render these big clouds – it’s called volumetric rendering – but it really wasn’t ready. We tried it at DD and it would take like a week to render something, and you look at it and go, ‘No that doesn’t look right.’ So I made the decision to do that stuff practically.
I had a pretty good knowledge of the processes, what we could do digitally. Also, Digital Domain had a certain amount of work that was going through there, with Titanic coming in and The Fifth Element, which took a lot of resources. And so a lot of what I had to do was take some of the shots to other companies to do the compositing, because DD was so busy. I would approach it very differently now because of the technology.
vfxblog: たくさんのミニチュアワークを使用したことが、映画にさらにリアリティを与えているように思います。この手の映画には効果的な方法だと考えていたのですか?
Patrick McClung: そうだね。『ボルケーノ』では溶岩がメインだった。元地質学者のロジャー・ドナルドソンは『ダンテズ・ピーク』のスクリプトを読んで、どんなことが起こるのかをできるだけ正確に描きたいと考えていたんだ。セント・ヘレンズ山のできごとをベースしているということもあった。爆発や物が吹き飛ぶシーンなどをミニチュアで撮ることに自然となっていったよ。当時の撮影期間と人数ではデジタルで表現することはできなかったしね。ソフトもたくさんあったけれど、まだ完璧じゃなかった。
vfxblog: The benefit of having so many miniatures in the end did seem that it gave the film so much more of a visceral feel. Is that how you felt, did it seem to work for this style of film?
Patrick McClung: Yeah, yeah, I agree. And, you know, in contrast to Volcano, that film was more lava. That was their thing. Roger Donaldson was a geologist and when he got the script for Dante’s, he wanted to be as accurate as he could to what events would happen, and it was patterned after Mount St Helens. So that really lent itself to miniatures, explosions and things blowing up. We just couldn’t have done it back then digitally, not with the time and the resources. Just a lot of that software just didn’t really – it existed but was in a cruder state.
Vfxblog: 多くの人が火砕雲はCGで作られていると考えているのはおもしろいですね。あれはプラクティカル・エフェクトなんですよね?
Patrick McClung: スペシャル・エフェクト・スーパーバイザーのRichard Stutsmanがああいうことに精通していてね。ぼくらはみんな手いっぱいだったから、『パウダーみたいなものを空気砲で打ち上げられないかな?』と彼に聞いてみたんだ。『チェーン・リアクション』のスペシャル・エフェクト・スーパーバイザーに、『ジョーズ』にも参加していたRoy Arbogastという男がいて、大きなエアキャノンを持っていたんだ。直径1mのね。基本的には巨大なエアタンクだ。長さは4mぐらいだったかな。見たことのない大きさだった。『チェーン・リアクション』ではそれらを使ってミニチュアの建物を吹き飛ばしてた。すごく感動してね。それでRoyにエアキャノンのことを聞いてみたら、『5個持ってる』って言うんだ。
Keanu Reeves as Eddie Kasalivich in CHAIN REACTION (1996)
vfxblog: It’s funny, a lot of people think that they pyroclastic cloud work was digital, but it was basically practical, wasn’t it?
Patrick McClung: Richard Stutsman was one of the special effects supervisors. Richard was really good at this stuff, and we knew we had our hands full with this film, so I said, ‘How about just shooting some sort of powder out of air canons?’ And as it turned out on this movie Chain Reaction that I had worked on before, the special effects person on that movie was a gentleman by the name of Roy Arbogast who went back to Jaws. And Roy had these giant air cannons. These things were three feet in diameter. They’re big air tanks, basically. I think they were like twelve feet long or something like that. They were enormous, I’d never seen them this size, and he had to knock down a little building with them on Chain Reaction. I was pretty impressed, so as it turned out Roy was on Dante’s Peak. And I asked Roy about these air canons and he said, ‘I have five of them.’
We shot out near the Palmdale Airport and we had these big cylinders sort of pointing upward, and that’s stuff that Richard arranged. The first thing that came to mind was fuller’s earth – it’s actually ground up clay and it’s very light and we’d have to tint it, and I also thought about powdered concrete. But Richard said it was fairly acidic and it would be a cleanup problem. And so he came up with this material that I’d never heard of called Bentonite, and it’s used for drilling oil wells. It’s a type of fuller’s earth, it’s ground up clay and it’s very dark. It’s charcoal grey. And it’s mixed with water and pumped down to the drill head, and basically it’s like a lubricant.
But when you buy it it’s powder and it was really dark. It was perfect for what we had to do. And every time we were shooting these air canons off I think he was using like six hundred pounds of this stuff, and because it in essence was dirt, it could fall on the ground and we didn’t have an environmental hazard on our hands. It was pretty impressive.
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: 火砕雲が迫るショットは、遠くに映っている場合でもまったく違和感がありませんでした。当時のデジタル合成がうまくいった証拠ではないかと思うのですが、どんな点に苦労しましたか?
Patrick McClung: さきほども話したとおり、当時デジタル技術はまだ新しく、ソフトに精通している人を見つけるは難しかった。あまりいなかったんだよ。この作品に取り掛かった時、それまで2つの小さな作品に関わっただけのぼくには人が足りないことが心配の種だった。みんな『タイタニック』と『フィフス・エレメント』に参加していたからね。そこで「デジタル・ドメイン」とロサンゼルスにあるポスト・プロダクション会社で作業を分担することにしたんだ。今ではほとんどなくなってしまったけどね。
ぼくらは火砕雲を外で撮影していたから、空と火砕雲にはよいコントラストが生まれた。雲はかなり暗くて空はかなり明るかったから、そこからルミナンスキーマットを作ることができたんだ。ブルースクリーンやグリーンスクリーンの前で撮影しているのと同じことができたんだよ。それでも、火砕雲が人々や木々や何かの後ろに映る時には細かい合成作業が必要だった。火砕雲のマットを空からから切り取って作り、人やそれ以外のマットも手作業で作ったよ。
ぼくはこの手のことには経験が少なかったから、『デジタル・ドメイン』のコンポジティング・スーパーバイザーPrice Pethelに頼るしかなかったね。これは彼の功績だよ。当時はネガに撮影したものを現像所に持っていき、現像が終わってようやくフィルムで観ることができたんだ。12時間かかった。スクリーンで観ていたものが現像されたフィルムと同じとは限らないから、驚きも多かったね。スクリーンで観た時にはあまりよい出来ではなかったものが、フィルムではすごくよかったり、逆のこともあったよ。
vfxblog: One of the things about the way some of the pyroclastic cloud appears in the film and even when it’s off in the distance is that it’s so well integrated in the shots. And I think that is testament to the digital compositing even back then. Can you talk about some of the challenges of that?
Patrick McClung: Well, you know, back then again the whole digital thing was fairly new and it was hard to find people that were versed in this software. It was very hard, there weren’t a whole lot of people. And so my big fear starting on the show having done just two small shows because there was Titanic and Fifth Element in front of me that they would sort of just grab everybody, and indeed that’s what happened. So some of the shots were done there at Digital Domain, some were done at various post-production houses in Los Angeles. A lot of those houses are gone now, gone out of business.
But it was just a person with a very good eye, and because we were doing these pyroclastic clouds outside we had a nice contrast between the sky and the clouds, and the clouds were pretty dark and the sky was pretty light. So you could pull a luminance matte from it, you know basically make it, it’s like shooting almost in front of a blue screen or green screen. And it was just a lot of finessing the composites because some were behind people, which were not too happy, and trees and what have you. So it would be you know making, generating mattes from skies and then hand-rotoing basically, hand-drawing mattes around people and so forth.
And I was pretty new at all this stuff so I just had to depend on our compositing supervisor for Digital Domain, this guy named Price Pethel who was extremely good at this. So Price was the guy who was shepherding all of this. We’d do something and film it out, look at it, and that was, back then it was, that was a process to record it on a negative and then take it to the lab and then process it and then get film back to look at it. That was a twelve hour turnaround, and so what you see on the screen is not necessarily what you get on the final film out, so it was always sort of a big surprise. Sometimes it would not look all that great on screen, but it would look wonderful on film and vice versa.
vfxblog: 大きな火山のミニチュアが制作されたそうですが、完成した映画には登場せず、マットペイントが使われたと読んだことがあります。何があったのか教えてもらえますか?
Patrick McClung: ぼくはごく最近までモデル・メーカーとして映画製作に関わってきたから、映画に参加する時には撮影方法を推測することしかできない。そしてこれまでの中で最大の失敗があの火山だった。監督のロジャー・ドナルドソンは火山が町の上に見えるようにしたかったんだ。映画に登場する火山はセント・ヘレンズ山がモデルになっていて、古い火山は円錐形だろ?石炭でできたカラーコーンみたいなものさ。でもミニチュアを見上げてみると、まったく山って感じがしなくてね、やっちまったと思ったよ。
撮影してみたけれど良くなかった。だからマットペイントでそれをごまかしたんだ。何度かそれを使って、残りはぼくらが撮影したミニチュアだった。ちょっと離れて火山の巨大なミニチュアを撮影してみたけれど、あれはうまくいかなかった。モデル・ショップを経営していたAlan Faucherによるすばらしいものだったけれど、残念ながら亡くなられてしまった。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: Another thing I remember was the huge volcano miniature made for the film. But I’m curious about the development of that, because I remember reading it didn’t actually make it into the final film, and that it was a matte painting instead.
Patrick McClung: Well in everything I’ve done and every film I worked on is a model maker, you know, all the way up to everything recently, when you’re going to figure out a show it’s your best guess on what you think will work and what won’t work. And in everything I’ve ever done, I think that might have been my biggest mistake was that stupid volcano. So the director Roger Donaldson wanted this volcano to be almost on top of the town. Those mountains were based on Mount St Helen, those are all ancient volcanoes, they’re all like a cone, you know? A cinder cone. And when you get up and you look up at them you lose all that mountainous feel. I went, oh crap.
We shot it and it just didn’t look very good, oddly enough. So that’s why the painting is a huge cheat. We did use some of it, some of what we shot. We actually got back a little ways and shot the miniature, which is a giant miniature, but that was one of those things that didn’t work out. A gentleman by the name of Alan Faucher ran the model shop. Unfortunately he’s passed away but he did an amazing job. -
メイキングビデオのMcClungの話では、ベースの幅は約30m、高さは約8mあったそうです。
DANTE'S PEAK (1997)
- vfxblog: あの火山はどこで撮影したのですか?
Patrick McClung: ヴァン・ナイズ空港には広大なオープンエリアと格納庫がたくさんの格納庫などがあって、滑走路の反対側ではほかの撮影隊が『エアフォース・ワン(原題: AIR FORCE ONE)』を撮影していた。空港の反対側がぼくらの場所で、広いターマックのオープンスペースがあったんだ。2つの格納庫と撮影用のサウンド・ステージも2つあった。たしか巨大な木造の骨組みを作って、巨大なブロックで届く発砲スチロールも使ったね。
木材と合板で円錐形の土台を作り、その上に熱線で薄く切った発砲スチロールを置いて彫っていった。技術的には進んだものではなかったよ。とてもシンプルな方法だったけれど、とてもうまくいった。
Photographed by David Defino
vfxblog: Where was that volcano filmed?
Patrick McClung: The Van Nuys Airport had a big open area and lots of hangars and so forth and actually, they were filming – across the runway – they were in hangars doing Air Force One. And then we had the other side of the airport, we had a big, huge open area of tarmac. And two hangars and then two other buildings for shooting stages. I think they built just a big gigantic wooden framework and it was huge blocks of Styrofoam, you know polystyrene, which comes in really large blocks.
And they used hot wires to cut it. They’d string it and it looks like a big yoke and they would just, you could cut it and sort sculpt it. And so they made in essence like a conical section out of wood with plywood and then they just put the thinner sheets of this sheet styrene on the outside and then sculpted it basically. It wasn’t a technically advanced method. It was pretty straightforward, you know, but it was just done very artfully and done extremely well.
vfxblog: 橋のミニチュアについて聞かせてください。おそらく映画の中でもっともすばらしいエフェクトの1つとして記憶されていると思います。あれもヴァン・ナイズで撮影したのですか?
Patrick McClung: ヴァン・ナイズだったよ。広い場所を見つけてね。そこにはぼくらのオフィス、モデルショップ、撮影用のステージ、それに巨大なオープンスペースがあったんだ。アート・ディレクターのGeorge TrimmerとRichard Stutsmanの2人がミニチュアのレイアウトを考え、Richardがタンクやポンプなどを扱うDean Millerを招いたんだ。
大きな鋼鉄製のタンク2つがそろった。そのうちの1つは12mぐらいの高さがあったよ。それにはトラックの後ろにあるような巨大な油圧式のドアがついていて、水が抜けるようになっていた。水は放水路を通ってミニチュアの渓谷を抜け、別のタンクに流れる。それを巨大なポンプシステムが上のタンクに戻すんだ。このタイプのミニチュアとしては最大のものだったと思うね。本当に大きかった。メインタンクにはミニチュアのダムに水を流すセクションもあって、1つの大きなユニットだったね。ダムは作り直す時間がなかったから、撮影は1度だけだったよ。
Photographed by David Defino
vfxblog: Let’s talk about the bridge miniature, because that is probably remembered as one of the most spectacular pieces of effects work in the film. Was that also filmed at Van Nuys?
Patrick McClung: Yes, we found a big piece of property and we had our offices there, we had the model shop there, we had the shooting stages there, and then we had this big huge open area. We had an art director by the name of George Trimmer, and George figured out the whole layout of this model, with Richard Stutsman. And then Richard brought another guy named Dean Miller who handled all the water bits – the tanks and the pumps to pump the water back up.
What we had were two large steel tanks and one of them was up forty feet in the air. There was a giant hydraulically powered door that would tip down like something in the back of a truck and allow the water to spill out, and it would go down this spillway into our miniature valley and then the water would end up in another tank. And then we had this huge pumping system to pump the water back up. I think it was probably the biggest miniature of that type ever built. Because it was enormous. We also had another section off the main tank that would feed the dam, the dam miniature. Because it was all sort of built into one, you know, one big unit. We only shot the dam the one time because we just literally did not have time to rebuild it and shoot it because time was so short to get that all done.
vfxblog: 本当に時間がなかたったんですね。
Patrick McClung: 週7日、1日12時間から15時間動いていたね。めちゃくちゃなプロジェクトだったよ。ある日ストーリーボードを見ながら洪水のシーンにいくつショットが必要かを数えてみたら、全部を撮影する日数はなかった。そこでなんとかそれを解決する方法を考えたよ。映画では噴火したあと町はずっと雲に覆われているんだ。ロケ地だったアイダホ州のウォレスは谷間にあって、夏場の撮影だったから陽が丘の向こうに消えてからも3、4時間は明るかったんだ。その間は散乱光の中、つまりマジック・アワーに撮影できた。
11月か12月だったかな、ミニチュア撮影をするころには日が短くなってたから、太陽が真上を通るようにミニチュアを移動した。そうすれば朝まだ陽が低い時間、真上を通り越す前に撮影できる。光がミニチュアの左側や右側に当たるようにしてね。朝から陽が高くなりすぎる前まで撮影して、今度は夕方、太陽が反対側に来るのを待った。撮影するのに十分な光がある時間をね。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: You really were under the clock on this one.
Patrick McClung: We were on twelve, fifteen hour days seven days a week. It was just an insane project. One day I sat there and counted the amount of shots we needed of that flood for the storyboards and so forth and we actually didn’t have enough days scheduled to shoot everything. And we figured ways around it, but if you notice in the movie once the volcano starts erupting it’s all very overcast. And so, because this town they found, Wallace, Idaho, was in a valley when we were shooting in the summer, the sun would go down over the hills and we had, and we had another three or four hours basically before it actually went down because we were in a hole, in a sense. And so we had three or four hours of diffuse light, magic hour basically, to shoot in.
So by the time we get to shooting the miniatures, now November December I think, and the days were short, and so we positioned the miniature so the sun would travel across the top of it so we could shoot in the morning when the sun was low before it came over, let’s say, the left edge and lit the right edge. So we would shoot in the morning until the sun was too high and then we’d wait until the evening where it was the same, you know, just the opposite position where there was sort of enough exposure to shoot but the sun was now lower on the other side of the valley. -
ドナルドソンによると、ダムのミニチュアは約10mの高さがあり、1/4スケールの橋のミニチュアとともに約4ヶ月かけて制作されたのだそうです。
- vfxblog: 時間内にすべてを撮影しようとするのはどんな感じでしたか?
Patrick McClung: 終わらせる方法を見つけるだけさ。ハンヴィーが崩れる橋の向こうに飛び越えるシーンではセットはほとんどなくて、ロサンゼルスでグリーンスクリーンで撮影したんだ。背景に木が必要だということになって、タイルのようにセクションごとに撮影したものを1つにくっつけて背景にすることにした。スチルカメラマンと出かけて行って木々を水平方向と垂直方向に撮影し、合成作業を行っていた「CIS HOLLYWOOD」がそれらを縫いつけるように背景にくっつけた。おかげで少し時間に余裕が生まれたよ。
vfxblog: What was that like trying to get all the shots done in time?
Patrick McClung: Well, we just had to find ways around it. When the Humvees jump over the other side of the bridge as the bridge is collapsing there was almost no set there. It was a green screen. We shot that back in LA. But we needed to have trees back there so I thought, well, what we can do is just shoot different sections in tiles and put them all together and have background. So that’s what I did. I brought a still photographer out. He just shot horizontally and vertically, and then there was a company called CIS that did the composites and they sort of stitched them all together into a background. So because we could do that, that actually gave us some breathing room.
vfxblog: 橋のシークエンスでは何が1番大変でしたか?
Patrick McClung: 水だね。設計している段階で全体のサイズも決まり、足場の上に作ることになった。橋は地面から4.5mぐらいの高さにあったんだ。すべてが合板で囲まれてる感じだった。実物の1/4スケールでいくことになったんだけれど、もっと大きなものが必要なんじゃないかと思ってAlan faucherに相談したんだ。車両はまだ作られてなくて、橋もまだだった。でも1/3では大きすぎた。すでに基礎になる川は出来上がっていて、幅も決まっていたんだ。結局あいだを取って、車は実際には1/4よりも大きくなった。誰かが大きさを聞いてくるとぼくは両腕を広げてこのぐらいだって伝えてた。だいたい183cmぐらいだね。
とにかく大きめのスケールにして本当に助かったよ。『エイリアン2』の時にはエイリアン・クイーンとパワー・ローダーの戦いを1/4スケールで撮影したんだ。もっと大きなサイズで撮影したかったんだど予算がなくてね。大きなサイズで撮影するには大きなセットを作る必要があったんだけど、その予算がなかったんだ。信じられないかもしれないけれど、実物大のセットを作るよりもお金ががかかるんだよ。
vfxblog: What was the toughest thing about the bridge shots?
Patrick McClung: Water was the big issue. And when it was being designed we had a certain size and it was all, and it was up on scaffolding. Let’s say the bridge itself was probably fifteen feet off the ground, you know, and it was all sort of sheathed in plywood. And so I’m looking at it I’m thinking oh, because we were going to do it a quarter scale and I’m looking at it going, I don’t know… And I go talk to Alan Faucher and say oh you know, we hadn’t built the vehicles yet. You know, and the bridge itself hadn’t been built yet. And I talked to Alan and I said you know I don’t think quarter scale is gonna cut it. I think they need to be bigger. So we went back and forth and third scale was too big. We’d made the river, the river was already in essence built. We had a certain finite width. And so we went between quarter and third scale. So the vehicles are bigger than quarter scale. And I used to have this sort of thing where somebody would ask me how big something should be and I’d just hold my arms out at arm’s length, you know, about this big which was seventy two inches.
So anyway we sort of came up with this in-between scale that we nudged them larger and I think that really helped. Because quarter scale, when I was on Aliens we did the queen and power loader sequence, the big fight. That was quarter scale and it was because we didn’t have more money to do, we wanted to do it larger but we just didn’t have the money because that meant building bigger sets, and you know miniature sets are expensive. You know, more expensive than full-size sets believe it or not.
So we had this sort of compromise of larger than quarter scale and I think it really helped. So talking to Stutsman I said you know can we tow these vehicles from a centre track? And so he worked all that out. So there’s actually a centre track in there with a cable pulling the vehicles, all three of them. So that’s how they’re motivated. If we did it radio controlled you’d never know. They could slip off.
The water in that thing was only maybe a foot deep at its deepest. And we had built all kinds of rises and falls under the terrain to get the water to look like it was uneven. But it was a large volume of water. I can’t remember if it was seven or eight hundred thousand gallons, but it was moving and we would empty that I think in five minutes. It was some phenomenal amount. And then there were the layers of people that were dumping debris in the water, and we had built a whole house that went through and smashed into the bridge.
vfxblog: どうやって火山や川の流れの見た目を決めたのですか?
Patrick McClung: 火山学者が2人いたんだ。それにぼくは火山に関する本も持っていたよ。ラハールについて読んだけれど、あれは灰の流動体なんだ。液体コンクリートに例えられているのを聞いたこともあった。セント・ヘレンズ山の上には絶対に溶けない雪と氷があったんだけど、噴火した時にすべてが溶けてしまったんだ。本質的には山は灰でできているのと同じで、それが全部溶けてしまったんだ。大量の灰色の水が流れ出したんだよ。
それで水用の着色料の灰色の粉末を見つけてきたんだ。1秒間に48フレームで撮影して、水の流れを少し遅くしてる。観直してみると少しミニチュアっぽいけれど、よくできたと思うな。セットは「Forced Perspective(=光学トリック)」を使っていて、観てもらえばわかるけれど、奥に行くほど木のサイズは小さくなっているんだよ。
Photographed by David Defino
vfxblog: How did you work out what all this might look like, as in, for reference of a volcanic event and a river?
Patrick McClung: We had two volcanologists and they were very helpful. And I had a book on volcanoes. And I read about the lahars, it’s really just a slurry of ash. I’ve heard it likened to liquid concrete. When Mount St Helens exploded it melted all the ice and snow, because there was permanent ice on the top of the mountain that would never melt. So the heat melted all of that and the whole thing is made of ash anyway, the whole mountain in essence. And so you had this big flow of this grey colored water.
They found a colorant for the water, this sort of grey powder. For the right scale, we overcranked the cameras to 48 frames a second. And it slowed the water down a bit. Just looking at it again, it looks a little miniature-ey but it holds up pretty well. The set was a forced perspective if you look at it going back, you know the trees shrunk in size going back, you know, the length of the model. And the trees at the back were probably eight inches tall or something like that. Just to give us a distance to the model.
vfxblog: あのシークエンスで観客が注目すべき点はなんでしょう?
Patrick McClung: ポール・ドレイファスというキャラクターがオレンジのバンで橋を渡ろうとしているシーンなんだけれど、タイヤが空回りしてるんだ。そこでRichard Stutsmanに空回りしているタイヤだけのショットができないか聞いてみたんだ。監督に要求されたわけではなかったけれど、ぼくらは撮影することにした。タイヤはどれも手のひらぐらいの大きさで、Richardが小さな発煙器を取り付けたんだ。タイヤが回って地面をひっかく効果音が入るととてもよくできていて驚いたよ。
VFXで大事なのはフィルムメーカーの思考で考えることなんだ。ぼくが(監督の)ロジャーに橋の構造が壊れるショットが必要じゃないかと言ったら、よしやろうということになってね。通常詳細なストーリーボードが描かれるけれど、時にはちょっとしたインサートが必要になる。以前観た実物で撮影されたもの思い出してみると、いつでも何かが壊れるクロース・アップがあった。だからぼくらは橋の鋼鉄のフレームで同じことをしたんだ。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: Anything people should look out for in that sequence?
Patrick McClung: There the van and there’s this character Paul Dreyfus – he doesn’t get over the orange van – you see the wheels spinning. So I’d asked Stutsman if we could do a spinning wheel shot. The director didn’t ask for it, I just decided we needed that shot. Those tires were the size of your hand. Smaller than that, the size of your palm. They weren’t very big. And he hooked up a little thing, a little smoke generator. And you see the wheels spin, and in sound effects you hear the screeching tires, and it looked really good. Just watching it I was surprised at how nice it was.
One thing that’s part of visual effects is you have to think like a filmmaker, and I told Roger I said we need a shot of a structure of the bridge breaking, you know, just snapping. And he said yeah let’s do that. Because you know what usually happens is shots are boarded, or storyboarded very specific, and sometimes you need little inserts. And so I just think of movies I’ve seen before that have live events and you always have a little close-up of something fracturing. So we did one of those things, you know, with the steel frame under the bridge.
vfxblog: 橋のシークエンスには何テイクかかったのですか?
Patrick McClung: 朝と夕方に撮影したよ。すごい量の水が流れるから、ポンプで水を汲み上げても朝は2テイクを撮影できるだけの時間は残らなかった。だからしっかりとプランを組みなおした。ゲートを開けて水を流す時にはすべての準備が整っていて、水とがれきが流れる。1ショット撮り終わってゲートを閉じて、ポンプが水を汲み上げはじめても水は流れていたからね。たしか、3テイクぐらい撮影できるようになったかな。
時々必要以上の水が流れると、汲み上げるのに数時間かかってね。それでも早い方なんだけどね。その時には太陽が谷のミニチュアの反対側を照らしはじめてるんだ。水を汲み上げ、夕方の撮影のためにすべてをリセットしておき、屋内で別の撮影をしたよ。陽の短い冬だったからね、いろいろなものを屋内に押し込められたのはラッキーだったね。
橋がひっくり返ってバンと一緒に流れに飲み込まれるショットを撮りなおしたかったんだけれど、文字通り時間切れになってしまった。ミニチュアは反対側に見えるように修正されていてね。橋に向かって右側を見ると、谷が奥へと伸びていっているのが見えると思う。左側は谷がそこで終わってるんだ。ぼくらは谷側が映るショットを先に撮影して、ミニチュア全体を逆方向に見えるように直していたんだ。それが問題だった。橋がひっくり返って飲み込まれるのを撮りなおす時間はほとんど残されてなかった。
vfxblog: How many takes could you do of the bridge sequence?
Patrick McClung: We’d do it in the morning and evening. We had only so much water we could release, and we really couldn’t pump it back fast enough for the morning shoot to get another go at it. So we had to really plan what we were going to do. As we were going to open the floodgates, so to speak, everything was ready and we get the water flowing and all the debris going. And we do the shot and we’d close the gate. And we’d still pump the water up, it was still constantly going. So we could do it for about three takes each time from memory.
We had enough water and everything, and at some point if there was just too much water that had been depleted it’d take a couple hours to actually pump it back up, it was actually pretty fast. But the sun would be up at that point, the sun had risen far enough that it started lighting the opposite side of the terrain. So we’d pump the water back up and reset for the evening, and do other shots. You know, other stuff inside and what have you. And luckily they were short days, it was winter, so we could squeeze it in. And we went right to the last minute.
And unfortunately the shot where the bridge finally rolls over with the van, I really wanted to do it again but we were quite literally out of time. Because that was redressed to look the opposite way. If you looked at the bridge and look to your right you’d see this whole valley going up away from you. You look to the left and it just ended right there. And so what we did is we did all the shots are looking up the canyon first, and then we redressed the whole model to look the opposite direction. And that was a big deal. And so by the time that happened we didn’t have a lot of time to shoot you know the bridge rolling over.
And what Richard Stutsman had to do with the bridge, which is a brilliant idea, he figured this all out. He had hydraulic rams that could control the bridge because, even though the water’s only six inches to a foot deep in a lot of areas, there’s a lot of hydraulic pressure from the water on the bottom of the bridge. Because most of the surface of the bottom of the bridge was in contact with the water. We had these major hydraulic rams under the bridge to control it so we could make it do whatever we wanted to. So that was a really smart move because we could reset the bridge at a moment’s notice. And when it actually sort of flipped and rolled over we had a little puppet, you can see the puppet go flying over Dreyfus, his character in the van.
vfxblog: 橋は見事にバラバラなりました – 何か秘密があるのですか?
Patrick McClung: プラスター(=石こう)だね。もうずっと使われているよ。古代ローマにまでさかのぼるんじゃないかな。混ぜると泡立って、固まるとスポンジみたいになるんだ。強度がないから長いこと映画で使われているね。壁にパンチで穴を開けたりする時にも使われている。橋の大部分は固い素材で作られていたけれど、壊れる部分はプラスターで作ってたんだ。つなぎ目が分からないように組み合わせてあった。壊すためには火薬も使った。大きな物が壊れる時にはそうなるんだよ。破片があちこちに飛ぶのが見えると思う。多分撮影には何台かカメラが設置されていたと思うんだけど、実はぼくは撮影には立ち会えなくてね。ポスト・プロダクションを受け持っている会社から車で戻ってる最中だったんだ。ロジャー・ドナルドソン、イロナ・ハーツバーグとプロデューサーのゲイル・アン・ハード、ぼく以外はみんなそこにいたんだ。着いた時に歓声が聞こえて、ゲイルがやってきた。ゲイルのことは『エイリアン2』から知っているからね。素晴らしかったと言っていたから、現像が終わったら観ることにしたよ。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: It all seems to break apart really convincingly – was there something you were doing there?
Patrick McClung: We used a lot of snow plaster. It’s been around forever. I think it goes back to the Romans. It actually foams when they mix it together, and when it sets it’s like a sponge. And so there’s no strength to it and they’ve been using it in the movies forever. You know, when somebody punches through a wall, it’s snow plaster. So a lot of the bridge was solid except for the areas we knew we were going to break away, and that was all done with snow plaster and then all sort of feathered in so you couldn’t see the joins.
And there were pyro elements in there to blow things apart because that’s what happens when something large breaks, it just, you see debris fly all over the place. And so I think we had a dozen cameras on it and I actually missed it. I was driving back from one of the post companies and everybody was out there, Roger Donaldson, Ilona Herzberg, the producer, Gale Anne Hurd, everybody was there, and I just missed it. I just drove up and I hear this cheering and you know Gale came down. And I knew Gale from Aliens, she said oh it was fantastic and great. Okay, guess I’ll see it on the film.
vfxblog: ほかに観てほしいミニチュアのショットがありますか?
Patrick McClung: みんなが乗ったピックアップトラックが道を走ってきて、その後ろから火砕雲が迫ってくるワイドショットがあるんだ。トラックは小さくて、たしか30cmか45cmぐらいだったと思う。これもレールの上に乗っていた。町のミニチュアを作ってね。スケールは小さかったけれど、広いエリアをカバーするものだったからかなり大きかったね。町とその背後の丘を別々に撮影できるようにモーション・コントロール・カメラを使ったんだ。トラックは違うスケールだったから、サウンドステージで1m20cmぐらいの幅の道路を作って、黒だったかグリーンスクリーンの前で撮影したんだ。
それからカメラに近い、大きなスケールの建物を撮影した。小さな建物ではスケール的に耐えられないと分かっていたからね。かなり複雑な合成だったよ。火砕雲が丘の上を超える時の縁が鮮明すぎるから合成をやり直したかったんだけど、時間切れになってそのまま映画に使用されたよ。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: Any other miniature shots from the film you wanted to highlight?
Patrick McClung: There’s the shot where it’s a wide shot where you see the truck, the family, driving down the road and the pyroclastic flow is behind them in the distance, sort of landing. What I figured to do on that one is that the truck is actually pretty small. It was maybe a foot or foot and a half long, I don’t remember, and again it was on a track. We had a whole miniature of the town that we built that was a fairly small scale but large because it was a big open area. And so I thought, okay we’ll shoot this motion controlled so we can shoot the town and the hills behind it separately, and the car was a different scale so we just put that on the ground somewhere in the stage and just made a little path about four feet wide of just, against black I guess or greenscreen.
We shot that separately and then we shot the buildings that were closer to the camera, larger scale buildings, we shot those separately because I knew those buildings would be, the small buildings wouldn’t hold up scale-wise. So it was a pretty involved composite. I think we needed one more pass on the compositing because the edges are a little crisp, you know, when the flow comes over the hills. But we were out of time, that was like, it had to go in the movie. We just ran out of time.
vfxblog: あのショットで車がカメラの前を通り過ぎてからすべての家や物がバラバラになるショットの連続を覚えています。
Patrick McClung: どのくらいのスケールだったのかは覚えていないけど、90cmから120cmの高さがあったね。プラスターで作られていて、中にはエアキャノンが入ってるんだ。小さなミニチュアは90cm程度の長さだったと思うけど、高圧のエアキャノン、導火線とか爆薬とか、吹き飛ばすためにいろいろ使ったよ。スローにするために1秒間120フレームで撮影した。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: What I remember about that shot after the car swings past camera is, I particularly remember on the big screen the following shots of all the houses splintering and whatnot.
Patrick McClung: I don’t know what scale they were but they were probably two to three, four feet high. Again they were plaster and snow plaster and they were just loaded with these air cannons, you know the smaller ones that are probably three feet long, and so we had these very high pressure air canons and then just primer cord. And bombs and what have you to just blow the crap out of them. And those were shot at 120 frames a second, to slow them down.
vfxblog: ミニチュアによる高速道路のショットもいくつかありましたが、あれはどうやって作られたのですか?
Patrick McClung: あのシーンはグラント・マキューンに依頼した。彼のチームが車や壊れる高速道路を作ったんだ。ウォレスに高速道路の入り口を建設してグリーンスクリーンを立て、そこに高速道路の崩壊をミニチュアで撮影したものを合成したんだ。火砕雲で吹き飛ぶトレーラーのショットもあったね。
DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: There were some freeway shots done as miniatures too, how were they achieved?
Patrick McClung: We farmed out the freeway to Grant McCune. They built cars and the collapsing freeway. Production had built a section of it in Wallace, a little piece of the freeway, and we put a greenscreen up and added the miniature freeway collapsing behind that. There’s also a shot of a semi getting blown apart.
vfxblog: 溶岩のショットがいくつかありますね。デジタル合成によるものだと思いますが – どのように撮影されたのですか?
Patrick McClung: 溶岩はあの映画のメインではなかったからほとんどなかったね。溶岩の間欠泉みたいなものなんだ。実際には白い砂を白い照明で撮影したんだよ。それを色修正で赤くしてる。すごくうまくいったね。溶岩の間欠泉のようだった。その下にはCGの溶岩があった。小さなミニチュアセットだったよ。
それから主人公たちがおばあちゃんのログハウスから逃げ出すシーンがあったね。キャビンの内部をアイダホ州のカー・ダレーンに作ったんだよ。溶岩が壁を突き破ってくるシーンをどうやって撮影するか話し合って、後ろの壁を全部取り外してグリーンスクリーンが設置できるセットを作らせたんだ。真夜中に撮影したよ。ステディカムで撮影するために家具も全部どかしてね。オリジナル・プレート(撮影素材)ではみんなが出てくる後ろの壁はグリーンで家具もないんだ。
監督が「溶岩」のシーンを撮影する時には、インタラクティブ・ライトを赤にしたんだ。ロサンゼルスに戻って半分かフルスケールのセットを作り直した。とても小さいセットだったね。撮影したショットをCGの担当がデジタル・トラッキングして、それをモーション・コントロール・カメラにプログラムした。ステディカムの動きを再現したんだ。それで壁全面を撮影し、壁を打ち壊す大きな装置を作って背後から緑色の照明を当てた。壁を突き抜けてくる巨大な緑色の舌みたいなものだね。
Elizabeth Hoffman as Ruth, Linda Hamilton as Rachel Wando, Jeremy Foley as Graham Wando, Jamie Renée Smith as Lauren Wando, and Pierce Brosnan as Harry Dalton in DANTE'S PEAK (1997)
vfxblog: There were a few CG lava shots and of course digital compositing work – can you talk about those?
Patrick McClung: It wasn’t a predominantly lava-laden show. We didn’t have much of it. But the first time you see anything like that it’s sort of a geyser of lava. And what that was, it was just sand. We shot it inside. It was just white sand lit with a white light. And we color-corrected it red. And it worked extremely well, it looked like a geyser of lava. And there was CG lava below it and it was on a miniature set we had built, the little piece.
Then there was the grandmother’s log cabin which they have to escape from. They had built the interior of the cabin up in Coeur d’Alene, Idaho and we started talking about how are we gonna do the shot where the lava pours through the wall? And I had them build the set so they could take the entire back wall out of the set and have a greenscreen there, which we did. We shot that at midnight. And we removed all the furniture so it was a Steadicam shot. So if you could see the original plate, everybody would be walking down and the back wall would just be green, with no furniture.
And so when the director called ‘lava’ they turned on interactive lighting on the set, to light it red. And so what we did back in LA is we rebuilt the set, not even half scale or maybe it was full scale. It was a very small set. And the CG guys did a digital tracking of the shot and converted that to motion control files. So we had a motion control camera that would reproduce that Steadicam move. So we shot all these elements of part of the whole back wall, and we made a big battering ram that was backlit with green, so when you’d see it pushing through the wall it was basically this big green tongue.
It would smash the wall and that would allow the CG lava to pour through and it would look like the wall was reacting to the lava. And then we shot furniture that was on wires that was painted with something that would burn instantly that Stutsman came up with so it looks like the lava is pushing the furniture back. And then we had like a rug hanging from the wall and that was shot separately. So it was an incredibly complicated shot and it came out great.
When they come out of the log cabin, we shot that in a big piece of property inn LA called Agua Dulce near Vasquez Rocks. They re-built the cabin up there because by the time they come out now the lava’s flowing on either side of the cabin. Roy Aborgast had built trees that were piped with gas so he could just turn them on, light them up so it looked like all the trees were on fire, and the path where the lava was gonna flow was just a trench cutout and they put in lighting with red gel for interactive light, the lava light basically. And the trucks were on big movers, hydraulic movers, so they looked like they were sort of floating. And so they come running out and they see the lava flowing. So there was nothing there basically, so that’s digital lava.
And then when they go down to the boat, the boat was shot at Falls Lake at Universal Studios. It’s a lake with a big backing, a two hundred foot wide backing. And so we shot a lock off of the burning house with the lava, and then it was put in behind the family in the boat in the water at Universal. So it was just a little of everything.
And if you watch the making of they talk about this boat flipping over, and you know I was obviously there when that happened, and we were at night so we had this giant greenscreen lit up fifty feet high and two hundred feet wide, and had this whole lake lit up. And what they did with the little metal boat is they bolted the bolt to a Zodiac that had the camera and motor on it. So it’s one unit.
And when they took off, this is the first thing of the night, first time we’re shooting up there, what happened is I could see it, the water churned up from the motor swamped the little boat. And the whole thing sort of rolled over out there. It was pretty scary but the safety divers went out there and rescued everybody.
So what they did is they said okay well what we’re gonna do is just go and shoot all the close-up stuff. And what they did is they went up to a higher point in the back of Universal. Universal’s a big piece of property. They put the boat on a tabletop with inner tubes on the boat so they could rock it back and forth and do all the close-up dialogue where they’re talking about the boat and all that. And then they did that couple of nights and then we came back and shot the wider stuff when they figured out the rig.
vfxblog: 『ボルケーノ』が公開されたことで、VFX撮影に何か影響はありましたか?
Patrick McClung: あれは「20世紀フォックス」の作品で、どちらのスタジオも相手より先に映画を公開しようとしていたね。似た映画が2本ある場合、以前なら片方のスタジオが公開日をその年の終わりにシフトしたものだったよ。でも今回はどちらのスタジオも、ぼくはおしっこ飛ばし競争って呼んでたんだけど、公開日を動かし続けてたね。
そして – これがぼくがスーパーバイザーとして参加した最初の大きな映画だったことを忘れないでくれ – 突然スタジオが公開日を変更して、ポスト・プロダクションにかけられる時間が半分になってしまったんだ。時間内に完成させることが物理的に可能なのかどうかさえ分からなかったよ。すべてを完成させるためにスケジュールはかなり強引なものになったね。
VOLCANO (1997)
vfxblog: What impact did the release of Volcano have on any decisions about how to do the effects?
Patrick McClung: Well that was going on at Fox, and both the studios [Dante’s Peak was released by Universal] were trying to outdo each other with their release date. They kept backing their dates up trying to get ahead. And usually if two similar movies came out in the past one studio would shift their movie to, you know, the other end of the year. But both the studios, I call it a pissing match, kept sliding their release dates.
And there came a point when – and remember this is the first movie I’d supervised and it was enormous – all of a sudden they came up with a date that essentially took about half our post-production time away. And I wasn’t even sure if it was physically possible to do the work that we had to do in the time. So we had a really aggressive schedule to finish everything. -
数カットしか映らないけれど、地震でスクールバスに倒れる教会の外壁は本物の石材で作られ、崩壊する建物もすべて実物大。このスクールバスの側面のペイント「HURD COUNTY SCHOOL DISTRICT」は、プロデューサー、ゲイル・アン・ハードから取られています。
このバージョンは2001年まで続き、その後『ハムナプトラ/失われた砂漠の都(原題: THE MUMMY)』をベースにした『THE CURSE OF THE MUMMY'S TOMB』になりました。
トンネルは2013年の10月から12月の間に解体され、2015年6月25日に『ワイルド・スピード(原題: THE FAST AND THE FURIOUS)』シリーズをベースにした『FAST & FURIOUS - SUPERCHARGED』がオープンしました。
Linda Hamilton as Rachel Wando, Jamie Renée Smith as Lauren Wando, Jeremy Foley as Graham Wando, and Pierce Brosnan as Harry Dalton in DANTE'S PEAK (1997)
]]>TOP OF THE WORLD (1997)http://team.exblog.jp/30670137/2020-01-20T22:00:00+09:002020-09-25T02:14:09+09:002020-01-13T03:57:07+09:002moon1movie reviews
STORY
殺人の濡れ衣を被せられていたレイが刑期を終えた。夫を出迎える妻レベッカ。
だが、彼女の心はレイから離れていた。レイの服役中、カジノに勤めていたレベッカは、その経営者でありラスベガスを影で牛耳るカジノ王アトラスと恋に落ちていたのだ。彼女はレイと離婚の意思を固めており、別れを前に二人はカジノに金を取りに立ち寄ることになった。
一方、同じ頃、アトラスのカジノには武装強盗団が帳簿の大金を強奪しようと、警備をかいくぐって侵入していた。強盗事件発生。駆けつけるSWATチーム、客を巻き込んだ銃撃戦。カジノは一瞬にして大パニック。事件に巻き込まれることを恐れ、カジノを後にしたレイだったが、レベッカ救出のためカジノに戻ることを決意する。そして現場に戻ったレイは強盗団の首謀者がアトラス自身だと知る。レイは、失ってしまった男としてのプライドとレベッカの愛情を取り戻すべく、最後の勝負に挑むのだった!
レベッカにはティア・カレル。
1991年の『リトルトーキョー殺人課(原題: SHOWDOWN IN LITTLE TOKYO)』(監督マーク・L・レスター、出演ドルフ・ラングレン、ブランドン・リー、ケリー=ヒロユキ・タガワ、ティア・カレル)や1994年の『トゥルー・ライズ(原題: TRUE LIES)』(監督ジェームズ・キャメロン、出演アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェイミー・リー・カーティス、トム・アーノルド、ビル・パクストン、アート・マリック、ティア・カレル)など、作品選びのセンスがすばらしい!
エキゾチックなセクシーさだけじゃなく幅広い演技力を持つ女優さんで、本作では繊細な演技を見せてくれます。
いいですねー!
Joe Pantoliano as Vince Castor and Ed Lauter as Mel Ridgefield in TOP OF THE WORLD (1997)
カールたちが会計室に押し入り、金を奪います。
Derek Anunciation as Fredo, Dell Yount as Mac, Eddie Mekka as Joe Burns, Martin Kove as Carl, and Roger Rhu as Count Room Guard #1 in TOP OF THE WORLD (1997)
Peter Weller as Ray Mercer in TOP OF THE WORLD (1997)
このあとの現金輸送車とパトカー隊が繰り広げるカーチェイス・シーンは、実際に「ラスベガス・ストリップ」にある「E FLAMINGO RD」、「LINQ LN」、そして「CONVENTION CENTER DR」などの公道で撮影されています。
1971年の007シリーズ第7作『007/ダイヤモンドは永遠に(原題: DIAMONDS ARE FOREVER)」(監督ガイ・ハミルトン、出演ショーン・コネリー、ジル・セント・ジョン、チャールズ・グレイ、ラナ・ウッド、ジミー・ディーン、ブルース・キャボット)や、2016年のシリーズ第5作『ジェイソン・ボーン(原題: JASON BOURNE)』(監督ポール・グリーングラス、出演マット・デイモン、トミー・リー・ジョーンズ、アリシア・ヴィキャンデル、ヴァンサン・カッセル、ジュリア・スタイルズ、リズ・アーメッド)でもラスベガスを舞台にしたカーチェイス・シーンがありましたが、本作のスタント、カメラワーク、そして編集はすばらしい!
カジノにいるヘフターは、以前ホテルの監視システムが2時間ダウンした時の会計担当がレベッカだったというローガン警部補の報告を受けます。
ローガン警部補を演じているのは、1983年の『スーパーマンIII/電子の要塞(原題: SUPERMAN III)』(監督リチャード・レスター、出演クリストファー・リーヴ、リチャード・プライア―、ジャッキー・クーパー、マーク・マクルアー、アネット・オトゥール、アニー・ロス、パメラ・スティーヴンソン、ロバート・ヴォーン、マーゴット・キダー)のブラッド・ウィルソンや、同じ年の『ネバー・セイ・ネバー・アゲイン(原題: NEVER SAY NEVER AGAIN)』(監督アーヴィン・カーシュナー、出演ショーン・コネリー、クラウス・マリア・ブランダウアー、マックス・フォン・シドー、バーバラ・カレラ、キム・ベイシンガー、バーニー・ケイシー、アレック・マッコーウェン、エドワード・フォックス)のジャック・ペタッチ大尉など、クセのあるキャラクターを演じることが多かったギャヴァン・オハーリー!
セリフはこのシーンだけ!
Gavan O'Herlihy as Lieutenant Logan and Cary-Hiroyuki Tagawa as Captain Hefter in TOP OF THE WORLD (1997)
支柱を登るレイを見つけたザ・ブッチャーが彼を追います。
レイはアトラスが黒幕だと話しますが、ザ・ブッチャーは信じません。
支柱を登り切った2人はコースの最上部でジェットコースターに乗り込み、銃撃戦となります。
この時ザ・ブッチャーがレイを撃ちながらのんびりした口調で「私のカネを返せ! "I want my money!"」と4.5回叫び、うんざりしたレイが彼を撃ち殺します。
この時のセリフ「やかましい "He's driving me crazy."」は最高!
ピーター・コヨーテ絶対楽しんでたと思う…。
おもしろいシーンでした。
Peter Coyote as Doc "The Butcher" in TOP OF THE WORLD (1997)
Tia Carrere as Rebecca Mercer and Peter Weller as Ray Mercer in TOP OF THE WORLD (1997)
ゴンドラ上での戦いは合成も一切使われておらず、スタントもすばらしい!「アクション映画」の「クライマックス」として最高です。よくフーバーダムで撮影できたなー…。
「オープニング・クレジット」と「エンド・クレジット」に流れる『ON TOP OF THE WORLD』という歌は、観終わったあともしばらく耳に残ります。
監督はカナダ出身のシドニー・J・フューリー。ボンド・シリーズの主要スタッフが集結し、マイケル・ケイン主演で制作された1965年の『国際諜報局(原題: THE IPCRESS FILE)』(出演マイケル・ケイン、ナイジェル・グリーン、ガイ・ドールマン、スー・ロイド)で第19回英国アカデミー賞(BAFTA)「英国作品賞」を受賞し、第18回カンヌ国際映画祭では「パルム・ドール」にノミネートされています。
プロデューサー、アルバート・S・ルディが1972年の『ゴッドファーザー(原題: THE GODFATHER)』の監督として最初に白羽の矢を立てたのもフューリーでしたが、製作費で折り合いがつかず、「プリプロダクション」の段階でプロジェクトを離れています。
「ワイドスクリーン」での画面構成や、独特な空気感のある演出を通じて、あまり注目されることのないジャンルの映画を昇格させることのできる「映像作家」です。
1981年のホラー映画『エンティティ/霊体(原題: THE ENTITY)』(出演バーバラ・ハーシー)は、アメリカのニュースサイト『DAILY BEAST』の2015年10月31日の記事『Martin Scorsese’s Scariest Movies of All Time』の中でマーティン・スコセッシ監督が「最も怖い映画の1本」として挙げており、1997年のベトナム戦争映画『ヤング・ソルジャー 米海兵隊員/青春の記録(原題: THE BOYS IN COMPANY C)』(出演スタン・ショウ、アンドリュー・スティーヴンス、マイケル・レンベック、クレイグ・ワッソン、スコット・ハイランズ、ジェームズ・ホイットモア・Jr、ノーブル・ウィリンガム)は、1987年のスタンリー・キューブリック監督作品『フルメタル・ジャケット(原題: FULL METAL JACKET』(出演マシュー・モディーン、アダム・ボールドウィン、ヴィンセント・ドノフリオ、リー・アーメイ、ドリアン・ヘアウッド、アーリス・ハワード、ケビン・メージャー・ハワード、エド・オロス)に大きな影響を与えたと言われています。
1986年の『アイアン・イーグル(原題: IRON EAGLE)』(出演ルイス・ゴセット・ジュニア、ジェイソン・ゲドリック、デヴィッド・スーシェ、ラリー・B・スコット、キャロライン・ラガーフェルト、ティム・トマーソン)からは作風が大きく変わりました。
『アイアン・イーグル』公開直後、1986年2月2日のRoderick Mannの記事『SIDNEY FURIE LEADS THE CHEER FOR ‘IRON EAGLE’』の中で、フューリー監督は同作がヒットした驚きと、観客が映画に求めるものについて話しています。
- 「街中の映画スタジオに却下されたよ」とシドニー・J・フューリーは言います。「それは認めた方がよいと思ってるんだ、もしかしたら、あきらめないように他の人たちを勇気づけられるかもしれないからね」
22年前の革新的なスパイ・スリラー『国際諜報局』で多くの支持者を得たカナダ生まれのフューリー監督は、52歳になった今、ルイス・ゴセット・ジュニアとジェイソン・ゲドリック出演の『アイアン・イーグル』で興業的大成功を収めています。同作品は全国で興業的成功を収めているだけでなく(2週間で1200万ドル)、観客も歓声を上げているのです。
歓声ですか?
「そう」と、先日(元フランシス・フォード・コッポラの『ゾーイトロープ・スタジオ』だった)『Hollywood Centre Studios』の彼のオフィスでフューリーは答えます。「どうやら彼らの気持ちを捕らえられたようだ」
『アイアン・イーグル』はパイロットである父親の戦闘機が撃ち落され、中東の国で捕虜になっていることを知った(『ヘブンリー・キッド』のジェイソン・ゲドリック演じる)若者、ダグのストーリーです。ダグは国務省が父親を解放するために何もできずにいることに気づくと退役した空軍大佐(ルイス・ゴセット・ジュニア)に助けを求め、F-16を「借りて」救出に向かいます。
このストーリーが現在この国に広がっている血気盛んなムードと、中東のテロリストに反撃したいという多くの人々の願望と相まって、映画を初日から大ヒットに導きました。
フューリーでさえこのことに驚いています。
「みんなから電話がかかってきて、どうやってこの国のムードを的確に見極めたのかと尋ねるんだ」と話します。「本当のことを言えば、見極めてなんていないよ。ぼくら(彼はケヴィン・エルダースと共同でスクリプトを書いた)はロサンゼルス・オリンピック開催中にストーリーを書きはじめたんだ。とても感動的だったけれど、それは「ランボー」が出てきて排外主義を促進するずっと前の話だ」
エルダースはフューリーが監督したベトナム戦争時のストーリー『パープル・ハーツ/愛の勲章』のプロダクション・スーパーバイザーでした。『アイアン・イーグル』以前に執筆の経験はありあません。
「でも彼は話ができた」にっこりしながらフューリーはいいます。「話せたんだ。フィリピンでの撮影が終わって帰国したあと、ぼくらは『かつてぼくらが土曜日の午後に潜り込んで観ていたような映画を作ろう』と話し合ったんだ」
フューリーとエルダースは「大胆な行動に移る勇敢な若者」のストーリーを書きはじめました。
「観客が繋がりを感じられるような映画を作りたかった」フューリーが続けます。「そしてこのストーリーならそれが可能に思えたんだ。意図的に大衆向けのエンターテインメント映画を撮ろうとしていたことは認めるよ。『何百万もの人が観るだろうか?』と考えていた。でも最近は選択肢がないんだ。他にしようがない。それに、空っぽの映画館ほど悲しいものはないからね」
それでも当初『ジュニア・イーグル(英語: JUNIOR EAGLE)』と呼ばれていた作品に、誰も興味を示しませんでした。
「街中あちこち飛び回っていた」とフューリーは言います。
しかし今笑っているのはフューリーで、映画は金を生み出しています。誰もがフューリーが「ゴー・サイン」を出さなかったスタジオ幹部たちを非難するとお思いになるでしょう。
「ぼくはしないよ」彼は話します。「ぼくがスタジオの責任者だったら、ぼくも『ノー』と言っていたと思うよ。たらい回しになっている間にはまだ誰も関わっていなかったし - ルイス・ゴセット・ジュニアはもっと後になって参加しています - 、映画がうまく行くかどうか迷っている幹部たちを責められないだろ。18歳の子どもが本当にF-16を飛ばせるのか?ってね。
そしてスクリプトはついに、元「20世紀フォックス」のトップだったジョー・ワイザンのデスクへとたどり着きました。作品が気に入った彼はそれをプロデューサーのロン・サミュエルズへと送ります。そしてサミュエルズは気に入る以上のことをしたのです。
「ずっと探していたストーリーだった」先日サミュエルズが話してくれました。「昔のジョン・ウェインの西部劇を思い出したよ。父親を救おうとする少年の、愛国心あふれる冒険だった。すぐに制作したいと思ったよ」
ストーリーにはジェット機が - それもただのジェット機ではなくF-16が - 登場します。すぐにそれらを手に入れる方法を練りはじめました。
「アメリカ空軍に接触する意味はなかった」フューリーは言います。「彼らには飛行機盗難についての映画には協力しないという長年の方針があるんだ。きっと盗み出すことがいかに簡単かを知っていて、そのことにとてもセンシティブなんだろうね」
しかしイスラエル空軍には、フューリーが飛行に掛かる費用を支払う限り、そのような不安はありませんでした。撮影隊はイスラエルで6週間撮影し、イスラエル人パイロットたちが空を飛び回りました。(『ブルー・サンダー』の空中シーンを手掛けたジム・ギャヴィンが参加しています。)
「評論家たちは若者がジェット機を手に入れて飛ばすことはできないと指摘しているけれど」フューリーは言います。「実際イスラエルでは、ジェット機を飛ばすのに最適な年齢は18だと考えられているんだ。反射神経のピークだからね」
ワイザン、サミュエルズ、そしてフューリーは、映画が完成すると確かな実感を得ました。しかしそれでも最初の試写会での観客の反応は予想外のものでした。
「試写会の時にはいつも『真剣に観る人間なんているのか?』って思うんだよ」フューリーは言います。「トーランスでの試写会に来た人たちはみんな厳しそうだった。でもジェット機が飛び立ったとたん歓声が上がったんだよ。衝撃的なできごとだったよ」
報告によれば、現在でもそれは続いているようです。
フューリーにとって最初の成功作となった『国際諜報局』は洗練されたスマートな映画でしたが、『アイアン・イーグル』は直球です。これは観客がどのように変化したのかについて多くを語っているようにも思えます。
「変わったね」フューリーは言います。「先ほども言ったように、今は大衆向けのエンターテインメントを目指さなければダメなんだ。映画はイベントでなければ成功しない。映画制作者が『何百万もの人が観るだろうか?』と考えなければならないのは悲しいことだけれど – ほかに選択肢はあるかい?」
「聞いてくれ」 -- 彼の顔に笑顔が広がります -- 「何年にもわたってたくさんの映画を作ってきたけれど(その中には『ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実』や『エンティティ/霊体』などがあります)、『ニューヨーク・タイムズ』がぼくの映画に良い評価をくれたのは今回がはじめてなんだ」
“Our movie was turned down by every studio in town,” said Sidney Furie. “I believe in admitting that, because maybe it will encourage others not to give up.”
Furie is the intense Canadian-born director who earned legions of devotees 22 years ago with his innovative spy thriller “The Ipcress File.” Now, at age 52, he seems to have a commercial smash with his movie “Iron Eagle,” starring Louis Gossett Jr. and Jason Gedrick. Not only is the film jangling box-office bells all over the country (selling $12 million in tickets in two weeks), it is encouraging audiences to jump to their feet cheering.
Cheering?
“Yes,” said Furie the other day, sitting in his office at the Hollywood Centre Studios (Francis Coppola’s former Zoetrope Studios). “It seems we caught the mood.”
That they did.
“Iron Eagle” is about a youngster (played by Jason Gedrick of “The Heavenly Kid”) who learns that his pilot father has been shot down and is being held prisoner in a Middle Eastern country. Realizing that the State Department can do nothing to free him, Doug enlists the aid of a retired Air Force colonel (Gossett), “borrows” an F-16 and sets off to the rescue.
The story, combined with a general mood of gung-ho in the country plus a desire by many to hit back at Middle East terrorists, has made the movie a big box-office hit from Day 1.
Even Furie seems surprised at the way it has taken off.
“People keep calling and asking how I judged the country’s mood so well,” he said. “The truth is, I didn’t. We (he co-wrote the script with Kevin Elders) starting writing the story during the Olympics, which we found very inspiring, but that was long before ‘Rambo’ came out and encouraged all this chauvinism.”
Elders was production supervisor on the movie “Purple Hearts,” a story about wartime Vietnam that Furie directed. He had never written anything before.
“But he could talk,” said Furie with a grin. “Boy, could he talk. And after we returned from making that movie in the Philippines, we sat down and said, ‘Let’s make the kind of movie we used to sneak in to see on Saturday afternoons.’
And so Furie and Elders began writing a story about “a heroic young person who’s involved in something daring.”
“We knew we wanted to make a movie in which the audience could feel involved,” Furie said. “And this seemed the right kind of story. I admit I consciously set out to make a mass-entertainment kind of picture; I did think, ‘Will millions go for this?’ But there’s no alternative these days. Nothing else works. And there’s nothing sadder than an empty theater.”
But having written “Junior Eagle,” as it was then called, nobody seemed interested.
“It was hawked all round town,” Furie said.
Now that he’s the one laughing, the one who’s going to make money from the project, you might expect him to slam the studio executives who gave him the thumbs down.
“Not me,” he said. “If I’m honest, I have to admit that had I been in charge of a studio I might have said no, too. There were no names attached to the script when it was going around--Gossett came on board later--and you couldn’t fault some executive for wondering whether the story could really work; could an 18-year-old kid really fly an F-16?”
Finally, the script landed on the desk of Joe Wizan, the former head of 20th Century Fox. He liked it and sent it to producer Ron Samuels. Samuels did more than like it.
“It was just the kind of story I’d been looking for,” Samuels said the other day. “It reminded me of the old John Wayne Westerns. It was a patriotic adventure about a boy setting out to rescue his father. I knew immediately I wanted to make it.”
Since the story involved jet planes--and not just any jet-planes, F-16s--a scramble began to get hold of some.
“We knew it was no use approaching the U.S. Air Force,” Furie said. “They have a longstanding policy about not cooperating on any film which involves the theft of a plane. They’re very sensitive about that, probably because they know how easy it is to do.”
But the Israeli air force had no such qualms as long as Furie paid part of the cost of getting the planes airborne. And so, for six weeks, the unit filmed in Israel while real Israeli pilots flashed around the skies. (Jim Gavin, who choreographed the aerial footage of “Blue Thunder,” did the same for this picture.)
“Some critics of the movie took the line that a young man could never take one of those planes and fly it,” said Furie. “But, as we found out, in Israel 18 is considered the ideal age to fly these planes; that’s when the reflexes are at their peak.”
Wizan, Samuels and Furie thought they might have something good when the movie was finally finished. Even so, they were terribly unprepared for the reaction to their first preview.
“You always go to those affairs wondering, ‘Will anyone really care?’ ” said Furie. “And the people who came to the preview at Torrance looked a pretty tough lot to us. But as soon as the planes appeared, they started cheering; the atmosphere was absolutely electric.”
And so, according to reports, it has stayed.
“The Ipcress File,” his first success, was a sophisticated, clever movie. “Iron Eagle,” on the other hand, goes straight for the stomach. That would seem to say a lot about how movie audiences have changed.
“They have,” Furie agreed. “As I said, today you’ve got to aim for mass entertainment; a movie has got to be an event or it just won’t work. It’s a sad thing for any creative film maker to have to sit down and think, ‘Is this the kind of thing millions of people will want to see?'--but what’s the alternative?
“And listen"--here his face broke into a smile--"I’ve made a lot of movies over the years (among them “Lady Sings the Blues,” “The Entity”), but this is the first time I’ve ever had a good review in the New York Times." -
ぼくの世代で「シドニー・J・フューリー」と言えば、上記の『アイアン・イーグル』、1987年の『スーパーマン』シリーズ第4作『スーパーマンIV/最強の敵(原題: SUPERMAN IV: THE QUEST FOR PEACE)』(以下『スーパーマンIV』)(出演クリストファー・リーブ、ジーン・ハックマン、ジャッキー・クーパー、マーク・マクルアー、ジョン・クライヤー、サム・ワナメイカー、マーク・ピロー、マリエル・ヘミングウェイ、マーゴット・キダー)や、1988年の『アイアン・イーグル』シリーズ第2作『メタル・ブルー(原題: IRON EAGLE II)』(出演ルイス・ゴセット・ジュニア、マーク・ハンフリー、スチュアート・マーゴリン、モーリー・チェイキン、アラン・スカーフ、コルム・フィオール)でした。
マイク・レノが歌う『メタル・ブルー』の主題歌『チェイシング・ジ・エンジェル(原題: CHASING THE ANGELS)』が懐かしすぎる…。
1985年から1986年のはじめにかけ、『キャノン』作品は興業的失敗を繰り返していました…。
そんな中にありながらも彼らは『マスターズ/超空の覇者(原題: MASTERS OF THE UNIVERSE)』(以下『マスターズ』)(監督ゲイリー・ゴダード、出演ドルフ・ラングレン、フランク・ランジェラ、コートニー・コックス、ジェームズ・トールカン、クリスティーナ・ピックルズ、メグ・フォスター)、トビー・フーパー監督による『SPIDER-MAN THE MOVIE』や『ジャッジ・ドレッド(原題: JUDGE DREDD)』など、最終的には実現しないものばかりだった大予算映画のプロジェクトを次々と打ち立てていました。
Marc Mclure as Jimmy Olsen, Christopher Reeve as Superman, and Damian McLawhorn as Jeremy in SUPERMAN IV: THE QUEST FOR PEACE (1987)
We were also hampered by budget constraints and cutbacks in all departments. Cannon Films had nearly thirty projects in the works at the time, and Superman IV received no special consideration. For example, Konner and Rosenthal wrote a scene in which Superman lands on 42nd Street and walks down the double yellow lines to the United Nations, where he gives a speech. If that had been a scene in Superman I, we would actually have shot it on 42nd Street. Richard Donner would have choreographed hundreds of pedestrians and vehicles and cut to people gawking out of office windows at the sight of Superman walking down the street like the Pied Piper. Instead, we had to shoot at an industrial park in England in the rain with about a hundred extras, not a car in sight, and a dozen pigeons thrown in for atmosphere. Even if the story had been brilliant, I don't think that we could ever have lived up to the audience's expectations with this approach. -
2015年10月6日に出版された『SIDNEY J. FURIE: LIFE AND FILMS』(University Press of Kentucky)の著者でフューリーのファンでもあるDaniel Kremerは、広島県在住のPaul Rowlandsが運営するウェブサイト『MONEY INTO LIGHT』のインタビューで、『スーパーマンIV』に対するフューリーの反応と自身の想いを語っています。
Christopher Reeve as Superman and Margot Kidder as Lois Lane in SUPERMAN IV: THE QUEST FOR PEACE (1987)
I personally have a soft spot for SUPERMAN IV.
Yes, I grew up with SUPERMAN IV, and I loved it when I was a little pisher. Sidney doesn't like to talk about the film. He gave me an early warning when we started the book. We discussed each of his films in chronological order. We would get to a particular film and then he would then go off on free association. But when we got to SUPERMAN IV, he said ''OK, you got 5 minutes. Go. '' He has never actually seen the final cut that wound up releasing, and has no interest in doing so. When I told him about the mountain of criticisms regarding the special effects, he had no idea because he had left once Cannon cut the film down. At that point, the effects were unfinished. In fact, by the look of things, they were permanently left unfinished.Sidney shares the least blame on that production, but people like to pile the blame on him.
At the very least Furie managed to bring back the tone of the first film to some extent.
On that, I agree. There really was an attempt to harken back to the original Donner film. There are very well meaning aspects to that film that are quite endearing, and there are a number of scenes that are affecting in some ways. Unfortunately, in the final edit, of which he had no part of, the movie doesn't really coalesce and falls apart, and the special effects do deserve the ignominious reputation they have gotten over the years. People ask why Furie even agreed to make the film, but Richard Lester made SUPERMAN III (1983), and that didn't hurt his status as an auteur, which doesn't seem fair. Why does Lester get a pass and Furie get the shaft? Both have made masterpieces and both have made flops, and both have recognisable styles. -
Sidney J. Furie and Christopher Reeve in SUPERMAN IV: THE QUEST FOR PEACE (1987)
2006年の『スーパーマンII リチャード・ドナーCUT版(原題: SUPERMAN II: THE RICHARD DONNER CUT)』のように、『スーパーマンIV』にももう一度日の目が当たりますように!
『カジノ・ヒート』はアスペクト比「1.33:1」で撮影されており、本来のフューリー監督のスタイルを堪能するには少し物足りませんが、画面構成やキャラクターのブロッキング、そして「間接的」な照明によるセット、背景、そしてキャラクターへの光と影の使い方はさすがです!「ポストプロダクション」で「トーン」を作り上げるチートばかりの今日の映画とは大違いです!
これらをフューリーが得意とする「2.35:1=シネマスコープ」で堪能できる映画が、1991年の『ビバリーヒルズを乗っ取れ!(原題: THE TAKING OF BEVERLY HILLS)』(出演ケン・ウォール、マット・フリューワー、ハーレイ・ジェーン・コザック、ロバート・デヴィ)。
フューリー監督が「シネマスコープ」で撮影した最後の作品です。
Matt Frewer as Officer Ed Kelvin and Ken Wahl as David 'Boomer' Hayes in THE TAKING OF BEVERLY HILLS (1991)
また、1989年の007シリーズ第16作『消されたライセンス(原題: LICENCE TO KILL)』(監督ジョン・グレン、出演ティモシー・ダルトン、キャリー・ローウェル、ロバート・デヴィ、タリサ・ソト、ベニチオ・デル・トロ、アンソニー・ザーブ、ロバート・ブラウン)で黒幕フランツ・サンチェスを演じたロバート・デヴィが、本作でもよく似た悪役を演じていて、こちらもいい感じです。
Robert Davi as Robert 'Bat' Masterson and Harley Jane Kozak as Laura Sage in THE TAKING OF BEVERLY HILLS (1991)
これを可能にしたのが1964年の007シリーズ第3作『ゴールドフィンガー(原題: GOLDFINGER)』(監督ガイ・ハミルトン、出演ショーン・コネリー、出演ショーン・コネリー、オナー・ブラックマン、ゲルト・フレーベ)から、2006年の第21作『カジノ・ロワイヤル(原題: CASINO ROYALE)』(監督マーティン・キャンベル、出演ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、ジェフリー・ライト、ジュディ・デンチ)まで、1997年の第18作『トゥモロー・ネバー・ダイ(原題: TOMORROW NEVER DIES)』(監督ロジャー・スポティスウッド、出演ピアース・ブロスナン、ジョナサン・プライス、ミシェル・ヨー、テリー・ハッチャー、ジョー・ドン・ベイカー、ジュディ・デンチ)を除くシリーズ全ての作品に携わったプロダクション・デザイナーのピーター・ラモント。ジェームズ・キャメロンとも1985年の『エイリアン2(原題: ALIENS)』(出演シガ二―・ウィーバー、マイケル・ビーン、ポール・ライザー、ランス・ヘンリクセン、ビル・パクストン)、1994年の『トゥルー・ライズ』、そして1997年の『タイタニック(原題: TITANIC)』(出演レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、キャシー・ベイツ、フランシス・フィッシャー、バーナード・ヒル、ジョナサン・ハイド、ダニー・ヌッチ、デビッド・ワーナー、ビル・パクストン)で組んでいて、『タイタニック』では「タイタニック号」を忠実に再現し、第70回アカデミー賞で「美術賞」を受賞しています。
約6分におよぶ「オープニング・クレジット」に流れるPeter Blakeleyの『BE THANKFUL FOR WHAT YOU GOT』をはじめ、参加アーティストも豪華!ぼくの大好きなTony! Toni! Toné!の『FEELS GOOD』、ジャネット・ジャクソンの『BLACK CAT』やシーナ・イートンの『WHAT COMES NATURALLY』など総勢16名!名曲ばかりなのに、残念ながらサントラ盤はリリースされませんでした…。
CGではない「本物」のすごさが分かります。こう思える映画、減りましたね…。
『カジノ・ヒート』も『ビバリーヒルズを乗っ取れ!』もインクのような「黒」が美しく、特に前者ほどラスベガスの「空気感」を表現できている映画はほかにありません。ぼくはギャンブルはまったくしないけれど、その「空気感」が大好きで何度もラスベガスに足を運んでいるので…。
どちらも「楽しい作品」に間違いありませんが、出来としては『カジノ・ヒート』の方が上ですね。
「ハリウッド・システム」のすべてを知り尽くしたフューリー監督と豪華俳優陣によるちょうどよいノンストップ・アクション、おすすめです!(1/20/20)
Alex Hyde-White as Jim Ferguson and Fiona Hutchison as Debbie Stephens in BIGGLES (1986)
ジムの部下でとてもうっとうしいキャラクター、チャック・ディンスモアを演じているのはウィリアム・フットキンス。
1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(原題: RAIDERS AND THE LOST ARK)』(監督スティーヴン・スピルバーグ、出演ハリソン・フォード、カレン・アレン、ポール・フリーマン、ロナルド・レイシー、ジョン・リス=デイヴィス、デンホルム・エリオット)では、ナチス・ドイツよりも先に「聖櫃=アーク」を手に入れるようインディに依頼するアメリカ陸軍情報部のイートン少佐を、1989年の『バットマン(原題: BATMAN)』(監督ティム・バートン、出演ジャック・ニコルソン、マイケル・キートン、キム・ベイシンガー、ロバート・ウール、パット・ヒングル、ビリー・ディー・ウィリアムズ、マイケル・ガフ、ジャック・パランス)では汚職に染まった小憎たらしいエクハート警部補を演じていました。
William Hootkins as Chuck Dinsmore in BIGGLES (1986)
ドイツ軍の秘密兵器実験場として使われたのは、ロンドンのイースト・エンドにあった『ベクトン・ガス工場(英語: BECKTON GAS WORKS)』の跡地。
1981年の007シリーズ第12作『007/ユア・アイズ・オンリー(原題: FOR YOUR EYES ONLY)』(監督ジョン・グレン、出演ロジャー・ムーア、キャロル・ブーケ、トポル、リン=ホリ―・ジョンソン、ジュリアン・グローヴァ―)のプレタイトル・シークエンスや、1987年のスタンリー・キューブリック監督作品『フルメタル・ジャケット(原題: FULL METAL JACKET)』(出演マシュー・モディーン、アダム・ボールドウィン、ヴィンセント・ドノフリオ、R・リー・アーメイ、ドリアン・ヘアウッド、アーリス・ハワード、ケビン・メージャー・ハワード、エド・オロス)のロケ地としても有名なところです。
Francesca Gonshow as Marie, Alex Hyde-White as Jim Ferguson, Neil Dickson as James 'Biggles' Bigglesworth, Michael Siberry as Algy, and Daniel Flynn as Ginger in BIGGLES (1986)
ウィリアム・レイモンド中佐を演じたのは、1977年の『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(原題: STAR WARS EPISODE IV: A NEW HOPE)』(監督ジョージ・ルーカス、出演マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、ピーター・カッシング、アレック・ギネス)のターキン総督でも有名な、「マスター・オブ・ホラー」、ピーター・カッシング。
ハマー・フィルム・プロダクション作品におけるマッド・サイエンティストやヴァン・ヘルシングの役で有名ですが、ぼくは『スター・ウォーズ』以外で彼を観るのは本作が初めてでした。
演出によって不気味に見せられているけれど、本作では荒唐無稽なストーリーに品格と説得力を与えるやさしいおじいさんという感じ。
残念ながらこれが彼の遺作となり、長く患っていた前立腺がんにより1994年8月11日に81歳で亡くなられています。
2016年の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(原題: ROGUE ONE: A STAR WARS STORY)』(監督ギャレス・エドワーズ、出演フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、ドニー・イェン、マッツ・ミケルセン、アラン・テュディック、チアン・ウェン、フォレスト・ウィテカー)ではCGIによって復活しています。
Guy Henry as Grand Moff Tarkin in ROGUE ONE: A STAR WARS STORY (2016)
本作のサントラ『BIGGLES THE ORIGINAL MOTION PICTURE SOUND TRACK ALBUM』は最強!
ただ、このサントラは当時リリースされたLPしか存在しないようで、手に入れるのは難しそう…。
A面には『YES』のボーカリスト、ジョン・アンダーソンの歌うオープニング・ソング「Do You Want To Be A Hero」と、「Chocks Away」が収録されています。
さらに『ディープ・パープル』、『モトリー・クルー』、そして『QUEEN』のベーシスト、ジョン・ディーコンが、本作のためだけに結成されたユニット『THE IMMORTALS』名義でエンディング・ソング「No Turning Back」を提供しています。
B面にはスコアを担当したスタニスラス・サイレウィックによる6曲が収録されていて、5曲目「Biggle’s Theme」と、6曲目「Marie’s Theme」は劇中何度も使用されています。
特にシンセピアノの旋律が美しい「Marie’s Theme」はたまりません…。
2016年11月29日、アメリカの「KINO LORBER STUDIO CLASSICS」レーベルから、『ビグルス/時を超えた戦士(原題: BIGGLES: ADVENTURES IN TIME)』のDVDとBlu-rayがリリースされました。
Michael Siberry as Algy, Daniel Flynn as Ginger, James Saxon as Bertie, Fiona Hutchison as Debbie Stephens, Neil Dickson as James 'Biggles' Bigglesworth, and Alex Hyde-White as Jim Ferguson in BIGGLES (1986)
RETROSPECTIVE / REVIEW
メジャー・スタジオによる「サメ映画」としては、おそらく「ユニバーサル・ピクチャーズ」の1987年の『ジョーズ’87 復習篇(原題: JAWS: THE REVENGE)』(監督ジョセフ・サージェント、出演 ロレイン・ゲイリー、ランス・ゲスト、マリオ・ヴァン・ピーブルズ、カレン・ヤング、マイケル・ケイン)以来の作品。
もう20年前の作品なんですね!
1984年にはじまった『エルム街の悪夢(原題: A NIGHTMARE ON ELM STREET)』シリーズは、その後のハリウッド大作の多くを手掛けることになる監督を続々と輩出しました。
1987年の『エルム街の悪夢3 惨劇の館(原題: A NIGHTMARE ON ELM STREET 3: DREAM WARRIORS)』(出演ヘザー・ランゲンカンプ、パトリシア・アークエット、ラリー・フィッシュバーン、プリシラ・ポインター、クレイグ・ワッソン、ロバート・イングランド)のチャック・ラッセルは、1994年の大ヒットコメディ『マスク(原題: THE MASK)』(出演ジム・キャリー、ピーター・リーガート、ピーター・グリーン、エイミー・ヤスベック、リチャード・ジェニ、キャメロン・ディアス)や、1996年のアクション・スリラー『イレイザー(原題: ERASER)』(出演アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェームズ・カーン、ヴァネッサ・ウィリアムズ、ジェームズ・コバーン、ロバート・パストレリ)を監督しました。
また1989年の『エルム街の悪夢5 ザ・ドリームチャイルド(原題: A NIGHTMARE ON ELM STREET 5: THE DREAM CHILD)』(出演ロバート・イングランド、リサ・ウィルコックス)のスティーヴン・ホプキンスは翌年の『プレデター2(原題: PREDATOR 2)』(出演ダニー・グローヴァ―、ゲイリー・ビジー、ルーベン・ブラデス、マリア・コンチータ・アロンゾ、ビル・パクストン、ロバート・ダヴィ)の監督に抜擢され、その後の代表作には1994年のアクション・スリラー『ブローン・アウェイ/復讐の序曲(原題: BLOWN AWAY)』(出演ジェフ・ブリッジス、トミー・リー・ジョーンズ、ロイド・ブリッジス、フォレスト・ウィテカー、スージー・エイミス)や、1998年のSFアクション・アドベンチャー『ロスト・イン・スペース(原題: LOST IN SPACE)』(出演ゲイリー・オールドマン、ウィリアム・ハート、マット・ルブランク、ミミ・ロジャース、ヘザー・グラハム、レイシー・シャベール、ジャック・ジョンソン、ジャレッド・ハレス)などがあります。
本作の監督レニー・ハーリンは、1988年に手掛けた『エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃(原題: A NIGHTMARE ON ELM STREET 4: THE DREAM MASTER)』(出演ロバート・イングランド)が当時シリーズ最高の興行収入を記録し、1990年の『ダイ・ハード2(原題: DIE HARD 2: DIE HARDER)』の監督に抜擢されました。
その後も1993年の『クリフハンガー(原題: CLIFFHANGER)』(出演シルヴェスター・スタローン、ジョン・リスゴー、マイケル・ルーカ―、ジャニーン・ターナー、レオン、ポール・ウィンフィールド、ラルフ・ウィエト)や、1996年の『ロング・キス・グッドナイト(原題: THE LONG KISS GOODNIGHT)』(出演ジーナ・デイヴィス、サミュエル・L・ジャクソン、パトリック・マラハイド、クレイグ・ビアーコ、ブライアン・コックス、デヴィッド・モース)など、1990年代を代表するアクション映画をいくつも手掛けています。
しかし、製作費・宣伝費合わせて1億ドル以上かかった1995年の『カットスロート・アイランド(原題: CUTTHROAT ISLAND)』(出演ジーナ・デイヴィス、マシュー・モディーン、フランク・ランジェラ、モーリー・チェイキン、パトリック・マラハイド、スタン・ショウ)は最終的にその1割強しか回収できず、「もっとも興行赤字が大きい映画」として『ギネス・ワールド・レコーズ(英語: GUINNESS WORLD RECORDS)』にも登録されてしまいました…。
その影響か、翌年の『ロング・キス・グッドナイト』も予想をはるかに下回る結果に…。
そんなハーリンにとって、製作費8,200万ドルの『ディープ・ブルー』は挑戦でした。
オーストラリアで育った脚本家のダンカン・ケネディは、子どものころ家の近くでサメ被害にあった男性の遺体を見ました。
「ほとんど何も残っていなかったよ "There was really not much left of him."」
本作の公開直前、1999年7月26日の『ロサンゼルス・タイムズ(英語: LOS ANGELES TIMES)』の記事『‘Blue Sea’ Hopes to Be Box-Office Big Fish』の中で話しています。
彼はその後、自分の心を読めるサメと通路に閉じ込められる悪夢を見るようになり、それが本作のスペックスクリプトを書くきっかけとなりました。
「どうやって『ジョーズ』と被らないようにするかが、『サメ映画』を作る上での課題なんだ "The problem with approaching a shark movie is how do you do it without repeating Jaws?"」
『READING EAGLE』紙のIain Blairが書いた1999年7月31日の『'Deep Blue Sea' strives for old-fashioned horror』によると、本作へのハーリンの目標は、「皮肉」や「ジョーク」の要素が強くなった「ホラー」というジャンルを、1973年の『エクソシスト(原題: THE EXORCIST)』(監督ウィリアム・フリードキン、出演エレン・バースティン、マックス・フォン・シド―、リー・J・コッブ、キティ・ウィン、ジャック・マッゴーラン、ジェイソン・ミラー、リンダ・ブレア)、1975年の『ジョーズ(原題: JAWS)』(監督・スティーヴン・スピルバーグ、出演ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ、リチャード・ドレイファス、ロレイン・ゲイリー、マーレイ・ハミルトン)や、1980年の『シャイニング(原題: THE SHINING)』(監督スタンリー・キューブリック、出演ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、スキャットマン・クローザース、ダニー・ロイド)のような、シリアスで質の高いものに戻すことでした。
観客を驚かせたかったハーリンは1979年のリドリー・スコット監督作品『エイリアン(原題: ALIEN)』から手がかりを得ました。
本作DVDの「コメンタリー」の中で説明しています。
「ほとんどが無名の俳優で、ぼくらが知っているのはトム・スケリットだけだった。彼は船長で、物事が悪化した時ぼくらは彼に頼っていた。(中略)きっと安全な方へ導いてくれるとね。でも彼は映画の途中でいなくなってしまうんだ。すごくショックで、何を信じるべきか分からなくなってしまった。 “Most of the cast is unknown, and the only person we really recognize is Tom Skerritt. He was the captain, and when things start going wrong, we relied on him ... he’s going to lead us to safety. And then halfway through the movie, he gets taken away, and it’s a shock and you don’t know what to trust.”」
ハーリンは早い段階でサミュエル・L・ジャクソンをキャスティングしています。
映画の途中で殺してしまうことが目的で、あとにはほぼ無名の俳優たちだけが残されることになります。
「力強くて頭もよく、グループの中で1番年上の(ラッセル・フランクリン)役にジャクソンをキャスティングしたんだ。観客はみんな、彼がこの映画のスターだと考えるだろう。みんな彼がなんとかしてくれると思うし、そうして欲しいと願う、最後まで生き残るだろうとね “We cast Sam in this part where he’s very powerful, very smart, he’s the oldest of the group. You really think, he’s a movie star. He’s going to take care of business, he’s the one we can rely on, he’s going to be saved,”」
さらに意図的に、フランクリンのスピーチを長く、陳腐なものにしました。
「観客は呻きながら『おい頼むよ、大げさな』って言うだろうってわかってた。でも驚かせるためには大げさでなければだめだったんだ。少し不快に感じて、座席で身をよじりながら、『作ったやつらはバカだ。こんなの誰が信じると思ってんだ』と思わせなければならなかった。ちょっとやりすぎたけどね。でも、あの場面で観客が予測していた映画の行く末をすべて取り払ってしまったことで、観客を釘づけにさせることができた。 “I knew the audience would be groaning and saying ‘Oh, come on, this is pompous,' but it had to be pompous for the surprise to work. It had to take you to a place where you get a little uncomfortable and start squirming in your seat, and saying, ‘Oh, these filmmakers are stupid, they think we’re going to buy this whole story.' It’s just a little too much. And just when we get to that place, we’re going to take everything away that you believe, and everything that you thought was going to happen in this film, and then you have the audience hooked.”」
Samuel L. Jackson as Russell Franklin in DEEP BLUE SEA (1999)
アメリカのNBCのトークショー『The Tonight Show Starring Jimmy Fallon』(2019年1月14日)に招かれたジャクソンは、自身が演じたお気に入りのキャラクターとして、ハーリンとの最初のコラボレーションである『ロング・キス・グッドナイト』の私立探偵ミッチ・ヘネシーを挙げています。
自身がプロデュースもした2007年の「ビデオ・スルー(英語: direct-to-video)」作品『ザ・クリーナー 消された殺人(原題: CLEANER)』(出演サミュエル・L・ジャクソン、エド・ハリス、エヴァ・メンデス、ルイス・ガスマン、ホセ・パブロ・カンティージョ、ロバート・フォスター)でも再びコラボしていて、ハーリンは彼のお気に入りの監督なのかもしれません。
『ディープ・ブルー』の撮影は、1998年8月3日、メキシコはロサリトにある「フォックス・バハ・スタジオ(英語: FOX BAJA STUDIOS)」ではじまりました。
セットのいくつかは必要に応じて水没させられるよう設計され、1997年のジェームズ・キャメロン監督作品『タイタニック(原題: TITANIC)』(出演レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット、ビリー・ゼイン、フランシス・フィッシャー、バーナード・ヒル、ジョナサン・ハイド、ダニー・ヌッチ、デビッド・ワーナー、ビル・パクストン)のために建造された巨大なタンクの上に作られました。
スーザンの研究室、クルー部屋、オフィスやエレベーターシャフトなどのセットも、魚の入った水槽を窓に見立て、同じスタジオの4つのサウンドステージに作られています。
DEEP BLUE SEA (1999)
本作の巨大なアオザメはCGとアニマトロニクスで作られています。
「本作へのぼくのアプローチは、もうサメを隠さないということだった “My whole approach to this movie was, no more hiding sharks,”」
本作DVDのために制作された「特典映像」の中でハーリンが話しています。
「本作ではみんな本当にサメを見ることになる。みんな、『ディスカバリー・チャンネル』でサメがどんな見た目かを知っている。ぼくらのサメも信じられるものでなければならなかったんだ “This time you’re going to really see them. That’s a challenge. We’ve seen sharks on the Discovery Channel. We know what they look like, so our sharks had to be totally convincing.”」
1993年の『フリー・ウィリー(原題: FREE WILLY)』(監督サイモン・ウィンサー、出演ジェイソン・ジェームズ・リクター、ロリ・ペティ、ジェイン・アトキンソン、オーガスト・シェレンバーグ、マイケル・アイアンサイド)の主人公シャチのウィリーや、1997年の『アナコンダ(原題: ANACONDA)』(監督ルイス・ロッサ、出演ジェニファー・ロペス、アイス・キューブ、ジョン・ヴォイト、エリック・ストルツ、ジョナサン・ハイド、オーウェン・ウィルソン)で表題の大蛇を制作したウォルト・コンティの率いる覚効果チームは、本作に登場するアニマトロニクスのサメの制作に8ヶ月を掛けました。
本作の「プロダクション・ノート」のコンティの言葉です。
「一番重要なのはサメの力強さを取り入れることだった。ゆっくりと泳ぎ回っているかと思うと、突然信じられないようなエネルギーで泳ぎ去る。ほとんどの場合、無気力にも見える。ぼくたちの最大の課題は、突進する時のスピードとエネルギーを再現することだった。それに、サメのアゴは実際には頭蓋骨よりも浮いていて、特殊な動きをする。ぼくの知る限り、ぼくらは表情豊かなサメのアゴを完璧に再現した最初のアニマトロにクス・チームだね。“They're always cruising kind of slowly, then they snap and just go with this incredible burst of energy. In that way, most of the time, sharks are somewhat lethargic. So probably our biggest challenge was replicating that speed and energy for those lunges. Also, sharks' jaws actually float in their skulls, giving them a specific kind of motion. As far as I know, we're the first animatronics team to totally mimic the multifaceted jaw of the shark.”」
Michael Rapaport as Tom Scoggins in DEEP BLUE SEA (1999)
ジム・ウィットロックを演じたステラン・スカルスガルドも、DVD「特典映像」の中で話しています。
「はじめてアニマトロニクスのサメを見た時には本物だと思ったよ “The first time I saw one of those animatronic sharks, I thought it was a real one,”」
Stellan Skarsgård as Dr. Jim Whitlock in DEEP BLUE SEA (1999)
映画の冒頭でイタチザメが咥えてていたナンバープレートは、『ジョーズ』の前半、捕えたイタチザメの胃から取り出されたナンバープレートと同じものです。
これについてハーリンは、
「偉大なマスター、スピルバーグに敬意を表したんだ “a little nod to the grand master, Spielberg.”」
と話しています。
さらに本作に登場する3匹のサメは、『ジョーズ』、1978年の『ジョーズ2(原題: JAWS 2)』(監督ヤノット・シュワルツ、出演ロイ・シャイダー、ロレイン・ゲイリー、マーレイ・ハミルトン)、そして1983年の『ジョーズ3(原題: JAWS 3-D)』(監督ジョー・アルべス、出演デニス・クエイド、べス・アームストロング、サイモン・マッコーキンデール、ルイス・ゴセット・ジュニア)のラストと同じ「方法」と「順番」で倒されていて、ここにも本作の制作者たちの『ジョーズ』シリーズへのリスペクトを感じます。
アメリカのエンターテインメント情報を紹介する雑誌『Entertainment Weekly』のインタビューで、「サメの番人」カーター・ブレイクを演じたトーマス・ジェーンがこの時のことについて答えています。
「初日はシャークケージの中に入ってたんだ。でも次の日、ぼくは深度9メートルまで連れて行かれた。(中略)それから誰かがぼくからレギュレーターを取り上げて、海には血や内臓が漂ってた。(中略)あまりにも怖かったから、思い出したくもないよ "The first day, I was in a cage, but the next day, they swam me 30 feet down ... Then this guy yanks the breather off me and the water's churning with blood and guts and stuff ... It was so terrifying that I don't want to remember it."」
Saffron Burrows as Dr. Susan McAlester and Thomas Jane as Carter Blake in DEEP BLUE SEA (1999)
逆にLL・クール・Jが演じたプリーチャーは本来死ぬことになっていました。
ハーリンが『READING EAGLE』紙で明らかにしています。
「本当は映画のかなり早い段階でサメのエサになっていたんだ。でもとてもよいキャラクターだったから残すことにしたんだよ。 “He was originally going to be shark meat quite early on, but he was so good we kept him around.”」
LL Cool J as Sherman "Preacher" Dudley DEEP BLUE SEA (1999)
Ronny Cox as Franklin's Boss (uncredited) in DEEP BLUE SEA (1999)
セリフも1つもないのではじめて観た時には「?」だったのですが、ポール・ヴァーホーヴェン監督の1987年の『ロボコップ(原題: ROBOCOP)』(出演ピーター・ウェラー、ナンシー・アレン、ダニエル・オハーリー、ロニー・コックス、カートウッド・スミス、ミゲル・フェラー)や、1990年の『トータル・リコール(原題: TOTAL RECALL)』(出演アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド、ロニー・コックス)で強烈な「悪役」を演じていたロニー・コックスなんですねー。
Ronny Cox as Dick Jones in ROBOCOP (1987)
本作の音楽はトレヴァー・ラビン。
アメリカのレーベル「VARESE SARABANDE RECORDS」からリリースされた公式の『DEEP BLUE SEA ORIGINAL MOTION PICTURE SCORE』は、収録時間が29:58と、映画で使用された楽曲の多くが収録されていない、いかにも90年代のサントラといっただいぶ物足りないものでした…。
2013年には「CIMMERIAN RECORDS」という謎のレーベルから非公式で2枚組の『DEEP BLUE SEA COMPLETE MOTION PICTURE SCORE』がリリースされていて、オーケストラ、コーラスやシンセサイザーを駆使したラビンの楽曲がほぼすべて収録されています。
ラビンは以前、ハンス・ジマ―の映画音楽プロダクション『Remote Control Productions, Inc.』とも仕事をしていて、ジェリー・ブラッカイマー製作の1997年の『コン・エアー(原題: CON AIR)』(監督サイモン・ウェスト、出演ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ジョン・マルコヴィッチ、スティーヴ・ブシェミ、ヴィング・レイムス、コルム・ミーニイ、ミケルティ・ウィリアムソン、レイチェル・ティコティン、ダニー・トレホ、モニカ・ポッター)や、1998年の『アルマゲドン(原題: ARMAGEDDON)』(監督マイケル・ベイ、出演ブルース・ウィリス、ビリー・ボブ・ソーントン、リヴ・タイラー、ウィル・パットン、ピーター・ストーメア、キース・デイヴィッド、スティーヴ・ブシェミ)なども手掛けています。
2枚目の14曲目「KILL BIG SHARK」は、プリーチャーが銛でサメを撃つクライマックスに使用されている楽曲で、誰にでも入りやすいものですが、エレキギターの奏でるメロディなどは他の作品と同じすぎてもうお腹いっぱいな感じ…。
2018年4月17日、『ディープ・ブルー2(原題: DEEP BLUE SEA 2)』がビデオ・スルーでリリースされました。
「これは本当の続編なんだ。『ディープ・ブルー』の魂と、ファンが愛して止まないその魅力を引き継いでいる。『ディープ・ブルー2』におけるサメの研究も、前作で語られたサメの俗説や、前作のストーリーから来ているんだ。リーダー格のサメには個性を持たせていて、これは本作のストーリーには欠かせないものだから、ファンが喜んでくれると嬉しいね。出だしは少しゆっくりしているけれど、ゴムが外れた瞬間、ストーリーは一気に加速するよ! "We are a true sequel. We wanted to keep to the spirit of Deep Blue Sea and why people love it. The research that was used on the sharks in Deep Blue Sea 2 comes from the mythology and story line of the first movie. We have given the lead shark a personality and hope the fans will embrace that as it really helps the story telling and the narrative in a way that first one didn’t. Deep Blue Sea 2 has a slightly slower build but once the rubber band snaps things go boom really quickly!"」
Danielle Savre as Dr. Misty Calhoun and Rob Mayes as Trent Slater in DEEP BLUE SEA 2 (2018)
低予算なのは分かるけれど、青、赤、緑の照明で、同じセットを使い回していることをごまかしているのがバレバレ…。
低予算だからこそ70年代の数々の作品のようにストーリーや見せ方を「工夫」するべきなのに…。
出演している俳優さんたちもあまりに無名すぎて、前作でサミュエル・L・ジャクソンがサメにやられてしまったあとのようなサスペンスはありません…。
それ自体が007のパクりみたいな「オープニング・クレジット」では、サム・スミスが歌った2015年の『スペクター(原題: SPECTRE)』(監督サム・メンデス、出演ダニエル・クレイグ、クリストフ・ヴァルツ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、ナオミ・ハリス、デイヴィッド・バウティスタ、アンドリュー・スコット、モニカ・ベルッチ、レイフ・ファインズ)のオープニング・ソング、「ライティングズ・オン・ザ・ウォール(原題: Writing’s On The Wall)」もどきの「Into The Blue」を聴くことができます。
作詞・歌ともに『2』の音楽を担当したショーン・マーレイ。
なんだこれ?
なんちゃってクリス・ヘムズワースやなんちゃってデイモン・ウェイアンズも出演してます…。
Michael Beach as Carl Durant, Kim Syster as Leslie Kim, Adrian Collins as Mike Shutello, Danielle Savre as Dr. Misty Calhoun, Nathan Lynn as Aaron Ellroy, Cameron Robertson as Josh Hooper, Jeremy Jess Boado as Daniel Kim, and Rob Mayes as Trent Slater in DEEP BLUE SEA 2 (2018)
当時のことについて、ハーリンがイギリスベースのウェブサイト『DEN OF GEEK』の記者、Luke Savageのインタビューに答えています。
以下は2009年5月27日の記事『Renny Harlin interview: 12 Rounds, Die Hard, and the Alien 3 that never was』からの抜粋になります。
Thinking back over your career, you were attached to over Alien 3 for over a year. Can you tell us what happened there?
I had done Nightmare On Elm Street 4, which just completely changed my life. All of a sudden I was meeting with Spielberg and meeting with the studios, and trying to figure out what I wanted to do next. And when the idea of Alien 3 came to me I felt that it was an incredible honour. I felt like Ridley Scott had made a masterpiece with Alien. Jim Cameron had made a masterpiece with Aliens. And I felt, okay if I can take it to another level, then maybe I have a chance of making a masterpiece as well. And so I eagerly took the challenge, and I had offices on the Fox lot and I felt very excited. But then, as were developing the script, opinions between the studio and I were completely different. They basically wanted to make a movie that was just like Aliens – same kind of guns, just different place.
And they, for some reason, had this idea that they wanted it to take place on a big prison ship. And I didn’t get it. I said, “who cares about a prison ship?”. The whole basic idea of the Alien movies is that in the first one, it is a bunch of blue collar guys and women who could be truck drivers. It’s totally relatable.
And in the second one, it’s a war movie, and it’s these soldiers with Ripley going to battle these aliens, and there’s this little girl who represents humanity there. So again, very relatable. But if you do Aliens in prison, it’s like “who cares about the prisoners, let them die”.
What was it you wanted to do?
My first concept was we go to the planet where the aliens come from, with Ripley and a team of scientists and soldiers, and we find out what they really are. Are they evil, horrible killing machines who are taking over the world? Or are they just animals with a survival mechanism? That’s one way that I wanted to do the movie.
Second way, I said “aliens come to Earth”. I pitched this idea where we are in a Kansas cornfield, and you just see these things going through the cornfield and you just realise the aliens have come to Earth. I said “just show the poster to the audience – it’s the biggest movie ever”. And they were like, “nah we don’t think so, it should just be outer space”.
So for about a year we just went back and forth with these ideas and finally when we had this script of a prison ship and aliens, I said “I’m sorry, I can’t do this”. And it was a very crazy and scary thing to do. I was 29 years old, I was dealing with a huge studio, which was my dream, and I quit. But I went on to make other movies with Fox, and David Fincher ended up doing Alien 3, and of course he’s now doing fantastic. But not necessarily because of Alien 3. -
STORY
水上スキーのチームを追いかけながら、ホオジロザメは閉まりかけていたゲートを抜けてフロリダ州オーランドにあるテーマパーク『シーワールド』に侵入した。
同じころ、フロリダ州はパーク内に新しくオープンする「海中トンネル」の発表会を開いていた。
パークの主任海洋学者キャスリン・”ケイ”・モーガン(べス・アームストロング)とそのアシスタントたちは、パークのイルカ、シンディとサンディが自分たちのプールから離れるのを怖がっているのに気づく。
『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの復讐(原題: STAR WARS EPISODE VI: RETURN OF THE JEDI)』(監督リチャード・マーカンド、出演マーク・ハミル、ハリソン・フォード、キャリー・フィッシャー、ビリー・ディー・ウィリアムズ、アンソニー・ダニエルズ、デヴィッド・プラウズ、ケニー・ベイカー、ピーター・メイヒュー、フランク・オズ)や、『スーパーマンIII/電子の要塞(原題: SUPERMAN III)』(監督リチャード・レスター、出演クリストファー・リーヴ、リチャード・プライア―、ジャッキー・クーパー、マーク・マクルアー、アネット・オトゥール、アニー・ロス、パメラ・スティーヴンソン、ロバート・ヴォーン、マーゴット・キダー)など、1970年代に生まれたほかの人気シリーズの「3作目」とも上映時期が重なっています。
めちゃくちゃ楽しい年だったんだなー…。
"HOLLYWOOD PACIFIC THEATRE", located at 6433 Hollywood Blvd., Hollywood, Los Angeles, California, in 1983
第4回ゴールデンラズベリー賞でも、「ユニバーサル・ピクチャーズ」が最低作品賞、前年の第55回アカデミー賞では、『愛と青春の旅立ち(原題: AN OFFICER AND A GENTLEMMAN)』(監督テイラー・ハックフォード、出演リチャード・ギア、デブラ・ウィンが―、デヴィッド・キース、ルイス・ゴセット・ジュニア)でアフリカ系アメリカ人として史上初の最優秀助演男優賞を受賞したルイス・ゴセット・ジュニアも最低助演男優賞を、ジョー・アルべスは最低監督賞、リチャード・マシスンが最低脚本賞、イルカのシンディとサンディが最低新人賞と、計5部門でノミネートされてしまいました…。
David Brown and Richard D. Zanuck in JAWS 2 (1978)
そこでもう一度「人間VSサメ」の映画を作るのではなく、まったく違う映画を作ることを考えます。
1980年のコメディ映画『フライングハイ(原題: AIRPLANE!)』(監督ジム・エイブラハムズ、デイヴィッド・ザッカ―、ジェリー・ザッカ―、出演ロバート・ヘイズ、ジュリー・ハガティ) の大ヒットを受け、2人はそこに可能性を見出しました。
3作目を、『JAWS 3, PEOPLE 0』という「パロディ映画」にすることにしたのです。
2人は製作総指揮にまわり、1978年のコメディ『アニマル・ハウス(原題: NATIONAL LAMPOON’S ANIMAL HOUSE)』(監督ジョン・ランディス、出演ジョン・ベルーシ、ティム・マシスン、ジョン・ヴァ―ノン、ヴァーナ・ブルーム、トーマス・ハルス、ドナルド・サザーランド)を成功させたばかりのマッティ・シモンズをプロデューサーとして招きました。
シモンズが自らストーリーのアウトラインを書き、『ナショナル・ランプーン(英語: NATIONAL LAMPOON)』チームのジョン・ヒューズとトッド・キャロルに脚本執筆を託します。
この時『JAWS 0, PEOPLE 3』 の監督には、「低予算の帝王」ロジャー・コーマンのもとで、『ジョーズ』を下敷きにした1978年のホラーコメディ『ピラニア(原題: PIRANHA)』(出演ブラッドフォード・ディルマン、ヘザー・メンジース、ケヴィン・マッカーシー、キーナン・ウィン、バーバラ・スティール、ディック・ミラー、べリンダ・バラスキー)を撮ったジョー・ダンテが選ばれていました。
映画やエンタメ業界のニュースを発信しているアメリカのウェブサイト『BIRTH.MOVIES.DEATH』の記者、Devlin Faraciによる2013年6月14日の記事『How JAWS 3D Was Almost JAWS 3, PEOPLE 0』によると、この時書かれた『JAWS 3, PEOPLE0』は、「『ジョーズ3』を作ろうとする撮影隊がホオジロザメに襲われ、しかもそのサメが実はエイリアンだった」という「内輪ネタ」でした。
物語は『ジョーズ』の原作者ピーター・ベンチリーが、自宅のプールでサメに食べられてしまうシーンからはじまります。
スピルバーグのために書かれたシーンもあり、もし彼が出演を断った場合にはソックリさんを用意する予定でした。
第1作『ジョーズ』のビーチパーティのパロディシーンでパーティをしているのはハリウッドの重役たちで、捕えたサメの腹を開くと中からはバイオリン、コートや大麻などが大量に出てきます。
『ジョーズ』の舞台、アミティの議員たちがビーチの閉鎖を反対していたように、死者が出ているにもかかわらず、『JAWS 3, PEOPLE 0』ではハリウッドの重役たちが映画製作の中止に反対します。
クライマックスはなぜか真剣なトーンになり、主役とヒロインがサメを倒すまで戦いを続け、その様子が撮影されます。
重役たちは当然のごとく罰を受け、『ジョーズ3』が劇場公開されます。
最後に『ジョーズ4』の予告があって、おしまい。
しかし「ユニバーサル・スタジオ」側は「正統な続編」を作るべきと考え、『JAWS 3, PEOPLE 0』が実現することはありませんでした。
それにしてもすごいメンバーがそろってたんだな…。
最終的に『ジョーズ3D』を監督をつとめたのはジョー・アルべス。
前2作でプロダクション・デザイナーをつとめ、『2』では第2班監督も務めています。
当初『2』で監督をつとめていたジョン・D・ハンコックが解雇され、ヤノット・シュワルツ監督が起用されるまでのあいだ、『1』で編集を担当したヴァーナ・フィールズとの共同監督を依頼されたこともあったそうです。
アルべスは1977年のスティーヴン・スピルバーグ監督作品『未知との遭遇(原題: CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND)』(出演リチャード・ドレイファス、テリー・ガ―、メリンダ・ディロン、フランソワ・トリュフォー)で第50回アカデミー賞のベスト・アート・ディレクション賞にノミネートされ、第32回英国アカデミー賞(BAFTA)ではベスト・アート・ディレクション賞を受賞しています。
ニューヨーク出身の映画研究者兼歴史家、Tom Weaverの著書『Science Fiction Stars And Horror Heroes: Interviews with Actors, Directors, Producers and Writers of the 1940s Through 1960s』の中で、 マシスンが本作についての質問に答えています。
マシスンは本作のために「面白い“very interesting”」アウトラインを執筆しました。しかし最終的なストーリーには「別の脚本家 “some other writer”」のものが採用されていました。「ユニバーサル」からの前作までの主人公ブロディの2人の息子を登場させてほしいという要求には、「バカげたアイデアだと思った “thought was dumb.”」そうです。
さらに「ユニバーサル」は『2』で感電死したはずのサメを登場させたがったとか…。
完成した映画について、マシスンは同じ本の中で次のように話しています。
「ぼくはよいストーリーテラーだし、よいアウトラインと脚本を書いた。もし製作者たちが正しい方法で作り、監督術を知っている人間が監督していれば、きっとよい映画になっていたと思う。『ジョーズ3D』はジョー・アルべスが監督した唯一の作品だった。プロダクション・デザイナーとしてはとても優秀だけど、監督としてはまったくだ。3Dは映画をぼんやりとさせただけで – まったく効果的じゃなかった。時間のムダだったよ “I’m a good storyteller and I wrote a good outline and a good script. And if they had done it right and if it had been directed by somebody who knew how to direct, I think it would have been excellent movie. Jaws 3-D was the only thing Joe Alves ever directed; the man is a very skilled production designer, but as a director, no. And the so-called 3-D just made the film look murky – it had no effect whatsoever. It was a waste of time.”」
本作には、前2作に出演した俳優は1人も出ていません。
ロイ・シャイダーは、2002年に出版されたDiane C. Kachmarによる『Roy Scheider: a film biography』の中で、『ジョーズ3D』について聞かれると笑って答えています。
「悪魔でさえ(中略)ぼくに出演しろとは言えなかったさ。(中略)彼らは聞くまでもないとよく分かっていたよ “Mephistopheles ... couldn't talk me into doing [it] ... They knew better than to even ask.”」
『ジョーズ3D』への出演を確実に不可能にするため、シャイダーは1983年のジョン・バダム監督によるアクション・スリラー『ブルーサンダー(原題: BLUE THUNDER)』(出演ロイ・シャイダー、ウォーレン・オーツ、キャンディ・クラーク、ダニエル・スターン、マルコム・マクダウェル)への出演契約を結びました。
すばらしい選択です!
]]>JAWS: THE REVENGE (1987)http://team.exblog.jp/30635504/2019-12-21T17:48:00+09:002020-06-18T14:16:40+09:002019-12-19T01:47:34+09:002moon1movie reviews
STORY
アメリカの東海岸に位置する海辺の田舎町・アミティ。かつて巨大ザメを倒した夫のマーティン・ブロディが心臓発作でこの世を去り、未亡人となったエレン・ブロディ(ロレイン・ゲイリー)。次男のショーン(ミッチェル・アンダーソン)は、アミティ警察署で保安官となり、エレンと2人で平和な毎日を送っていた。
1990年1月5日、本作が日本テレビ系列(NNN)の『金曜ロードショー』にテレビ初登場した際、番組冒頭で水野晴郎さんが「スチーブン・スピルバーグが『海に向かってマシンガンを撃つような面白さ』と言っているんですね~」と話していたのをずっと覚えていて、『MEG ザ・モンスター(原題: THE MEG)』(監督ジョン・タートルトーブ、出演ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ、ウィンストン・チャオ、クリフ・カーティス)のレビューで本作に触れたのをきっかけに、「本当にスピルバーグが本作に対してそんなことを言ったのか?」という、30年来の疑問について初めて調べてみました。
監督は、1998年に『サブウェイ・パニック 1:23PM(原題: THE TAKING OF PELHAM ONE TWO THREE)』(監督フェリックス・エンリケス・アルカラ、出演エドワード・ジェームズ・オルモス、ヴィンセント・ドノフリオ、ドニ―・ウォールバーグ、リチャード・シフ、ロレイン・ブラッコ)、2009年には『サブウェイ123 激突(原題: THE TAKING OF PELHAM 123)』(監督ト二―・スコット、出演デンゼル・ワシントン、ジョン・トラボルタ、ジョン・タトゥーロ、ジェームズ・ガンドルフィーニ)と、2度にわたってリメイクされている1974年の傑作『サブウェイ・パニック(原題: THE TAKING OF PELHAM ONE TWO THREE)』(出演ウォルター・マッソー、ロバート・ショウ、マーティン・バルサム、ヘクター・エリゾンド)を代表作に持つジョセフ・サージェント。
出演は、1975年の第1作『ジョーズ(原題: JAWS)』(以下『1』)(監督・スティーヴン・スピルバーグ、出演ロイ・シャイダー、ロバート・ショウ、リチャード・ドレイファス、ロレイン・ゲイリー、マーレイ・ハミルトン)と、1978年の第2作『ジョーズ2(原題: JAWS 2)』(以下『2』)(監督ヤノット・シュワルツ、出演ロイ・シャイダー、ロレイン・ゲイリー、マーレイ・ハミルトン)にも出演していたロレイン・ゲイリー。
共演は、本作のような、よくわからない映画にもたくさん出演しているマイケル・ケイン。
彼は1986年のウディ・アレン監督作品『ハンナとその姉妹(原題: HANNAH AND HER SISTERS)』(出演ウディ・アレン、マイケル・ケイン、ミア・フォロー、キャリー・フィッシャー、バーバラ・ハーシー、ロイド・ノーラン、モーリン・オサリヴァン、ダニエル・スターン、ダニエル・スターン、マックス・フォン・シド―、ダイアン・ウィ―スト)で、第59回アカデミー助演男優賞を受賞しましたが、本作の撮影でバハマに滞在中だったため、授賞式には出られませんでした。
『ロサンゼルス・タイムズ(英語: LOS ANGELES TIMES)』の記者、Donna Rosenthalによる1987年2月8日の記事『’JAWS 4’: THE SMELL OF MONEY』は、撮影7日目に、劇中「アミティ・アイランド」として描かれる、アメリカ・マサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤード島にて書かれたもので、撮影の合間にスタッフ・キャストへのインタビューを行い、本作のそれまでの、すでにかなりハチャメチャだった制作状況を伝えています。以下はこの記事をベースに構成したものです。
本作のアソシエイト・プロデューサー兼プロダクション・マネージャー、フランク・バウアーはその状況を「プロダクション・マネージャーとしての35年間の中でも、計画から実行までが最も早かったメジャー・スタジオ作品だ」と話し、本作ではプロデューサーも務めるサージェント監督も、「カウントダウンの始まった爆弾が爆発するのを待っているようだ。シド・シャインバーグ(『ユニバーサル・ピクチャーズ』の親会社だった『MCA=MUSIC CORPORATION OF AMERICA)』の当時の社長)は奇跡を期待してるんだ – そしてぼくらがそれを起こす。でも彼の言う7月3日は、確実にみんなをおかしくしているね “a ticking bomb waiting to go off. Sid Sheinberg (president of MCA Inc., parent company of Universal Pictures) expects a miracle--and we’re going to make it happen, but meeting Sheinberg’s July 3 deadline is sure to “drive everybody mad.”」と話しています。
この記事を書いたDonna Rosenthalは、1986年に「ユニバーサル・ピクチャーズ」が配給したジョージ・ルーカス製作総指揮による『ハワード・ザ・ダック/暗黒魔王の陰謀(原題:HOWARD THE DUCK)』(監督ウィラード・ハイク、出演エド・ゲイル、チップ・ジーン、リー・トンプソン、ジェフリー・ジョーンズ、チム・ロビンス)や、アイヴァン・ライトマン監督の『夜霧のマンハッタン(原題: LEGAL EAGLES)』(出演ロバート・レッドフォード、デブラ・ウィンガー、ダリル・ハンナ、ブライアン・デネヒー、テレンス・スタンプ、スティーヴン・ヒル)などの興行的な失敗のあと、さらに製作費のかかる『ジョーズ』の続編制作はリスクが高いのではないかと推測しています。
この点についてシャインバーグは、「『ジョーズ』シリーズの最新作を完成させるためには、わたし自身が全責任を負うしか方法はなかった。わたしは『ジョーズ』をはやく、そしてうまく作れる人間を知っていて、参加してもらった。とても型破りな方法で進めたんだ “The only way to get another ‘Jaws’ done was to take direct responsibility myself. I got the kind of people I knew could work fast and well with the ‘Jaws’ premise. It was done in a very unconventional manner.”」と答えています。
また、本作への自信も見せています。「この作品は、これまでの『ジョーズ』作品以上に人間に焦点を当てている。質の高い物語と映像は、観客に笑いと涙、そして恐怖を与えてくれるだろう。わたしたちはこの作品が興行的な成功を収めると期待している “This is a more human story, he said, than any of the previous “Jaws” films. “The script and the picture should make you laugh and cry and give you a few good scares in between because of its quality. We have very high expectations for its commercial success.”」
シャインバーグの妻で、『1』と『2』にも出演していたロレイン・ゲイリーは、シャインバーグからはじめて本作の話を聞かされた時のことを「からかわれているんだと思ったわ “I thought he was teasing me.”」と、撮影の合間、チャパキディック・フェリーの上で話しています。
「彼は本気だったの。この映画は来年の夏のブロックバスターになるかもしれないけれど、動かせない締め切りがあるし、機械的、そして天候の問題も起こるかもしれない。でも脚本は、『1』や『2』よりもよくできているわ “He wasn’t, and because the film has such potential to make money for the summer, the picture is facing a genuine deadline and the potential of problems of hardware and weather. But the script is in much better shape” than it was with “Jaws” and “Jaws 2.”」
「ベトナム帰還兵のように、ぼくも家に戻ることができたし、『ジョーズ’87』を読みはじめるまでは、1974年についてなんとか思い出さずにいられました。でも、18ページまで読んだ時、大西洋に向かってリボルバーが空になるまで撃っている自分がいました。(初期の脚本には、エレン・ブロディが同じように、亡き夫のリボルバーを海に向かって撃っているシーンがあったようです。)思い出がよみがえってきて、それ以上はとても読み進めることはできませんでした。 “Like the Vietnam vet, I came home too and managed never to think about the year 1974, until I started reading ‘Jaws: The Revenge.’ Got to Page 18 and found myself holding that service revolver and discharging it until empty into the Atlantic Ocean (in one scene in the new film, Gary empties her late husband’s service revolver in similar fashion). I just couldn’t go on reading because it brought back so many memories.
ジョセフ・サージェント、頑張ってください。撮影の待ち時間に読むためのジョン・コンラッド(海洋文学で知られているイギリスの作家)作品をたくさん持って行くように。 “Good luck, Joseph Sargent. Bring a lot of Joseph Conrad to read while you’re waiting for the next shoot.
愛する人たちに、こまめに電話すること。 “Call home often to talk to people you love.
とめどない同情と、右目のウィンクを2回こめて、(サイン)スティーヴン “With tremendous sympathy and two winks of my right eye, (signed) Steven.”」
Steven Spielberg in JAWS (1975)
サージェントは、本作に使用される機械仕掛けのサメ、ブルースについて次のように話しています。
「これまでのシリーズから多くを学んだよ。でも今回は次世代のブルースだ。私たちのものはもっと大きくて柔軟性があり、見た目ももっとリアルなんだ “We’ve learned a lot from ‘Jaws 1,’ ‘2' and even ‘3-D.’ But this is the new generation Bruce"--as the mechanical shark is called, after Spielberg’s attorney, Bruce Ramer. “Ours is bigger, more flexible and more realistic looking.”」
ホオジロザメ研究の第一人者であり、サンフランシスコにある「スタインハート水族館(英語: STEINHART AQUARIUM)」のディレクターでもあるJohn McCoskerも、コンサルタントとして撮影に参加しています。
スピルバーグの『世にも不思議なアメージング・ストーリー(原題: AMAZING STORIES)』などを手掛けた脚本家マイケル・デ・ガズマンにとって、『ジョーズ’87』は初めての長編映画でした。「『ユニバーサル・ピクチャーズ』は準備段階に数億ドルをかけ、サメの制作や、契約の締結、特殊効果の職人たちを信用して雇っていたんだ。まだ存在してもいなかったストーリーを信じてそれだけの予算を使ったんだよ “Universal spent millions in pre-production, building sharks, giving contracts, hiring special-effects people on faith. They spent all that money and had trust on a story that didn’t even exist.
『1』と『2』で主人公マーティン・ブロディを演じたロイ・シャイダーは、電話でのインタビューに応じています。『ジョーズ’87』への出演を断った理由について、「ぼくらは『ジョーズ』を1度やったし、それも正しい方法でやった “we did ‘Jaws’ once and we did it right.”」と答えています。また『2』への出演については、「ぼくも知らなかった契約上の義務があって、やらなければならなかった。でも今はこれ以上『ジョーズ』をやる理由はない。もしやれば、残りの人生を『ジョーズ』に費やすことになるだろうね。どうやら『ユニバーサル』は彼らが死ぬまで『ジョーズ』を作り続けるようだから。ぼくは ダンスに参加するつもりはないよ “contractual obligation that I didn’t know I had. I had to do it. Now I don’t have to do ‘Jaws’ anymore. If I’d choose, I could probably continue doing ‘Jaws’ pictures for the rest of my life, because it seems Universal is going to do ‘Jaws’ pictures for the rest of their lives. I’m not joining the dance.”」と話しています。
Roy Scheider as Chief Martin Brody in JAWS (1975)
記事は次の撮影現場に移動中のフランク・バウアーの、この時のスタッフ・キャストの気持ちを代弁するような言葉で終わります。「たくさん祈るよ。サメと天気、それに海が協力してくれれば、ぼくたちは不可能を成し遂げることができるだろうからね “We pray a lot. If the shark and the weather and the ocean cooperate, we’ll have accomplished the impossible.”」 -
イギリスベースのウェブサイト『DEN OF GEEK』の記者、Ryan Lambieによる2016年7月25日の記事『Jaws: The Revenge – How The Sequel Went So Horribly Wrong』は、本作の脚本執筆、バハマでのブルースIVの振る舞い、そして本作の公開後について触れています。以下はこの記事をベースに構成しています。
「物語をはじめるための材料はすごく少なかった "We had very little to go on to begin with."」と、アメリカのSF映画雑誌『スターログ(英語: STARLOG)』の取材にサージェントは答えています。「だからぼくらは、つながりのないアイデアが形を取りはじめるまで、1つずつブロックを積み上げていったんだ "So, we began to pile 'bricks' one on top of the other, until all of these lovely disconnected elements began to take on a form and a shape."」
本作の準備期間中に急いで制作されたブルースIVは、初代ブルース同様、バハマでの撮影中故障ばかりだったようです。
エレンの長男、マイケル・ブロディを演じたランス・ゲストは、Patrick Jankiewiczの著書『A JAWS COMPANION』の中で回想しています。「いつも壊れてたよ!サメを動かす油圧式のジャッキが海底にあって、操作もそこで行っていたから、みんな海には苦労させられていたよ。サメが動かないから、家に戻って待機する日があったのを覚えてる “In fact, it broke down all the time! It’s hard to do, because to make the shark work, you had hydraulic jacks on the bottom of the ocean floor manipulating it, and they had a hard time with the ocean; I remember having to go home a lot of days because the shark just wasn’t working.”」
アメリカの公開には遅すぎましたが、シド・シャインバーグは海外向けにエンディングを撮りなおす計画を立てます。「サメとジェイクの死のインパクトは、観客にとっては詰め込みすぎのエンディングだったんだ "The impact of the shark dying and Mario dying was too much for the audience in one finale."」と、シャインバーグは『ロサンゼルス・タイムズ』に話しています。
アメリカの「ACADEMY OF TELEVISION ARTS & SCIENCES FOUNDATION」が2006年に行ったインタビュー、『ARCHIVE OF AMERICAN TELEVISION』の中で、サージェント監督は、この「神秘的」な設定について話しています。
「サメに関して、何か新鮮なものを探そうと若干自暴自棄になっている中で、ぼくたちは、もし神秘的な方向に持って行けば…魔法のようなものを少し使えば、最後まで観続けられる何か面白いものが見つかるんじゃないかと思ったんだ "out of a little bit of desperation to find something fresh to do with the shark. We thought that maybe if we take a mystical point of view, and go for a little bit of … magic, we might be able to find something interesting enough to sit through."」
エレンとホーギー、マイケルと奥さんのカーラ、それにジェイクと奥さんのルイーザがラウンジに行き、エレンとマイケルがダンスフロアでダンスをするシーンでエレンが言います。
「あいつに怯えて過ごしたくないの。あいつが人間に復讐にきたなんて思いは断ち切らなきゃ "But I can't allow myself to keep on believing it was intentional. I'm not going to let an obsession run my life. "」
「ショーンはサメに殺された」と信じていたエレンが、その考えを捨てる決意をマイケルに伝えているのですが、実際に海で巨大なサメに遭遇し、自分たちが狙われていると確信してしまったマイケルにはうまく答えることができません。
本作の中でとても重要なシーンです。
Michael Caine as Hoagie Newcombe and Lorraine Gary as Ellen Brody in JAWS: THE REVENGE (1987)
Michael Caine as Hoagie Newcombe in JAWS: THE REVENGE (1987)
電気パルス発信機を持ってバウスプリットに移動したジェイクがサメに襲われたあと、マイケルの電気パルスによる攻撃に耐えられなくなったサメが咆哮とともに海中から飛び出すシーン。
そもそもサメがほえる時点で「!?」ですが、なんとこれ、『トムとジェリー(原題: TOM AND JERRY)』の1946年の短編作品「捨てネズミ(原題: THE MILKY WAIF)」(監督ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ)のとあるシーンで使用された鳴きなんだそうです。
本作のサウンド・エディターが反対したためやむを得ずのことだそうですが…。
はぁ…。
「一体なぜ、これまで受けてきた教育や、世俗的な点において、どちらかと言えばよい経歴を持った大人が…なぜあんなにバカげたことに関わってしまったのか? ”How do grown men with rather good credentials in terms of their training, in terms of their worldiness … how do we get involved with something that idiotic?”」
本作ですばらしかったのは、マイケル・スモールによる音楽のみ。
2015年にアメリカのレーベル「Intrada Records」からリリースされた、『JAWS: THE REVENGE ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』の1曲目「Jaws The Revenge - Main Title」と、31曲目「Jaws The Revenge – End Credits」は、ジョン・ウィリアムズによるおなじみのテーマにスモールがアレンジが加えていますが、すばらしい!
本作では、特にラストなどは編集のひどさもあって、30曲目「Shocked Shark – The Finish」などもまったく生かされてないけれど、CDは聴いて損はありません。
本作もふくめて、あまり良作に恵まれていないのがほんとうにもったいない…。
1984年、スピルバーグは「(翌年公開の)『バック・トゥ・ザ・フューチャー(原題: BACK TO THE FUTURE)』(監督ロバート・ぜメキス、出演マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、リー・トンプソン、クリスピン・グローヴァ―)というタイトルを、『冥王星から来た宇宙人(英語: SPACEMAN FROM PLUTO)』に変更するように」というシャインバーグからのメモを受け取りました。それに対しスピルバーグは、「面白いジョークをありがとう。朝からみんな笑って撮影現場に活気が生まれました」と、洒落の利いた返事を書いています。
サージェント監督に宛てたスピルバーグのメモにも、これに似たユーモアを感じます。
2018年に公開された『レディ・プレイヤー1(原題: READY PLAYER ONE)』(出演タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、ベン・メンデルソーン、T・J・ミラー、サイモン・ペグ、マーク・ライランス)の原作者アーネスト・クラインは、映画版制作中にスピルバーグが「『レディ・プレイヤー1』は、『ジョーズ』、『プライベート・ライアン(原題: SAVING PRIVATE RYAN)』(出演トム・ハンクス、エドワード・バーンズ、マット・デイモン、トム・サイズモア)に次ぐ難しい作品だ ”He's said that it's the third hardest film he's made, out of dozens and dozens of movies. He said Jaws will always be the worst. Saving Private Ryan was just brutal 'cause he was recreating D-Day, day by day.”」と話していたことを、あるインタビューの中で明らかにしています。
スピルバーグにとって、もっともつらい撮影だった『ジョーズ』。
それをサージェントに、「大西洋に向かってリボルバーを空になるまで撃っている自分がいました」というユーモアで伝えていたのだと思いますが…どうでしょう?(12/21/19)
STORY
レスキュー・チームのリーダーを務めるジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)は沈没した原子力潜水艦の乗組員救助に向かうが、外部からの衝撃により原子力潜水艦は圧壊し、テイラーはチームと乗組員を守るためにメンバーのマークスを原子力潜水艦に置き去りにして救命艇を発進させる。帰還後、テイラーは「巨大な生物による攻撃を受けた」と主張するが。救助したヘラー博士(ロバート・テイラー)に否定され精神異常だと決めつけられて置き去りを非難され、仕事を辞めてしまう。
RETROSPECTIVE / REVIEW
1997年に「BANTAM BOOKS」から出版されベストセラーとなったスティーヴ・オルテンの『メガロドン(原題: MEG: A NOVEL OF DEEP TERROR)』(以下『MEG』)が原作。
ロサンゼルスに住みはじめたころ、住んでいたアパートの近くにあった書店『BARNES & NOBLE』の「ベストセラー」のコーナーに並んでいて、その青い表紙がとても印象的でした。
2001年7月に角川書店から出版された日本語版の訳者、篠原慎さんの「訳者あとがき」によれば、「『ロサンゼルス・タイムズ(英語: LOS ANGELES TIMES)』紙は当時本書を『- Two words: Jurassic shark』と評し、『ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ』は作者が100ページほど書いたばかりで未完成だった本書に目をつけ、約150万ドルで映画化権を手に入れた」のだそうです。
またアメリカではよくあるけれど、本書の場合も出版社、リテラリー・エージェント、映像や活字のメディアなどがバックアップ・チームを組んで、この作品の完成や売り込みを支援しました。
日本語版は出版されていませんが、『MEG』はこのあとシリーズ化され、2021年には8作目が発表されるそうです。
角川書店さん、よろしくお願いします。
監督は、ジェリー・ブラッカイマー製作による2004年の『ナショナル・トレジャー(原題: NATIONAL TREASURE)』(出演ニコラス・ケイジ、ハーヴェイ・カイテル、ジョン・ヴォイト、ダイアン・クルーガー、ショーン・ビーン、ジャスティン・バーサ、クリストファー・プラマー)、2007年の続編『ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記(原題: NATIONAL TREASURE: BOOK OF SECRETS)』(出演ニコラス・ケイジ、ジョン・ヴォイト、ハーヴェイ・カイテル、エド・ハリス、ダイアン・クルーガー、ジャスティン・バーサ、ブルース・グリーンウッド、ヘレン・ミレン)と、2本続けて「ブロックバスター」も撮っているけれど、どちらかというと1995年の『あなたの寝てる間に…(原題: WHILE YOU WERE SLEEPING』(出演サンドラ・ブロック、ビル・プルマン、ピーター・ギャラが―、ピーター・ボイル、グリニス・ジョンズ、ジャック・ウォーデン)や、2013年の『ラストベガス(原題: LAST VEGAS)』(出演マイケル・ダグラス、ロバート・デ・ニーロ、モーガン・フリーマン、ケヴィン・クライン、メアリー・スティーンバージェン)のような、コメディドラマ作品の監督としてのイメージが強いジョン・タートルトーブ。
アクション・シーンも多い『ナショナル・トレジャー』シリーズ同様、本作でもそれぞれのキャラクターや、彼らのやり取りなどが丁寧に描かれていてました。
予告編を観た時には「『MEG』の映画版」かと思った、レニー・ハーリン監督の1999年の『ディープ・ブルー(原題: DEEP BLUE SEA)』(出演サフロン・バロウズ、トーマス・ジェーン、LL・クール・J、ジャクリーン・マッケンジー、マイケル・ラパポート、ステラン・スカルスガルド、サミュエル・L・ジャクソン)に登場する医学研究施設「アクアティカ」のセットの方が、はるかに「リアリティ」を感じられた…。
「サメ映画」としても『ディープ・ブルー』の勝ち。
「ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ」による『ディープ・ブルー』は、メジャー・スタジオ製作による「本格サメ映画」としては「ユニバーサル・ピクチャーズ」の1987年のシリーズ第4作『ジョーズ’87 復讐篇(原題: JAWS: THE REVENGE)』(監督ジョセフ・サージェント、出演ロレイン・ゲリー、ランス・ゲスト、マリオ・ヴァン・ピープルズ、カレン・ヤング、マイケル・ケイン)以来の作品だったような…。
同じ「ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズ」だけれど、本作は『ディープ・ブルー』以来の「本格サメ映画」かな?
これについてはたくさんのウェブサイトが取り上げていますが、雑誌『WIRED US』のウェブサイト内、「CULTURE」に掲載されたジャーナリストBrian Rafteryによる2018年8月9日の記事『"MEG ザ・モンスター"の20年の旅、インターネットが死なせなかった映画 "The 20-Year Journey of The Meg, the Movie the Internet Wouldn’t let Die"』は、それらとは違う『WIRED』らしい視点で書かれていて、ちょっと感動的だったので紹介させてください。
- 数十年の間、原作のファンは映画バージョンを沈ませなかった。
THE MEG (2018)
サメは動いていなかった。 "The Shark wasn’t working."(1975年の『ジョーズ(原題: JAWS)』撮影時、機械仕掛けのサメが故障した際にスタッフやキャストの間で繰り返された言葉、『サメが動いてない "The Shark Is Not Working. "』のもじり。)
ヤン・デ・ボン監督の手によって、ようやく『MEG』に命が吹き込まれようとしていた。すでにデ・ボンは、小説の中で「長さ21m、重さ32トンのホオジロザメのいとこ」と描写されている巨大な生物のモデルも発注していた。監督にモデルを見せられたオルテンだったが、それは彼が小説で描いた巨大生物とはまったくの別物だった。
「ソトイワシみたいだったよ "It looked like a bonefish,"」オルテンは回想する。「とてもひどかった "It was horrible."」
90年代の終わり、ヌンジアタは『CHUD(Cinematic Happenings Under Development)』を開設した。『Twitter』や『Facebook』などまだ存在しない時代に開設された映画専門のウェブサイトの1つだ。『Ain’t It Cool News』、『Dark Horizons』や『Corona Coming Attraction』などのサイトが、長い間制作が噂されていたジェームズ・キャメロンの『スパイダーマン』や、悪名高い1999年の『スター・ウォーズ』プリクエル『The Balance of the Force』(少なくとも当時はみんな、これがタイトルだと思っていた。)に関するうわさを次々と掲載している時代だった。そしてこれらのサイトの伝言板の多くは、次にどんな映画が登場するのかの予測(時には怒りも)であふれていた。
『MEG』の映画化権を買った時、ディズニーがどんな映画を作ろうとしていたのかを想像するのは難しいことではない。
「巨大な魚が出てくれば、たくさんの人が『ジョーズ』と比較する "Because it has a giant fish, a lot of people compared it to Jaws,"」1997年の出版後、すぐに『MEG』を読んだヌンジアタは語る。「『ジョーズ』はすでに存在する生物がすべての作品だったけれど、『MEG』はもっと気楽で、なんの前振りもないアイデアだったんだ。自分の内にある子供のころの気持ちを受け入れられれば、簡単に楽しむことができる "But Jaws is this primordial, character-driven thing that's much larger than the sum of its parts. Meg was an easy, pretension-free idea. You could enjoy it on a surface level, as long as you were able to embrace your inner childhood."」
ところがオルテンによれば、『MEG』映画化の初期段階の脚本は、原作からかけ離れたものだったという。「ひどいものばかりだったよ "They went through some subpar screenplays,"」58歳の作者は言う。「実質ぼくは何も提案してない "I had virtually no input."」(ある脚本のメグには翼が生えていた。)
ディズニーは1999年に公開された『ディープ・ブルー』を迎え撃つほどの速さで映画を製作することができず、映画化の話は止まってしまう。ディズニーからオルテンに映画化権が返還されたあと、『MEG』のファンに映画化への想いを表してもらおうと、オルテンは2002年にインターネットで署名集めをはじめた。
「ハリウッドは映画化に興味を示さなかったし、再びプロジェクトを推し進めるにはそれしか方法がなかった "That was the only option I had, I mean, there was no interest from Hollywood. I needed to really get the project out there again."」
オルテン自身のウェブサイトのみで行ったキャンペーンにも関わらず、65,000以上の署名が集まった。
その後オルテンは数年をかけてオンラインでファンを獲得し、出版された本には自分のEメールアドレスを載せた。
「ファンはとても忠実でいてくれたし、ぼくもファンにすべてを伝えた。彼らをキャラクターとして小説に登場させたりもしたよ。ファンとのつながりはどこよりも深かった "The MEGheads are very loyal," he says. "I keep them apprised of everything. I answer every email. I make them characters in my books. They are involved as much as any fan base is ever involved."」
あるEメールによるニュースレターの中で、オルテンはフォロワーへの感謝とともにこう書いている。
「『MEG』が映画になる時には、予告編を観ながらこう思ってほしい、『スティーヴからは毎月Eメールをもらってる。彼の本についてみんなにも話した。そうか、映画になる手助けをしたんだ!』と。そう、間違いなく助けてくれた "When the MEG movie eventually hits its big screens, I want you to watch the previews thinking, 'Hey, I get Steve's e-mail every month. I helped him spread the word about his books. Heck, I helped get this movie made!' Guess what? You absolutely did."」
オルテンが映画化権を売ってから8年後の2004年秋のことだった。彼はすでに自分で『MEG』の脚本を執筆していた。ヌンジアタともチームを組んでいたが、映画好きな彼の善意により、映画化の話を、『クロノス(原題: CRONOS)』や『ヘルボーイ(原題: HELLBOY)』の(そしてのちに『シェイプ・オブ・ウォーター(原題: THE SHAPE OF WATER)』でオスカーを受賞する)監督、ギレルモ・デル・トロに持ち込むことができた。さらにデル・トロがそれを「ニュー・ライン・シネマ」に持ち込み、「ニュー・ライン」は監督としてヤン・デ・ボンを雇った。オルテンはデ・ボンの起用に満足していたが、映画化のプロセスは不安定なままだった。2008年の『ロサンゼルス・タイムズ』の記事によると、「ニュー・ライン」の重役は製作費に神経質になり、1億ドルまで引き下げるよう動いていた。さらにオルテンの脚本は新しい脚本に取って代わられた。(「『白鯨』がサメになっただけだった "it was like Moby Dick with a shark,"」オルテンは言う。)
ある意味、『MEG』はタイミングが悪かった。「9/11のあと、観客は悲壮感のないディザスター系の物語を望んではいなかった "Post-9/11, audiences did not want to see fun disaster-type stories that didn't have a somber tone,"」ヌンジアタは言う。「みんなが皮肉な考え方を家に置いて出かけ、気楽なモンスタームービーを受け入れられるようになるには、まだしばらく時間が必要だった "It took a while for people to be able to leave their cynicism at the door, and embrace a really pulpy monster movie."」
すでに『MEG』には複数のプロデューサーが関わっており、対処しなければならないスタジオ内の政治的問題もあった。いくつかの映画ニュースサイトが、『MEG』(の映画化の話)が復活したと書き立てたが、実際には「ニュー・ライン」は何も進めてはいなかった。デル・トロがプロジェクトを離れ、ヌンジアタもそれに続いた。「それまでで一番ゴーサインに近づいていたんだ "We were as close to a green light as you could possibly get,"」その後もオルテンと親交のあるヌンジアタは話す。「ハリウッドはくだらないアニメのようにバカげてたけれど、ぼくたちの未来もそのバカさにかかっていたんだ "We saw Hollywood at its most cartoonish–except our futures were hinged on that stupidity."」
1997年に『MEG』が出版されてから長い時間が経っていたが、それでもファンは映画化を求め続けた。まさに『Ain’t It Cool News』のコメンテーターの1人が2008年に書いた疑問そのものだった。「『MEG』の映画はどこに行った? "Where is the MEG movie?"」
だが、「ニュー・ライン」が去ったあとも、オルテンが与えられる最高の回答は、自身のウェブサイト上で『MEG』のファンに向けて書いたシンプルな約束だった。「みんな待ってて;) "Stay Tuned Folks ;)"」
Jaws of Life
「きっと運命だったんだ "Maybe it's fate,"」オルテンは『MEG』の長く苦しかった映画化への道をふりかえりながら言う。
2018年7月下旬、『THE MEG』に改題された映画の公開まで1週間ほどだ。出演はジェイソン・ステイサム、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ。ジョン・タートルトーブが監督を務める。2本の『ナショナル・トレジャー(原題: NATIONAL TREASURE)』映画と、『フェノミナン(原題: PHENOMENON)』の監督だ。予告編にはたくさんのVFXが見られる。オルテンは20年前にはこれほどの技術はなかったと指摘する。また彼は、映画版にはSNS時代に産まれた利点があると話す。今、巨大なサメの物語を広めることは、90年代に比べるとはるかに簡単だ。『MEG』は2018年に流れ着く運命だったのかもしれない。
しかし、それは決してこの10年が楽だったということではない。映画化権は「再び」オルテンへと戻り、彼はそれを2007年のシドニー・ルメット監督によるドラマ『その土曜日、7時58分(原題: BEFORE THE DEVIL KNOWS YOU’RE DEAD)』などを手掛けたプロデューサー、ベル・アヴェリーに託した。「誰かがまたバカなことをしないよう、きっと彼女が守ってくれると信じたんだ "I trusted her to safeguard the project, and make sure nobody does anything stupid,"」とオルテンは言う。その間、彼は本を書き続け、ファンとのやり取りを続けた。彼らの名前や容姿の小説への登場権をかけたコンテストも開いた。2007年にパーキンソン病と診断された時も、自分の症状を伝えていた。そして2016年、中国の「グラヴィティ・ピクチャーズ」との共同出資が決まり、ようやく映画化の話がまとまった。オルテンは言う。「ベルは7年に渡って努力を続け、完成へと導いてくれた "It took Belle seven years and a lot of hard work, but she managed to get it done,"」
『THE MEG』の公開は、ウェブ時代においてもっとも長かった映画化までの旅の終わりを意味する。ネット上には、H・P・ラヴクラフトの『狂気の山脈にて(原題: At the Mountains of Madness)』のように、何十年にも渡って映画化が噂されている作品がまだたくさんある。しかし、90年代から2000年代初期にかけてファンが待ち望んでいた作品の多くもすでに映画化されている。『ダークタワー(原題: THE DARK TOWER)』、『ジョン・カーター(原題: JOHN CARTER)』、『ウォッチメン(原題: WATCHMEN)』や『ブレードランナー 2049(原題: BLADE RUNNER 2049)』。『THE MEG』は確実にこれらの種の最後の1つである。ファンが沈ませなかったために、映画は完成した。だが20年におよぶオンライン上の期待値が、興行成績にどう影響するのかを知ることはできない。「『MEG』はずっと敗者のように感じていた "Meg always felt like an underdog,"」ヌンジアタは言う。「でも、おそらくそれが助けになる。コアなファンは強く、彼らはスティーヴと深くつながってきた。彼らは『ライナスの毛布』なんだよ "and I think that's something that will help it. Its hardcore fans are powerful, and they really connected with Steve. They became a security blanket."」
おそらくそれが理由なのだろう、今日も、オルテンはメールをくれた相手に返事を書き続けている。「ぼくは、ぼくの本を買って読むために時間と費用を費やしてくれた彼らには、個人的な返事を受け取る権利があると思ってる "My philosophy is they've taken time and expense to buy my book and read it, and deserve a personal response,"」オルテンは話す。「22年間ぼくはそれをやめなかった。中には『どうしてまだAOLを使ってるの?』と聞いてくる人もいるけど、今まで出版されたすべての本に載せているメールアドレスだからね。それに、それ以外のアドレスを持ってないんだ "And I've stuck with that for 22 years. People give me a hard time and say, 'Why are you still using AOL?' Well, because that's the email address in all my books. And it's the only one I've ever had."」 -
]]>LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)http://team.exblog.jp/30592638/2019-12-08T12:25:00+09:002020-05-22T01:24:09+09:002019-12-01T15:52:45+09:002moon1movie reviews
アメリカを代表する映画評論家ロジャー・エバートは、自身のホームページで本作に最高4つ星中3つ星を与え、「この映画は前作よりも優れており、自信にあふれ、楽しい(中略)イマジネーションと数々のエキサイティングなロケーションが、この映画に『インディ・ジョーンズ』シリーズから得られるような冒険感覚を与えている。“This film is better than the first one, more assured, more entertaining … it uses imagination and exciting locations to give the movie the same kind of pulp adventure feeling we get from the Indiana Jones movies.” 」と評価しています。
Angelina Jolie as Lara Croft, Djimon Hounsou as Kosa, Chris Barrie as Hillary, and Noah Taylor as Bryce in LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)
など、今回のララはちゃんと「冒険」してました!
3代目ジェームズ・ボンドのロジャー・ムーアが、1977年のムーア=ボンドの3作目、007シリーズだと10作目の『007/私を愛したスパイ(原題: THE SPY WHO LOVED ME)』(監督ルイス・ギルバート、出演ロジャー・ムーア、バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス)でボンドを演じた時のように、アンジェリーナ・ジョリーも本作でララ・クロフトを自分のものにしたように思います。
Angelina Jolie as Lara Croft in LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)
これが1作目だったらよかったのに…。
悪役の設定も良かった!
前作でイアン・グレンが演じた『イルミナティ』のメンバー、マンフレッド・パウエルは、クライマックスまではただずる賢いだけで、黒幕としての魅力はなかった…。
本作のライス博士は、<パンドラの箱>に納められている疫病を使って世界中の弱者を消し、選ばれたトップだけが残る新しい世界を作ろうとする狂人。
計画がだいぶ「007」だけど、やっぱり冒険活劇ではこのぐらいシンプルに「こいつが悪役です!」でよいと思う。
ライス博士を演じたシアラン・ハインズは、劇場で観た時に「どっかで観たなー…」と思ってたけど、2002年の『トータル・フィアーズ(原題: THE SUM OF ALL FEARS)』(監督フィル・アルデン・ロビンソン、出演 ベン・アフレック、モーガン・フリーマン、ジェームズ・クロムウェル、リーヴ・シュレイバー、アラン・ベイツ、フィリップ・ベイカー・ホール、ロン・リフキン、ブルース・マッギル)では、ロシアのネメロフ大統領を演じてましたね。
チャーミングなところは少しもなかったけど…。
Ciarán Hinds as Jonathan Reiss, Angelina Jolie as Lara Croft, Chris Barrie as Hillary, and Noah Taylor as Bryce in LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)
Gerard Butler as Terry Sheridan in LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)
撮影監督はイギリス出身のデヴィッド・タッタ―サル。
前作の監督、サイモン・ウェストと組んだ1997年の『コン・エアー(原題: CON AIR)』(出演ニコラス・ケイジ、ジョン・キューザック、ジョン・マルコヴィッチ、スティーヴ・ブシェミ、ヴィング・レイムス、コルム・ミーニイ、ミケルティ・ウィリアムソン、レイチェル・ティコティン、ダニー・トレホ、モニカ・ポッター)、1998年の『ソルジャー(原題: SOLDIER)』(監督ポール・W・S・アンダーソン、出演カート・ラッセル、ジェイソン・スコット・リー、コニー・ニールセン、マイケル・チクリス、ゲイリー・ビジー)、1999年の『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(原題: STAR WARS: EPISODE I - THE PHANTOM MENACE)』(監督ジョージ・ルーカス、出演リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ジェイク・ロイド、イアン・マクダーミド)から2005年の『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐(原題: STAR WARS: EPISODE III - REVENGE OF THE SITH)』(監督ジョージ・ルーカス、出演ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマン、ヘイデン・クリステンセン、イアン・マクダーミド、サミュエル・L・ジャクソン、クリストファー・リー、アンソニー・ダニエルズ、ケニー・ベイカー、フランク・オズ、テムエラ・モリソン)にかけて制作された「新三部作」や、2000年の『バーティカル・リミット(原題: VERTICAL LIMIT)』(監督マーティン・キャンベル、出演クリス・オドネル、ビル・パクストン、ロビン・タニ―、スコット・グレン、イザベラ、スコルプコ、テムエラ・モリソン)など、監督のスタイルやビジョンを忠実に再現するベテラン。
本作では、前作も手掛けたカーク・M・ペトルッチェリによる巨大で複雑なセットや、壮大なロケーションを、リアルかつ鮮やかなライティングで見せてくれます。
Angelina Jolie as Lara Croft in LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)
編集は、1977年の『未知との遭遇(原題: CLOSE ENCOUNTERS OF THE THIRD KIND)』(監督スティーヴン・スピルバーグ、出演リチャード・ドレイファス、テリー・ガー、メリンダ・ディロン、フランソワ・トリュフォー)以降、スティーヴン・スピルバーグ監督のすべての作品を手掛けてきた「超」ベテラン、マイケル・カーン。
当然『インディ・ジョーン』シリーズも手掛けているわけで、1981年のシリーズ第1作『レイダース/失われたアーク《聖櫃》(原題: RAIDERS OF THE LOST ARK)』(出演ハリソン・フォード、カレン・アレン、ポール・フリーマン、ロナルド・レイシー、ジョン・リス=デイヴィス、デンホルム・エリオット)ではアカデミー編集賞も受賞しているし、冒険活劇である本作に彼以上の適任はいないでしょう。
デ・ボン監督とは『ツイスター』と『ホーンティング』でも組んでいます。
ポスターやオープニング・クレジットなどで彼の名前を見つけると、いつもちょっとホッとします…。
音楽は、1984年の『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷(原題: ROMANCING THE STONE)』(監督ロバート・ぜメキス、出演マイケル・ダグラス、キャスリーン・ターナー、ダニー・デヴィート、アルフォンソ・アラウ、マヌエル・オヘイダ)以降、すべてのロバート・ゼメキス監督作品を手掛ける、こちらも「超」ベテランのアラン・シルベストリ。
前作の音楽はぼくの大好きなグラエム・ラヴェルが担当したけれど、効果的に使われておらず、まったく耳に残らなかった…。
本作公開と同時に『ヴァレーズ・サラバンド・レコーズ(Varese Sarabande Records)』からリリースされた『オリジナル・サウンドトラック・スコア トゥームレイダー2(原題: LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE ORIGINAL MOTION PICTURE SCORE)』の1曲目「オープニング(原題: OPENING)」は、オープニング・クレジットを観ている間にすぐにおぼえられちゃいます。
舞台はつぎつぎと変わり、アクションも盛りだくさんですが、シンセサイザーとオーケストラによる楽曲は背景にただ流れているわけではなく、本作のイメージを1つにまとめています。
これぞ「映画音楽」!
改めてこの映画を考えてみると、本作のストーリーの「フォーマット」は、『インディ・ジョーンズ』シリーズの第1作、「映画の教科書」でもある『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』(以下『レイダース』)のそれと同じであり、「クライマックスの展開」は、1989年の第3作『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦(原題: INDIANA JONES AND THE LAST CRUSADE)』(以下『インディ3』)(監督スティーヴン・スピルバーグ、出演ハリソン・フォード、デンホルム・エリオット、アリソン・ドゥーディ、デンホルム・エリオット、ジョン・リス=デイヴィス、ジュリアン・グローヴァ―、ショーン・コネリー)と同じだということがわかります。
Harrison Ford as Indiana Jones, Denholm Elliott as Dr. Marcus Brody, Don Fellows as Col. Musgrove, and William Hootkins as Major Eaton in RAIDERS OF THE LOST ARK (1981)
Jan de Bont and Angelina Jolie in LARA CROFT TOMB RAIDER: THE CRADLE OF LIFE (2003)
2018年8月10日に全米公開された『MEG ザ・モンスター(原題: THE MEG)』(監督ジョン・タートルローブ、出演ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ、ウィンストン・チャオ、クリフ・カーティス)は、アメリカの「BANTAM BOOKS」から1997年に出版された、スティーヴ・オルテンの『メガロドン(原題: MEG: A NOVEL OF DEEP TERROR)』を原作としています。
その「映画化」までの20年以上の道のりの中で、デ・ボンが監督候補に挙がったことがありました。
2005年のことで、結局はスタジオと製作費の折り合いがつかず、「映画化」の話は再び白紙に戻ってしまったのですが、どこかで「海の上の『ツイスター』のような作品になる」と表現した記事を見たおぼえがあります。
最終的には、1993年の『クール・ランニング((原題: COOL RUNNINGS)』(出演レオン、ダグ・E・ダグ、ロール・D・ルイス、マリク・ヨバ、ジョン・キャンディ)』や、1996年の『フェノミナン』(ジョン・タートルトーブ、出演ジョン・トラボルタ、キーラ・セジウィック、フォレスト・ウィテカー、ロバート・デュヴァル)ジェフリー・デマン)などを代表作に持つジョン・タートルトーブがメガホンを取りました。
完成した映画はそこそこ楽しめたけれど、やっぱり本格的に準備を進めていたデ・ボン監督の『MEG ザ・モンスター』が観たかった…。(12/8/19)